ハレー彗星 その4

 L(s)ゼータの特殊値L(0),L(-2),L(-4),・・・が、中心母等式cos(x/2)/sin(x/2)とテイラー展開の関係から自然
に導出されることを示す。L(s)の関数等式を cosx/sinx から導くことに成功した。
また、負の奇数点での特殊値L(-1),L(-3),L(-5),・・・が中心母等式-1/2=cosx+cos2x+・・とテイラー展開から
導出されることを示した。


2005/8/19 <cos(x/2)/sin(x/2)=・・式からL(0),L(-2),L(-4),・・・を導出する>

  「その3」まででζ(s)の全容が判明したので、ここではディリクレのL関数L(χ,s)の一種のゼータL(s)に焦点を
絞り、その繰り込み値L(0),L(-2),L(-4),・・・が、中心母等式とテイラー展開のからまりから自然に導出される
様を味わうことにしよう。
 その方法は、「その1」〜「その3」までのζ(s)の手法と同じであるので、その手法でL(0),L(-2),L(-4),・・・の
値を導出していきたい。

 L(0)=1-1+1-1+1-1+ ・・・=1/2
 L(-2)=1 - 3^2 + 5^2 - 7^2 + 9^2 - 11^2 + 13^2 - 15^2 + ・・・=-1/2
 L(-4)=1 - 3^4 + 5^4 - 7^4 + 9^4 - 11^4 + 13^4 - 15^4 + ・・・=5/2
 L(-6)=1 - 3^6 + 5^6 - 7^6 + 9^6 - 11^6 + 13^6 - 15^6 + ・・・=-61/2
 L(-8)=1 - 3^8 + 5^8 - 7^8 + 9^8 - 11^8 + 13^8 - 15^8 + ・・・=1385/2
   ・
   ・
 これら不思議な値(右辺)はいったい何を意味しているのだろうか?ということ。

 本質的には予想L-4と同じであるが、直接的なテイラー展開を表に出すことで、より予想L-4の本質的な部分
があぶりだされるということである。(具体的には「火星 その1」のcos(x/2)/sin(x/2)=・・にπ/2を代入
同値である。)

 L(s)は、次で定義されるゼータ関数である。
  L(s)=1 - 1/3^s + 1/5^s - 1/7^s + ・・・

 L(s)はディリクレのL関数L(χ,s)の一種のゼータで、このL(s)は、a≡0, 1, 2, 3 mod 4に対しそれぞれ
χ(a)=0, 1, 0, -1としたときのL(χ,s)に一致する。

 なお整数論において重要な関数であるディリクレのL関数L(χ,s)は、次のように定義され、様々なディリクレ
指標χ(a)に対してL(χ,s)は色々と変ってくるゼータ関数である。
 L(χ,s)=χ(1)/1^s + χ(2)/2^s + χ(3)/3^s + χ(4)/4^s + χ(5)/5^s + χ(6)/6^s + ・・・・

 さて、まず中心母等式の一つを書いておく。

  1/2・cos(x/2)/sin(x/2)=sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・  -----@
                                       (0 < x < 2π)

 これが今回の出発点であるが、私の予想L-4の中心母等式の一つであることはいうまでもない。

まず右辺から考えよう。
 右辺の sinx,sin2x, sin3x, sin4x・・・各々のx=π/2の周りでのテイラー展開を並べよう。
 sinx=1- (x-π/2)/2! + (x-π/2)^4/4!- (x-π/2)^6/6!+ ・・・
 sin2x=-2(x-π/2) + 2^3・(x-π/2)^3/3!- 2^5・(x-π/2)^5/5!- ・・・
 sin3x=-1+ 3^2・(x-π/2)/2! - 3^4・(x-π/2)^4/4!+ 3^6・(x-π/2)^6/6!- ・・・
 sin4x=4・(x-π/2) - 4^3・(x-π/2)^3/3!+ 4^5・(x-π/2)^5/5!- ・・・
 sin5x=1- 5^2・(x-π/2)/2! + 5^4・(x-π/2)^4/4!- 5^6・(x-π/2)^6/6!+ ・・・
 sin6x=-6・(x-π/2) + 6^3・(x-π/2)^3/3!- 6^5・(x-π/2)^5/5!+ ・・・
   ・
   ・
 これを縦に足していき、(x-π/2)^nの同じ次数の項をまとめると、次のようになる。

sinx + sin2x + sin3x + ・・・ 
 =(1-1+1-1+・・) + (-2+4-6+8-・・)(x-π/2)/1!+ (-1+3^2-5^2+7^2-・・)(x-π/2)^2/2!
   + (2^3-4^3+6^3-8^3+・・)(x-π/2)^3/3!+ (1-3^4+5^4-7^4+・・)(x-π/2)^4/4!
   + (-2^5+4^5-6^5+8^5-・・)(x-π/2)^5/5!+ (-1+3^6-5^6+7^6-・・)(x-π/2)^6/6!+・・・

 =(1-1+1-1+・・) -2(1-2+3-4+・・)(x-π/2)/1!- (1-3^2+5^2-7^2+・・)(x-π/2)^2/2!
   + 2^3(1-2^3+3^3-4^3+・・)(x-π/2)^3/3!+ (1-3^4+5^4-7^4+・・)(x-π/2)^4/4!
   - 2^5(1-2^5+3^5-4^5+・・)(x-π/2)^5/5!- (1-3^6+5^6-7^6+・・)(x-π/2)^6/6!+・・・

 =L(0) -2(1-2^2)ζ(-1)(x-π/2)/1!- L(-2)(x-π/2)^2/2!
   + 2^3(1-2^4)ζ(-3)(x-π/2)^3/3!+ L(-4)(x-π/2)^4/4!
   - 2^5(1-2^6)ζ(-5)(x-π/2)^5/5!- L(-6)(x-π/2)^6/6!+・・・

よって、
sinx + sin2x + sin3x + ・・・ 
 =L(0) -2(1-2^2)ζ(-1)(x-π/2)/1!- L(-2)(x-π/2)^2/2!
     + 2^3(1-2^4)ζ(-3)(x-π/2)^3/3!+ L(-4)(x-π/2)^4/4!
       - 2^5(1-2^6)ζ(-5)(x-π/2)^5/5!- L(-6)(x-π/2)^6/6!+ ・・・   -----A

が得られた。
 なんとも、麗しい姿である。

 このようにテイラー展開の係数にゼータの繰り込み値L(0),L(-2),L(-4),・・・やζ(-1),ζ(-3),ζ(-5),・・・
がのってくるのである。

 いまは@の右辺に注目してAが出たが、今度は@の左辺に着目してそのテイラー展開を求めてみる。
1/2・cos(x/2)/sin(x/2)に普通にテイラー展開の公式を適用して計算すると、x=π/2の周りのテイラー
展開は
 1/2・cos(x/2)/sin(x/2)=1/2 - 1/2・(x-π/2) + 1/4・(x-π/2)^2
                        - 1/6・(x-π/2)^3 + 5/48・(x-π/2)^4 - ・・・ -----B

となる。
 よって@、A、Bより次式が成り立つ。

  L(0) -2(1-2^2)ζ(-1)(x-π/2)/1!- L(-2)(x-π/2)^2/2!
     + 2^3(1-2^4)ζ(-3)(x-π/2)^3/3!+ L(-4)(x-π/2)^4/4!
       - 2^5(1-2^6)ζ(-5)(x-π/2)^5/5!- L(-6)(x-π/2)^6/6!+ ・・・
    =1/2 - 1/2・(x-π/2) + 1/4・(x-π/2)^2
                        - 1/6・(x-π/2)^3 + 5/48・(x-π/2)^4 - ・・・   -----C

 これで準備OK。左辺と右辺の(x-π/2)^nの同次数の項を比較して、
   L(0)=1/2

 - L(-2)/2!= 1/4
  よって、L(-2)=-1/2

 L(-4)/4!= 5/48
  よって、L(-4)=5/2
   ・
   ・
また、もちろん、次も出てきている。
 ζ(-1)=-1/12
 ζ(-3)=1/120
 ζ(-5)=-1/252
  ・
  ・
 このように予想L-4の中心母等式の一つ@から、教科書に書いてあるL(0)を含むL(s)の負の偶数点での値(繰り
込み値)が自然に出てくるのである。

 ここでもζ(s)の場合と同様、フーリエ級数@式をテイラー展開という側面からも支持する形でL(0),L(-2),
L(-4),・・・の値が決まっていたのである。
 L(s)の不思議の仕組みはこのようになっていたのであった。

これは「火星その1」のcos(x/2)/sin(x/2)=2(sinx + sin2x +・・ )にπ/2を代入でやったことと本質的には
同値である。上とよく比較されたい。重回積分-重回微分の理論は、こういうカラクリになっていたのである。

 しかし、同値ではあっても、中心母等式の左辺 1/2・cos(x/2)/sin(x/2) のテイラー展開の係数という意味合い
で、これら不思議な特殊値が確定されているということがわかってきたことは、ゼータ世界が、フーリエ展開と
テイラー展開の二つに大きな影響をうけて成っていることを示しており、それはゼータ世界の根源がすこし照らし
出されはじめたともいえ、まったく興味深いことといえよう。


 それにしてもA式はきれいである。もう一度、書いておこう。

sinx + sin2x + sin3x + ・・・ 
 =L(0) -2(1-2^2)ζ(-1)(x-π/2)/1!- L(-2)(x-π/2)^2/2!
     + 2^3(1-2^4)ζ(-3)(x-π/2)^3/3!+ L(-4)(x-π/2)^4/4!
       - 2^5(1-2^6)ζ(-5)(x-π/2)^5/5!- L(-6)(x-π/2)^6/6!+ ・・・

あるいは同じだが、

1/2・cos(x/2)/sin(x/2)
 =L(0) -2(1-2^2)ζ(-1)(x-π/2)/1!- L(-2)(x-π/2)^2/2!
     + 2^3(1-2^4)ζ(-3)(x-π/2)^3/3!+ L(-4)(x-π/2)^4/4!
       - 2^5(1-2^6)ζ(-5)(x-π/2)^5/5!- L(-6)(x-π/2)^6/6!+ ・・・





2005/8/20      < L(s)<->L(1-s) の関数等式の導出 >

 「ハレー彗星 その2」の<cos(x/2)/sin(x/2)=・・式からも、関数等式が導出できる!>で、ζ(s)の関数等式
を導いたが、類似の手法を用いることによって、なんとL(s)の関数等式も導くことができたので、報告したい。
導出の鍵は、x=π/2の周りのテイラー展開である。

 じつは「L(s)の関数等式はオイラーが導いている」ということしか知らず、その式自体は知らなかったのである
が、気になっていた。ζ(s)の類似を行なえば、L(s)の関数等式が出るはず!という方針から、今回それを行い
美しい対称的な式を導くことに成功した。

 まずL(s)の関数等式を書いておこう。次である。

  L(1-m)=π^(-m)・2^m・(m-1)!・sin(mπ/2)・L(m)   -----@
                                    m=1,3,5,7,・・・

 美しいではないか!
 参考までに、ζ(s)の関数等式も載せておく。比較しつつ愛でられたい。
 ζ(1-m)=π^(-m)・2^(1-m)・(m-1)!・cos(mπ/2)・ζ(m)   -----A
                                    m=2,4,6,8,・・・

さて、中心母等式BからAを導いていく。

 1/2・cos(x/2)/sin(x/2)=sinx + sin2x + sin3x + sin4x + ・・・  -----B
                                         (0 < x < 2π)

 途中の計算はζ(s)の場合より、やや複雑になるが、本質的には同じ方法なので省略をいれつつ書いて
いきたい。 Bからゼータの神秘がとび出してくる様を味わおう。

[@の導出]
 <cos(x/2)/sin(x/2)=・・式からも、関数等式が導出できる!>と同様に、ここでもキーポイントは
部分分数展開の式である。関数等式の導出では、これが決定的な役割を果たしてくれる。

 「マグロウヒル数学公式・数表ハンドブック」(Murray R. Spiegel著、氏家勝巳訳、オーム社)には、次の
cosx/sinxの部分分数展開の式がのっている。それを利用する。

cosx/sinx
 =1/x + 2x{1/(x^2-π^2) + 1/(x^2-4π^2) + 1/(x^2-9π^2) + 1/(x^2-16π^2)+ ・・} ----C

Bを意識したいので変数変換して、上を書き直すと、

1/2・cos(x/2)/sin(x/2)
 =1/x +(x/2){1/{(x/2)^2-π^2} +1/{(x/2)^2-4π^2} +1/{(x/2)^2-9π^2} +1/{(x/2)^2-16π^2} +・・} ---D
                                                       (0 < x < 2π)

 この左辺は、Bの中心母等式の左辺になっていることに着目されたい。
方針はこうである。
 BとDより、Dの右辺とBの右辺は等しい。
そこで、「Dの右辺の各項のテイラー展開を足し合わせた結果としてのテイラー展開」と、「Bの右辺の各項の
テイラー展開を足し合わせた結果としてのテイラー展開」を比較すれば、関数等式がとび出してくるという仕組み
である。(本質的な点は、ζ(s)の場合と同じである。)
 冒頭の結果からもわかるとおり、キーポイントはx=π/2の周りのテイラー展開である。

 まず「Dの右辺のx=π/2の周りのテイラー展開」からいこう。
 少し複雑な計算になるのだが、ある工夫を加えつつ長い計算の末にx=π/2の周りのテイラー展開を導く
ことができた。結論だけかくと、次である。

1/2・cos(x/2)/sin(x/2)
 =(2/π)L(1) - (1-1/2^2)ζ(2)・(2/π)^2・(x-π/2) + L(3)・(2/π)^3・(x-π/2)^2
      - (1-1/2^4)ζ(4)・(2/π)^4・(x-π/2)^3 + L(5)・(2/π)^5・(x-π/2)^4
               - (1-1/2^6)ζ(6)・(2/π)^6・(x-π/2)^5 + ・・・        --------E


 次に「Bの右辺の各項のテイラー展開を足し合わせた結果としてのテイラー展開」を実行しよう。
じつは、これは有り難いことに冒頭ですでに導いていたので、それがそっくり使える。次である。

sinx + sin2x + sin3x + ・・・ 
 =L(0) -2(1-2^2)ζ(-1)(x-π/2)/1!- L(-2)(x-π/2)^2/2!
     + 2^3(1-2^4)ζ(-3)(x-π/2)^3/3!+ L(-4)(x-π/2)^4/4!
       - 2^5(1-2^6)ζ(-5)(x-π/2)^5/5!- L(-6)(x-π/2)^6/6!+ ・・・   -----F


 ここまで来たら、ゴールは見えた。
EとFの左辺同士は等しいから、右辺同士の同次数の(x-π/2)^nの項を比較して、自然に関数等式@が
得られるのであった。
(興味深いことに、ζ(s)の関数等式ζ(1-s)<->ζ(s) まであらわれている・・・)

  L(1-m)=π^(-m)・2^m・(m-1)!・sin(mπ/2)・L(m)   -----@
                                    m=1,3,5,7,・・・

 ここでも、ゼータにおいて重要なL(s)の関数等式が、初等的にまったく自然に導かれたのである。
 @に関係するL(s)の値を書いておきたい。
  ・
  ・
 L(7)=61π^7/184320
 L(5)=5π^5/1536
 L(3)=π^3/32
 L(1)=π/4
 L(0)=1/2
 L(-2)=-1/2
 L(-4)=5/2
 L(-6)=-61/2
 L(-8)=1385/2
   ・
   ・
 興味ある読者は、これらから@が成り立っていることを確認されたい。

 ζ(s)やL(s)での関数等式の議論を振り返ると、結局cosx/sinxから (cotxですが)、ゼータで最も重大な
等式,関数等式が出てきたことがわかる。

  なんという壮大さ・・・





2005/8/22    < -1/2=cosx+cos2x+・・とL(-1),L(-3),L(-5)・・・の繰り込み>

 冒頭で、L(0)をふくむ,負の偶数点での特殊値L(0),L(-2),L(-4),・・・を導出したが、ζ(s)の類似をおこなう
ことにより、つまり「その3」での-1/2=cosx+cos2x+・・とζ(0),ζ(-2),ζ(-4),・・の繰り込みと同様の
手法を用いることで、負の奇数点での特殊値(繰り込み値)L(-1),L(-3),L(-5),・・・を導出できることはもはや
容易に推測できるであろう。

 L(s)は、次で定義されるゼータ関数である。
  L(s)=1 - 1/3^s + 1/5^s - 1/7^s + ・・・

 この負の奇数点での特殊値は、次のようになる。
 L(-1)=1 - 3 + 5 - 7 + 9 - 11 + 13 - 15 + ・・・=0
 L(-3)=1 - 3^3 + 5^3 - 7^3 + 9^3 - 11^3 + 13^3 - 15^3 + ・・・=0
 L(-5)=1 - 3^5 + 5^5 - 7^5 + 9^5 - 11^5 + 13^5 - 15^5 + ・・・=0
 L(-7)=1 - 3^7 + 5^7 - 7^7 + 9^7 - 11^7 + 13^7 - 15^7 + ・・・=0
  ・
  ・
 なぜこのようになるのか?この不思議な式たちはなにを意味しているのか?ということ。

 s=-1,-3,-5,-7,・・・はL(s)の自明な零点となっているのであるが、これが意味することを以下示して
いこう。

 この場合の出発点も予想L-4の中心母等式の一つの次式である。

   -1/2=cosx + cos2x + cos3x + cos4x + ・・・・     -------@
                                (0 < x < 2π)

 やり方はζ(s)の場合と本質的に同様である。
「@の右辺の各々の項cosx, cos2x・・のテイラー展開を足し合わせたテイラー展開と、左辺の直接的なテイラー
展開を比較する」というやり方で、L(-1),L(-3),L(-5),・・・を導出する。
 これが予想L-4と本質的に同じであることはすでに述べたことであるが、予想L-4での不思議な現象が
構造の点から明らかになったということで大きな意味がある。
具体的には「土星 その1」の<-1/2=cosx + cos2x + cos3x + ・・・・ に π/2 を代入>と同値である。

 それでは示していこう。
まず@の右辺の各々のcosx, cos2x・・の項のテイラー展開を足し合わせたテイラー展開の方から。

 右辺の cosx,cos2x, cos3x, cos4x・・・各々のx=π/2の周りでのテイラー展開を並べよう。

 cosx=- (x-π/2)/1!+ (x-π/2)^3/3!- (x-π/2)^5/5!+ (x-π/2)^7/7!- ・・・
 cos2x=-1 + 2^2・(x-π/2)^2/2!- 2^4・(x-π/2)^4/4!+ 2^6・(x-π/2)^6/6!- ・・・
 cos3x= 3・(x-π/2)/1!- 3^3・(x-π/2)^3/3!+ 3^5・(x-π/2)^5/5!- 3^7・(x-π/2)^7/7!+ ・・・
 cos4x=1 - 4^2・(x-π/2)^2/2!+ 4^4・(x-π/2)^4/4!- 4^6・(x-π/2)^6/6!+ ・・・
 cos5x=-5・(x-π/2)/1!+ 5^3・(x-π/2)^3/3!- 5^5・(x-π/2)^5/5!+ 5^7・(x-π/2)^7/7!- ・・・
 cos6x=-1 + 6^2・(x-π/2)^2/2!- 6^4・(x-π/2)^4/4!+ 6^6・(x-π/2)^6/6!- ・・・
 cos7x= 7・(x-π/2)/1!- 7^3・(x-π/2)^3/3!+ 7^5・(x-π/2)^5/5!- 7^7・(x-π/2)^7/7!+ ・・・
 cos8x=1 - 8^2・(x-π/2)^2/2!+ 8^4・(x-π/2)^4/4!- 8^6・(x-π/2)^6/6!+ ・・・
   ・
   ・
 これを縦に足していき、(x-π/2)^nの同じ次数の項をまとめると、次のようになる。

cosx + cos2x + cos3x + ・・・ 
=(-1+1-1+1-・・)+ (-1+3-5+7-・・)(x-π/2)/1!+ (2^2-4^2+6^2-8^2・・)(x-π/2)^2/2!
   + (1-3^3+5^3-7^3+・・)(x-π/2)^3/3!+ (-2^4+4^4-6^4+8^4-・・)(x-π/2)^4/4!・・・
     + (-1+ 3^5-5^5+7^5-・・)(x-π/2)^5/5!+ (2^6-4^6+6^6-8^6+・・)(x-π/2)^6/6!・・・
       + (1-3^7+5^7-7^7+・・)(x-π/2)^7/7!+ (-2^8+4^8-6^8+8^8-・・)(x-π/2)^8/8!+ ・・・
      
=-(1-2^1)ζ(0) - L(-1)・(x-π/2)/1!+ 2^2(1-2^3)ζ(-2)・(x-π/2)^2/2!
             + L(-3)・(x-π/2)^3/3!- 2^4(1-2^5)ζ(-4)・(x-π/2)^4/4!
               - L(-5)・(x-π/2)^5/5!+ 2^6(1-2^7)ζ(-6)・(x-π/2)^6/6!
                 + L(-7)・(x-π/2)^7/7!- 2^8(1-2^9)ζ(-8)・(x-π/2)^8/8!+ ・・・

よって、
cosx + cos2x + cos3x + ・・・ 
 =-(1-2^1)ζ(0) - L(-1)・(x-π/2)/1!+ 2^2(1-2^3)ζ(-2)・(x-π/2)^2/2!
              + L(-3)・(x-π/2)^3/3!- 2^4(1-2^5)ζ(-4)・(x-π/2)^4/4!
                - L(-5)・(x-π/2)^5/5!+ 2^6(1-2^7)ζ(-6)・(x-π/2)^6/6!
                  + L(-7)・(x-π/2)^7/7!- 2^8(1-2^9)ζ(-8)・(x-π/2)^8/8!+ ・・・   -----A

 次に、@の左辺の-1/2=f(x)という関数の直接的なテイラー展開をみる。
f(x)=-1/2のx=π/2の周りでのテイラー展開は、あっけないが、もちろん
 f(x)=-1/2
である。
 すなわち、-1/2=-1/2  ------B
である。

 @、A、Bより、次が成り立つ。

-1/2 =-(1-2^1)ζ(0) - L(-1)・(x-π/2)/1!+ 2^2(1-2^3)ζ(-2)・(x-π/2)^2/2!
              + L(-3)・(x-π/2)^3/3!- 2^4(1-2^5)ζ(-4)・(x-π/2)^4/4!
                - L(-5)・(x-π/2)^5/5!+ 2^6(1-2^7)ζ(-6)・(x-π/2)^6/6!
                  + L(-7)・(x-π/2)^7/7!- 2^8(1-2^9)ζ(-8)・(x-π/2)^8/8!+ ・・・   -----C


 これで準備OK。Cが恒等的になりたつから、左辺と右辺を比較して、
 ζ(0)=-1/2
 L(-1)=0
 ζ(-2)=0
 L(-3)=0
 ζ(-4)=0
 L(-5)=0
 ζ(-6)=0
 L(-7)=0
 ζ(-8)=0
   ・
   ・
と、教科書で示される値が次々に導かれる。
 L(-1),L(-3),L(-5),・・の不思議な値に秘められたゼータの真意はこのようなことであった。
 同時に、ζ(0),ζ(-2),ζ(-4),・・まで得られるのであった。

 そして、冒頭で述べたことはここでもあてはまる。

 中心母等式の左辺 (-1/2) テイラー展開の係数という意味合いで、これら不思議な特殊値が確定されている
ということがわかったことは、「土星 その1」の<-1/2=cosx + cos2x + ・・ に π/2 を代入の不思議の構造が
見えたということであり、そしてそれは、
ゼータ世界の構造が、フーリエ展開とテイラー展開に大きく影響を受けて決定されているという事実を示しているの
である。






その1
その2
その3
その5
その6
その7
その8

ゼータ系の彗星群

数学の研究