1/n^k・(n^2-1)を調べた。
「その4」で、ゼータの香り漂う式1/n^k・(n^2+1)を調べた。ここではその兄弟ともいえる1/n^k・(n^2-1)を調べたい。
k=1,2,3,4の場合を見る。次である。
1/(2・(2^2-1)) + 1/(3・(3^2-1)) + 1/(4・(4^2-1)) +・・ ----@
1/(2^2・(2^2-1)) + 1/(3^2・(3^2-1)) + 1/(4^2・(4^2-1)) +・・ ----A
1/(2^3・(2^2-1)) + 1/(3^3・(3^2-1)) + 1/(4^3・(4^2-1)) +・・ ----B
1/(2^4・(2^2-1)) + 1/(3^4・(3^2-1)) + 1/(4^4・(4^2-1)) +・・ ----C
@で異変が起こる。なお、ここで活躍する中心的なフーリエ級数の公式は、
1/2 + (cosx)/4 + ((x-π)sinx)/2=cos2x/(2^2-1) + cos3x/(3^2-1) + cos4x/(4^2-1) +・・ (0 <=x<=π)
である。(これは、例えば「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、岩波書店)p.251を参照)
以下順にみていこう。まずは@から。
k=1の場合、すなわち、
1/(2(2^2-1)) + 1/(3(3^2-1)) + 1/(4(4^2-1)) + ・・ ----@
を導出する。
[1/(n(n^2-1))導出]
@の形から、次のSin級数
f(x)=sin2x/(2(2^2-1))+sin3x/(3(3^2-1))+sin4x/(4(4^2-1))+・・ -----A
を考える。周期は2π。
この級数の直交性を用いて、
1/(2(2^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin2x dx
1/(3(3^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin3x dx
1/(4(4^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin4x dx
・
・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
1/(2(2^2-1))=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2^2-1)+cos3x/(3^2-1)+cos4x/(4^2-1)+・・)・(cos2x/2) dx
1/(3(3^2-1))=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2^2-1)+cos3x/(3^2-1)+cos4x/(4^2-1)+・・)・(cos3x/3) dx
1/(4(4^2-1))=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2^2-1)+cos3x/(3^2-1)+cos4x/(4^2-1)+・・)・(cos3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて
1/(2(2^2-1)) + 1/(3(3^2-1)) + 1/(4(4^2-1)) + ・・
=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2^2-1)+cos3x/(3^2-1)+cos4x/(4^2-1)+・・)・(cos2x/2+cos3x/3+・・) dx ----B
ここでフーリエ級数の公式
cos2x/(2^2-1) + cos3x/(3^2-1) + cos4x/(4^2-1) +・・=1/2 + (cosx)/4 + ((x-π)sinx)/2 (0 <=x<=π)
cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 + ・・=-log(2sin(x/2)) (0<x<2π)
をBに代入して、整理すると、
1/(2(2^2-1)) + 1/(3(3^2-1)) + 1/(4(4^2-1)) + ・・
=(1/π)∫(0〜π) {(π-x)sinx-1-(cosx)/2}(cosx+log(2sin(x/2)) dx ----D
となる。
[終わり]
さて、Dは、右辺の積分中にlog(sinx)の形が出てきて、明らかに奇数ゼータの心をもっているようにみえる。
よって、これ以上は計算を進めてもむだと判断するのが妥当であろう。私は左辺の積分表示が得られたのに満足し、
D式の検証のために数値計算を行った。Excel計算の結果、左辺は0.2500・・となった!
これはなにかあるのか?
よくみると、左辺は、
1/(2(2^2-1)) + 1/(3(3^2-1)) + 1/(4(4^2-1)) + ・・
=1/(2・3) + 1/(3・8) + 1/(4・15) + ・・
=1/(1・2・3) + 1/(2・3・4) + 1/(3・4・5) + ・・
=(1/2){(1/2-1/6) + (1/6-1/12)+ (1/12-1/20) + ・・}
=1/4
と変形できることがわかった。この巧妙な変形が偶然に?存在しているために、右辺は奇数ゼータの顔をしているにも
かかわらず、値は求まってしまうのである。こんな異変がk=1の場合は起こっていた。
k=2の場合、すなわち、
1/(2^2(2^2-1)) + 1/(3^2(3^2-1)) + 1/(4^2(4^2-1)) + ・・ ----@
を導出する。
[1/(n^2(n^2-1))導出]
@の形から、次のCos級数
f(x)=cos2x/(2^2(2^2-1))+cos3x/(3^2(3^2-1))+cos4x/(4^2(4^2-1))+・・ -----A
を考える。周期は2π。
この級数の直交性を用いて、
1/(2^2(2^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
1/(3^2(3^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
1/(4^2(4^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos4x dx
・
・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
1/(2^2(2^2-1))=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2(2^2-1))+sin3x/(3(3^2-1))+sin4x/(4(4^2-1))+・・)・(sin2x/2) dx
1/(3^2(3^2-1))=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2(2^2-1))+sin3x/(3(3^2-1))+sin4x/(4(4^2-1))+・・)・(sin3x/3) dx
1/(4^2(4^2-1))=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2(2^2-1))+sin3x/(3(3^2-1))+sin4x/(4(4^2-1))+・・)・(sin3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて
1/(2^2(2^2-1)) + 1/(3^2(3^2-1)) + 1/(4^2(4^2-1)) + ・・
=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2(2^2-1))+sin3x/(3(3^2-1))+sin4x/(4(4^2-1))+・・)・(sin2x/2+sin3x/3+・・) dx
Sin-Cos移動の法則(部分積分)より、上式は
1/(2^2(2^2-1)) + 1/(3^2(3^2-1)) + 1/(4^2(4^2-1)) + ・・
=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2^2-1)+cos3x/(3^2-1)+cos4x/(4^2-1)+・・)・(cos2x/2^2+cos3x/3^2+・・) dx ---B
ここでフーリエ級数の公式
cos2x/(2^2-1) + cos3x/(3^2-1) + cos4x/(4^2-1) +・・=1/2 + (cosx)/4 + ((x-π)sinx)/2 (0 <=x<=π)
cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・=(x-π)^2/4 - π^2/12 (0<=x<=2π)
をBに代入して、整理すると
1/(2^2(2^2-1)) + 1/(3^2(3^2-1)) + 1/(4^2(4^2-1)) + ・・
=(1/(4π))∫(0〜π) {(cosx)/2+1+(x-π)sinx}((x-π)^2-π^2/3) dx ----C
となる。
[終わり]
Cの右辺の積分は、計算できて、明示的な形で値が求まる。実際に計算するのはたいへんなのでCのままでおく。
検証においては左辺のExcel数値計算の結果と、右辺の定積分の値が一致することで確認した。(その際、定積分
を計算できるフリーの計算ソフトBearGraphを用いた)
k=3の場合、すなわち、
1/(2^3(2^2-1)) + 1/(3^3(3^2-1)) + 1/(4^3(4^2-1)) + ・・ -----@
を導出する。
[1/(n^3(n^2-1))導出]
@の形から、Sin級数
f(x)=sin2x/(2^3(2^2-1))+sin3x/(3^3(3^2-1))+sin4x/(4^3(4^2-1))+・・ -----A
を考える。周期は2π。
この級数の直交性を用いて、
1/(2^3(2^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin2x dx
1/(3^3(3^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin3x dx
1/(4^3(4^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin4x dx
・
・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから簡単な計算から次となる。
1/(2^3(2^2-1))=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2^2(2^2-1))+cos3x/(3^2(3^2-1))+cos4x/(4^2(4^2-1))+・・)・(cos2x/2) dx
1/(3^3(3^2-1))=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2^2(2^2-1))+cos3x/(3^2(3^2-1))+cos4x/(4^2(4^2-1))+・・)・(cos3x/3) dx
1/(4^3(4^2-1))=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2^2(2^2-1))+cos3x/(3^2(3^2-1))+cos4x/(4^2(4^2-1))+・・)・(cos3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて
1/(2^3(2^2-1)) + 1/(3^3(3^2-1)) + 1/(4^3(4^2-1)) + ・・
=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2^2(2^2-1))+cos3x/(3^2(3^2-1))+cos4x/(4^2(4^2-1))+・・)・(cos2x/2+cos3x/3+・・) dx
Sin-Cos移動の法則(部分積分)より、上式は
1/(2^3(2^2-1)) + 1/(3^3(3^2-1)) + 1/(4^3(4^2-1)) + ・・
=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2(2^2-1))+sin3x/(3(3^2-1))+sin4x/(4(4^2-1))+・・)・(sin2x/2^2+sin3x/3^2+・・) dx
1/(2^3(2^2-1)) + 1/(3^3(3^2-1)) + 1/(4^3(4^2-1)) + ・・
=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2^2-1)+cos3x/(3^2-1)+cos4x/(4^2-1)+・・)・(cos2x/2^3+cos3x/3^3+・・) dx ---B
B積分内の後の方の
cos2x/2^3+cos3x/3^3+cos4x/4^3+・・
を明示的に表現するフーリエ級数の公式は存在しない。公式集ではまったく醜い表示となっている。
cosx/1^3 + cos2x/2^3 + cos3x/3^3 + ・・=ζ(3) + (x^2/2)log2 + ∫(0〜x) (x-t)log(sin(t/2))dt (0 <=x< 2π)
これ以上は止める。
[終わり]
k=3の場合は、奇数ゼータと同様、きれいに求まらない。それを回避するために、Sin級数ではなく、Cos級数から出発
しようと思っても、Bの段階で利用することになる sin2x/(2^2-1)+sin3x/(3^2-1)+sin4x/(4^2-1)+・・の公式が公式集
にないので、どうもにならない。
k=4の場合、すなわち、
1/(2^4(2^2-1)) + 1/(3^4(3^2-1)) + 1/(4^4(4^2-1)) + ・・ ----@
を導出する。
[1/(n^4(n^2-1))導出]
@の形から、次のCos級数
f(x)=cos2x/(2^4(2^2-1))+cos3x/(3^4(3^2-1))+cos4x/(4^4(4^2-1))+・・ -----A
を考える。周期は2π。
この級数の直交性を用いて、
1/(2^4(2^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
1/(3^4(3^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
1/(4^4(4^2-1))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos4x dx
・
・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
1/(2^4(2^2-1))=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2^3(2^2-1))+sin3x/(3^3(3^2-1))+sin4x/(4^3(4^2-1))+・・)・(sin2x/2) dx
1/(3^4(3^2-1))=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2^3(2^2-1))+sin3x/(3^3(3^2-1))+sin4x/(4^3(4^2-1))+・・)・(sin3x/3) dx
1/(4^4(4^2-1))=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2^3(2^2-1))+sin3x/(3^3(3^2-1))+sin4x/(4^3(4^2-1))+・・)・(sin3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて
1/(2^4(2^2-1)) + 1/(3^4(3^2-1)) + 1/(4^4(4^2-1)) + ・・
=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2^3(2^2-1))+sin3x/(3^3(3^2-1))+sin4x/(4^3(4^2-1))+・・)・(sin2x/2+sin3x/3+・・) dx
Sin-Cos移動の法則(部分積分)より、上式右辺は次のように機械的に変形できる。
1/(2^4(2^2-1)) + 1/(3^4(3^2-1)) + 1/(4^4(4^2-1)) + ・・
=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2^2(2^2-1))+cos3x/(3^2(3^2-1))+cos4x/(4^2(4^2-1))+・・)・(cos2x/2^2+cos3x/3^2+・・) dx
1/(2^4(2^2-1)) + 1/(3^4(3^2-1)) + 1/(4^4(4^2-1)) + ・・
=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2(2^2-1))+sin3x/(3(3^2-1))+sin4x/(4(4^2-1))+・・)・(sin2x/2^3+sin3x/3^3+・・) dx
1/(2^4(2^2-1)) + 1/(3^4(3^2-1)) + 1/(4^4(4^2-1)) + ・・
=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2^2-1)+cos3x/(3^2-1)+cos4x/(4^2-1)+・・)・(cos2x/2^4+cos3x/3^4+・・) dx ----B
ここでフーリエ級数の公式
cos2x/(2^2-1) + cos3x/(3^2-1) + cos4x/(4^2-1) +・・=1/2 + (cosx)/4 + ((x-π)sinx)/2 (0 <=x<=π)
cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・=(1/48){2π^2(x-π)^2-(x-π)^4-7π^4/15} (0<=x<=2π)
をBに代入して、整理すると、
1/(2^4(2^2-1)) + 1/(3^4(3^2-1)) + 1/(4^4(4^2-1)) + ・・
=(1/(48π))∫(0〜π) {(cosx)/2+1+(x-π)sinx}{2π^2(x-π)^2-(x-π)^4-7π^4/15} dx ----C
となる。
[終わり]
Cの右辺の積分は計算できて、明示的な形で値が求まる。実際に計算するのはたいへんなのでCのままでおく。
左辺、右辺の一致をみる数値的検証は行った。
この頁の全てをまとめておく。
|