スワン彗星 その2

フーリエシステムの応用を見る。

フーリエシステムの応用
{1/(1・2^2・3)+1/(2・3^2・4)+・・} を求める>-->ζ(2)
{1/(1・2^3・3)+1/(2・3^3・4)+・・} を求める>-->ζ(3)
{1/(1・2!) + 1/(2・3!) + ・・} を求める
{1/(1^2・2!) + 1/(2^2・3!) + ・・} を求める
{1/(1^3・2!) + 1/(2^3・3!) + ・・} を求める



2008/7/16               <フーリエシステムの応用>

フーリエシステムはいろいろな応用をもつ。
 例えば、
 1/(1・2^2・3) + 1/(2・3^2・4) + ・・      ------@

 1/(1・2^3・3) + 1/(2・3^3・4) + ・・       ----A
などは、どのような値(or 積分表示)なのであろうか?

また、
 1/(1・1!) + 1/(2・2!) + 1/(3・3!) +・・

 1/(1^2・1!) + 1/(2^2・2!) + 1/(3^2・3!) +・・

 1/(1^3・1!) + 1/(2^3・2!) + 1/(3^3・3!) +・・
は、どうだろう?
 フーリエシステムを使えば、これらの積分表示が比較的簡単に求まる。その積分表示からゼータの性質をまた逆に
さぐることもできる。
 @はζ(2)の心を宿しており、Aはζ(3)の心を宿しているのだが、まずは@から求めてみよう。



2008/7/16        <{1/(1・2^2・3)+1/(2・3^2・4)+・・} を求める>

 A=1/(1・2^2・3) + 1/(2・3^2・4) + 1/(3・4^2・5) + ・・     ----@
を求める。

[Aを求める]
 @のAの形から、コサイン級数の関数f(x)

 f(x)=cos2x/(1・2^2・3) + cos3x/(2・3^2・4) + cos4x/(3・4^2・5) + ・・     ----A

を考える。
コサイン級数の直交性を用いると、Aより
 1/(1・2^2・3)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
 1/(2・3^2・4)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
 1/(3・4^2・5)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos4x dx
   ・
   ・
さらに、これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算より次となる。
 1/(1・2^2・3)=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(1・2・3) + sin3x/(2・3・4) + sin4x/(3・4・5) + ・・)(sin2x/2) dx
 1/(2・3^2・4)=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(1・2・3) + sin3x/(2・3・4) + sin4x/(3・4・5) + ・・)(sin3x/3) dx
 1/(3・4^2・5)=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(1・2・3) + sin3x/(2・3・4) + sin4x/(3・4・5) + ・・)(sin4x/4) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて、左辺は@より、

A=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(1・2・3)+sin3x/(2・3・4)+sin4x/(3・4・5)+・・)(sin2x/2+sin3x/3+ sin4x/4+・・) dx   ----B

 Bでは、フーリエ級数の公式(例えば「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、岩波書店)を参照)
 sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・=π/2 - x/2   (0 <x< 2π)                 ----C
 sinx/(1・2・3) + sin2x/(2・3・4) + sin3x/(3・4・5) + ・・=(3sinx)/4 + (π-x)(cosx-1)/2 (0 <=x<=2π)     ----D
が利用できることに気づく。
 Cより、
  sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・=π/2 - x/2 - sinx     ----E
であるので、これをそっくりBに代入してもOKなのだが、よく観察すると、このE右辺の”-sinx”は、Bにおいては
意味をなさないことがわかる。それはBにEを代入して

 A=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(1・2・3)+sin3x/(2・3・4)+sin4x/(3・4・5)+・・)(π/2 - x/2 - sinx) dx   ----F

とすればよくわかる。フーリエ級数の直交性より、sin2x・sinxやsin3x・sinx・・・の∫は全部ゼロになる!ので、Fの
”-sinx”は無視できるのである。
すなわち、Fは
 A=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(1・2・3)+sin3x/(2・3・4)+sin4x/(3・4・5)+・・)(π/2 - x/2) dx   ----G

とできる。GにDを代入して整理すると、次のようになる。

 A=(1/π)∫(0〜π) (π- x){(3sinx)/4 + (π-x)(cosx-1)/2} dx   ----H

右辺は簡単に計算できて
 A=7/4 - π^2/6

よって@と、π^2/6=ζ(2)とから、
1/(1・2^2・3) + 1/(2・3^2・4) + 1/(3・4^2・5) + ・・7/4 - ζ(2)  ----I
となる。
 H、Iから、ζ(2)を積分表示で一応表しておくと、次のようになる。

 ζ(2)=7/4 - (1/π)∫(0〜π) (π-x){(3sinx)/4+(π-x)(cosx-1)/2} dx

[終わり]

 今回のポイントはDの公式を利用できるように、はじめにAの形の関数(@の数!)を設定したということにある。
フーリエ級数の公式は膨大な数存在するが、フーリエシステムはそれらを有効に利用できるという利点をもつのである。

今回の場合、Hの積分表示が求まったがこれが簡単に計算できる積分であったから偶数ゼータのζ(2)が出てきた
ともいえる。

じつはI左辺はまったく初等的な変形によっても(フーリエシステムを用いずとも)、右辺の値に到達できる。それほど
難しくないので読者自ら考えられたし。

次に、
 1/(1・2^3・3) + 1/(2・3^3・4) + 1/(3・4^3・5) + ・・  
はどうなるだろうか?この積分表示は奇数ゼータζ(3)の性質を反映したものとなる。次に調べる。




2008/7/16        <{1/(1・2^3・3)+1/(2・3^3・4)+・・} を求める>

では、
 A=1/(1・2^3・3) + 1/(2・3^3・4) + 1/(3・4^3・5) + ・・     ----@
を求めよう。

[Aを求める]
 @は、初等的な式変形によって
A=1/(1・2^3・3) + 1/(2・3^3・4) + 1/(3・4^3・5) + ・・5/4-ζ(3)     ----A
とできる。
 この導出はやや複雑な変形になるが難しいことはない。挑戦されたし。

 次にフーリエシステムを用いて@の積分表示を求める。
@のAの形から、コサイン級数の関数f(x)

 f(x)=cos2x/(1・2^3・3) + cos3x/(2・3^3・4) + cos4x/(3・4^3・5) + ・・     ----A

を考える。
コサイン級数の直交性を用いると、Aより
 1/(1・2^3・3)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
 1/(2・3^3・4)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
 1/(3・4^3・5)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos4x dx
   ・
   ・
さらに、これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算より次となる。
 1/(1・2^3・3)=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(1・2^2・3) + sin3x/(2・3^2・4) + sin4x/(3・4^2・5) + ・・)(sin2x/2) dx
 1/(2・3^3・4)=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(1・2^2・3) + sin3x/(2・3^2・4) + sin4x/(3・4^2・5) + ・・)(sin3x/3) dx
 1/(3・4^3・5)=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(1・2^2・3) + sin3x/(2・3^2・4) + sin4x/(3・4^2・5) + ・・)(sin4x/4) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて、左辺は@より、

A=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(1・2^2・3)+sin3x/(2・3^2・4)+・・)(sin2x/2+sin3x/3+ ・・) dx   ----B

 Sin-Cos移動の法則より、これは次のように機械的に変形できる。

A=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(1・2^1・3) + cos3x/(2・3^1・4) + ・・)(cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・) dx     ----C

A=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(1・2^0・3) + sin3x/(2・3^0・4) + ・・)(sin2x/2^3 + sin3x/3^3 + ・・) dx       ----D

A=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(1・2^(-1)・3) + cos3x/(2・3^(-1)・4) + ・・)(cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・) dx     ----E

 B->C->D->Eと機械的に流れている様に注目されたい。
Eで、フーリエ級数の公式が使える形となった。Eを見やすい形に整える。

 A=(2/π)∫(0〜π) (2cos2x/(1・3) + 3cos3x/(2・4) + ・・)(cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・) dx     ----E-2

 E-2で、フーリエ級数の公式(例えば「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、岩波書店)を参照)
 cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 +・・={2π^2・(x-π)^2 - (x-π)^4 - 7π^4/15}/48  (0 <x<2π)  ---F
 2cos2x/(1・3) + 3cos3x/(2・4) + 4cos4x/(3・5) + ・・=-1/2 - cosx{1/4 + log(2sin(x/2))}  (0 <x< 2π)  ----G
が利用できることに気づく。
 Fより、
 cos2x/2^4 + cos3x/3^4 +・・={2π^2・(x-π)^2 - (x-π)^4 - 7π^4/15}/48 - cosx 
なので、これをそっくりE-2代入してもOKだが、よく観察すると、この右辺の”-cosx”は、E-2においては意味をなさ
ない(あってもなくても同じ!)。フーリエ積分の直交性より”-cosx”は無視できるのである。よって式を簡潔にするため
”-cosx”は無視する。
この考察とF、Gより、E-2は次のようになる。

A=(2/π)∫(0〜π) [{2π^2・(x-π)^2-(x-π)^4-7π^4/15}/48][-1/2-cosx{1/4+log(2sin(x/2))}] dx

Aを考慮して、整理すると、次のようになる。

 5/4-ζ(3)=(1/(24π))∫(0〜π) {2π^2・(x-π)^2-(x-π)^4-7π^4/15}[-1/2-cosx{1/4+log(2sin(x/2))}] dx

すなわち、

ζ(3)=5/4 + (1/(24π))∫(0〜π) {2π^2・(x-π)^2-(x-π)^4-7π^4/15}[1/2+cosx{1/4+log(2sin(x/2))}] dx  ---H

という表示が得られた。
[終わり]

 また一風変わったζ(3)の積分表示が求まった。Hは、定積分の値が計算できるフリーの計算ソフトBearGraphで
検証済み。

ζ(3) の積分表示

((cos2x)/(1・2^3・3)+(cos3x)/(2・3^3・4)+・・)型Cos級数から導出

 ζ(3)=5/4 + (1/(24π))∫(0〜π) {2π^2・(x-π)^2-(x-π)^4-7π^4/15}[1/2+cosx{1/4+log(2sin(x/2))}] dx
 




2008/7/17        <{1/(1・1!) + 1/(2・2!) + ・・} を求める>

次に、冒頭で問うた問題
 1/(1・1!) + 1/(2・2!) + 1/(3・3!) +・・

 1/(1^2・1!) + 1/(2^2・2!) + 1/(3^2・3!) +・・

 1/(1^3・1!) + 1/(2^3・2!) + 1/(3^3・3!) +・・
は、どんな積分表示をもつであろうか?
これらもフーリエシステムを使うと求まる。まずは

 A=1/(1・1!) + 1/(2・2!) + 1/(3・3!) +・・     -----@

から求めよう。

[Aを求める]
@のAの形から、コサイン級数の関数f(x)

 f(x)=cosx/(1・1!) + cos2x/(2・2!) + cos3x/(3・3!) + ・・     ----A

を考える。コサイン級数の直交性を用いると、Aより
 1/(1・1!)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
 1/(2・2!)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
 1/(3・3!)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
   ・
   ・
さらに、これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算より次となる。
 1/(1・1!)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1! + sin2x/2! + sin3x/3! + ・・)(sinx/1) dx
 1/(2・2!)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1! + sin2x/2! + sin3x/3! + ・・)(sin2x/2) dx
 1/(3・3!)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1! + sin2x/2! + sin3x/3! + ・・)(sin3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて、左辺は@より、

A=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1! + sin2x/2! + sin3x/3! + ・・)(sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + ・・) dx   ----B


 Bで、フーリエ級数の公式
 sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 +・・=(π- x)/2            (0 <x< 2π)  
 sinx/1! + sin2x/2! + sin3x/3! +・・=e^(cosx)・sin(sinx)   (|x|< ∞) 
を代入して、整理するとBは次のようになる。

A=(1/π)∫(0〜π) (π-x){(e^(cosx))・sin(sinx)} dx

@より、結局
 1/(1・1!) + 1/(2・2!) + 1/(3・3!) +・・=(1/π)∫(0〜π) (π-x){(e^(cosx))・sin(sinx)} dx

となる。
[終わり]

検証してみる。左辺をExcelで数値計算すると、左辺=1.31790・・となる。
右辺を、定積分の値が計算できるフリーの計算ソフトBearGraphで計算すると、上に一致する。

 ∫の中のsin(sinx)というサインのサインという形が面白い。

 読者は、C式を項別積分すれば今回の式が出るのではないか?と思われるかもしれないが、うまくいかない
確かめられたし。

{1/(1・1!) + 1/(2・2!) + ・・} の積分表示

((cosx)/(1・1!) + (cos2x)/(2・2!) +・・)型Cos級数から導出

 1/(1・1!) + 1/(2・2!) + 1/(3・3!) +・・=(1/π)∫(0〜π) (π-x){(e^(cosx))・sin(sinx)} dx
 




2008/7/19        <{1/(1^2・1!) + 1/(2^2・2!) + ・・} を求める>

次に
 A=1/(1^2・1!) + 1/(2^2・2!) + 1/(3^2・3!) +・・     -----@
を求めよう。

[Aを求める]
@のAの形から、コサイン級数の関数f(x)

 f(x)=cosx/(1^2・1!) + cos2x/(2^2・2!) + cos3x/(3^2・3!) + ・・     ----A

を考える。コサイン級数の直交性を用いると、Aより
 1/(1^2・1!)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
 1/(2^2・2!)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
 1/(3^2・3!)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
   ・
   ・
さらに、これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算より次となる。
 1/(1^2・1!)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1・1!) + sin2x/(2・2!) + sin3x/(3・3!) + ・・)(sinx/1) dx
 1/(2^2・2!)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1・1!) + sin2x/(2・2!) + sin3x/(3・3!) + ・・)(sin2x/2) dx
 1/(3^2・3!)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1・1!) + sin2x/(2・2!) + sin3x/(3・3!) + ・・)(sin3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて、左辺は@より、

A=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1・1!) + sin2x/(2・2!) + sin3x/(3・3!) + ・・)(sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + ・・) dx   ----B

Sin-Cos移動の法則より、Bは次のように変形できる。

A=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1! + cos2x/2! + cos3x/3! + ・・)(cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・) dx   ---C

 Cにフーリエ級数の公式
 cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・=(π- x)^2/4 - π^2/12    ( 0 <x< 2π)  
 cosx/1! + cos2x/2! + cos3x/3! +・・=e^(cosx)・cos(sinx) - 1   (|x|< ∞)
を代入して整理すると次のようになる。

A=(1/π)∫(0〜π) {(π- x)^2/2 - π^2/6}{e^(cosx)・cos(sinx) - 1} dx

@より、結局

1/(1^2・1!) + 1/(2^2・2!) + 1/(3^2・3!) +・・=(1/π)∫(0〜π) {(π- x)^2/2-π^2/6}{e^(cosx)・cos(sinx)-1} dx

となる。
[終わり]

検証してみる。左辺をExcelで数値計算すると、左辺=1.14649・・となる。
右辺を、定積分の値が計算できるフリーの計算ソフトBearGraphで計算すると、上に一致する。

{1/(1^2・1!) + 1/(2^2・2!) + ・・} の積分表示

((cosx)/(1^2・1!) + (cos2x)/(2^2・2!) +・・)型Cos級数から導出

 1/(1^2・1!) + 1/(2^2・2!) + 1/(3^2・3!) +・・=(1/π)∫(0〜π) {(π- x)^2/2-π^2/6}{e^(cosx)・cos(sinx)-1} dx
 




2008/7/19        <{1/(1^3・1!) + 1/(2^3・2!) + ・・} を求める>

 A=1/(1^3・1!) + 1/(2^3・2!) + 1/(3^3・3!) +・・     -----@
を求める。

[Aを求める]
@のAの形から、コサイン級数の関数f(x)

 f(x)=cosx/(1^3・1!) + cos2x/(2^3・2!) + cos3x/(3^3・3!) + ・・     ----A

を考える。コサイン級数の直交性を用いると、Aより
 1/(1^3・1!)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
 1/(2^3・2!)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
 1/(3^3・3!)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
   ・
   ・
さらに、これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算より次となる。
 1/(1^3・1!)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・1!) + sin2x/(2^2・2!) + sin3x/(3^2・3!) + ・・)(sinx/1) dx
 1/(2^3・2!)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・1!) + sin2x/(2^2・2!) + sin3x/(3^2・3!) + ・・)(sin2x/2) dx
 1/(3^3・3!)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・1!) + sin2x/(2^2・2!) + sin3x/(3^2・3!) + ・・)(sin3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて、左辺は@より、

A=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・1!)+sin2x/(2^2・2!)+sin3x/(3^2・3!) +・・)(sinx/1+sin2x/2+sin3x/3+・・) dx   ----B

Sin-Cos移動の法則より、Bは次のように変形できる。

A=(2/π)∫(0〜π) (cosx/(1・1!)+cos2x/(2・2!)+cos3x/(3・3!) +・・)(cosx/1^2+cos2x/2^2+cos3x/3^2+・・) dx

A=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1!+ sin2x/2!+ sin3x/3!+ ・・)(sinx/1^3 + sin2x/2^3 + sin3x/3^3 + ・・) dx   ---C

 Cにフーリエ級数の公式
 sinx/1^3 + sin2x/2^3 + sin3x/3^3 +・・={π^3-π^2・x+(x-π)^3)}/12   (0 <=x<= 2π)  
 sinx/1! + sin2x/2! + sin3x/3! +・・=e^(cosx)・sin(sinx)   (|x|< ∞) 
を代入して整理すると次のようになる。

A=(1/(6π))∫(0〜π) {π^3-π^2・x+(x-π)^3}e^(cosx)・sin(sinx) dx

@より、結局

1/(1^3・1!) + 1/(2^3・2!) + 1/(3^3・3!) +・・=(1/(6π))∫(0〜π) {π^3-π^2・x+(x-π)^3}e^(cosx)・sin(sinx) dx

となる。
[終わり]

検証してみる。左辺をExcelで数値計算すると、左辺=1.06939・・となる。
右辺を、定積分の値が計算できるフリーの計算ソフトBearGraphで計算すると、上に一致する。

{1/(1^3・1!) + 1/(2^3・2!) + ・・} の積分表示

((cosx)/(1^3・1!) + (cos2x)/(2^3・2!) +・・)型Cos級数から導出

 1/(1^3・2!) + 1/(2^3・3!) + 1/(3^3・3!) +・・=(1/(6π))∫(0〜π) {π^3-π^2・x+(x-π)^3}e^(cosx)・sin(sinx) dx
 






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