フラッシュ&スローシャッター(長時間露光)の撮影です。
水中スローシンクロは、陸上の10倍難しいです。陸で撮れない人は絶対撮れません。
まずスローシンクロの陸上撮影を練習して下さい。情報はネット上にたくさんあります
このページは、陸でスローシンクロが自由に撮れる人向けに書かれます。
スローシンクロの基本は自習です。
陸で、うまく撮影できない人は、来店時ご相談して下さい。夜、事務所で一緒に練習しましょう。
陸で自由にスローシンクロが操れる人が僕がロケハン済みの光り輝く場所で撮影しても、ご本人の現場での臨機応変なロケハン能力・技術・習熟が無ければ、一枚も撮れません。
このページの内容を、水中で試せば撮れるだろうなど考えが甘いです。パターンごとの水中でのカメラや体の動きも、ひたすら反復練習して下さい。
さぁ覚悟して挑んで下さいね〜〜〜
皆さんには少なくともこのページがあります。自分で撮り方・設定を開発する時間は省けます〜
がんばれ〜〜〜
●第四章のブレ・第五章・ライト撮り、特にアクセントライトの理解と撮影経験が必要です。
●このHPではスローシンクロ自体の解説はしません。自習して下さい。ネット上に情報はあります。
●被写体ブレを撮るものと手ブレを撮るものがあります。このページは手ブレを撮りますのでそちらを中心に
自習して下さい。
●ブレの撮影は、長秒撮影と同じです。長秒撮影の方がネット上に情報が多いので併せて自習して下さいね。
●スローシンクロと長秒撮影は、理論だけではなく実際に撮って自習してね。
さて・・・
まず、自習して、戻って来てくださいね〜〜〜
このHPで説明に使う造語の定義をしておきます。
| 像 | フラッシュで撮影する部分 |
| 軌跡 | 定常光で撮影するブレの部分 |
まぁ、自習でも同じ言葉だったと思います。(造語ではないか・・・。)
被写体の像・前景の背景の像・被写体の軌跡・前景の背景の軌跡・後景の背景、などの言葉が出てきます。
●カメラの設定は、先幕シンクロです。(デフォルト設定のはずです。確かめてね。)
●水中ライトが必要です。
●ライトの照射角度は30度以上は必要です。照射角度5〜10度は、難しすぎると僕は思います。
●20〜30itsのライトで撮影可能なパターンもあります。現在持っているライトで可能です。手持ちのターゲットライトのits値を調べて下さい。
●後半になると、100its以上の明るいライトが必要なです。(もしくは複数のライトでも可)
黒抜きを撮影する。
フラッシュで像を撮影し、発光後すぐにカメラを動かし、ライトで軌跡(手ブレ)を撮る。
| SS | 1/2秒以上 |
| F値 | 撮影ごとに調整します。 |
| ISO | ISO100または基準感度 |
| ライト | 最大発光にする。 |
| フラッシュ | 拡散板は外します。 |
| 撮影条件 | 日没時間30分前からナイト 浮遊物の少ない海 |
| 撮影距離 | 条件次第で、変わります。 通常最短〜50cm程度が最適。 条件が良くて、MAX1.5m以内。 |
●像は主にフラッシュ光で撮ります。
●軌跡は主にライト光で撮ります。
●後景の背景は青い自然光で撮ります。
●日没時間30分前からナイトの間で黒抜きが出来る被写体を探します。
●ライトは最大光量で点けます。明るい方が有利です。
●黒抜き撮影後カメラを動かします。先幕シンクロですので、軌跡と反対方向へ
●動かし方は、SSの間に、ファインダーを軌跡を作る被写体が横切る程度です。動かす速度は画角と被写体とカメラの相対速度で決まります。詳細は撮影パターンごとに書きます。
この撮影の最大のポイントです。
この撮影においてはSSが主役でスターです。他はすべてSSに合わせます。
シャッターを押してフラッシュが光った瞬間、カメラを動かします。手が反応する時間が必要なので、最低でもSS1/2秒必要だと思います。
通常の黒抜き(SS1/250)の最低でも125倍の定常光量になります。7EVです。
この意味をよく考えて下さい。ものすごい事をしようとしているわけです。
SSの長さは、作りたい軌跡によって変えます。今回は1/2秒と2秒の2パターンを使っています。詳細は撮影パターンごとに書きます。
もちろんSSを変えると・・・
●SSを短くすると定常光量が減ります。定常光比率が下がり、フラッシュ光量が上がります。結果、像は明瞭になります。像と軌跡の明度コントラストは上がります。しかし、青い自然光とライト光の比率は変わりませんので、後景の背景と軌跡の明度コントラストは変わりません。後景の背景は黒くなるので、色相・彩度コントラストが上がります。
●SSを長くすると定常光量が増えます。定常光比率が上がり、フラッシュ光量が下がります。結果、像は不明瞭になります。像と軌跡の明度コントラストは下がります。しかし、青い自然光とライト光の比率は変わりませんので、後景の背景と軌跡の明度コントラストは変わりません。後景の背景は青くなるので、色相・彩度コントラストが下がります。
(これは第五章の内容ですので詳細は第五章で)
しかし!!!この撮影では、SSは軌跡の長さ・形をつかさどる主役でスターです。
定常光量の調整などは、一切させません。
この撮影においては、F値が脇役で調整役です。
●F値を絞ると定常光量が減ります。定常光比率が下がり、フラッシュ光量が上がります。結果、像は明瞭になります。像と軌跡の明度コントラストは上がります。しかし、青い自然光とライト光の比率は変わりませんので、後景の背景と軌跡の明度コントラストは変わりません。後景の背景は黒くなるので、色相・彩度コントラストが上がります。
●F値を開けると定常光量が増えます。定常光比率が上がり、フラッシュ光量が下がります。結果、像は不明瞭になります。像と軌跡の明度コントラストは下がります。しかし、青い自然光とライト光の比率は変わりませんので、後景の背景と軌跡の明度コントラストは変わりません。後景の背景は青くなるので、色相・彩度コントラストが下がります。
●軌跡の濃淡のコントロールで被写界深度が変わります。被写界深度の調整は、諦めます。取引です。
| F値 | ||
| 絞る | 開ける | |
| 像と軌跡 | 像は明瞭、軌跡は薄く | 像は不明瞭、軌跡は明瞭に濃く |
| 後景の背景 | より黒くなる | より青明るくなってしまう |
| 後景の背景と軌跡 | 明度コントラストは変わらない | 明度コントラストは変わらない |
●軌跡が、薄く目立たない時、F値を開ける。
●軌跡が、濃すぎて、像が目立たない時、F値を絞る。
水中で出来るコントロールはこれだけです。機械操作は非常に単純でシンプルです。
しかも、後景の背景の黒さが変化するため、現実的には微調整しかできません。
F値は、ライトの性能・フラッシュの性能・青い自然光量・撮影距離などにより変わります。F11〜16を使う撮影パターンが多いです。しかし、場合によってはF8〜32まで使います。ケースバイケースです。
●ISO感度を下げると定常光量は変わりませんが定常光比率が下がり、フラッシュ光量が上がります。結果、像は明瞭になります。像と軌跡の明度コントラストは上がります。しかし、青い自然光とライト光の比率は変わりませんので、後景の背景と軌跡の明度コントラストは変わりません。後景の背景は黒くなるので、色相・彩度コントラストが上がります。
●ISO感度を上げると定常光量は変わりませんが定常光比率が上がり、フラッシュ光量が下がります。像と軌跡の明度コントラストは下がります。しかし、青い自然光とライト光の比率は変わりませんので、後景の背景と軌跡の明度コントラストは変わりません。後景の背景は青くなるので、色相・彩度コントラストが下がります。
しかし!!!
今回の主な撮影パターンにおいては、ISO100がデフォルトで、低感度側にほとんど調整が出来ません。
ISO感度での調整は役立たずなので、基本は、ISO100か基準感度で放置
ISO感度が有効な場合もあります。撮影パターンごとに書きます。
●SSは、軌跡をつかさどる主役なので、最初に設定したら、軌跡パターンを変えない限り動かしません。
●ISO感度は、ほぼ役立たずで放置
●F値で、軌跡の濃さと像の濃さを微調整
つまり・・・機械で出来ることは少ないです。F値による微調整だけです。
ロケハンで写真が決まります。
自分の機材に適した、良い条件の時、良い背景で、良い撮影距離にいる、良い被写体を探す能力で写真が決まります。探せなければどんなに頑張っても撮れません。
この撮影は機械で撮る写真ではなく、あなたの知識と経験でロケハンし、技術と鍛錬で撮る写真です。
軌跡はライト撮りです。第五章で学んだように、
| 水中では、『青い自然光に比較してライトは何倍の光量があるか?』を考える事が重要です。 ライトは、光量(絶対量)ではなく青い自然光との比較(相対量)を考えなければいけません。 |
そして、この撮影は、
| 最低でもSS1/2秒必要だと思います。 通常の黒抜き(SS1/250)の最低でも125倍の定常光量になります。7EVです。 |
軌跡は、青い自然光とライト光の定常光で作ります。後景の背景は、青い自然光で作ります。そのため、綺麗で明瞭な軌跡を作るためには、ライト光は青い自然光よりも相対的に、明るい方が良い訳です。ライト光が明るいほど後景の背景に比較して明瞭な軌跡が出来ます。
明るいライトが良い。最大光量でOKです。
(2020年現在照射角度30度以上で明るすぎてデメリットのあるライトは売ってません。)
●照射角度30度以上で出来るだけits値の高いライトが良いです。
現行商品(2020年)では156itsのLF1400-Sが最強だと思います。照射角度5〜10度ではさらにits値の高いライトがありますが、撮影がかなり難しい気がします。
●20〜30itsの普通のターゲットライトでも、撮影パターンによっては、可能ですのでチャレンジして下さい。
(閑話休題)
ライト光が明るくなると、明瞭な軌跡が出来ます。しかし、定常光量が増え、定常光比率が上がり、フラッシュ光量が下がり、像が不明瞭になります。当然、調整を行います。像を明瞭にするためF値を絞り、定常光量は減らさずに、定常光比率を下げ、フラッシュ光量を上げ、像を明瞭にします。結果、暗い背景に明瞭な軌跡と明瞭な像が出来ます。とても良い結果です。
しかし、フラッシュ光量を上げなければいけないため、GN値の高いフラッシュが必要になります。綺麗に撮影するには、明るいライトとGN値の高いフラッシュが必要です。ライトだけ明るくても駄目です。
現行商品では、フラッシュはGN20〜33と比較して、30度では明るすぎるライトは存在しません。もし、5度3200itsでチャレンジする場合は、気を付けて下さい。軌跡は明瞭でも、F値に対してフラッシュ発光量が足りず、像が不明瞭になったり、露出不足になるかもしれません。F値が限界に達することもあり得ます。
●浮遊物の写り込みが多いため光軸間角度は最大にして下さい。
●GN値の大きなフラッシュの方が有利です。
●多灯がGN値が上がるため有利です。
●拡散板など光量が落ちるものは外します。
●発光量は、ライト光量とのコントラスト次第。
●TTL調光の方は、日没前の撮影では露出アンダー気味になりやすいです。その場合は、被写体が白飛びしない程度にプラス側に調光補正して下さい。
●マニュアル発光の方は、撮影距離に応じて、ライト光とのコントラストをF値で調整しながら、マニュアルで適正露出を作って下さい。難しそうですね。頑張って〜
フラッシュ・ライトの能力の限界があります。そのため、撮影条件が厳しいです。これが、この水中スローシンクロ撮影の特徴であり困難な所です。
通常の125倍以上になる青い自然光を処理するためには、極端に青い自然光量が少ない時に撮影するしかありません。
それが・・・
『日没時間30分前からナイト』です。綺麗に撮れるのはもっと短く日没時間15分前からナイトです。
これは機材により変わります。ものすごいライトとものすごいフラッシュがあるならば、昼間でもきれいに撮れます。2020年現在、売られている機材では、上記の時間以外では不可能です。たぶん将来も無理なままではないかと思います。
定常光比率の高い黒抜き撮影ですから、すべての浮遊物が線状に写り込みます。(第四章・ブレ参照) 暗くなるとプランクトンも多数出てきます。浮遊物が多い海では撮影不可能です。浮遊物の写り込みが激しすぎる場合は即座に諦めて下さい。頑張っても無駄です。修整も限度があります。
僕も予想してましたが実際に撮影すると、予想をはるかに超える写り込みがありました。
温帯は暗い海なので、明るさの撮影条件は良いのですが、この浮遊物の写り込みが気になります。難しいのではないかと思っています。試した人、教えて〜
この撮影のポイントはロケハン能力です。
●日没前、既にほとんどの魚は寝ています。極少数の寝る直前の魚を見つけて、黒抜きの絵コンテをロケハン出来れば撮れます。実際には5〜10分だけが撮影可能時間です。その短い間に、ロケハン出来るかどうかにすべてがかかっています。
●暗くなれば暗くなるほど、撮影条件は楽になります。闇夜のナイトでは、暗いライトとフラッシュ1灯でも撮れます。撮影可能時間は1ダイブ中ずっとです。撮影自体は楽勝です。
しかし、、、被写体がいなくなります。
イシモチなら簡単に撮れますが、綺麗じゃない・・・。浮遊系やイカなどは簡単ですが、綺麗になるかどうか・・・ナイトでの被写体探しは僕も今からの課題です。コントラストのある被写体、特に彩度・色相コントラストのある被写体が今の所探せていません。
この写真は、
●黒抜きの後景の背景
●主に水中ライトで撮る軌跡
●主にフラッシュで撮る像
この3つの部分で出来ています。
撮影のコツはこの3つの部分のコントラストをつけることです。
後景の背景よりもコントラストが高い軌跡を作り、その軌跡よりもさらにコントラストの高い像を作ることが目標となります。
●1/2秒以上と長秒撮影で、青い自然光は暴力的に増えます。これをどうやって、減らすことが出来るか?
●青い自然光量が減らせれば後景の背景は黒抜きになり、ライト光の軌跡とのコントラストが出ます。ライトは明るい方がコントラストが大きく明瞭になります。
●軌跡よりもさらに高いコントラストで像を撮影するため、限られたフラッシュ光量の中でどう3つのコントラストのバランスを取るか?
寝てない魚を探すことは大前提ですが・・・
コントラストが作れる被写体を選ぶことも重要です。
●陸上では、車のテールライト・夜景など発光光源を使う事が多いですが、この撮影ではライトの反射光で軌跡を撮ります。反射光源です。明度コントラストが強く出る被写体を選ぶ必要があります。作例で、スカシテンジクダイの軌跡がありますがまさに玉ボケと同じ理屈です。(個章・玉ボケ&キラメルlab参照)
●コントラストが重要です。フラッシュやライトで明度コントラストをつけます。同時に、彩度コントラスト・色相コントラストが大きい被写体選びも重要です。彩度の高い反対色を選ぶとコントラストが強くなります。作例で、彩度の高い黄色の被写体が多いのは、このためです。(傍章・撮影情報・色彩参照)
●日没前〜前後の撮影では、どう頑張っても完璧な黒抜きにはなりません。今のフラッシュ&ライトの限界です。またSSが長いためノイズが出ます。修整で黒を引き締めてあげないとまともな写真にはなりません。修整必須です。
●すべての撮影において、浮遊物の写り込みが激しいです。
修整で、ごみ取りは必須でしょう。しかし修整ではどうしようもないゴミハレーションが出たら、撮影は不可能です。あきらめてもっと良い場所をロケハンしましょう。
書いてある内容がわかりますでしょうか?
第四章・第五章が、きちんと理解していただけていれば、フムフムって感じだと思いますが、、、
今この時点で???だと、自分でコントロールしての撮影は難しいかもしれません。
数式の説明があります。そちらの方が、明解です。
ここまでは数式を出来るだけ簡便な言葉にしようと試みましたが、僕の文章能力では、これが限界。
来店ください。陸上で撮りながら説明すれば、カメラの操作と設定は、とてもシンプルです。
ただしライト撮り・アクセントライトの知識と経験は必須です。
スローシンクロの詳細が知りたい人は、下記のリンクの数式解説を読んで下さい。
このレベルになると文章では書けません。
水中スローシンクロは漠然と考えて、撮り方や撮影条件などわかりません。カメラという光学機器が行っている計算を理解しなければいけません。
| 数式解説へのリンク |
撮影パターンがいくつかあり、それぞれ設定・撮り方が異なります。
パターンごとの説明です。
●スローシンクロの理論も何も理解してなくても撮れます。
●第二章が理解出来ていれば撮れます。
●特殊な機材は不要です。
撮影方法
●ナイトダイビングです。
●ターゲットライトを必ず点灯します。特に明るいライトでなくて構いません。10its〜20its程度で十分です。
●被写体に出来るだけ近寄って撮ります。離れると難しくなるので50cm以内です。。
●黒抜きを撮れる被写体を探します。ムチカラマツエビ・ガラスハゼが、最も簡単で綺麗に撮れます。
●撮ったらすぐ5cm〜10cmくらいカメラを動かします。動かした方向と逆に軌跡が出来ます。スムースに一方向だけに動かします。動かし方がうまくないと変なブレが出て像が綺麗ではなくなります。カシャ〜スゥゥ〜〜です。カシャ〜カクッ〜スゥゥ〜〜はだめです。陸で練習して挑みましょう。
●ISO100・SS1/2です。
●F値で調整します。とりあえずF16でスタート
●軌跡が濃過ぎて、像がブレて不明瞭な場合は、F値を絞ります。F19・F22・F27・F32
●軌跡が薄すぎて、写らない場合は、F値を開けます。F13・F11
これだけです。
ナイトで黒抜き撮ってF値を上げ下げするだけです。
地面に居る被写体の場合、被写体の地面の軌跡が被りますので被写体が不明瞭になります。軌跡を薄めにするのがコツです。地面と違う色、違う明るさ、黄色系の被写体を選ぶと効果的です。
●さてこれだけです。誰でも絶対撮れます。家で夜に練習です。黒抜きなので後景が必要です。室内では中景になります。室外が良いです。1pくらいの小さな物置いて、50p以内で試して〜ほら綺麗に軌跡が出るでしょ?F値を上げ下げして、軌跡の濃さを変化させてください。この練習をしっかりやれば、水中で1回目から必ず綺麗に撮れます。
●下の記述では、地面のウミウシはスローシンクロオーバーレイです。ムチカラマツエビは、スローシンクロ・ナイトです。
基本形です。被写体の像と被写体の軌跡
●SS1/2・ISO100(基準感度)
●被写体にライトを当てる。可能な場合は被写体の近くに置きライトが良い。(浮遊物の写り込みが減る・被写体にライトが近い)
●試撮り。軌跡と像のコントラストを見て、F値を調整。
●実際のF値はフラッシュGN値・ライト光量・撮影距離により変わる。F11〜32。F16前後が一般的。
●1/2秒の間に被写体がファインダー内を横切れば良いので、カメラはゆっくりまっすぐ動かす。撮影距離によるが、カメラの動きは30cm/秒程度で十分
((注意))
●後景の背景と軌跡のコントラストは、青い自然光とライト光の相対比で決まるためF値などでは変えられません。
●暗い方が、コントラストが強く明瞭な軌跡になるため、撮りながら暗くなるのを待つ。徐々に軌跡が明瞭になります。
●日没前の魚が寝る最後の10分程度だけが最適撮影時間です。
●撮影距離が近い子。高く飛ぶ子。画角にあった被写体サイズ。背景が後景になる場所。浮遊物の少ない所。
ロケハンは難しいです。光り輝く場所を見つけない限り撮れません。頑張って〜
| スローシンクロ・像と軌跡・作例集 |
スローシンクロ・像と軌跡の応用です。撮り方・設定などすべて同じです。
カメラを動かす時、曲げたり、ひねったりします。
カメラの速度・動き・ひねりで軌跡が変わります。
陸上で、どのような軌跡が出来るか試して下さい。迷ったら撮影可能時間はすぐ終わってしまいます。
| スローシンクロ・TWIST・作例集 |
スローシンクロ・像と軌跡の応用です。撮り方・設定などすべて同じです。
被写体が高く飛ばず岩やサンゴがファインダーの中にあると、その前景の背景も被写体と同じく像と軌跡が写ります。
ファインダーを見ながら前景の背景がある場合は、意識して、軌跡の方向を考えてカメラを動かして下さい。被写体の像に前景の背景の軌跡を重ねてしまうと、像がわかりにくい写真になります。前景の背景と魚の向きが平行になった時がチャンスです。
| スローシンクロ・前景の背景の軌跡・作例集 |
スローシンクロ・像と軌跡の応用です。撮り方・設定などすべて同じです。
ファインダーの中には前景の背景はありません。従って前景の背景の像は写っていません。
しかし、カメラを動かした先に前景の背景があるとライトで撮った軌跡だけが写ります。
軌跡の配置のコントロールが非常に難しいです。
理論的には近くに前景の背景があればいいのですが、現実的には、サンゴや地面ではほぼコントロール不可能です。僕には出来ませんでした。撮影可能な場所は、非常に限定されます。座間味では一か所だけしか見つけていません。
今回のスローシンクロの中では一番難しい撮影です。
| スローシンクロ・前景の背景の軌跡のみ・作例集 |
完全に暗くなったナイトでの撮影です。
青い自然光量がほとんどありません。従ってSSが長く、青い自然光量が何百倍になろうと、青い自然光量は少ないままです。
月が無い闇夜では、SSに関係なく青い自然光量は常にゼロです。
●後景の背景は、常に黒抜きになります。
●暗いライトでも背景に比べて軌跡はコントラストが出て明瞭になります。
●暗いライトでも撮影可能なので、フラッシュが弱くてもコントラストが出て像は明瞭になります。
●撮影距離が長くても撮影可能です。
●月夜よりも月が出ていない方が更に良いです。
●闇夜ならばSSが2秒でも3秒でも10秒でも青い自然光量は同じです。
スローシンクロの撮影は、超簡単になります。撮影時間もゆっくり撮れます。
しかし・・・
背景が後景の被写体がほとんど居ません。撮影は簡単ですが、絵コンテが書けなくて、ロケハンが出来ない・・・。今からの課題です。
●浮遊系・ヒメダンゴイカなどは可能。
●背景が後景にならなくても、例え中景や前景でも高コントラストであれば撮影可能。作例のウミシダウバウオは、ウミシダの軌跡はほとんど見えませんが、魚の白いラインの軌跡が写ります。高コントラストのロケハンは今後の課題です。
●下記のオーバーレイは可能。
SSが10秒30秒で何が出来るか?これは僕もまだわかりません。絵コンテが今はないです。今後の課題。
| スローシンクロ・ナイト・作例集 |
オーバーレイ、「被せる」です。
前景の背景の軌跡を被写体の像に被せます。作例ではサンゴの軌跡を被せています。
前景の背景の軌跡が明瞭過ぎると、被写体の像が不明瞭になります。被写体の像のコントラストを残すため、前景の背景の軌跡は、控えめに淡い方がお勧めです。一見スローシンクロではなく、全面スケスケ前ボケのようですが、被せがグラデーションになるのが特徴です。
後景の背景の黒抜き部分を作っておかないと、前景の背景の像と軌跡が多すぎて煩雑な写真になります。
●作例のアカメハゼは、スローシンクロ・像と軌跡の応用です。撮り方・設定などすべて同じです。
●作例のセボシウミタケハゼは、ナイトです。撮影時間が異なる以外はスローシンクロ・像と軌跡と撮り方・設定などすべて同じです。超近接撮影で撮れるため浮遊物の影響もうけません。今回のスローシンクロでは一番簡単な撮影です。この撮影は通常のナイトダイビング中に撮影できます。是非お試しくださいな。
| スローシンクロ・オーバーレイ・作例集 |
スローシンクロ・像と軌跡の応用です。撮り方・設定などすべて同じです。
玉ボケを撮影して、スローシンクロ・像と軌跡の通りに軌跡を撮影するだけです。(個章・玉ボケ&キラメルlab参照)
玉ボケの反射光源は、被写体よりもライト光を反射します。玉ボケの軌跡は被写体の軌跡よりも明度コントラストが高く、明瞭に出ます。撮影条件は、スローシンクロ・像と軌跡よりも簡単です。
作例でも被写体の軌跡はかなり薄くても玉ボケの軌跡は明瞭です。
日没直前の撮影可能時間に玉ボケの場所をロケハン出来るかどうか?だけです。
| スローシンクロ・玉ボケの軌跡・作例集 |
円形の長い軌跡を作ります。
●SS2秒
●ISO100(基準感度)
●必要機材・明るい水中ライト
通常の黒抜き(SS1/250)の500倍の定常光量になります。9EVです。
SS1/2と比べても4倍の定常光量になります。従って後景の背景と軌跡のコントラストを保つためには、
1/4の青い自然光量の撮影条件か4倍のライト光量と4倍のフラッシュ光量が必要になります。
現実的な運用は・・・
●より青い自然光量が少ない状況で撮ります。ほぼナイト。
●より明るいライトが必要です。作例は156itsと20itsの2灯です。暗いライトでは明度コントラストが作れません。
●出来るだけ近接撮影である事が必要です。
(注意その1)
より暗いほぼナイトに近い状況で、強烈なライトをつけて、黒抜き出来る被写体を探さなければいけません。ロケハン能力が必要です。撮影時間も短く、ライトで魚が逃げるのでシャッターチャンスも少ないです。一瞬のチャンスを逃さないようにしなければいけません。
(注意その2)
今までのSS1/2の撮影では、軌跡を撮る時間が短かったため、動かし方自体は、TWIST程度で複雑な動きは出来ませんでした。そのためあまり難しくはありませんでした。
SS2秒では、カメラを動かす時間が十分あります。そのため作例のような色々な軌跡を作ることが出来ますが、その分とても難しくなります。
●軌跡を作る被写体がファインダーから外れると軌跡が写りません。写る時間が短くなると軌跡のコントラストも落ちます。
同じ長さの軌跡を0.5秒で撮るのと1秒で撮るのでは、軌跡を作る単位時間当たりの光量が半分になり、コントラストが落ち、不明瞭になります。
●軌跡を作る被写体を、2秒間ずっと、または2秒間の大半の間ファインダーの中にとらえなければ、綺麗な軌跡は出来ません。
●魚が動かないと仮定してもSS1/2とSS2秒では、同じ長さの軌跡では、カメラを動かす速度は1/4にしなければいけません。滑らかに低速で小さく変化をつけながらカメラを動かすのは、かなり練習がいります。陸撮必要です。
●2秒あれば魚はかなり動きます。SS1/2ではカメラを動かす速度を考えていれば良かったのですが、2秒では被写体とカメラの相対速度を考えて動かさなければいけません。魚がファインダーの中から消えそうならば魚を追いかけなければいけないのです。
●相対速度を遅くゆっくり動かしながら、滑らかに均一に動かさなければ、綺麗な軌跡は出来ません。カメラと被写体の相対速度を止めてしまうと、水中ライトで作る像が出来てしまいます。
●作りたい軌跡通りにカメラだけを動かしては魚が動いた分ずれて形が変わります。相対速度で作りたい軌跡の形にカメラを動かすのです。
●直線的な軌跡では、カメラを動かす速度を早くしたり遅くしたりで相対速度を調整できます。ただ直線的な軌跡では2秒で撮る意味がありません。SS1/2で十分だし綺麗です。
●円形の軌跡を作る時、撮影者の体が止まっているとカメラの動き自体を相対速度にしなければいけません。魚が横に動く場合、円形の軌跡を作るためには、横方向には長く縦方向はそのままの大きさで楕円に動かさなければいけません。撮影距離でカメラを動かす長さは変わるので相対角速度でうごかす・・・僕は試して、すぐ諦めました。絶対無理、不可能(^O^)
解決策は・・・魚の動きと同じ方向・速度で体を動かし、相対速度をゼロにする。体を動かしつつ、カメラは作りたい軌跡の形に動かすことです。これなら撮れました。円形の軌跡は難しいですよ〜〜〜
| スローシンクロ・ぐるぐる・作例集 |
スローシンクロ・ぐるぐると設定は同じです。(注意)も同じです。
●SS2秒
●ISO100(基準感度)
●必要機材・明るい水中ライト
絵コンテは・・・
星の軌跡のイメージです。
被写体の像を撮り、軌跡は撮りません。
スカシテンジクダイの像は撮らずに、軌跡だけ撮ります。
軌跡は、ひっかいた傷のようなスクラッチ状の軌跡を作ります。
スローシンクロ・玉ボケの軌跡と似ていますが違います。
●玉ボケ自体は写っていません。
●玉ボケの軌跡はボケた幅広い軌跡ですが、この軌跡は、細スクラッチ状の軌跡です。
●玉ボケの軌跡は、よりもかっこいいでしょ(^O^)
まず、ロケハン・・・
●スカシテンジクダイの群れが必要です。50匹くらいの小さい群れで十分です。
●被写体が必要です。(注意1)はぐるぐると同じです。
●スカシテンジクダイと被写体は別の場所です。重なってはいけません。1〜2mくらい離れた場所です。これ重要!
撮り方・・・
(1)被写体だけを撮ります。スカシテンジクダイはファインダーに入れてはいけません。スカシテンジクダイ自身の像またはその玉ボケが写ってしまいます。あくまで被写体だけを撮ります。これでフラッシュで撮った被写体の像が出来ます。
(2)フラッシュが光ったら、可能な限り早い速度でカメラを動かしスカシテンジクダイをファインダーの中に入れます。
カメラをぶん回す感じです。この間は軌跡も写って欲しくありません。カメラの動きが遅いと軌跡が写ります。
(3)残りの時間すべてをかけてスカシテンジクダイの軌跡を作ります。(注意2)はぐるぐると同じです。ゆっくりファインダーの中でスカシテンジクダイを動かしてください。相対速度が速すぎたり、ファインダーから出ると軌跡が不明瞭になります。遅すぎて相対速度が止まると像が写ってしまいます。
(4)最重要ポイント!!!スカシテンジクダイをボカすと軌跡もボケた幅広い軌跡になります。スカシテンジクダイをボカさず軌跡を作れば、スクラッチ状の軌跡が出来ます。つまり被写体の撮影距離と同じ距離でスカシテンジクダイの軌跡を撮って下さい。
泳いで移動は時間的に無理です。元から被写体とスカシテンジクダイから等距離にポジショニングしておいてください。体は動かさずにカメラを横に振るのです。
この撮影は、像と軌跡は1〜2m離れた場所で撮影しています。SS2秒の間に2枚の写真を多重露光させていると思ってもらえばイメージがわかりやすいと思います。
| スローシンクロ・ぐるぐる・前景の背景の軌跡のみ・作例集 |
| スローシンクロ・ぐるぐる・前景の背景の軌跡のみ・失敗作例集 |
皆さんが考えると思われる疑問について解説します。書いてない疑問があれば教えて下さい。加筆します。
このページの説明にはいくつか意図的な嘘があります。
撮影自体には関係がないため意図的に省かれたり簡素化されています。
僕の文章能力の限界もあります。
気づいた人は許してください。でも、気づける人は、撮影に無関係である事も理解していただけると思うので(^^ゞ
| ●ISO感度を上げると定常光量は変わりませんが定常光比率が上がり、フラッシュ光量が下がります。像と軌跡の明度コントラストは下がります。しかし、青い自然光とライト光の比率は変わりませんので、後景の背景と軌跡の明度コントラストは変わりません。後景の背景は青くなるので、色相・彩度コントラストが下がります。 |
ISO感度を上げるとただ不明瞭になるだけ。こちらは省略。
| ●ISO感度を下げると定常光量は変わりませんが定常光比率が下がり、フラッシュ光量が上がります。結果、像は明瞭になります。像と軌跡の明度コントラストは上がります。しかし、青い自然光とライト光の比率は変わりませんので、後景の背景と軌跡の明度コントラストは変わりません。後景の背景は黒くなるので、色相・彩度コントラストが上がります。 |
今回の撮影は、遅いSSのせいで増える青い自然光量が悩みです。ISO感度を下げると青い自然光量が減ります。一見メリットがあるように見えます。
しかし、像を明瞭にしたいのであれば、F値を絞れば同じ効果です。
デメリット比較
●基準感度より下げるとダイナミックレンジ低下、画質低下。
●F値を絞ると被写界深度が変わる。絞り過ぎると小絞りボケが出る。
しかし、
●この絵コンテでは、被写界深度は深く、影響が少ない。
●ISO感度の減感は1EV程度で調整幅が足りない。
調整幅が足りないため、このHPでは操作がシンプルなISO感度固定・F値での調整を勧めています。
もちろん・・・
減感の画質低下が少ないカメラでは、ISO感度減感運用した後、F値運用をしても良いです。
長秒撮影では必須アイテムのNDフィルターですが、陸上でもスローシンクロでは、使っていませんね。
水中でも使い道がないと思われます。
NDフィルターは第五章参照して下さい。以下省略。
SSは1/2以上にしています。安定的に軌跡を撮影しやすいSSだからです。
しかし、反射神経と運動神経が良ければ、SS1/3〜1/4でも軌跡は撮影できます。SS1/8で軌跡は写り始めます。
チャレンジする価値があるでしょうか?
| ●SSを短くすると定常光量が減ります。定常光比率が下がり、フラッシュ光量が上がります。結果、像は明瞭になります。像と軌跡の明度コントラストは上がります。しかし、青い自然光とライト光の比率は変わりませんので、後景の背景と軌跡の明度コントラストは変わりません。後景の背景は黒くなるので、色相・彩度コントラストが上がります。 |
今回の撮影は、遅いSSのせいで増える青い自然光量が悩みです。SSを早くすると青い自然光量が減ります。一見メリットがあるように見えます。
●像を明瞭にしたいのであれば、F値を絞れば同じ効果です。
●背景と軌跡の明度コントラストは変わりません。詳しくは数式を読んで。
SSをより早くするチャレンジに価値はあるのか?
僕の考えは「ない」です。
シャッターチャンスが非常に少ないこの撮影では、安定的に確実に軌跡が作れるSSでなければ、打率が更に下がってしまいます。不必要にSSを早くして、軌跡の作り方に悪影響が出るなら、チャレンジしない方が良いと思います。
もしあなたがSS1/3でも確実に軌跡が作れるのであればSS1/3が良いです。
では、反対にSSはもっと長くても問題ないのか?小絞りボケと被写界深度の不満が無いならばF値を絞ればいいのです。しかし、、フラッシュ光量の限界に達しやすくなり、露出アンダー・撮影距離の制限などが出てしまいます。(ノイズなど他の問題もあります。)
SSは、絵コンテ通りの軌跡を作る必要最低限の長さがよい。
被写体以外の軌跡の写真は、被写体の黒抜き写真と軌跡だけの写真の2枚をを比較明合成で作ることが出来ます。
被写体自身の軌跡の写真は、比較明合成では作れません。
●前景の背景の軌跡
●前景の背景の軌跡のみ
●玉ボケの軌跡
●ぐるぐる・前景の背景の軌跡のみ
1枚の写真で撮るよりも簡単できれいに撮影できます。テクニックもなんもいらん。
さてあなたはどうします?
やはり合成はだめですか?
綺麗だしアートだからOKですか?
比較明合成やHDR合成は陸上の写真コンテストでもOKな場合もありますね。
いっそ、修整ソフトで描きますか?好きに描けますよ。
比較明合成は難しい境界線の上です。陸上でも2020年現在意見が分かれているようです。
僕はやりません。それが僕のポリシー。
でも、人それぞれバラバラで良い事です。あなたは???
1枚だけ実験で比較明合成しました。参考にどうぞ。あっ、ちゃんと撮ればもっときれいに合成できます。撮らないけど(^^ゞ
それに、合成の題材撮るのって超つまらない!!!
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