傍章・水中ライト・大光量ライトの注意

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ターゲットライトの注意事項です。

第一章・調光補正、対処出来ない?より引用

(注意)最近ターゲットライトの光量がどんどん上がり、(2)の事例が増えています。近接撮影の場合、明るいライトだけで露出オーバーになります。フラッシュは無関係ですので調光補正では治りません。
大光量ライトには注意が必要です。

大光量ライトのメリット

●明るいとAFは、より速く正確に動きます。
●動画撮影時、絶大なる効果を発揮します。

大光量ターゲットライトのデメリット

●大光量ライトは明るいため、ライトだけで露出オーバーになる時があります。フラッシュが原因ではないため、TTL調光補正やマニュアル発光量調整では、直りません。ライトの光量を落としてご利用下さい。
●大光量ライトは明るいため、撮影状況・設定によっては、ブレが濃く写ります。


●大光量ライトをターゲットライトでご利用の場合、
F値を開けた場合、近接撮影の場合、10its前後にしましょう。通常の撮影でも20its以下が良いでしょう。

●シャッター連動で消灯するライトは大光量ライトによる露出オーバー・ブレのデメリットは、まったくありません。

第一章からここに来た方へ

理由は今の時点ではわからないと思います。今は僕を信じて下さい。第四章で学びます。
10〜20itsのターゲットライトを使って下さい。
its値については、この傍章・機材・its値を読んで下さいね。

第五章からここに来た方へ

第四章でブレについて学んだ方は、「F値を開けた場合、近接撮影の場合、10its前後にしましょう。通常の撮影でも20its以下が良いでしょう。」が、大雑把な運用である事には気づいていますね。

ライト光と青い自然光の定常光比率が高い場合、定常光によるブレが濃くなる事がデメリットです。

大光量ライトのデメリット

ライトは定常光です。大光量ライトは、写真に無視出来ない影響を与えます。

ターゲットライトが無い場合、青い自然光5個、七色のフラッシュ光15個分、合計20個分だったとしましょう。

                                       


しかし、大光量ライトでは、無視出来ません。七色のライト光が5個分だと考えると、青い自然光5個、七色のライト光5個、七色のフラッシュ光10個となります。

                             

●この場合、七色の光と青い自然光の比率は5対15で変わりませんので、色調変化は起きません。しかし、定常光の比率は、5対15から10対10へと変化しています。定常光の比率が高くなるのです。従って、ライト撮りに近い撮影になります。ライト撮りのデメリットである定常光のブレが濃くなります。

このデメリットは色調変化が起きないために、撮影後プレビュー画面では、分かりにくいのです。カメラマンはライト撮りしている意識が無いため、気づかないのです。

定常光比率が高い撮影の場合、このデメリットは大きく出ます。
●SSが遅い撮影
●F値を開けた撮影
●ISO感度を上げた撮影
●青多い写真の撮影
●近接撮影の場合
この様な場合、デメリットが非常に大きく出ます。

例えば、上記の例でSSを2倍遅くして考えてみましょう。SSが2倍長いので定常光は2倍になります。
青い自然光10個、七色のライト光10個、七色のフラッシュ光は0個です。

                   

●もう完全ライト撮りになっています。しかしカメラマン本人は、通常のフラッシュ撮影をしているつもりなのです。そして、色調は通常のフラッシュ撮影と同じなのです。
しかし定常光のブレが濃くなり写真が汚くなるのです。

カメラマン本人が意図せずそして気付かないまま、いつの間にかエッジの甘い眠い写真
になっているのです。

F開放・ISO100・100mmレンズ最短撮影の場合、
●キャノンは同調速度SS1/200なので10itsでライト撮りになってしまいます。
●ニコンの同調速度SS1/320でも20its弱でライト撮りになります。

運用は難しい

上記のように要因が多数あり、ライト光もフラッシュ光も同じ七色の光であるため、撮影後の液晶画面の確認で判断するのは非常に困難です。いつライトを暗くすべきなのかを、水中で判断するのは無理です。
F値を開けた場合、近接撮影の場合、10its前後にしましょう。通常の撮影でも20its以下が良いでしょう。
これが一番簡単な対処です。

露出インジケーター・露出レベル表示を使う事も出来ます。

第一章・基本設定で、露出インジケーター・露出レベル表示は撮影に使わないと言いました。撮影には使いませんが、フラッシュ発光前の露出を示しているので、定常光比率の状態を示しています。定常光比率を知るために使います。

通常フラッシュ発光前は極度に露出アンダーなのでマイナス側に張り付いて動かないのが正常です。

ライト光が増え、定常光比率が増えてくると、露出インジケーター・露出レベル表示がマイナスに張り付いた状態から動き出します。そのような状態では定常光のブレが濃くなりデメリットが大きくなります。

●ニコンの場合、露出インジケーター・露出レベル表示が、マイナスからほんの少しでも動き出せば、即座にターゲットライトの光量を下げて下さい。
●キャノンの場合、露出インジケーター・露出レベル表示が、マイナスから動きだし、上がりだせば、ターゲットライトの光量を下げて下さい。

●逆に、露出インジケーター・露出レベル表示がマイナスに張り付いた状態であればターゲットライトをより明るく出来ます。

検証

露出インジケーター・露出レベル表示は通常±2EV〜±3EVのようです。ニコンは±2EV、キャノンは±3EVのようです。(機種により違うかも?)

マイナスから少しでも動き出せば、定常光比率が−2EV〜−3EVまであるという事です。すでに定常光比率が高いという意味です。定常光によるブレが濃く写真に写りだします。従って露出インジケーター・露出レベル表示が、マイナスから動き出せば、ターゲットライトの光量を下げなければデメリットが出ます。

特にニコンの場合、±2EVですので、常にマイナスに張り付いた状態が望ましいです。
キャノンは、±3EVですので少し余裕があります。

−2EVとは、2段分ですので、定常光比率が25%以上でマイナスから動き出します。
−3EVとは、3段分ですので、定常光比率が12.5%以上でマイナスから動き出します。
第四章ブレで使った動画です。定常光比率によるブレの見え方がこれでわかります。20〜30%あたりの画像をよく見て下さい。やはり−2EVより上がれば定常光のブレは写りますね。


ちなみに、
露出インジケーター・露出レベル表示が±0EV(真ん中)になれば、すでに適正露出なので、強制発光のフラッシュは、外部フラッシュの最小発光量だけ光ります(結果ちょっと露出オーバー)。ほとんどライト撮りと同様になります。ライト撮りと同様の定常光による濃いブレが写ります。

青被せ写真(とても青多い写真)では、ターゲットライトを消しても、露出インジケーター・露出レベル表示は、マイナスから動き出す場合があります。このような場合は絶対にターゲットライトは付けてはいけません。さらに定常光比率が上がり、さらに濃いブレになり写ります。ライト無しでもブレやすい状態です。ブレ無いようカメラを固定して下さい。

ニコンなど連動型の露出補正機能でTTL調光を行っている場合、露出インジケーターが一定ではありませんが、そこまで考えるのは無理、細かい事は気にしない。

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