スワン彗星 その7

1/(n^k・e^(nπ))を調べた。
1/(n^k・e^(nπ))を求める
1/(n・e^(nπ))を求める
1/(n^2・e^(nπ))を求める
1/(n^3・e^(nπ))を求める
1/(n^4・e^(nπ))を求める



2008/8/19             <1/(n^k・e^(nπ))を求める>

 ここでは1/(n^k・e^(nπ))の積分表示を求めることにする。次のものである。

 1/(1^k・e^(π)) + 1/(2^k・e^(2π)) + 1/(3^k・e^(3π)) +・・      ----@

フーリエシステムを用いて求めていくが、その際、フーリエ級数の公式

  sinx/(cosh(a)-cosx)=2敗in(nx)/e^(an)       (-π<= x<=π, a>0)
  sinh(a)/(cosh(a)-cosx)=1 + 2把os(nx)/e^(an)     (-π<= x<=π, a>0)

を(他の公式とともに)利用することになる。狽ヘn=1〜∞の和。(この公式は、例えば「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、
岩波書店)p.250を参照)

 @のk=1,2,3,4の場合、すなわち、次を順に求めていく。

 1/(1・e^(π)) + 1/(2・e^(2π)) + 1/(3・e^(3π)) +・・

 1/(1^2・e^(π)) + 1/(2^2・e^(2π)) + 1/(3^2・e^(3π)) +・・

 1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・

 1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・

まずは、k=1の場合から。



2008/8/19             <1/(n・e^(nπ))を求める>

k=1の場合、すなわち、
 1/(1・e^(π)) + 1/(2・e^(2π)) + 1/(3・e^(3π)) +・・     ----@
の積分表示を導出する。

[1/(n・e^(nπ))導出]
 @の形から、関数(コサイン級数
 f(x)=cosx/(1・e^(π)) + cos2x/(2・e^(2π)) + cos3x/(3・e^(3π)) + ・・・      ----A
を考える。周期は2πである。
フーリエ級数の性質より、
  1/(1・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
 1/(2・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
 1/(3・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
   ・
   ・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
 1/(1・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/e^(π) + sin2x/e^(2π) + sin3x/e^(3π) + ・・・)(sinx/1) dx
 1/(2・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/e^(π) + sin2x/e^(2π) + sin3x/e^(3π) + ・・・)(sin2x/2) dx
 1/(3・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/e^(π) + sin2x/e^(2π) + sin3x/e^(3π) + ・・・)(sin3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて
 1/(1・e^(π)) + 1/(2・e^(2π)) + 1/(3・e^(3π)) +・・ 
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/e^(π) + sin2x/e^(2π) + sin3x/e^(3π) + ・・・)(sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3+ ・・) dx   ---B

 ここでフーリエ級数の公式
  sinx/(cosh(a)-cosx)=2{sinx/e^(a) + sin2x/e^(2a) + sin3x/e^(3a) + ・・}   (-π<= x<=π, a>0)
  sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + ・・=(π-x)/2           (0 <x<2π)
a=πとしてBに用いて、整理すると、

 1/(1・e^(π)) + 1/(2・e^(2π)) + 1/(3・e^(3π)) +・・=(1/2)∫(0〜π) (1-x/π)・sinx/(coshπ-cosx) dx     ----C

となる。
 左辺の積分表示が求まった。
[終わり]

Cの検証においては左辺のExcel数値計算の結果と、右辺の定積分の値が一致することで確認した。(その際、定積分
を計算できるフリーの計算ソフトBearGraphを用いた)

[1/(n・e^(nπ))導出]

1/(n・e^(nπ))型cos級数から導出

 1/(1・e^(π)) + 1/(2・e^(2π)) + 1/(3・e^(3π)) +・・=(1/2)∫(0〜π) (1-x/π)・sinx/(coshπ-cosx) dx




2008/8/19             <1/(n^2・e^(nπ))を求める>

k=2の場合、
 1/(1^2・e^(π)) + 1/(2^2・e^(2π)) + 1/(3^2・e^(3π)) +・・     ----@
の積分表示を導出する。

[1/(n・e^(nπ))導出]
 @の形から、関数(コサイン級数
 f(x)=cosx/(1^2・e^(π)) + cos2x/(2^2・e^(2π)) + cos3x/(3^2・e^(3π)) + ・・・      ----A
を考える。周期は2πである。
フーリエ級数の性質より、
  1/(1^2・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
 1/(2^2・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
 1/(3^2・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
   ・
   ・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
 1/(1^2・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1・e^(π)) + sin2x/(2・e^(2π)) + sin3x/(3・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1) dx
 1/(2^2・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1・e^(π)) + sin2x/(2・e^(2π)) + sin3x/(3・e^(3π)) + ・・・)(sin2x/2) dx
 1/(3^2・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1・e^(π)) + sin2x/(2・e^(2π)) + sin3x/(3・e^(3π)) + ・・・)(sin3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて
1/(1^2・e^(π)) + 1/(2^2・e^(2π)) + 1/(3^2・e^(3π)) +・・ 
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1・e^(π)) + sin2x/(2・e^(2π)) + sin3x/(3・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 +・・) dx

Sin-Cos移動の法則(部分積分)より、右辺は次のように変形できる。

1/(1^2・e^(π)) + 1/(2^2・e^(2π)) + 1/(3^2・e^(3π)) +・・ 
=(2/π)∫(0〜π) (cosx/e^(π) + cos2x/e^(2π) + cos3x/e^(3π) +・・)(cosx/1^2+cos2x/2^2+cos3x/3^2 ・・) dx ---B

 ここでフーリエ級数の公式
  sinh(a)/(cosh(a)-cosx)=1 + 2{cosx/e^(a) + cos2x/e^(2a) + cos3x/e^(3a) + ・・}   (-π<= x<=π, a>0)
  cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・=(π-x)^2/4 -π^2/12           (0 <=x<=2π)
a=πとしたものをBに用いて、整理すると、

 1/(1^2・e^(π)) + 1/(2^2・e^(2π)) + 1/(3^2・e^(3π)) +・・
                   =∫(0〜π) {(x-π)^2/(4π) -π/12}{sinhπ/(coshπ-cosx) - 1} dx    ----C

となる。
 左辺の積分表示が求まった。
[終わり]

Cの検証においては左辺のExcel数値計算の結果と、右辺の定積分の値が一致することで確認した。

[1/(n^2・e^(nπ))導出]

1/(n^2・e^(nπ))型cos級数から導出

  1/(1^2・e^(π)) + 1/(2^2・e^(2π)) + 1/(3^2・e^(3π)) +・・
    =∫(0〜π) {(x-π)^2/(4π) -π/12}{sinhπ/(coshπ-cosx) - 1} dx




2008/8/19             <1/(n^3・e^(nπ))を求める>

k=3の場合、
 1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・     ----@
の積分表示を導出する。

[1/(n・e^(nπ))導出]
 @の形から、関数(コサイン級数
 f(x)=cosx/(1^3・e^(π)) + cos2x/(2^3・e^(2π)) + cos3x/(3^3・e^(3π)) + ・・・      ----A
を考える。周期は2πである。
フーリエ級数の性質より、
  1/(1^3・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
 1/(2^3・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
 1/(3^3・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
   ・
   ・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
 1/(1^3・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・e^(π)) + sin2x/(2^2・e^(2π)) + sin3x/(3^2・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1) dx
 1/(2^3・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・e^(π)) + sin2x/(2^2・e^(2π)) + sin3x/(3^2・e^(3π)) + ・・・)(sin2x/2) dx
 1/(3^3・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・e^(π)) + sin2x/(2^2・e^(2π)) + sin3x/(3^2・e^(3π)) + ・・・)(sin3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて
1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・ 
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・e^(π)) + sin2x/(2^2・e^(2π)) + sin3x/(3^2・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1 + sin2x/2 + ・・) dx

Sin-Cos移動の法則(部分積分)より、右辺は次のように次々と機械的に変形できる。

1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・ 
=(2/π)∫(0〜π) (cosx/(1・e^(π)) + cos2x/(2・e^(2π)) + cos3x/(3・e^(3π)) +・・)(cosx/1^2 + cos2x/2^2 + ・・) dx

1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・ 
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/e^(π) + sin2x/e^(2π) + sin3x/e^(3π) +・・)(sinx/1^3 + sin2x/2^3 + ・・) dx      ----B

 ここでフーリエ級数の公式
  sinx/(cosh(a)-cosx)=2{sinx/e^(a) + sin2x/e^(2a) + sin3x/e^(3a) + ・・}   (-π<= x<=π, a>0)
  sinx/1^3 + sin2x/2^3 + sin3x/3^3 + ・・={π^3-π^2・x+(x-π)^3}/12         (0 <=x<=2π)
a=πとしたものをBに用いて、整理すると、

 1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・
                 =(1/(12π))∫(0〜π) {π^3-π^2・x+(x-π)^3}sinx/(coshπ-cosx) dx     ----C

となる。
 左辺の積分表示が求まった。
[終わり]

Cの検証においては左辺のExcel数値計算の結果と、右辺の定積分の値が一致することで確認した。

[1/(n^3・e^(nπ))導出]

1/(n^3・e^(nπ))型cos級数から導出

  1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・
    =(1/(12π))∫(0〜π) {π^3-π^2・x+(x-π)^3}sinx/(coshπ-cosx) dx




2008/8/19             <1/(n^4・e^(nπ))を求める>

k=4の場合、
 1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・     ----@
の積分表示を導出する。

[1/(n・e^(nπ))導出]
 @の形から、関数(コサイン級数
 f(x)=cosx/(1^4・e^(π)) + cos2x/(2^4・e^(2π)) + cos3x/(3^4・e^(3π)) + ・・・      ----A
を考える。周期は2πである。
フーリエ級数の性質より、
  1/(1^4・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
 1/(2^4・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
 1/(3^4・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
   ・
   ・
これらの右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算から次となる。
 1/(1^4・e^(π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^3・e^(π)) + sin2x/(2^3・e^(2π)) + sin3x/(3^3・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1) dx
 1/(2^4・e^(2π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^3・e^(π)) + sin2x/(2^3・e^(2π)) + sin3x/(3^3・e^(3π)) + ・・・)(sin2x/2) dx
 1/(3^4・e^(3π))=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^3・e^(π)) + sin2x/(2^3・e^(2π)) + sin3x/(3^3・e^(3π)) + ・・・)(sin3x/3) dx
   ・
   ・
これらを縦に足し合わせて
1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・ 
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^3・e^(π)) + sin2x/(2^3・e^(2π)) + sin3x/(3^3・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1 + sin2x/2 + ・・) dx

Sin-Cos移動の法則(部分積分)より、右辺は次のように次々と機械的に変形できる。

1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・ 
=(2/π)∫(0〜π) (cosx/(1^2・e^(π)) + cos2x/(2^2・e^(2π)) + cos3x/(3^2・e^(3π)) +・・)(cosx/1^2 + cos2x/2^2 + ・・) dx

1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・ 
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^1・e^(π)) + sin2x/(2^1・e^(2π)) + sin3x/(3^1・e^(3π)) + ・・・)(sinx/1^3 + sin2x/2^3 + ・・) dx

1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・ 
=(2/π)∫(0〜π) (cosx/e^(π) + cos2x/e^(2π) + cos3x/e^(3π) +・・)(cosx/1^4 + cos2x/2^4 + ・・) dx    ----B

 このSin-Cos移動の法則の美しい流れを味わっていただきたい。まったく機械的な変形でOKなのである!

 ここでフーリエ級数の公式
  sinh(a)/(cosh(a)-cosx)=1 + 2{cosx/e^(a) + cos2x/e^(2a) + cos3x/e^(3a) + ・・}   (-π<= x<=π, a>0)
  cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・={2π^2(π-x)^2 -(x-π)^4-7π^4/15}/48     (0 <=x<=2π)
a=πとしたものをBに用いて、整理すると、

 1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・
        =(1/(48π))∫(0〜π) {2π^2(π-x)^2 -(x-π)^4-7π^4/15)}{sinhπ/(coshπ-cosx) -1}dx  ----C

となる。
 左辺の積分表示が求まった。
[終わり]

Cの検証においては左辺のExcel数値計算の結果と、右辺の定積分の値が一致することで確認した。(その際、定積分
を計算できるフリーの計算ソフトBearGraphを用いた)

[1/(n^4・e^(nπ))導出]

1/(n^4・e^(nπ))型cos級数から導出

  1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・
            =(1/(48π))∫(0〜π) {2π^2(π-x)^2 -(x-π)^4-7π^4/15)}{sinhπ/(coshπ-cosx) -1}dx



この頁のすべての場合をまとめておく。
[1/(n・e^(nπ))導出]
  1/(n・e^(nπ))型cos級数から導出

  1/(1・e^(π)) + 1/(2・e^(2π)) + 1/(3・e^(3π)) +・・=(1/2)∫(0〜π) (1-x/π)・sinx/(coshπ-cosx) dx


[1/(n^2・e^(nπ))導出]
  1/(n^2・e^(nπ))型cos級数から導出

  1/(1^2・e^(π)) + 1/(2^2・e^(2π)) + 1/(3^2・e^(3π)) +・・
                   =∫(0〜π) {(x-π)^2/(4π) -π/12}{sinhπ/(coshπ-cosx) - 1} dx


[1/(n^3・e^(nπ))導出]
  1/(n^3・e^(nπ))型cos級数から導出

  1/(1^3・e^(π)) + 1/(2^3・e^(2π)) + 1/(3^3・e^(3π)) +・・
                =(1/(12π))∫(0〜π) {π^3-π^2・x+(x-π)^3}sinx/(coshπ-cosx) dx


[1/(n^4・e^(nπ))導出]
  1/(n^4・e^(nπ))型cos級数から導出

  1/(1^4・e^(π)) + 1/(2^4・e^(2π)) + 1/(3^4・e^(3π)) +・・
         =(1/(48π))∫(0〜π) {2π^2(π-x)^2 -(x-π)^4-7π^4/15)}{sinhπ/(coshπ-cosx) -1}dx





その10
その9
その8
その6
その5
その4
その3
その2
その1

ゼータ系の彗星群

数学の研究