TEAM.TOKIWAの ゲキレツマンガ道場
>>この連載は月1回更新します。次回更新は4月の最終月曜日です。バックナンバーは下にあります。 >>TOPPAGE
第4回 そろそろ読んでみようと思っている漫画! 2005.4.30 今回のテーマは「気になっている漫画」です。 いずれ読もう・買おうと思いつつなんとなく機会を逃している漫画、かつては読む気にならなかったけどそろそろ自分にとってシーズン到来かなと感じる漫画などについて語ってみました。 |
渡辺水央●ライター
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真下弘孝●イラストレーター・デザイナー
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粟生こずえ●編集者・ライター
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『ピーチガール』(上田美和/講談社/97年〜03年) これ、正しくは過去形です。ついこないだまで、まさに『ピーチガール』(上田美和/講談社)が「そろそろ手を出してみようかな」というマンガだったんだよねぇ。 すごくストレートに自分の趣味の部類かって言われたらそうじゃないんだけど、なんだか面白そうな気がするし、実際面白いらしいと。それでいつかはと思いつつ時間が過ぎ、古本屋で数巻分買っておいてさらに時間が過ぎ、そんなこんなしているうちにちょっと仕事で読む必要ができて、それでついに読んでみたんですが、もう血圧が上がるったら上がる! モモっていう主人公の女子高生がいて、そのモモはトージっていう男の子が好きなんだけど、トージは見た目はいわゆるイケメンながら意外と昔気質な男らしいヤツで、それだけにモモを敵視する小悪魔的な女の子・サエに言いように振り回されてしまうわけなんですね。と言うか、まんまんとだまされて、モモとの仲は乱されていくばかり。それでもトージのほうはサエは友達思いの優しい女の子と信じ切っちゃってるから、モモがサエのことで文句を言えば、逆にトージはそんなモモを怒ったり……。 そこでのトージのバカ具合が腹立たしいっていうのはもちろんなんだけど、しまいには尻の青いヲンナ(サエですね)の計算ひとつ見抜けないようなトージのことなんて好きになってるモモも腹だたしくなってきちゃって、「いや、そもそもお前、そんな男好きな時点でダメ! っつうかお前もバカ! お前こそバカ!!」みたいな、ヒロイン全否定姿勢に入ってきちゃって(笑)。「自分がモモの友達だったら、トージのこと好きなんてフヌけたこと言ってる限りは友達づきあいやめる!」とかプリプリ怒ったりしてね、風呂入りながら。いや、風呂入りながら読んでたんだけどさ。だからよけいに血圧も上がろうもの……と言うか、三十男が風呂に入りながら『ピーチガール』読んでる時点でどうでしょうっていう話なんですが、まぁ、ハイ、楽しませてもらいました。 まぁここでひとつ分析すると、少女マンガってやっぱり絵が自分にとってジャストフィットじゃないと、なかなか乗りづらかったりするんだよね、結局。『ピーチガール』も最初は絵への抵抗感がちょっとあったんだよなぁ。読んでみたら全然OKだったんだけど。あと、“なんかの機会があったらまとめて読みたいけど、いまの時点では自分で買い集めるまでもなくいまいち躊躇してるマンガ”って、少女マンガに関して言えば、男キャラに乗れなさそうっていうのが大きいんだよ。なんかさぁ、ヒロインに対してのヒーローが見栄えがいいだけの薄っぺらい男相手だったりすると(描いてる作者はそういうつもりはなくても)、いくら絵がよくてもお話自体が面白くてもやっぱりトンとつまらないわけですよ。しかもそれがクール系男子だったりすると、いくら実はちょっと優しかろうが、裏で哀しみをたたえていようが、ぺらんぺらんに見えちゃってさ。それだけに、一応個人的に多田かおるはコンプリートしていながら、『イタズラなKiss』(集英社)はなかったりするんですけどね。話も面白いし、琴子の恋心そのもの自体には酔えるんだけど、うーん、いまいち入江君、乗れないんだよぉ。同じマーガレット系でもくらもちふさこの描くクール君はいいんだけどね(と言っても『千花ちゃんちはふつう』のカイくんは入江君以上に乗れなくて……)。あとこれは結局、それこそ『ピーチガール』にしても『イタKiss』にしてもそう思っちゃうんだけど、いまどきのイケメン面男子を見るにつけ、ヒロインに対して「あんたがいないときに自分のマユばっかいじってそーな男に恋して楽しいかぁ?」と。なんか真剣に自分はもっと男を見る目を寛容に持たんといけんのか? と悩む今日この頃だったりもするんだけど(笑)。 【マンガ読みの余談】よくよく考えてみるとこういう「手ぇ出してみようかな」系って、文庫化を機に……って多いですね。いまなんかだと、まさにこないだ文庫になってた『Dr.NOGUCHI』(むつ利之/講談社)。これ、まだ1、2巻のみの発売で、もうこういうのって一気に読みたいから全巻出てからまとめて読もうと思ってるんですが、じゃあそんなに『Dr.NOGUCHI』を読みたいか、むつ利之が好きかって言われると、まぁそんなこともなく(というか、むしろ自分的にあったらヤだ、それ)、だからこそこれまで手は伸びなかったと言うか、それこそこういう機会に手を伸ばしてみると言うか、ね。あとこれは文庫じゃなくてコンビニ売りのペーパーバッグ判なんだけど、『花平バズーカ』(小池一夫・永井豪/宙出版)。こちらの場合はいつも中途半端な集め方のままに終わってしまっていて、新書判で飛び飛びに読んでいて、愛蔵版が出たときにきちんと買い集めようと思ったら愛蔵版自体が中途半端なまま絶版になってしまい、ついに機は熟したかと! いや、でもコンビニで見かけたときにすでに3、4巻しかなく(全4巻)、1、2巻がないならと買うのはやめていて、いま試しにネットで検索してみたら、すでにこのバージョンも「出版社在庫×」。なんだか『花平バズーカ』、永遠に手が出せず終わってしまいそうな気も……。 |
【そろそろ読んでみようと思っている漫画・番外編!?】 今月のお題・そろそろ読んでみようと思っている漫画。いくつかあります。でも、 それを実行するのは正直手間なので、行動にはあまり移しません。なぜかというと近年の私は、その作品(=作家)にハマらず半端に終わってしまったり、逆にハマッたとしてもやはり半端に終わってしまうことが多いからです。後者の理由をもう少し詳 しく述べると、夢中になった作品も5〜6巻あたりで飽きてくるのです(長篇でなけ れば問題ありませんが)。最近の作品だと『魁!!クロマティ高校』(野中英次/講談社/00年〜)と『のだめカンタービレ』(二ノ宮知子/講談社/01年〜)がこれにあ たります。途中で続巻の購入をヤメてしまいましたから。 ついに新しいものに向かっていく気力が10代、20代に比べると減ってしまったので しょうか。守りと安定を求める30男の行動といえば、「読んでみよう」と思ってマンガに金を使うのでなく、「買ってみよう」と、いや、より正確に「いい加減、買い替えよう」と思ってマンガに金を出すことなのです。 これは大好きな作品に「完璧」を追求することです。例えば、読み過ぎてボロボロになったものを綺麗なものに換えたりする行為(勿論、ボロも綺麗も中身は同じ)と 言えばわかるでしょうか。尚、これがエスカレートすると、やはり初版で欲しいと か、さらに文庫版や特装版も含め発刊されたもの全て欲しいとかになっていきます。 こうなるともはやコレクター道の話になってきますね。 ちなみに私の場合、ボロくなったものを初版でなくてもいいから発刊当時の装幀で欲しいと考えています。それで現在探している作品は『エースをねらえ!』(山本鈴 美香/集英社/73年)の1巻と『愛と誠』(梶原一騎・ながやす巧/講談社/73年) の2巻、そして『子連れ狼』(小池一雄・小島剛夕/双葉社/72年)の1巻と21巻です。 まず『エース』と『愛と誠』と『子連れ狼』の1巻は、本が割れてしまったからです。昔の本、というか時の経った本ってページを閉じている糊の部分が固くなって広 げにくくなった挙げ句に割れませんか? 真ン中あたりで真っ二つに。で、そこから ページが一枚一枚外れてきて、バラバラになるという…。こうなるともはや本として機能しなくなります。でも、好きな作品だからあらためて読みたいし、ページくらい 気楽に捲りたいところです。だから探しています。しかしこの中では『エース』を探すのが面倒ですね。70年代初期のマーガレット・コミックスは、現在のようにカバーと(オレンジの)本体が別れていなく、本体自体に表紙が印刷されていて、その上をビニールカバーが覆っている状態だったのですが、『エース』の1巻はまさにそれで、この装幀のものを探すのは楽でないのです(再版されたものはカバーと本体は分離しています)。ところでどうして初期装幀にこだわるのかというと、単純に作品をただ読むだけでなく、なるべく発刊当時の雰囲気を味わいたいからです。そんな私ですから、漫画に限らず、小説も最初の装幀のものを探して買っています。よって我家に文庫は極めて少ないのです。単行本ばかりなのです。話が飛んでしまいましたが、 まあ、そういうわけです。あと『子連れ狼』の21巻は、その巻だけネズミにかじられてしまったからです。ネズミの歯形がもろに残って気持悪いその巻を手に取る気分にはさすがになれず、これは美本で買い直したいところです。『子連れ狼』は人気作品ゆえ双葉社からさまざまな形で発売されていますが、やはりオリジナル装幀で探しています。 ついでにマニア道な話も1つ書いておきます。007コレクターである私は、さいとう・たかをの描いたマンガの007シリーズ(『死ぬのは奴らだ』『サンダーボール作戦』『女王陛下の007』『黄金の銃を持つ男』/小学館ゴールデンコミックス /66〜67年)を全て持っていますが、『サンダーボール』と『女王陛下』には帯が付いていません(写真)。できれば帯付の完品で揃えたいところです。稀少で安くない作品群ゆえ、どうにも気力と財力を要するのですが。 マンガ本をモノとしてできるだけ大切に保存している現在、開拓精神より現状維持 の方にお金と精力を使っています。 【マンガ読みの余談】 最近、巷では吾妻ひでおの『失踪日記』(イーストプレス/写真)が話題ですね。 マンガ読みでない人も買っているみたい。私は借りて読みました。とても面白かったです。 さて、ここの連載が止まっていた05年の2〜4月に購入したマンガといえば、まず 上條淳士の『SEX』(小学館)の第4〜6巻です。5月に7巻が出て完結するそう です。あとは青池保子の『エロイカより愛をこめて』(秋田書店)の31巻と、『「エ ロイカより愛をこめて」の創りかた』(マガジンハウス)を入手しました。後者は 『ウフ.』(マガジンハウス)で連載されていたエッセイ集。タイトル通り『エロイ カ』の裏話がいろいろ書いてあって、ファンには楽しめる一冊です。そして岩館真理子の『アマリリス』(集英社)の4巻も買いました。それにしてもこの作家、最近は 年1冊のペース。ミュージシャンみたい。5巻は来年ですかね? 彼女の作品は『うちのママが言うことには』の全5巻が今までで一番長い連載になりますが、もしかし たらそれを越える作品に? |
【オトナになると好き嫌いが減るのだろうか……偏食克服したあれこれ】 漫画って絵に抵抗があると、おもしろそうだと思っていざ手を伸ばしても結局イヤんなって挫折してしまう。しかし、ここ何年か、かつてダメだったものがOKになるという現象が起こっている。許容範囲が広がったということなのだろうか? たとえば、たがみよしひさの絵が直視できるようになった。『軽井沢シンドローム』(たがみよしひさ/現在はメディアファクトリーで文庫になってます)。オンナ好きの主人公(ゾクあがり)&イラストレーターの親友が軽井沢の喫茶店あたりを根城に、そこに集うバイク乗りのお姉さんやら、その友達やら友達の友達やらと織りなす青春群像。主人公はカメラマンで、ときどき仕事で東京に呼び出されてはヌードグラビアなどをとっておる。めちゃくちゃモテて、本命はいるけどしょっちゅうとっかえひっかえ色んな女性とヤッていて……と、チャラついてるけど実はニューヨークに行くという夢を持っている。ニューヨーク? モロ80'sな空気ぷんぷんの漫画です。けっこうクセのある絵柄なうえ、八頭身タッチと二等身タッチがめまぐるしく入れ替わるので、ただでさえ登場人物が多いのにキャラの見分けがつきにくくて読みにく〜い! で、話題作だった当時は敬遠してたのだけど、最近すっと読めるようになったのはなんでかなあ。ちゃんと読んでみたら、ちょっとクサイっちゃクサイけどネームに雰囲気があっておもしろいのだ。今、ヤングチャンピオン(だっけ?)で続編を月イチ連載しているみたいですが、絵に端正さがなくなってしまってるのが残念。ネームは相変わらず、というかかなりイイ。シーンの最後のセリフが、次の(別の)シーンの最初のセリフになっているとか……相当こってますよ。 あ、あと八神ひろきの絵も見られるようになったのだ。『二人におまかせ』『G- テイスト』の人ね。ま、これらのお色気系は特に興味ないんだけど、スポーツ漫画好きとしては一応『DEAR BOYS』(講談社/89年)をおさえておきたいと。しかし、八神ひろきの絵は、バスケやってる高校男子のくせして、「お色気女性を描いてる時のオンナの脚線美」なのが気持ち悪くてね。線は硬質なのに、身体がぽっちゃりっていうかふんわりして見えるんだよ。これが読めない理由だったのだけど、今年ふと古本屋で立ち読みしてみたら、読めてしまった。買おうとは思わないけど、ドラマ的にも一読の価値はありそうだと思った。今、続編『月刊マガジン』でやってるみたいですね。けっこう表紙になってる率高いようで、『BECK』と並んで看板? これから読もうと思ってるのは『釣りキチ三平』(矢口高雄/講談社/73年)。この人の場合、逆に絵の魅力は前から感じてたんだけどね。ただ、「釣り」というテーマにヒットしなかったので読む機会がなかったんだけど。2,3年前に愛蔵版のハンパな巻を1冊拾ったので読んでみたらおもしろかった! そして改めて絵のうまさに感服しましたよ。そういえばタイトル忘れましたがちょっと前に、自伝的漫画みたいなのが講談社漫画文庫で出ていたっけ。買おうと思って忘れてた!『釣りキチ』はきっと再読に値するだろうと思うので買ってもいいな。どの版で買おうか検討中ですが、かの絵の迫力を味わうには文庫じゃないほうがいいような気がする。愛蔵版は表紙のデザインがイマイチだったので、やっぱ最初に刊行された単行本で探そうかな。まんだらけあたりで全巻揃いを一気買いしたい。同じくそろそろ買おう……と思ってるけど、どの版買うかで迷ってるのが『風雲児たち』(みなもと太郎/潮出版/81年)。あ、あと『狂四郎2030』(徳弘正也/集英社)ね。連載追っかけるのに途中で疲れたので、完結してから揃えようと思ってたのだった。しかし、かさばるものばっかりだ。 買ってばかりじゃ金にも置き場所にも困るから、漫画喫茶はありがたい。一回読めばいいか、ということでいうと『悪女(わる)』(深見じゅん/講談社/88年)。ああ、かつてはこの人も絵がダメだった。タイトルから、劇画情念系の絵を想像してしまいそうになるが、深見じゅんの絵は、古めの少女漫画をものすごくデフォルメした感じ。少女漫画家としては線が硬くて、華やかさはない。毒にも薬にもならないタイプの絵で、変な云い方をすると邪魔にならない絵なのかも。『悪女(わる)』は一流企業にコネ入社した主人公OLが、実力というよりは裏技と運を駆使して出世していくというコメディタッチの話。前に漫画喫茶で4,5冊読んで時間切れになってしまったんだけど、意外に吸引力あって驚いた。地味な作家に見えるけどひょっとして、すごく構成力ある人なのでは……。 ホントに漫画喫茶に行きたくて行きたくて、1か月ほど前に3時間ほど潜伏することができました。そんな私が手に取ったのは『風の大地』(原作・坂田信弘 漫画・かざま鋭二/ビッグコミックにて連載中)です。そう、あの、一話ごとに最後のページに薄気味悪いモノローグが書かれているゴルフ漫画です。「かざま鋭二は大好きだけど、ゴルフ漫画はちょっとなあ」と思ってたのに……やっぱり愛してしまいました。しかし、これは既に30巻以上刊行されているので買うのはやめておくよ。これを買ってOKにしちゃうと、とめどなくなることがわかっているからね。 【マンガ読みの余談】 私はときどき、自分でもなぜハマるのか理解不能な漫画にハマってしまいます。中学生のとき片山まさゆきの『スーパーヅガン』や『ぎゅわんぶらあ自己中心派』などの麻雀漫画にハマったのは、まだ理解可能なほう。去年、『濃爆おたく大統領』『濃爆おたく先生』(徳光康之/講談社)という漫画にマジ惚れしてたのですが、これは内容のほとんどは『サクラ大戦』というゲーム世界を知らなければ理解できないはずなのに、私は『サクラ〜』を一滴も知らないのでした。そして、今最高潮に気に入ってるのが『アドリブ王子』『アドリブ店長』(あかつきけいいち/白夜コミックス)というパチスロ漫画です。攻略ネタがほとんどです。パチスロなんてやったことないので、半分以上意味がわからないままに無知を想像で補いながら読んでいるのですが、ギャグマンガとしてすごくおもしろいのと思います。この漫画はパチスロの雑誌で連載されてて人気があって、単行本も売れてるみたいですが、多くの漫画好きの人の目には触れにくいだろうなあ。惜しいのか、別にそこまでいう必要もないのか……判定不能(笑)。 |
第1回 燃えよ、プロ野球! 2004.11.29
第2回 燃えよ、ケンカ魂! 2004.12.27
第3回 もてはやされよ、ショートコミック! 2004.1.31