1/(n^k・e^(nπ))を調べた。
ここでは1/(n^k・e^(nπ))の積分表示を求めることにする。次のものである。
1/(1^k・e^(π)) + 1/(2^k・e^(2π)) + 1/(3^k・e^(3π)) +・・ ----@
フーリエシステムを用いて求めていくが、その際、フーリエ級数の公式
sinx/(cosh(a)-cosx)=2敗in(nx)/e^(an) (-π<= x<=π, a>0)
sinh(a)/(cosh(a)-cosx)=1 + 2把os(nx)/e^(an) (-π<= x<=π, a>0)
を(他の公式とともに)利用することになる。狽ヘn=1〜∞の和。(この公式は、例えば「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、
岩波書店)p.250を参照)
@のk=1,2,3,4の場合、すなわち、次を順に求めていく。
1/(1・e^(π)) + 1/(2・e^(2π)) + 1/(3・e^(3π)) +・・
1/(1^2・e^(π)) + 1/(2^2・e^(2π)) + 1/(3^2・e^(3π)) +・・
1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・
1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・
まずは、k=1の場合から。
k=1の場合、すなわち、
1/(1・e^(π)) + 1/(2・e^(2π)) + 1/(3・e^(3π)) +・・ ----@
の積分表示を導出する。
[1/(n・e^(nπ))導出]
@の形から、関数(コサイン級数)
f(x)=cosx/(1・e^(π)) + cos2x/(2・e^(2π)) + cos3x/(3・e^(3π)) + ・・・ ----A
を考える。周期は2πである。
フーリエ級数の性質より、
1/(1・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
1/(2・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
1/(3・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
・
・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
1/(1・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/e^(π) + sin2x/e^(2π) + sin3x/e^(3π) + ・・・)(sinx/1) dx
1/(2・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/e^(π) + sin2x/e^(2π) + sin3x/e^(3π) + ・・・)(sin2x/2) dx
1/(3・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/e^(π) + sin2x/e^(2π) + sin3x/e^(3π) + ・・・)(sin3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて
1/(1・e^(π)) + 1/(2・e^(2π)) + 1/(3・e^(3π)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/e^(π) + sin2x/e^(2π) + sin3x/e^(3π) + ・・・)(sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3+ ・・) dx ---B
ここでフーリエ級数の公式
sinx/(cosh(a)-cosx)=2{sinx/e^(a) + sin2x/e^(2a) + sin3x/e^(3a) + ・・} (-π<= x<=π, a>0)
sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + ・・=(π-x)/2 (0 <x<2π)
でa=πとしてBに用いて、整理すると、
1/(1・e^(π)) + 1/(2・e^(2π)) + 1/(3・e^(3π)) +・・=(1/2)∫(0〜π) (1-x/π)・sinx/(coshπ-cosx) dx ----C
となる。
左辺の積分表示が求まった。
[終わり]
Cの検証においては左辺のExcel数値計算の結果と、右辺の定積分の値が一致することで確認した。(その際、定積分
を計算できるフリーの計算ソフトBearGraphを用いた)
k=2の場合、
1/(1^2・e^(π)) + 1/(2^2・e^(2π)) + 1/(3^2・e^(3π)) +・・ ----@
の積分表示を導出する。
[1/(n・e^(nπ))導出]
@の形から、関数(コサイン級数)
f(x)=cosx/(1^2・e^(π)) + cos2x/(2^2・e^(2π)) + cos3x/(3^2・e^(3π)) + ・・・ ----A
を考える。周期は2πである。
フーリエ級数の性質より、
1/(1^2・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
1/(2^2・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
1/(3^2・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
・
・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
1/(1^2・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1・e^(π)) + sin2x/(2・e^(2π)) + sin3x/(3・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1) dx
1/(2^2・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1・e^(π)) + sin2x/(2・e^(2π)) + sin3x/(3・e^(3π)) + ・・・)(sin2x/2) dx
1/(3^2・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1・e^(π)) + sin2x/(2・e^(2π)) + sin3x/(3・e^(3π)) + ・・・)(sin3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて
1/(1^2・e^(π)) + 1/(2^2・e^(2π)) + 1/(3^2・e^(3π)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1・e^(π)) + sin2x/(2・e^(2π)) + sin3x/(3・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 +・・) dx
Sin-Cos移動の法則(部分積分)より、右辺は次のように変形できる。
1/(1^2・e^(π)) + 1/(2^2・e^(2π)) + 1/(3^2・e^(3π)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) (cosx/e^(π) + cos2x/e^(2π) + cos3x/e^(3π) +・・)(cosx/1^2+cos2x/2^2+cos3x/3^2 ・・) dx ---B
ここでフーリエ級数の公式
sinh(a)/(cosh(a)-cosx)=1 + 2{cosx/e^(a) + cos2x/e^(2a) + cos3x/e^(3a) + ・・} (-π<= x<=π, a>0)
cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・=(π-x)^2/4 -π^2/12 (0 <=x<=2π)
でa=πとしたものをBに用いて、整理すると、
1/(1^2・e^(π)) + 1/(2^2・e^(2π)) + 1/(3^2・e^(3π)) +・・
=∫(0〜π) {(x-π)^2/(4π) -π/12}{sinhπ/(coshπ-cosx) - 1} dx ----C
となる。
左辺の積分表示が求まった。
[終わり]
Cの検証においては左辺のExcel数値計算の結果と、右辺の定積分の値が一致することで確認した。
k=3の場合、
1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・ ----@
の積分表示を導出する。
[1/(n・e^(nπ))導出]
@の形から、関数(コサイン級数)
f(x)=cosx/(1^3・e^(π)) + cos2x/(2^3・e^(2π)) + cos3x/(3^3・e^(3π)) + ・・・ ----A
を考える。周期は2πである。
フーリエ級数の性質より、
1/(1^3・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
1/(2^3・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
1/(3^3・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
・
・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
1/(1^3・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・e^(π)) + sin2x/(2^2・e^(2π)) + sin3x/(3^2・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1) dx
1/(2^3・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・e^(π)) + sin2x/(2^2・e^(2π)) + sin3x/(3^2・e^(3π)) + ・・・)(sin2x/2) dx
1/(3^3・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・e^(π)) + sin2x/(2^2・e^(2π)) + sin3x/(3^2・e^(3π)) + ・・・)(sin3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて
1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・e^(π)) + sin2x/(2^2・e^(2π)) + sin3x/(3^2・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1 + sin2x/2 + ・・) dx
Sin-Cos移動の法則(部分積分)より、右辺は次のように次々と機械的に変形できる。
1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) (cosx/(1・e^(π)) + cos2x/(2・e^(2π)) + cos3x/(3・e^(3π)) +・・)(cosx/1^2 + cos2x/2^2 + ・・) dx
1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/e^(π) + sin2x/e^(2π) + sin3x/e^(3π) +・・)(sinx/1^3 + sin2x/2^3 + ・・) dx ----B
ここでフーリエ級数の公式
sinx/(cosh(a)-cosx)=2{sinx/e^(a) + sin2x/e^(2a) + sin3x/e^(3a) + ・・} (-π<= x<=π, a>0)
sinx/1^3 + sin2x/2^3 + sin3x/3^3 + ・・={π^3-π^2・x+(x-π)^3}/12 (0 <=x<=2π)
でa=πとしたものをBに用いて、整理すると、
1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・
=(1/(12π))∫(0〜π) {π^3-π^2・x+(x-π)^3}sinx/(coshπ-cosx) dx ----C
となる。
左辺の積分表示が求まった。
[終わり]
Cの検証においては左辺のExcel数値計算の結果と、右辺の定積分の値が一致することで確認した。
k=4の場合、
1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・ ----@
の積分表示を導出する。
[1/(n・e^(nπ))導出]
@の形から、関数(コサイン級数)
f(x)=cosx/(1^4・e^(π)) + cos2x/(2^4・e^(2π)) + cos3x/(3^4・e^(3π)) + ・・・ ----A
を考える。周期は2πである。
フーリエ級数の性質より、
1/(1^4・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
1/(2^4・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
1/(3^4・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
・
・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
1/(1^4・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^3・e^(π)) + sin2x/(2^3・e^(2π)) + sin3x/(3^3・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1) dx
1/(2^4・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^3・e^(π)) + sin2x/(2^3・e^(2π)) + sin3x/(3^3・e^(3π)) + ・・・)(sin2x/2) dx
1/(3^4・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^3・e^(π)) + sin2x/(2^3・e^(2π)) + sin3x/(3^3・e^(3π)) + ・・・)(sin3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて
1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^3・e^(π)) + sin2x/(2^3・e^(2π)) + sin3x/(3^3・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1 + sin2x/2 + ・・) dx
Sin-Cos移動の法則(部分積分)より、右辺は次のように次々と機械的に変形できる。
1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) (cosx/(1^2・e^(π)) + cos2x/(2^2・e^(2π)) + cos3x/(3^2・e^(3π)) +・・)(cosx/1^2 + cos2x/2^2 + ・・) dx
1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^1・e^(π)) + sin2x/(2^1・e^(2π)) + sin3x/(3^1・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1^3 + sin2x/2^3 + ・・) dx
1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・
=(2/π)∫(0〜π) (cosx/e^(π) + cos2x/e^(2π) + cos3x/e^(3π) +・・)(cosx/1^4 + cos2x/2^4 + ・・) dx ----B
このSin-Cos移動の法則の美しい流れを味わっていただきたい。まったく機械的な変形でOKなのである!
ここでフーリエ級数の公式
sinh(a)/(cosh(a)-cosx)=1 + 2{cosx/e^(a) + cos2x/e^(2a) + cos3x/e^(3a) + ・・} (-π<= x<=π, a>0)
cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・={2π^2(π-x)^2 -(x-π)^4-7π^4/15}/48 (0 <=x<=2π)
でa=πとしたものをBに用いて、整理すると、
1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・
=(1/(48π))∫(0〜π) {2π^2(π-x)^2 -(x-π)^4-7π^4/15)}{sinhπ/(coshπ-cosx) -1}dx ----C
となる。
左辺の積分表示が求まった。
[終わり]
Cの検証においては左辺のExcel数値計算の結果と、右辺の定積分の値が一致することで確認した。(その際、定積分
を計算できるフリーの計算ソフトBearGraphを用いた)
この頁のすべての場合をまとめておく。
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