+++『OKAERI』+++

今日はどんな悲しいことがあったの
うれしいことがあったの
縛り付けられるような哀しいことがあったの
涙が止まらないほど　酷いことがあったの
傷口から血がにじみでてくる痛さがあったの
心を切り裂く辛さがあったの

私は帰っていく　安らぎを求め
外からの襲撃から逃れるため
自分自身を守るため
あふれ出る涙を静めるため

外見は汚く　土の色をしていた
はれあがったこの面を隠し
足早に歩いていく
悲しんでいることを知られぬよう
泣いていることを知られぬよう

心配などかけたくはない
迷惑などかけたくない
あなたにすがりつくことはできない
真実を口にすることはできない

ただ　　　ただ

あなたが壊れてしまうのが怖かった
あなたが泣いてしまうのが怖かった
幸せがなくなるのが怖かった

戸をあけたあなたは
いつものように『おかえり』と
私は面を隠しながら『ただいま』と
無理に抑えていた雫が次々と
優しい声　　懐かしい匂い　　少し青くなったこの腕を
見つめてあなたは思っただろう

さぞ痛かったことだろう
さぞ哀しかったことだろう
さぞ痛かったことだろう
さぞ哀しかったことだろう
さぞいたかったことだろう
さぞかなしかったことだろう

きつく　きつく　　きつく　　　きつく

両手で私を抱きしめた