TEAM.TOKIWAの ゲキレツマンガ道場  

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第13回 きみは暗記パンを食べたか!?   2006.9.11

今回のお題「マンガに影響を受けてやったこと」です。

だれでも一度くらいは魔球を投げようとしたこと、あるんじゃないかと思いますが……?

 

渡辺水央●ライター
真下弘孝●イラストレーター・デザイナー
粟生こずえ●編集者・ライター

【つのだじろうが来たりて笛を吹く?】  

 そりゃあ人生、マンガがすべてですもの。それなりにいろんな影響受けてるとは思うんだけど、具体的にそこでなんか始めたとかやってみたとか、意外とない気がするなぁ。あ、でも小学校のときに『まんが道』(藤子不二雄A/少年画報社・中央公論新社・ブッキング)読んで、満賀と才野よろしく、友達とマンガ雑誌(肉筆回覧誌)は作ったことが(笑)。そう考えると実はいろいろあるのかなぁ。ある……あるね。あるわ。『スーパー食いしんぼう』(ビッグ錠/講談社)に出てくるカレーも作ったことあるし(玉ねぎの水分だけで作るっていうやつ)、作るついてで言えば『大市民』(柳沢きみお/ぶんか社・講談社)シリーズに出てくる餃子なんかもチャレンジしてみたことあるし。そっか、意外とやってる。ちなみに『クッキングパパ』(うえやまとち/講談社)の料理も作ったことあるし、『魔少年ビーティー』(荒木飛呂彦/集英社)の超能力トリックに挑戦してみたこともあるし、『まいっちんぐマチコ先生』(えびはら武史/学習研究社)のエッチいたずらもやってみたことあるんだけど、まぁそれは某誌の仕事と(笑)。実は仕事でかなりやってる!?  そうそう、小さいころで言えば、『うしろの百太郎』(つのだじろう/講談社)に出てくる心霊・オカルト修行みたいなこともやったことがあるような。ようなじゃなくてやったんだけど、なんだろうね(笑)。そりゃ小学生だから基本的にひまだったわけなんだけど、病んでた? もしくは傷んでた? あるいは腐ってた!?(笑) コックリさんは基本として、守護霊との出会い方(夢でコンタクトを取るみたいなやつ)、キジムナー(木に宿るとされる精霊)との出会い方(鏡を置いた砂山に足跡をつけてもらうというやつ)等々。実際されでどうだったとか、どうなったかなんていうのは一切覚えてないんですが、ある種、そうしたことを真剣にやってる小学生のほうが心霊よりオカルトより怖いって(笑)。

 ちなみに同じつのだじろうの『デスマスクの旋律(メロディ)』(講談社『恐怖心霊ゾーン 霊界通信』収録)には、変死したロックミュージシャンが作曲したとされる曲で(おーっ、なんかバンドのHPらしい話!?)、聴いたら呪われるとされるメロディの譜面が載ってるんだけど(いまで言う『リング』のビデオみたいなものですね)、えーと、これも当然弾いてみましたよ。高校のときブラバン部にいて、そこでにわかつのだじろうブームがあったんだけど(と言うか、つのだじろうのコミックなんて持ってたのは自分だけど、当然流行らせたのは自分なんだけど……)、そのときにも各パートみんなこのメロディを演奏してたっていう(笑)。バンドのHPらしく(!?)、この譜面、載っけてもらうことにしました。どんなもんでしょう? いや、メロディとしてはそれらし過ぎてつまんない感じなんですがね。高校のときもさんざみんなで弾いてて、音楽担当の先生に「って言うかそのメロディ、音楽としてつまんない」と評されてましたが(笑)。 本当はこういう話、“キャプつば”(高橋陽一『キャプテン翼』集英社)読んでサッカー始めましたとか、『キャプテン』(ちばあきお/集英社)読んで野球始めましたとかだったら収まりいいんだろうけど(キャプつながりで並べてみたんだけど、さすがにいないかな、『キャプテン』読んで野球始めた人は)、つのだじろうに集約されても?(笑) ただ本当、そうした直接的なことじゃなくても、間接的にいろんな影響を受けてることは確か。たとえ話をしようとすると大概マンガがもとになっていてるし、あ、やってみたとはちょっと違うけど、『テレプシコーラ』(山岸涼子/メデイアファクトリー)、『昴』(曽田正人/小学館)、『Do Da Dancin'!』(槙村さとる/集英社)以降、明らかにバレエよく見るようになったっていうのもあれば、そっか、『はだしのゲン』(中沢啓治/汐文社・中央公論新社)読んで原爆研究……って言い方でいいのかな、原爆関連書物読みに目覚めたっていうのもあるなぁ。そうしたこと挙げていけば本当、キリがない。なんにせよ、なんであれ、ほとんどきっかけはマンガ。そういうもんです、マンガ読みって。

【マンガ読みの余談】まぁ仕事なりなんなり、大きな街に出たりしますよね。たとえば新宿とか渋谷とか。そうすると新宿なら紀伊國屋、渋谷ならブックファーストと、大きな書店に寄ってしこたま本を買って帰るというのが常なんですが、もうそうなると帰りの電車では当然そのとき買った本を読むことになります。で、自分の場合、書籍にはカバーを掛けてもらってるんですが(これは本を汚さないためじゃなくて、まだ未読本と読了本の区別のため。読み終わったら外す)、マンガは掛けてもらわない。電車でも本は裸のまま、カバーを人にさらす形で読んでるんですが、こないだ熱中しながら読んでたら、なーんかほかの人の視線が自分のところに集まってる気がする。いや、人の心理として、特に本読み人の心理として、人がなにを読んでるか気になるっていうの? ございますわな。自分もそうで、遠くからでも人がなにか読んでるとのぞき込んでたりするもの。で、こないだの話。ふと我に返って、そんなに注目浴びるような本読んでるかなと思ったら、読んでましたよ、B・L(ボーイズ・ラブ)系(笑)。最近気になってまとめ読みしてた定広美香の本を読んでたけんだけど、冷静になって見てみれば、カバーには極彩色でくんずほぐれつ、まぐあう漢(オトコ)ふたり(笑)。ただこの話、オチとしては恥かいたとかなんとかじゃなくて、いい感じに一線越えたな! と。なんて言うか、もう怖いものはないな!! と。ひとつオトナになりました(笑)。

 マンガに影響を受けてやったことですか。幾つかありますよ。まず、ブラックコーヒーにバターを入れて飲んだことです。これは『スケバン刑事』(和田慎二/白泉社)で、神恭一郎が疲労した麻宮サキに「飲め、元気が出るぞ」と飲ませるシロモノです。感想は、まァ、普通に飲めるかな、という感じ。それにしてもこれは作者が何を根拠にこのような飲み物を考えだしたのか、またはどこかにこれの元ネタがあるのか不明ですが、ブラックコーヒーにバターという組み合わせは、確かに「元気が出そう」な気がします。本当に疲れている時に再び試しに飲んでみたいと思ったりします が、思っているだけで実行に移しそうにはありません。

 次に思い出すのは「ハム寿司」。これは『トイレット博士』(とりいかずよし/集英社)に出てきた食べ物です。名前の通りシャリの上にハムがのっかっているのです。これはメタクソ団のメンバーが寿司を食べる話に登場するメニューです。小学生の時、これが何故か美味しそうに思えて、母親に無理矢理作ってもらったことがあります。それで感想は、期待外れ、ですね。一緒に並んでいた普通の寿司(海の幸のも の)とは比べ物になりません。ハムに合う炭水化物は、やはりパンやパスタに限ります。しかしとりい氏は何を思ってこんなネタを考えたのでしょう? 思うに貧乏臭いメニューであります。70年代はまだまだ貧乏な家庭が普通にあったから、まァ、良いのですけれど。ちなみに母親は「マンガだから美味しそうに見えるだけで、絶対に大したことはない」と、作る前から言っていましたっけ。ハイ、その通りでした。

 こんな感じでしょうか。実はあまりオチがないのです。マンガの登場人物とそのライフスタイルは、小説のような細かさがありませんから。小説はマンガのように人物の容姿を視覚化できないぶん、詳細にライフスタイルを描写することがありますね。 ゆえにこのお題目でネタにしやすいのは実は小説の方だったりします。上の神恭一郎に似たタイプで例をあげれば、イアン・フレミングの「ジェームズ・ボンド」やレイモンド・チャンドラーの「フィリップ・マーロウ」には、彼らの身につけているものから食事に至るまで、いろいろ書いてあるので(つまりそれによって人物像を想像する)、読んでいるこちらは何かしら影響を受けることがしばしばあったりします。しかしマンガはそれに比べると正直、ネタが薄味かな、と。追記としては『ガラスの仮面』(美内すずえ/白泉社)に出てくる速水真澄の「紫のバラ」と、姫川亜弓の「クイーンメリーの紅茶」もいつか試したいと思っております。しかしどちらも見たことすらないのが現実です(後者の方はトワイニングの「クイーンマリー紅茶」だと思うのですが)。

 さて、話題を変えましょう。ちなみに以下は自分の話でありません。中学生の時、どう見ても似合わないのにテニス部に入っている野郎がいました。しかも上手くない。それである時、何故に入部したのか彼に尋ねてみたところ、返事はズバリ、『テニスボーイ』(寺島優&小谷憲一/集英社)に影響されて、でした。時は1980年。週刊少年ジャンプが人気の時代です。なるほどね。もう少し後になると、『キャプテン翼』(高橋陽一/集英社)に影響を受けた人が出てくるのでしょう。私の時代だと 『GO☆シュート』(みやたけし/集英社)なのですが、これを読んでサッカーを始めた人は知りませんね。スポーツマンガで部活を決めた人って絶対にいるはずです。『あしたのジョー』(梶原一騎&ちばてつや/講談社)までいくと、部活どころか職業の域まで及びそうですが。ついでにどうでも良いことを書きますが、あだち充マンガを読んで野球を始めた人と、『巨人の星』(梶原一騎&川崎のぼる/講談社)また は水島マンガを読んで始めた人では、熱意が違うのだろうな、と勝手に想像しています。あと『キャンディ・キャンディ』(水木杏子&いがらしゆみこ/講談社)の場 合、「看護婦になりたい」と思った人と「金持ちに見初められたい」と思った人では、その後の人生が違うのでしょうね。

 最後にわれわれ3人の職業に関することで1つ。『みのり伝説』(尾瀬あきら/小学館)を読んで、ライターになった人っているのでしょうか? いま思えばあのマンガ、それほど強い影響力は残らなかったと思うけれど。思うに今さらTVドラマ化してみてはいかがなものでしょう? リアルな部分やドラマティックなところもあったから、何かしらライター界に影響を与えそう、な気がしないでもない…。それよりクイーンメリーが飲みたいかもしれない。

【マンガ読みの余談】 このコーナーが休載している間に引越をしまして、マンガ本を大量に処分しました。特にガロ系のマンガが消えました。北冬書房のマンガはまだ残しているのですけれど。とりあえずサブカル系は減ってしまいましたね。

 ところで最近読んだマンガですが、まず森川久美の『南京路に花吹雪』(白泉社)。人から借りて今さら初めて読みました。そして山岸涼子の『ツタンカーメン』(潮出版社)。ブックオフの100円コーナーにて一気買いしました。それでこちらも今さらようやく読みました。  

 先日、UFOクラブでライブが終わったあと雑談してる時、ビリヤードの話題が出た。ビリヤードねえ。日光金谷ホテルの地下にあったんでやってみたけど、あの時は適当に遊んでつついてただけだしなあ。でも、ルールはだいたい知ってる。なんで? そうだ、『ブレイクショット』(前川たけし/講談社)を読んだからだよ! ……とすぐに思い当たったのですが、このようにマンガから得た知識が多いだろうなあ、私。野球のルールはだいたい『ドカベン』(水島新司/秋田書店)で学んだはずだし、野球に限らずスポーツ全般ほぼそうかも。しかし、ときどきルール丸無視のマンガもあるから、描いてあることをなんでも鵜呑みにしちゃいけませんよね。

 マンガの影響大、といえば「絶交状」を書いたことでしょうか。このエピソードは以前コラムに書いたので詳しい内容は省略(「一生に一度はやってみたい事柄」2002年、2月)。おそらく、これは『あのねミミちゃん』(川崎苑子/集英社)の影響じゃないかと。今や「絶交」てのも死語な気がしますが、昔の少女マンガでは「もう絶交よ!」なんてセリフがわりとよく飛びかってたな。はい、ここまでは少女マンガ。その後、この友達関係のこじれが「決闘」に発展するのは、もろ少年マンガの影響ですね。幼稚園の頃読んだ『ド根性ガエル』(吉沢やすみ/集英社)では、ひろしがゴリライモとしょっちゅう決闘してたし。できれば校庭じゃなく、柳のある空き地でやりたかったところだが。この類でいえば、マンガで定番の「ゲタ箱にラブレターを入れる」というのには憧れたが、残念ながらフタのあるゲタ箱にお目にかかったことがない。フタさえあれば、やったんじゃないかな。ゲタ箱のフタのあるなしでラブレター普及率に影響が及ぶ(笑)。それにしても、手紙はともかくゲタ箱にプレゼント(バレンタインの手作りチョコとか)入れるってのは現実的には抵抗あるなあ。だって、中学生や高校生男子の靴ったら……! あれは、無臭のマンガ世界だから成り立つのでしょうね。

 やらないくせして「○○ってこういうもの」と、マンガにたたきこまれてることも多い気がする。ラブレターはゲタ箱に入れるもの、委員長は名前でなく「委員長」と呼ぶもの、デートは海に行くもの、とか。デートで海に行きたいって人は、絶対少女マンガの影響大だと思うな。バレエを習ってた人で、ライバルのトウシューズに画鋲を入れた人はいないんだろうか。ちなみにまた聞きですが、「電話ボックスの電話で告白して、フラれて、雨に打たれながら家に帰った」という武勇伝(美談?)を語った人の話を聞いたことがありますが、この人の場合も脳内がどっかで読んだ少女マンガに相当支配されてますね。むしろ失恋することを意識下で望んでいたのでは? あー、私は言ったことないけど、女の子で「ボク」って言う子。これもマンガ発祥? もひとつちなみに……マンガじゃなくて実写ドラマの話ですが、私のおねーちゃんは「少年探偵団(BD7)」に影響されて「GD7」を作ってました。あー書いちゃった(笑)。公園で、銀玉ピストルでポテトチップの空き袋を的に撃つ練習をしてるのを目撃したことがあるぞ! 本家よろしくニックネームで呼びあってたようだ。

 そういえば、小学校のころ2階の自分の部屋の窓から屋根に出たりしてたのは、のび太の刷り込みかも。残念ながら寝ころがれるほど屋根は広くなかったが。瓦じゃなかったから、寝るとすべり落ちそうだったし。そして、隣のおばさんがうちのかーさんに告げ口して怒られたりした。あとはあきらかに『パタリロ』読んだ影響で、小学5年の時タロットカードセット買ったっけな。タロット占い……けっこうメンドくさいのと、もともと占い好きってわけでもないんであんまりやらなかったが。要は、それを持つことで魔夜峰夫の描く世界の住人ぽくなりたかったんじゃないでしょうかね。黒い感じ? 『パタリロ』にはポアロだブラウン神父だと好きなミステリーのネタとか、マザーグースのネタとか読んだばかりのビアスの『悪魔の辞典』なんか出てきて、雰囲気的に「この世界観ストライク!」って気分が強かったんで、おそらくファッション的にもっとたくさんまといたい気持ちになったのだろうなあ。

 マンガに影響を受けてやったというにはズバリそのものすぎるのだけど、高校野球を見に行って、炎天下甲子園の内野席でハガキを書いたことはありますね。書き出しはもちろん「前略、土門さん」……。いや、相手はもちろん土門さんじゃなくて我々のカワダです(笑)。こうなるとタダのオタクですね。確実に意味が通じる人に書かないと、なんのことだかわかりやしないよ〜!

【マンガ読みの余談】オトナ買い報告。『風雲児たち』(みなもと太郎)、『バツ&テリー』(大島やすいち)、まんだらけで全巻買いしました。ああ……。かざま鋭二好きとしては、『朝日の恋人』(梶原一騎・原作)の復刻が出たのがうれしい限り。当時、完全な形では単行本化されなかった『太陽の恋人』『夕日の恋人』を含む三部作・全四巻で刊行されるらしい。早く続きが読みたい〜。梶原原作の熱血恋愛漫画としては、かの『愛と誠』前夜の作品であります。

 

第1回 燃えよ、プロ野球! 2004.11.29

第2回 燃えよ、ケンカ魂! 2004.12.27

第3回 もてはやされよ、ショートコミック! 2005.1.31

第4回 そろそろ読んでみようと思っている漫画! 2005.4.30

第5回 へいお待ち、料理漫画一丁あがり! 2005.5.31

第6回 漫画でムラムラできますか? 2005.6.30

第7回 スペシャル座談会 TEAM TOKIWA「音楽漫画」を語る 2005.9.5

第8回 子どもの日々を垣間見る 2005.10.3

第9回 少ない小づかい、おまえに賭けたぜ! 2005.11.17

第10回 スペシャル座談会 TEAM TOKIWAが語る「男に読ませたい少女漫画」 2005.12.31 

第11回 ああ、そはかの人か…… 2006.2.27

第12回 今宵、悪夢でお会いしましょう 2006.4.3