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先にも述べたように、北、東、南側は、ガスが上がってきていてほとんど視界が利かない。小笊も写真のような状況で、
小笊の後方に見えるべき富士山は全く見ることができない。
飽くことなく南アルプス 南部の山々を見ながら、30分程 頂上で休憩する。
途中で、生木割山方面から人が登ってきた。聞けば、前日に 田代の方から伝付峠 (転付峠) まで登ってテン泊し、
本日は 天井小屋山、生木割山と縦走してここまでやってきたとのこと。本日もこの周辺でテン泊するらしい。
人気コースに比べるとかなり不便であろうに、なかなか通好みのルートを辿ってこられたものだ。感心する。 |
小笊はますますガスに囲まれ、
小笊自体の姿がほとんど見えない状態にまでなってしまった。これでは小笊に行く意味がない。ということで、このまま下山することにする。
12時38分、笊ヶ岳頂上を出発。
長い休みを取ったので体力も回復。快調に下る。
この頃になると、東側は完全にガスが上がってきてしまい、往路で見ることができた笊ヶ岳の双耳峰も今は全く見えない。
富士山も然りである。
快調に登り返して、13時27分に布引山頂上に到着。少し休憩して甘いものを食べるとともに、ペットボトルのお茶でのどを潤す。
13時33分 出発。 | |
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所ノ沢越への分岐を右に見て、快調に下る。
樹林帯を抜け、やがて 布引大崩れの縁を歩く。
足下は写真のように崩れており、かなり浸食が進んでいるようである。草付きの斜面の方にまで崩れが来ている箇所があった。 |
見上げれば、西側の山々にも雲が掛かりつつあるが、
現時点では 上河内岳、
聖岳、
そして赤石岳も健在。
ただ、黒法師岳、
不動岳方面はもう雲に覆われ始めており、
大無間山は完全に雲に隠れてしまっていた。この素晴らしい景色ともお別れとなるため、山を一つずつ写真に納める。
本日は、素晴らしい景色を堪能させてもらったものの、
そこに自分が立っていないことに少々寂しさを覚えたのも事実である。
富士山を見ても また登りたいとは思わないが、
南アルプスの山々は大変魅力的で登高意欲をかき立てられる。こんな快晴のもと、自分がその晴れ舞台に立っておらず、客席から見ているような気になって、
笊ヶ岳には悪いが、ここは本意の場所ではないという思いを抱いてしまったのだった。 | |
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でも、例えば 上河内岳頂上に立てば、
笊ヶ岳を見て登ってみたいと思うに違いない。隣の芝生は何とやらである。自分の登山に対するモチベーションがさらにアップしたと解釈して、
笊ヶ岳にお礼を言い、本日 見た山々にチャレンジすることにしよう。
ガレ場の縁を下り、
最後に 聖岳と上河内岳に別れを告げ、樹林帯を下る。
考えたら、7時間近くかけて登ってきた山である。そこに待っていた素晴らしい景色に魅了されてしまい、
つい 客席ではなく舞台に立ちたいなどと思ってしまったのは、笊ヶ岳に対して大変失礼であった。 |
快調に下る。
よくもまあこんな斜面を登ってきたものだと感心する。それ程の急斜面ではあるが、登りの時は登頂という目的を果たすべく、
モラール高く頑張ったに違いない。
もう一度このコースを登れと言われても、コースの状況を知ってしまっただけに断るであろう。
それと同じことが、往路を戻る場合にも言える。例えば、この後、桧横手山の頂上があったはず、インクラ跡があったはず、山の神もあるし、
渡渉もある。その後の林道歩きもかなり長い・・・等々。知恵が付いた分、逆にがむしゃらさが失われ、ネガティブにとらえてしまう。
尤も、こんなことを思うのは小生だけかもしれないが。 | |