「その3」〜「その4」の結果をわかりやすくまとめた。π代入におけるζ(n)の繰り込み値の場合を整理整頓した。
2005/8/18の「その3」 の<ζ(s)の繰り込みについてのまとめ>で私は、次のように述べた。ここは非常に
重要な箇所であるため、長い引用になるが*******の間に再度掲載したい。
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2005/8/18 <ζ(s)の繰り込みについてのまとめ>
一つ上を書いた直後、ある決定的な事実に気付いたので、それを述べたい。
それは、予想L-4にも関係する重大な事実であるが。
「ハレー彗星」でのこれまでの議論をふりかえると、本質的には次の2式で尽きていることがわかる。
cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・) -----@
(0 < x < 2π)
-1/2=cosx + cos2x + cos3x + cos4x + ・・・・ -------A
(0 < x < 2π)
つまり、
ζ(-1)=1 + 2 + 3 + 4 + 5 + ・・・=-1/12
ζ(-3)=1^3 + 2^3 + 3^3 + 4^3 + 5^3 +・・・ =1/120
ζ(-5)=1^5 + 2^5 + 3^5 + 4^5 + 5^5 +・・・ =-1/252
・
・
という不思議は、初等的な実数範囲内の議論で@より自然に導出される。
詳しくは、<cos(x/2)/sin(x/2)=・・式からも、繰り込み値が自然に出る>を参照されたい。
一方、
ζ(0)=1 + 1 + 1 + 1 + 1 + ・・・=-1/2
ζ(-2)=1^2 + 2^2 + 3^2 + 4^2 + 5^2 +・・・ =0
ζ(-4)=1^4 + 2^4 + 3^4 + 4^4 + 5^4 +・・・ =0
ζ(-6)=1^6 + 2^6 + 3^6 + 4^6 + 5^6 +・・・ =0
・
・
という神秘は、初等的な実数範囲内の議論でAより自然に導出される。
詳しくは、一つ上の<-1/2=cosx+cos2x+・・とζ(0),ζ(-2),ζ(-4),・・の繰り込み>を参照されたい。
さて、この@とAを冷静にふりかえろう。
例えば、@での<cos(x/2)/sin(x/2)=・・式からも、繰り込み値が自然に出る>を復習すれば、
そこでは、f(x)=1/2・cos(x/2)/sin(x/2)という関数のx=πの周りでテイラー展開を実行している。
すなわち、少し厳密に書けば、次のように計算していた。
1/2・cos(x/2)/sin(x/2)
=f´(π)・(x-π) + f´´´(π)・(x-π)^3/3! + f´´´´´(π)・(x-π)^5/5! + ・・・
=-1/4・(x-π) - 1/48・(x-π)^3 - 1/480・(x-π)^5 - ・・・
本質的には次のようにしていたわけである。
f´(π)・(x-π) + f´´´(π)・(x-π)^3/3! + f´´´´´(π)・(x-π)^5/5! + ・・・
=-(1-2^2)・ζ(-1)・(x-π) + (1-2^4)・ζ(-3)・(x-π)^3/3!- (1-2^6)・ζ(-5)・(x-π)^5/5!+・・・
さて、@の左辺のcos(x/2)/sin(x/2)を、(2n-1)回微分したf´(π), f´´´(π),f´´´´´(π),・・が登場している
ことに着目しよう。いま1回微分の値f´(π),3回微分の値 f´´´(π),5回微分の値f´´´´´(π),・・が、それぞれ
ζ(-1),ζ(-3),ζ(-5),・・・に対応しているという重大な点に注目されたい。
これで、「いくつかの点」シリーズ以来、重回積分-重回微分の理論を用いて、cos(x/2)/sin(x/2)の(2n-1)回微分
を見よ)、そのゼータの不思議のカラクリがここではじめてわかったのである!
つまり、
@という中心母等式(フーリエ展開式)にテイラー展開という作用を加えることにより、不思議な特殊値がべき級数の
係数として現れるという構造が、私の重回積分-重回微分の理論(予想L-4)に裏側に潜んでいたということである。
そしてそれは当然一つ上のAの<-1/2=cosx+cos2x+・・とζ(0),ζ(-2),ζ(-4),・・の繰り込み>にも全く同様に
適用される。
ゼータ世界は、フーリエとテイラーという2世界の調和の上に成り立っているのであった。
ゼータの不思議は、@、Aというフーリエ展開式に、テイラー展開という作用を与えることでひき起こされ
る。
ここまでくれば、予想L-4でπ/nを代入することにより、様々なL(χ,s)特殊値がとび出してくる不思議な現象も、
統一的に理解できる道が見えてきた。
それも「ゼータ惑星」で見た予想L-4周辺でのある秩序に則って出現してくるという構造になっている。
一つ具体的にいえば、@やAにπ/2を代入することにより、L(χ,s)の一種のゼータ関数L(s)の特殊値がどん
その不思議も、もはや@、Aの中心母等式(フーリエ展開式)を、π/2の周りでテイラー展開することで出てきて
いたのだと容易に理解されるのである。
L(s)の不思議な特殊値も、ζ(s)特殊値と同様この「ハレー彗星」の「その1」〜「その3」と同様の方法で、
出現してくるに違いない。
ほんとうに出現してくるかどうか。実験してみることにしよう。「その4」以降で示したい。
***********************************************************************************
さて、読者はこの意味を理解しておられるであろうか?
私が提示した予想L-4は際立った美しさをそなえた予想であるが、その美しさの背後に隠れていたゼータ世界
の構造が、この「ハレー彗星」の中で見えてきたのである。
完全にわかってしまったといえる。
例えば・・
で示した通りであるが、それがx=πの周りのテイラー展開に支配されているためにおこっていたわけである。
「土星 その1」で示した通りだが、それはx=π/2の周りのテイラー展開に支配されているためにおこって
いる。
ているためにおこっているといえる。
他に、さまざまなπ/nを代入をして色々なゼータの値を「ゼータ惑星」で出現させてきたわけであるが、すべて
根底にテイラー展開があったということである。
頭の中を整理整頓するために、上にあげた三つの例を、この「ハレー彗星」での発見と「ゼータ惑星」でのπ/n
代入による計算例とならべることで、より視覚的にわかりやすくしておきます。
明日以降に書きます。
さて、三つの例のまず次から見ていこう。
ここでは「火星 その6」の場合、ζ(2n+1)の値の場合(非明示な場合)を見る。
[A]と[B]を比較する形で見られたい。
「火星 その6」の部分を抜きだし[A]としよう。
[A]*****************************************************************************
cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・) -----@
では、@を重回積分-重回微分した結果を書き下していきます。
[重回積分、重回微分した一連の式]
・
・
4回微分
{2sinx・sin(x/2)+4(2+cosx)cos(x/2)}/(sin(x/2))^5=2^4sinx + 4^4sin2x + 6^4sin3x + 8^4sin4x + ・・・・
3回微分
(2+cosx)/(sin(x/2))^4=2^3cosx + 4^3cos2x + 6^3cos3x + 8^3cos4x + ・・・・
2回微分
cos(x/2)/(sin(x/2))^3=-(2^2sinx + 4^2sin2x + 6^2sin3x + 8^2sin4x + ・・・・)
1回微分
-1/(sin(x/2))^2=2(2cosx + 4cos2x + 6cos3x + 8cos4x + ・・・・)
0回積分
cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・・)
1回積分
log(2sin(x/2))=-(cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 + ・・・)
2回積分
∫log(2sin(x/2))=-(sinx/1^2 + sin2x/2^2 + sin3x/3^2 + ・・・)
3回積分
∫∫log(2sin(x/2))=(cosx/1^3 + cos2x/2^3 + cos3x/3^3 + ・・・) - ζ(3)
4回積分
∫∫∫log(2sin(x/2))=(sinx/1^4 + sin2x/2^4 + sin3x/3^4 + ・・・) - ζ(3)・x/1!
5回積分
∫∫∫∫log(2sin(x/2))=-(cosx/1^5 + cos2x/2^5 + cos3x/3^5 + ・・・) + ζ(5) - ζ(3)・x^2/2!
6回積分
∫∫∫∫∫log(2sin(x/2))
=-(sinx/1^6 + sin2x/2^6 + sin3x/3^6 + ・・・) + ζ(5)・x/1! - ζ(3)・x^3/3!
7回積分
∫∫∫∫∫∫log(2sin(x/2))
=(cosx/1^7 + cos2x/2^7 + cos3x/3^7 + ・・・) - ζ(7) + ζ(5) ・x^2/2! - ζ(3)・x^4/4!
8回積分
∫∫∫∫∫∫∫log(2sin(x/2))
=(sinx/1^8 + sin2x/2^8 + sin3x/3^8 + ・・・) - ζ(7)・x/1! + ζ(5)・x^3/3! - ζ(3)・x^5/5!
・
・
と、このように上下に延々と続いていきます。すべての∫は0〜xの定積分、またdx・・dxは略しました。
”log(sin(x/2)) + log2” は、log2(sin(x/2)) とまとめました。
上の式の x にπを代入すると、次のようになります。
[π代入の式]
・
・
4回微分
0=0
3回微分
ζ(-3)=1/120
2回微分
0=0
1回微分
ζ(-1)=-1/12
0回積分
0=0
1回積分
1- 1/2 + 1/3 - 1/4 + 1/5 - 1/6 + 1/7 + ・・・=log2
2回積分
0 =∫(0〜π) log(2sin(x/2))
3回積分
- (1-1/2^2)ζ(3) - ζ(3) =∫(0〜π)∫log(2sin(x/2))
4回積分
-ζ(3)・π=∫(0〜π)∫∫log(2sin(x/2))
5回積分
(1-1/2^4)ζ(5) + ζ(5) - ζ(3)・π^2/2!=∫(0〜π)∫∫∫log(2sin(x/2))
6回積分
ζ(5)・π - ζ(3)・π^3/3!=∫(0〜π)∫∫∫∫log(2sin(x/2))
7回積分
-(1-1/2^6)ζ(7) - ζ(7) + ζ(5)・π^2/2!- ζ(3)・π^4/4!=∫(0〜π)∫∫∫∫∫log(2sin(x/2))
8回積分
-ζ(7)・π + ζ(5)・π^3/3!- ζ(3)・π^5/5!=∫(0〜π)∫∫∫∫∫∫log(2sin(x/2))
・
・
と、奇数のζ(2n+1)が次々と出る式が並びます。
上で右辺の重回積分は一番左の(最後の)∫だけが0〜πの定積分で、他の∫はすべて0〜xの定積分です。
********************************************************************************
上の[A]の結果は、美しさだけが際立っていたわけであるが、その微分側の構造の本質は次で明らかに
なった。
[B]*****************************************************************************
cos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・) -----@
(0 < x < 2π)
ζ(-1)=1 + 2 + 3 + 4 + 5 + ・・・=-1/12
ζ(-3)=1^3 + 2^3 + 3^3 + 4^3 + 5^3 +・・・ =1/120
ζ(-5)=1^5 + 2^5 + 3^5 + 4^5 + 5^5 +・・・ =-1/252
・
・
という不思議は、初等的な実数範囲内の議論で@より自然に導出される。以下に示す。
まず@の右辺の sinx,sin2x, sin3x, sin4x・・・各々のx=πの周りでのテイラー展開を並べよう。
sinx=-(x-π) +(x-π)^3/3!- (x-π)^5/5!+ ・・・
sin2x=2(x-π) - 2^3・(x-π)^3/3!+ 2^5・(x-π)^5/5!- ・・・
sin3x=-3(x-π) + 3^3・(x-π)^3/3!- 3^5・(x-π)^5/5!+ ・・・
・
・
これを縦に足していき、(x-π)^nの同じ次数の項をまとめると、次のようになる。
sinx + sin2x + sin3x + ・・・
=-(1-2+3-4+・・)(x-π) + (1-2^3+3^3-4^3+・・)(x-π)^3/3!
- (1-2^5+3^5-4^5+・・)(x-π)^5/5!+ ・・・
=-(1-2^2)・ζ(-1)・(x-π) + (1-2^4)・ζ(-3)・(x-π)^3/3!- (1-2^6)・ζ(-5)・(x-π)^5/5!+・・・
よって、
sinx + sin2x + sin3x + ・・・
=-(1-2^2)・ζ(-1)・(x-π) + (1-2^4)・ζ(-3)・(x-π)^3/3!- (1-2^6)・ζ(-5)・(x-π)^5/5!+・・・ -----A
となる。
次に<cos(x/2)/sin(x/2)=・・式からも、繰り込み値が自然に出る>で@の左辺の1/2・cos(x/2)/sin(x/2)=f(x)
という関数のx=πの周りでのテイラー展開も実行した。
すなわち次のように計算した。
1/2・cos(x/2)/sin(x/2)
=f´(π)・(x-π) + f´´´(π)・(x-π)^3/3! + f´´´´´(π)・(x-π)^5/5! + ・・・
=-1/4・(x-π) - 1/48・(x-π)^3 - 1/480・(x-π)^5 - ・・・ -----B
@、A、Bより次が成り立つ。
f´(π)・(x-π) + f´´´(π)・(x-π)^3/3! + f´´´´´(π)・(x-π)^5/5! + ・・・
=-(1-2^2)・ζ(-1)・(x-π) + (1-2^4)・ζ(-3)・(x-π)^3/3!- (1-2^6)・ζ(-5)・(x-π)^5/5!+・・・ -----C
@の左辺のcos(x/2)/sin(x/2)=f(x)を、(2n-1)回微分したf´(π), f´´´(π),f´´´´´(π),・・が登場している
ことに着目されたい。
そして、テイラー展開の係数に、繰り込み値の特殊値がのってくるという驚くべき構造!
Cは重大な式なのである。
Cの左辺と右辺の同次数の(x-π)^nの項同士をくらべると、1回微分の値f´(π),3回微分の値 f´´´(π),5回
微分の値f´´´´´(π),・・が、それぞれζ(-1),ζ(-3),ζ(-5),・・・に対応している。
つまり[A]で、「@の両辺を1回微分してx=πを代入するとζ(-1)が出た。また3回微分してx=πを代入すると
ζ(-3)が出た。・・・」となっているのはCをみると当然!となる。
[A]の微分側の結果は、このC式が元になっていたのである。
*******************************************************************************
この[A]と[B]の比較で「火星 その6」で見た不思議、@を(2n-1)回微分してπ代入すると(n=0, 1, 2,・・)
なぜかζ(-(2n+1))値が求まるその不思議の理由がわかったといえる。
つまり、
@の中心母等式(フーリエ展開式)にテイラー展開という作用を加えると、ゼータ特殊値がべき級数の係数と
して現れるという構造が、私の理論(予想L-4)の裏側に潜んでいたからなのである。
@を(2n+1)回微分してπ代入すると、ζ(-(2n+1))値が生まれてくる。
N回微分のNと、ζ(-N)のNが一致するという驚くべき事実を覚えておいていただきたい。
後に、私はこれを一般化する。その布石となりのが、この事実なのである。
次に、ζ(2n)の場合を見ることにする。
ここではζ(2n)の値の場合を見る。
ここではζ(2n)の場合、「土星 その1」(明示的な場合)を見ていく。[A]と[B]を比較する形で見られたい。
「土星 その1」の部分を抜きだし[A]としよう。
[A]*****************************************************************************
-1/2=cosx + cos2x + cos3x + cos4x + ・・・・ -----@
まず@を重回積分-重回微分した結果を書き下していきます。
非明示的な場合は8回積分まで求めていましたが、この明示的な場合は”6回積分まで”としました。
[重回積分、重回微分した一連の式]
・
・
4回微分
0=cosx + 2^4cos2x + 3^4cos3x + 4^4cos4x + ・・・・
3回微分
0=sinx + 2^3sin2x + 3^3sin3x + 4^3sin4x + ・・・・
2回微分
0=-(cosx + 2^2cos2x + 3^2cos3x + 4^2cos4x + ・・・・)
1回微分
0=- (sinx + 2sin2x + 3sin3x + 4sin4x + ・・・・)
0回積分
-1/2=cosx + cos2x + cos3x + cos4x + ・・・・
1回積分
π/2 - 1/2・x=sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・・・
2回積分
π/2・x - 1/2・x^2/2!=- (cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・・) + ζ(2)
3回積分
π/2・x^2/2! - 1/2・x^3/3!=- (sinx/1^3 + sin2x/2^3 + sin3x/3^3 + ・・・) + ζ(2)・x
4回積分
π/2・x^3/3!- 1/2・x^4/4!= (cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・・) - ζ(4) + ζ(2)・x^2/2!
5回積分
π/2・x^4/4!- 1/2・x^5/5!= (sinx/1^5 + sin2x/2^5 + sin3x/3^5 + ・・・) - ζ(4)・x + ζ(2)・x^3/3!
6回積分
π/2・x^5/5!- 1/2・x^6/6!
= - (cosx/1^6 + cos2x/2^6 + cos3x/3^6 + ・・・) + ζ(6) -ζ(4)・x^2/2!+ ζ(2)・x^4/4!
と、このように上下に延々と続いていきます。
上の式の x にπを代入すると、次のようになります。
[π代入の式]
・
・
4回微分
ζ(-4)=0
3回微分
0=0
2回微分
ζ(-2)=0
1回微分
0=0
0回積分
ζ(0) =-1/2
1回積分
0=0
2回積分
(1-1/2)ζ(2) + ζ(2) =π/2・π - 1/2・π^2/2!
3回積分
ζ(2)・π=π/2・π^2/2! - 1/2・π^3/3!
4回積分
-(1-1/2^3)ζ(4) - ζ(4) + ζ(2)・π^2/2!=π/2・π^3/3! - 1/2・π^4/4!
5回積分
-ζ(4)・π + ζ(2)・π^3/3!=π/2・π^4/4! - 1/2・π^5/5!
6回積分
(1-1/2^5)ζ(6) + ζ(6) - ζ(4)・π^2/2! + ζ(2)・π^4/4!
=π/2・π^5/5! - 1/2・π^6/6!
・
・
と、ζ(2n)が出る式が並びます。
********************************************************************************
上の[A]の結果は美しい秩序所を形作っているが、その微分側の構造の本質は次の[B]で明らかになる。
[B]*****************************************************************************
-1/2=cosx + cos2x + cos3x + cos4x + ・・・・ -------@
(0 < x < 2π)
ζ(0)=1 + 1 + 1 + 1 + 1 + ・・・=-1/2
ζ(-2)=1^2 + 2^2 + 3^2 + 4^2 + 5^2 +・・・ =0
ζ(-4)=1^4 + 2^4 + 3^4 + 4^4 + 5^4 +・・・ =0
ζ(-6)=1^6 + 2^6 + 3^6 + 4^6 + 5^6 +・・・ =0
・
・
この不思議な特殊値が意味することは、以下のようなことであった。
(s=-2,-4,-6,・・・はζ(s)の自明な零点である。)
まず@の右辺の cosx,cos2x, cos3x, cos4x・・・各々のx=πの周りでのテイラー展開を並べよう。
cosx=-1 + (x-π)^2/2!- (x-π)^4/4!+ (x-π)^6/6!- ・・・
cos2x=1 - 2^2・(x-π)^2/2!+ 2^4・(x-π)^4/4!- 2^6・(x-π)^6/6!+ ・・・
cos3x=-1 + 3^2・(x-π)^2/2!- 3^4・(x-π)^4/4!+ 3^6・(x-π)^6/6!- ・・・
cos4x=1 - 4^2・(x-π)^2/2!+ 4^4・(x-π)^4/4!- 4^6・(x-π)^6/6!+ ・・・
・
・
これを縦に足していき、(x-π)^nの同じ次数の項をまとめると、次のようになる。
cosx + cos2x + cos3x + ・・・
=-(1-1+1-1+・・)+ (1-2^2+3^2-4^2+・・)(x-π)^2/2!
- (1-2^4+3^4-4^4+・・)(x-π)^4/4!+ (1-2^6+3^6-4^6+・・)(x-π)^6/6!+・・・
=-(1-2^1)ζ(0) + (1-2^3)ζ(-2)・(x-π)^2/2!- (1-2^5)ζ(-4)・(x-π)^4/4!+(1-2^7)ζ(-6)・(x-π)^6/6!-・・・
よって、
cosx + cos2x + cos3x + ・・・
=-(1-2^1)ζ(0) + (1-2^3)ζ(-2)・(x-π)^2/2!
- (1-2^5)ζ(-4)・(x-π)^4/4!+(1-2^7)ζ(-6)・(x-π)^6/6!- ・・・ ------A
次に、@の左辺の-1/2=f(x)という関数の直接的なテイラー展開をみる。
f(x)=-1/2のx=πの周りでのテイラー展開は、あっけないが、もちろん
f(x)=-1/2
である。
すなわち、-1/2=-1/2 ------B
である。
@、A、Bより、次が成り立つ。
-1/2 = -(1-2^1)ζ(0) + (1-2^3)ζ(-2)・(x-π)^2/2!
- (1-2^5)ζ(-4)・(x-π)^4/4!+(1-2^7)ζ(-6)・(x-π)^6/6!- ・・・ -----C
このCが重大な式となっている。
準備はOK。Cは恒等的に成り立たねばならないから、左辺と右辺を比較して、
ζ(0)=-1/2
ζ(-2)=0
ζ(-4)=0
ζ(-6)=0
・
・
となる。
ζ(0)を除くと、結局、自明な零点x=-2,-4,-6,・・の値、つまり、
ζ(-2)=1^2 + 2^2 + 3^2 + 4^2 + 5^2 +・・・ =0
ζ(-4)=1^4 + 2^4 + 3^4 + 4^4 + 5^4 +・・・ =0
ζ(-6)=1^6 + 2^6 + 3^6 + 4^6 + 5^6 +・・・ =0
ζ(-8)=1^8 + 2^8 + 3^8 + 4^8 + 5^8 +・・・ =0
・
・
という不思議は上のようなカラクリで導出されるのであった。
初等的な実数範囲内の議論で、自然に自明な零点での値ζ(-2n)が導出されることに注目いただきたい。
Cの左辺と右辺をくらべると、f(x)=-1/2の0回微分の値f(π),2回微分の値f´´(π),4回微分の値 f´´´´(π),・・
が、それぞれζ(0),ζ(-2),ζ(-4),・・・に対応しているとわかる。
[A]で@を0回微分してx=πを代入するとζ()が出た。@を2回微分してx=πを代入するとζ(-2)が出た。
また4回微分してx=πを代入するとζ(-4)が出た。・・・・ζ(-6),ζ(-8),以下同様・・・となるのはCをみると当然!
となる。
[A]の微分側の結果は、このC式が元になっていたのである。
*******************************************************************************
この[A]と[B]の比較で 「土星 その1」で見た不思議、@を2n回微分してπ代入すると(n=1, 2,・・)なぜか
ζ(-2n)値が求まるその不思議の理由がわかったといえる。
つまり、
@の中心母等式(フーリエ展開式)にテイラー展開という作用を加えると、ゼータ特殊値がべき級数の係数と
して現れるという構造が、私の理論(予想L-4)の裏側に潜んでいたからなのである。
@式を2n回微分してπ代入すると、ζ(-2n)値が生まれてくる。
ここでもN回微分のNと、ζ(-N)のNが一致するという驚くべき事実に注目したい。
π/2代入の場合は、頁を変えて「その6」で説明する。
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