TEAM.TOKIWAの ゲキレツマンガ道場  

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第12回 今宵、悪夢でお会いしましょう   2006.4.3

今回のお題「こわいマンガ」です。「こわいもの見たさ」とはよく言ったもので、人は昔からこわい話が大好きです。

「純愛ブーム」や「癒しの物語」がいかに流行ろうと、こわい話は変わらぬ人気者……なのはなぜなのでしょう?

 

渡辺水央●ライター
真下弘孝●イラストレーター・デザイナー
粟生こずえ●編集者・ライター

『天人唐草』(山岸涼子/文春文庫ビジュアル版/79年)

 思い出すと怖かったマンガって、女性作家に多い気がするなぁ。いや、たとえばわかりやすく、楳図かずお、日野日出志、古賀新一、中沢啓治、つのだじろうなんていうのもありましょう(もう少し下の世代だと、御茶漬海苔なんかも? 生理的にヤだよね、御茶先生。身体中に虫に卵生み付けられるとかさ)。えー、何げなく中沢啓治の名前も入れてみましたが(笑)。ギギギギギギッ。『はだしのゲン』です。心霊でもオカルトでもホラーでもないですが、ある世代にとってはそれこそケロイド間違いなしと言うか、トラウマ間違いなしなわけで。ただ個人的にはこのへん、シーチキン並にごはんいけちゃう大好物と言うか、怖いは怖いにしても好きが先に立つと言うか。

 少なくともヒノッピー(と呼んでます、個人的に日野日出志)は絵にだまされちゃいけない。たぶんにグロテスクだったり、おどろおどろしかったりもしますが、描いてることは結構リリカルでいて物哀しいですよ。あっ、あとつのだじろうは笑える(笑)。笑ってどうするよって話だけれども。古賀新一『エコエコアザラク』は、チャンピオンコミックス版1巻収録の話で1個怖いのあったなぁ。優秀で真面目で両親にも愛されてる兄を弟が逆恨みして魔術を掛け、兄の脳みそが解け出して狂人になる話。なんだろう、その狂人になってく様子とか点描の狂人顔とか乾いた笑い声の擬音とかが怖かったのかなぁ。しかもそれを読んでたタイミングも怖くて記憶に残ってるんだけど(冬の夕方で小学生で心寂しいときで……みたいな)、どうかなぁ。いま読んでも怖いのかなぁ。まぁ人が豹変しちゃうっていうのは怖いですよね。あと整ってくものが崩れていくとか。そうした意味で言うと、美醜問題とか、社会での疎外感とか秩序の崩壊みたいなのをよくテーマにしてる楳図は怖いんだということにもなりますが。

 えー、このへんはざっとさらっておこうと思ってただけなのに、長くなりました。なんだったけ、要は女性作家ですよ。美内すずえ、曽根まさこ、菊川近子、成毛厚子、わたなべまさこ、ささやななえ(なんか『なかよし』に片寄ってるなぁ。でも当時ホラーと言えば『なかよし』でしたもんね)。まぁね、ほっといても『汐の声』や『わたしの人形は良い人形』に関しては、粟生さんや真下さんが書いてくれることでしょうが、やっぱり怖いと言えば山岸良子ですよ。しかも、しみじみ怖い。別に読んでてギャーッともワーッとも思わないけれど(いや、『汐の声』に出てくる少女の霊の顔はかなりヒェーッか……)、なんかじわじわと、じりじりと怖いんだよね、山岸良子。怖がらせるのが上手と言うより、怖い状況をもたらす心理とか、怖い状況の中にある真理を描くのが上手と言うか。

 たとえば『汐の声』に関して言うと、心霊うんぬんよりも、“実は霊感少女でもなんでもないのに、母親に支配されて母親に言われるがままに霊能者に仕立て上げられてしまってる少女の脅えと緊張とコンプレックス”みたいなものの描写のほうがよっぽどダウナーなものもたらせてくれるし、『わたしの人形〜』に関して言うと、確かに人形も怖いけれど、人形をめぐる大人たちの立ち位置みたいなもののほうがよっぽどダーク。ある家の女の子が交通事故が原因で亡くなって、その事故に居合わせていた隣家の女の子の両親が、柩に入れてやってくれと、その時代(終戦直後)にはかなり豪華で貴重なものだった日本人形を渡す。その日本人形には、これで事故のことは水に流してくれという意味もあれば、これを渡す代わりにうちの子は引っ張っていかないでくれという意味合いがある。でも、渡された家(亡くなった女の子の家)の婆さんは人形に目がくらみ、焼いてしまうのはもったいないからとそれ柩には入れない。因果関係はさておいて、結果、人形をあげた家の女の子もその後すぐ亡くなってしまう……。

 いや、この一連の流れと言うか動きも結構あちゃ〜ですよ。ただただ、バタバダとパタパタと人が死んでく。しかも子供が死んでく。容赦なく死んでく。あちゃ〜ですけれど、なんか思い出したときに怖いのは、人形をもらいつつ下卑た態度でそれを柩には入れずにこそっと隠して、しれっとした顔してる姑息な婆さんの姿とか、人形をあげたのに娘を持っていかれて、半狂乱になって泣き叫んでる隣家の母親の表情とか(この場合、娘が死んだことよりも人形をあげたはずなのにという点に重きが置かれてるのがポイント)。あれですね、ものすごくわかりやすくとおりのいいこと言っちゃうと、結局怖いのは人間だってヤツですかね。そうした意味で山岸涼子の中でもっとも怖いのが、『天人唐草』。

 えっと、いまだと文春文庫ビジュアル版が一番入手しやすいのかな。これもむしろ物悲しいとか世知辛いとかいうような話なんですけど、そこはやっぱり山岸節。クールですよ。描かれてることはいたって単純。厳しい父親が君臨している封建的な家庭で女性として抑圧されながら育てられた女性・岡村響子が、自分の意志も持てずに社会との折り合いもつけられずに、やがて精神のバランスを崩して発狂していくまでの様子がつづられてるだけの話。霊も妖怪も悪魔も出てこなければ、血も悲鳴も描かれない。いや、正しく言うと、血と悲鳴は出てくるのかな。自分が正しいと思い(込もうとして)、それでも自分は間違っていたと気づいて打ちのめされることになる主人公は、そこで追い打ちとばかりに暴行されて、ボロボロになる。そしてその果てに……。このへんにかぶせられるト書きのナレーションがすごい。「彼女の姿はうちひしがれていた 男の目には響子は抵抗できなさそうに弱くみすぼらしく映ったのだ 彼女を待っていた落とし穴はあまりにも大きかった」。そうして乱暴された響子は、乱暴されたその直後なのに、それでも女のたしなみとばかりにひとり身だしなみを整え、つぶやく。「たいしたことじゃない たいしたことじゃない わかってくれる わかってくれるわきっと…… あの人は」。もちろん響子には恋人もいなれけば、このときには家族も皆亡くなっていて、あの人とされるような人物はいない。そこに容赦なくかぶさるナレーション。「“あの人”とはだれのことなのか」――。 これなんだと思う。山岸涼子は細くも力強いその描線も怖いんだけれど、この徹底して突き放した、しかし容赦なく心理をえぐるような視点や視線(それはナレーションであり、描写であり、作品の主題そのもの)が怖い。そもそもひとりの女性が発狂するまでの観察記録でしかない作品って……。考えてみれば、こういう突き放した話多いよね、山岸涼子。えっと、『八百比丘尼』だっけ? 目立たず地味な女の子なんだけれど、自負心は人一倍でまわりのことをバカにしていて、本当は誰よりも中心にいたい主人公の話。彼女はものすごくきれいな友人に見いだされて、それでいい気になるのだけれど、その友人というのは平たく言ってしまえば宇宙人で、彼女はそのエサにされただけ。で、最後、宇宙人たちは言う。こういうつまらない人間はいくらでもいるのだから、いくらでもエサにできるし、すればいい。いなくなってもわからないような人間。自分からはなにも働きかけないくせに、プライドだけは一人前の人間。うーん、怖いよなぁ。山岸涼子。 女性作家が怖いのも、このえぐり加減にあるんだろなぁ。容赦のなさと言うか。ホラーとはまた違うけれど、たとえば内田春菊や近藤ようこ、松本充代のマンガが持つある種のヤな感じとか、グッとくる感じっていうのもそこに由来してる気がするし。なんだろう、男、腰が引けてっぞって話かな。結局、男は容赦ないほうにいけないって話かな。いってるつもりでもどうしてもいろんな意味で甘さが出ちゃったり、感傷的になっちゃってたりして、冷徹にはなりきれないと言うか。あぁ、でもあれは唯一と言っていいかもしれない。あれですよ、藤子不二雄A『笑ゥせえるすまん』。まぁホラーじゃないですし、いわゆるブラックユーモアってことになるかもしれないですが、あれはひたすらブラック。主人公が必ず最後、「ドーン!」と救いのない形でヤな目に遭って終わりって、それこそ甘さも感傷もあったもんじゃない。怖いかどうかはまた別の話だけれど、容赦ないことは確かかも。いや、それ以前に藤子A=安孫子素雄=満賀道雄に関しては、自伝マンガ『まんが道』の中のジメジメとしたしんねりむっつりぶりも怖ぇえよって話ですが(あぁ『少年時代』もヤなマンガだったなぁ、そう言えば)。でも冗談抜きで、男性作家であそこまで暗い部分や人に見せたくない部分、人間のえげつなさみたいなものをストレートに描ける作家もなかなかいないという話で、本当、藤子不二雄Aは深いかも?

【マンガ読みの余談】怖い山岸涼子バナ。ほかにも山岸涼子、なにが怖いって言えば、単行本の収録内容がかなりかぶってるっていうのが、ね。新しい作品を収録したものが出ていて、それを買ったはずなのに、新作は表題作一本のみで、あとは過去の単行本に収録されてたものの再録っていうのが異常に多いんだわ、これが。いや、いいっちゃいいいんですけど、だったらいっそのこともっと発売寝かして新作のみにしてもらうか、ぺらっぺらでみいいから表題作一本のみの収録で安価版にしてもらうか(それこそ華とゆめコミックス版の『日出処の天子』の最終巻みたいにしてもらうとかね)。山岸涼子の新作を手にするたびに確実に声にしてるのは、「怖い!」よりも「って言うかこれ読んだ!」っていう。『天人唐草』にしても、うちにあるだけでも、文春文庫版、サンコミックス版、ハロウィンコミックス版、選集版と存在していて。この増殖する恐怖。それこそ『リング』の貞子や『呪怨』の伽耶子並ってことでしょうか。 

【岩館真理子の漫画】

 男はそう簡単に女心が理解できません。彼女たちは、いきなり泣いたり、悩んだり、不機嫌になってみたり…。これに男が翻弄されることは少なくありません。こんなことが続くと、女性の胸の中に秘めたものに、いつのまにか恐怖を覚えてしまいま す。

 岩館真理子の作品を読んでいると、この恐怖を感じることがしばしばあります。男の私から見ると、謎めいている女性の主人公がとにかく目についてしまいます。勿 論、「謎めいている」ということはストーリーの展開上、必要不可欠なものですし、手法としてはしごく当たり前のことでしょう。特にそれがミステリやサスペンスもの だったら。しかし彼女はそういったジャンルの作品を描いている作家でありません。 では、岩館作品の何がこわいかというと、女性の内面という、男には計り知れないも のが「日常の中で」描かれているからなのです。そういったことは『ヴィヴィアンの 赤い爪』(95年)や『白いサテンのリボン』(93年)、そして『雲の名前』 (92年)、さらに『アリスにお願い』(90年)などの主人公に端的に描かれていま す。そして私はこれらの女性に恐怖を覚えてしまうのです。それは単純に彼女たちの 考えや行動が「謎めいている」からなのですが。

 いや、正直に言いましょう。作品を読みながら、いつか彼女たちの正体がわかった時(=内面が見えた時)、自分はそれを受け入れられるほどの器量が果たしてあるの だろうか、ということなのです。知りたいけれど、知りたくない、そんなこわさが心に横たわっているのです。

 だから主人公の不可解な行動を見ているうちに「この人は過去に何かあったのか?」とか「何か重荷を背負っているのではないか?」などと思ってしまったら、こちらはもう大変です。その秘め事を想像して動悸が速くなってしまいます。加えて実体験で恋人にいきなり泣かれたり、不機嫌な態度をとられてみたり…といった自分の過去までよみがえってきます。しかし一番思うことは、繰り返しますが、自分の器量 なのです。女性のそういった行動をしっかり受け止められるかどうかという。しかし恐怖を感じるということは、要は自信の無さがあるということになるのでしょう。

 男女の恋愛を綴って、そのこわさ(男性から見た場合です)を描いたものの傑作は 『うちのママが言うことには』(88〜94年/写真)に尽きるでしょう。19のエピソードで構成されたこの作品、基本的にはのほほんとした恋愛話なのですが、最後の方になるとそういう雰囲気だけでなくなってきます。それは主人公の男女に危機が訪れるからです。その原因は明らかに男(英太郎)の方にあるのですが、不実な彼に対して、彼女(けいと)は単純に文句や怒りをぶつけるのでありません。

 しかし彼女のとる行動は男の私がここで言葉に表現できるものでないのです(言葉にまとめられるものならば、それほどおっかなくはないでしょう)。ただ1つ言えることは、この形容し難い不可解さこそが、女性のおそろしさだと思います。そして英太郎はそれに戸惑います。もし私が同じような場面に遭遇した場合、おそらく彼同 様、困惑してしまうのではないかと思うのです。

 女心は難しい、などと陳腐な台詞を最初に書きましたが、実際に女性の心のその裏側に自分が恐怖を覚えるのは、自身の器量がどんなものかを否応なく知らされるから でしょう。岩館作品はしばしば「ファンタジック」という言葉で表現されますが、私にとってはそうでありません。リアルゆえこわいのです。

【マンガ読みの余談】  3月は獣木野生(=伸たまき)の『PALM 28 午前の光2』(新書館)を購入。パー ム・シリーズも最近は年に1冊のペースですかね。では、また来年。しかし久々に最初から読み直してみたりして。特に8〜10巻の『星の歴史』は面白いです。

 

【リピートしたくなる恐怖】

 私はこわがりです。実写ホラー映画とか内臓すぽーんぐしゃっのスプラッターとかは大丈夫というかむしろ好きというか爽快な気分になるんですけどねえ。心霊写真とか霊体験話は苦手です。以前、仕事の参考文献として心霊体験談の単行本が数冊送られてきたのですが、それを読んでる間、マジびびってました。そういう時に部屋の中がみしっとかいって……真っ昼間だったのですが、いたたまれずにファミレスに逃げ出した次第です。小説では『黒い家』(貴志祐介/角川ホラー文庫)がこわかったなあ。朝方読み終わって、ゴミを出しに行けなくなったもの。

 人によって得意とする「こわさ」(ってのも変な言い方ですが)にも、恐怖の耐久度にも違いがある。しかし、そんなにこわいものを、どうして読みたくなるのだか。「私はこわがりだ」と言いましたが、何かを前にして目を覆ったことはないです。好奇心が勝ってしまうんでしょう。そして、そんなにこわいくせに、どういうわけかまたそこが見たくなっちゃうんですね。「こわい」の中でも、「もう勘弁してください」の域に達するものと、こわさが快感となる何度も見たくなるものがあるようですね。

 何度も見たくなるタイプといえば、『なかよし』で出会った高階良子。高階良子はのちのち『修学旅行殺人事件』『ピアノソナタ殺人事件』など『〜殺人事件』とつく作品をたくさん描いてサスペンスミステリ作家風になっていきます。あ、ひょっとして世間的に認知度高い作品ってさらにその後の『マジシャン』なのかな? 秋田書店に流れ着いたのもなんだか必然という気もしますが。初期はかなりおどろおどろしかったですね。『黒とかげ』など江戸川乱歩作品のマンガ化などにも果敢にチャレンジしてて、少女漫画としてはかなり冒険だったよなあ。『血とばらの悪魔』(原作=乱歩の『パノラマ島奇談』)もかなり原作に忠実だった。忘れちゃいけない『地獄でメスがひかる』は、自殺をはかった醜い少女を、天才整形外科医(もちろん美形)が美人につくりかえるという話。これはオリジナルだったと思うのですが、乱歩っぽいですな。

 もっとも印象強いのは『血まみれ観音』。これはたしか、横溝正史『夜光虫』が原作。原作では主人公が少年なのを、少女に変えてます。少女の肩にある人面瘡の謎を探っていく話なのですが、この人面瘡が実によく描けててねえ。高階良子の作品ってオドオドしたおとなしそうな主人公が、実はものすごく恐ろしいものを背負ってるという設定が多くて、その辺りもドキドキさせられるゆえんかも。『赤い沼』もそうだったな。村の沼にある鬼子母神のほこらを壊したために悪霊が解放され、子どもたちが次々死んでいくんですよ。童謡「かごめかごめ」が謎解きにからんできたりと、こりゃ横溝チックですねー。キツネ憑きの話『闇に踊るきつね』もよかった。主人公の少女が豹変する描写がめちゃ迫力あって……小品ながらインパクト大。この辺の作品は、講談社漫画文庫の「高階良子傑作選」で読めるはず。今、『化石の島』という作品のことを思い出したの。残念ながら手元にないので再検証できませんが、ページをめくると3分の2Pほどの大ゴマで大トカゲみたいなののドアップ(うろこが微細に描きこまれていた)に遭遇した時の衝撃は忘れられません。

 当初は私、渡辺氏の予想通り、『私の人形はよい人形』(山岸凉子)について書こうと思ったのですが、確かに持ってたはずなのに見当たらない。どうやらこわすぎて誰かにあげちゃった模様です(笑)。

 数ある山岸作品の中でも、私が快感を覚えるタイプの恐怖は『化野の…』(文春文庫『ブルー・ロージス』所収)。会社帰りの女性が、帰途についているはずなのだが、道に迷ってしまう。見たことのある建物とかバスに行き当たっては「ここを曲がれば知ってる道に出るはず」と思うものの、街中をはずれていって草原みたいなとこに出てしまう。この世の者ならぬ人々と行きがかりつつ、気づくとまた街中にもどっているのだが、やっぱり迷い続けたまま話は終わってしまう。たったこれだけの短編なのだけど、実におそろしい。ていうか、これは方向音痴の人間にとってのリアルホラーですかね? 「この道はいくらか知ってるわ」「たしかあそこを曲がると」「角にスーパーがあったはず」。「いえ大丈夫よ。この通りはわたしの知ってるあの通りの一本手前だわ」。期待して道を曲がるけれど、そこにあるのは知らない道……という繰り返し。私は幾度となく体験したことありますね。この作品のラストをしめくくるモノローグ「今度こそ今度こそわたしの知ってる道に出るはず」「早く家に帰らなくちゃ」に漂う不安感がたまりません。この主人公はおそらくもう死んでるってことなののでしょうが、恐怖のキーワードとして大事なのは「不安」ですね。幽霊が見える人って、霊をこわがったりしないもんね。霊体験のない私が、部屋ん中がみしっといったくらいでとび上がるのは、いるんだかいないんだかはっきりしないせいだろう。いるならいるって言ってくれ! 

 去年、ひさびさに戦慄したのは、渡辺氏に借りた病原菌感染漫画『EMERGING』(外薗昌也/講談社)。街中で人間が突然ぶわーんと膨張したかと思ったら破裂して、血液がびしゃ〜っと飛び散って、それに触れた人がぞくぞく感染しちゃうやつ。あの漫画で一番こわかったのは、ぶわ〜&びしゃっシーンではなく、発病の危険にさらされた人たちが病院につめかけたりネットで名乗りをあげるシーンでしたね。これから起こる大変なことへの、不安(×大人数分)でしたっけ……。

【マンガ読みの余談】 いつか買おうと思ってた漫画のひとつを、全巻揃いに出会ったので購入。『熱笑!!花沢高校』(どおくまん/秋田書店)全29巻、ようこそ我が家へ。まだパッケージすら開けてませんが。

 

 

第1回 燃えよ、プロ野球! 2004.11.29

第2回 燃えよ、ケンカ魂! 2004.12.27

第3回 もてはやされよ、ショートコミック! 2005.1.31

第4回 そろそろ読んでみようと思っている漫画! 2005.4.30

第5回 へいお待ち、料理漫画一丁あがり! 2005.5.31

第6回 漫画でムラムラできますか? 2005.6.30

第7回 スペシャル座談会 TEAM TOKIWA「音楽漫画」を語る 2005.9.5

第8回 子どもの日々を垣間見る 2005.10.3

第9回 少ない小づかい、おまえに賭けたぜ! 2005.11.17

第10回 スペシャル座談会 TEAM TOKIWAが語る「男に読ませたい少女漫画」 2005.12.31 

第11回 ああ、そはかの人か…… 2006.2.27