Σcos(2nx)/n=-log(sinx)-log2 ←→ Σcos((2n-1)x)/(2n-1)=1/2*log(cot(x/2))
私は、この右式が気になりました。ふと「この式に統一的法則性を適用するとどうなるのだろう?」と思ったのです。
左式は統一的法則性を用いることで、全ての奇数ゼータを機械的に導ける式でした。
註:後で気付いたことですが、先に佐藤郁郎氏が氏のコラムで統一的法則性の微分側は調べておられました。
(<奇数ゼータの統一的法則性を究極の形へ>で示したように、左式を1回微分した式を中心に見る方がより本質的
かもしれません。)
さて右式です。
1/2・log(cot(x/2)) =Σcos((2n-1)x)/(2n-1) -----@
(n=1〜∞)
この式を”統一的法則性”という観点から見れば面白い結果が導けそうな気がしました。少し調べたところ、
やはり面白い結果が出ました。
以下では、(<奇数ゼータの統一的法則性を究極の形へ>でやったのと同じような類似の議論をひたすら行って
いきます。偶数L関数の統一的法則性を論じるにも、ゼータ関数の場合とほとんど同じ思考方法が適用できますので、
かなり楽といえば楽です。
さて議論をすすめましょう。
まずΣcos(2nx)/n=-log(sinx)-log2での奇数ゼータの場合の類似から、@を1回微分した式を考察した方が
美しい形になりますので、そうします。@を1回微分すると、次のようになります。
1/sinx=2Σsin(2n-1)x -------A
(n=1〜∞)
すなわち、
1/sinx=2(sinx + sin3x + sin5x + sin7x + sin9x + ・・・・・) -------B
また恐ろしくシンプルな式が出ました。
数学的に言えば、右辺は左辺1/sinxのフーリエ級数となっていますが、それよりも美しさが際立っています。
奇数ゼータの場合とほとんど類似のやり方ですので、結論だけ書きますと、次のようになります。
************************************************************************
[偶数L関数の統一的法則性(π/2代入型)]
1/sinx=2Σsin(2n-1)x -------A
(n=1〜∞)
このAを中心母等式に据えれば、偶数L関数における統一的法則性は次のように全く美しい形になります。
n >= 0の偶数L関数 L(n)を求めるには@式両辺を0〜xの範囲でn回積分しx=π/2を代入すればよい。
n < 0の偶数L関数 L(n)を求めるには@式両辺をn回微分してx=π/2を代入すればよい。
具体的に書けば、
・
・
Aを6回積分--------------->L(6)出現
Aを4回積分--------------->L(4)出現
Aを2回積分--------------->L(2)出現
Aを0回積分--------------->L(0)出現
Aを−2回積分(2回微分)----->L(-2)出現
Aを−4回積分(4回微分)---->L(-4)出現
Aを−6回積分(6回微分)---->L(-6)出現
・
・
となります。
もちろん、上でのL(s)は、ディリクレのL関数L(χ , s)の一種の
L(s)=1/1^s - 1/3^s + 1/5^s - 1/7^s + ・・・
です。ちなみに、ζ(s)もL(χ , s)の一種です。
きれいに左右の数字が一致している点に注目しましょう。
そして、驚くべきは、xにπ/2を代入することで、偶数L関数 L(2n)が出てくることです!
計算してぜひ確めてみてください。
佐藤郁郎氏は、氏の「奇数ゼータ・・」のコラム”その3”で、Σcos(2nx)/n=-log(sinx)-log2を重回積分-重回微分
した式にπ/4を代入する手法で、偶数L関数を導かれました。
今回のものは、@すなわちAに重回積分-重回微分を施し、xにπ/2を代入する方法で偶数L関数を導くことが
できたのです。全く面白い。
π/2が共通しているという観点から、<奇数ゼータの統一的法則性を究極の形へ>でやった奇数ゼータの
議論と今回のものは完全に呼応(対応)した議論と言えるでしょう。
この二つを比べてみてください。そして、その対応の見事さを味わってください。
なお、<奇数ゼータの統一的法則性を究極の形へ>でも同じような議論をしましたが、今回@を微分して
Aを出したわけですが、逆にAを積分して@が出ることは次で示します。
2003/12/17 [A-->@を示す]
Aを積分することで、@が出ることを示します。
[証明]
1/sinx=2Σsin(2n-1)x -------A
(n=1〜∞)
まず上の左辺を0〜xの範囲で定積分します。すると、
左辺=∫1/sinx dx
=(1/2)∫{(sinx/(1-cosx) + sinx/(1+cosx) }dx
=(1/2)∫{- sinx/(cosx-1) -(-sinx/(1+cosx) }dx
=(1/2)[ log|cosx-1| -log|1+cosx| ](0〜x)
=(1/2)[ log{|cosx-1|/|1+cosx|} ](0〜x)
=(1/2)[ log{|2(sin(x/2))^2|/|2(cos(x/2))^2|} ](0〜x)
=[ log{|(sin(x/2))/(cos(x/2))|} ](0〜x)
=log| (sin(x/2))/(cos(x/2)) | - lim(log|sin(ε/2)|)(ε-->0) + lim(log|cos(ε/2)|)(ε-->0)
=log| (sin(x/2))/(cos(x/2)) | - lim(log|sin(ε/2)|)(ε-->0)
=- log| (cos(x/2))/(sin(x/2)) | - lim(log|sin(ε/2)|)(ε-->0)
=- log| cot(x/2)| - lim(log|sin(ε/2)|)(ε-->0) -----------C
次にAの右辺を0〜xの範囲で定積分します。
右辺=2∫Σsin(2n-1)x dx
=2∫(sinx + sin3x + sin5x + sin7x + sin9x + ・・・・)dx(0〜x)
=2[-cosx - 1/3・cos3x - 1/5・cos5x - 1/7・cos7x - ・・・・](0〜x)
=2{(-cosx - 1/3・cos3x - 1/5・cos5x - 1/7・cos7x + ・・・・)
+ (1 + 1/3 + 1/5 +1/7 + 1/9 + ・・・・)}
=-2Σcos((2n-1)x)/(2n-1) + 2(1 + 1/3 + 1/5 +1/7 + 1/9 + ・・・・) ----D
(n=1〜∞)
これで左辺、右辺とも計算できた。C=Dとすると、
- log|cot(x/2)|- lim(log|sin(ε/2)|)(ε-->0)
=-2Σcos((2n-1)x)/(2n-1) + 2(1 + 1/3 + 1/5 + 1/7 + 1/9 + ・・・) -----E
あとは、
- lim(log|sin(ε/2)|)(ε-->0) = 2(1 + 1/3 + 1/5 +1/7 + 1/9 + ・・・・) -----F
が示せれば、@すなわち、
1/2*log(cot(x/2)) =Σcos((2n-1)x)/(2n-1) -----@
の成立が証明できたことになる。よってFを次に示す。
まず、log|sin(ε/2)|=log|{2cos(ε/2)sin(ε/2)}/{2cos(ε/2)}|
=log|sinε/{2cos(ε/2)}|
=log|sinε| - log|2cos(ε/2)| -----------G
と変形する。
ここで、<奇数ゼータの統一的法則性を究極の形へ>で示した次の等式を思い出そう。
lim(log|sinε|)(ε-->0)=-1 - 1/2 - 1/3 - 1/4 - 1/5 - 1/6 - ・・・・・ -----H
また、log2= 1 - 1/2 + 1/3 - 1/4 + 1/5 - 1/6 + ・・・・・・・・ ------I
である。
Gより、H、Iを利用して、
lim(log|sin(ε/2)|)(ε-->0) = lim(log|sinε|)(ε-->0) - log2
=(-1 - 1/2 - 1/3 - 1/4 - 1/5 - 1/6 - ・・・・) - (1 - 1/2 + 1/3 - 1/4 + 1/5 - 1/6 + ・・・・)
=(-2 - 2・1/3 - 2・1/5 - 2・1/7 - ・・・・)
=-2(1 + 1/3 + 1/5 + 1/7 + ・・・・)
とできる。
これでF式、つまり、 - lim(log|sinε/2|)(ε-->0) =2(1 + 1/3 + 1/5 + 1/7 + ・・・・)
が示せた。
よってEより、@式、すなわち、
1/2・log(cot(x/2)) =Σcos((2n-1)x)/(2n-1)
(n=1〜∞)
が示せた。
証明終わり。
ここでは、<[奇数ゼータ]=[偶数ゼータの無限和]となる理由>での類似の考察を行うことにより、
負の偶数L関数も偶数ゼータの無限和で表現できる、という面白い事実を示します。
負の偶数L関数=偶数ゼータの無限和
という面白い結論にいたることでしょう。
まず、冒頭で示した偶数L関数の統一的法則性を記しておきます。
---------------------------------------------------------------------
[偶数L関数の統一的法則性(π/2代入型)]
1/sinx=2Σsin(2n-1)x -------@
(n=1〜∞)
この@を中心等式に据えれば、偶数L関数における統一的法則性は次のようになります。
n >= 0 の偶数L関数 L(n)を求めるには@式両辺を0〜xの範囲でn回積分しx=π/2を代入すればよい。
n < 0 の偶数L関数 L(n)を求めるには@式両辺を n回微分してx=π/2を代入すればよい。
具体的に書けば、
・
・
@を6回積分--------------->L(6)出現
@を4回積分--------------->L(4)出現
@を2回積分--------------->L(2)出現
@を0回積分--------------->L(0)出現
@を−2回積分(2回微分)----->L(-2)出現
@を−4回積分(4回微分)---->L(-4)出現
@を−6回積分(6回微分)---->L(-6)出現
・
・
--------------------------------------------------------------------
さて、この法則性を利用して、まず正の偶数L関数が偶数ゼータの無限和で表現されることを示します。
ただ、この「正の偶数L関数=偶数ゼータの無限和」という事実は、佐藤郁郎氏が氏のコラム「奇数ゼータと・・」の
の”その3”で、別の形の統一的法則性で示されています。
しかし、上のタイプ[@式+π/2代入]型でも、同じようにやはり偶数ゼータの無限和となってしまう、という事実を
まずはじめに確認しておきたいのです。
[事実の確認]
一つ上で証明をしましたので、L(2)を出すには、結局次のA式を1回積分すればよく、またL(4)を出すには、
3回積分すればよく、L(6)は5回積分・・・としていけばよい(積分範囲は0〜π/2)。
1/2・log(cot(x/2)) =Σcos((2n-1)x)/(2n-1) -------A
(n=1〜∞)
Aを変形していく。
log[{cos(x/2)/(x/2)}・{(x/2)/sin(x/2)}] =2Σcos((2n-1)x)/(2n-1)
よって log(cos(x/2)) - log(x/2) + log((x/2)/sin(x/2)) =2Σcos((2n-1)x)/(2n-1)
さらに、
log(cos(x/2))- log x + log2 + log((x/2)/sin(x/2)) =2Σcos((2n-1)x)/(2n-1) -----B
とできる。
さて”その3”で示した次の式があった。
log(πx/sinπx)= 2{1/2・ζ(2) x^2+ 1/4・ζ(4)x^4 + 1/6・ζ(6)x^6 + ・・・ } -----C
この式を利用すると、容易にlog{(x/2)/sin(x/2)} は、
log((x/2)/sin(x/2))=2{1/2・ζ(2) (x/2π)^2 + 1/4・ζ(4)(x/2π)^4 + 1/6・ζ(6)(x/2π)^6 +・・・}
よって、
log((x/2)/sin(x/2))=ζ(2) (x/2π)^2 + 1/2・ζ(4)(x/2π)^4 + 1/3・ζ(6)(x/2π)^6 +・・・}---D
となる。
また、log (cos(πx/2))= -{x^2(1-1/2^2)ζ(2) + x^4(1-1/2^4)ζ(4)/2
+ x^6(1-1/2^6)ζ(6)/3 + x^8(1-1/2^8)ζ(8)/4 + ・・・} -----E
という右辺が「偶数ゼータの無限和」となる面白い式があるのです。
これは今回ある式をもとに導いたものですが、説明していると長くなりすぎますので、略しますが詳しくは補足説明を
ご覧ください。
このE式より、容易に次が出てきます。
log(cos(x/2))=-{(x/π)^2(1-1/2^2)ζ(2) + (x/π)^4(1-1/2^4)ζ(4)/2
+ (x/π)^6(1-1/2^6)ζ(6)/3 + (x/π)^8(1-1/2^8)ζ(8)/4 + ・・・・}---F
さて、D、Fの結果を利用して、Bの左辺をまとめていこう。
log(cos(x/2))- log x + log2 + log((x/2)/sin(x/2))
=- log x + log2 -{(x/π)^2(1-1/2^1)ζ(2) + (x/π)^4(1-1/2^3)ζ(4)/2
+ (x/π)^6(1-1/2^5)ζ(6)/3 + (x/π)^8(1-1/2^7)ζ(8)/4 + ・・・・} ---G
とこのようになる。
よって、GとBより、
2Σcos((2n-1)x)/(2n-1)
=- log x + log2 -{(x/π)^2(1-1/2^1)ζ(2) + (x/π)^4(1-1/2^3)ζ(4)/2
+ (x/π)^6(1-1/2^5)ζ(6)/3 + (x/π)^8(1-1/2^7)ζ(8)/4 + ・・・・} ---H
これまでの経緯より、もちろん
Hを1回積分すれば、------>L(2)が出る。
Hを3回積分すれば、------>L(4)が出る。
Hを5回積分すれば、------>L(6)が出る。
・
・
となる。積分範囲は0〜π/2。
Hの左辺からL(2n)が出てきますので、正の偶数L関数は全て偶数ゼータの無限和で表現されることが
わかります。
[事実の確認終わり。]
上で無事、[正の偶数L関数]=[偶数ゼータの無限和]となることが確認できました。
さて、ここでの目標は、負の偶数L関数も”偶数ゼータの無限和”で表現できるという、事実を示すことです。
負の偶数L関数は、L(-2)=-1/2、L(-4)=5/2、L(-6)=-61/2、・・・とその値は昔からはっきりとわかって
います。
これは、ちょうどリーマン・ゼータと似た形になっていて、リーマン・ゼータでは、正の奇数ゼータの値は
不明なのに、負の奇数ゼータの値はわかっている。一方、L関数は、正の偶数ゼータはよくわかっていない
のに、負の偶数ゼータはよくわかっているのです。
このようにリーマン・ゼータとL関数は似ており、兄弟のような関係にあることがわかるでしょう。
さて、<[奇数ゼータ]=[偶数ゼータの無限和]となる理由>で行ったのと類似の視点で見てきます。
Hをもう一度書きます。
2Σcos((2n-1)x)/(2n-1)
=- log x + log2 -{(x/π)^2(1-1/2^1)ζ(2) + (x/π)^4(1-1/2^3)ζ(4)/2
+ (x/π)^6(1-1/2^5)ζ(6)/3 + (x/π)^8(1-1/2^7)ζ(8)/4 + ・・・・} ---H
ここで、形を整えるために、Hを1回微分しておきましょう。
2Σsin(2n-1)x= 1/ x + [Aの1回微分] ---I
となります。ここで、
A={(x/π)^2(1-1/2^1)ζ(2) + (x/π)^4(1-1/2^3)ζ(4)/2
+ (x/π)^6(1-1/2^5)ζ(6)/3 + (x/π)^8(1-1/2^7)ζ(8)/4 + ・・・・}
です。
このIを見ているだけで、負の奇数ゼータが”偶数ゼータの無限和”となることはわかると思います。
すなわち、
Iの左辺を2回微分してx=π/2を代入すれば----->L(-2)が出る。
Iの左辺を4回微分してx=π/2を代入すれば----->L(-4)が出る。
Iの左辺を6回微分してx=π/2を代入すれば----->L(-6)が出る。
・
・
となることは容易にわかります。
当然、「Iの左辺を微分したもの」=「Iの右辺を微分したもの」でありますから、負の偶数L関数も、
偶数ゼータの無限和で表現できる!ということがわかりました。
奇数ゼータの場合と全く同じことになっているのですから、面白い。
結局、正も負も関係なく、
全ての偶数L関数=偶数ゼータの無限和
と表現してもよいのです。
さて、私が、なぜこのことをこんなに強調するのか読者の皆さんはお気づきでしょうか?
読者は次のように、思われているかもしれません。
「 冷静に考えれば、
1/sinx=2Σsin(2n-1)x
(n=1〜∞)
という中心母関数をひたすら偶数回微分すれば、次々とL(-2)=-1/2、L(-4)=5/2、L(-6)=-61/2、・・・
が出てくるだから、もうそれで十分ではないか? L(-2)、L(-4)、・・が偶数ゼータの無限和で表現できる
ことを、なぜ杉岡はそんなに重要視するのか?」と。
ある意味もっともな疑問です。
しかし、「L(-2)、L(-4)、・・が偶数ゼータの無限和で表現できる」ことは、じつに重大な価値があるのです。
<[奇数ゼータ]=[偶数ゼータの無限和]となる理由>を読まれている読者はお気づきかもしれません。
じつは、負の偶数L関数も”偶数ゼータの無限和”で表現できることが、奇数ゼータでの「杉岡予想の類似」を発生
させる論拠となることが容易に推測できるからなのですが、次に改めて書くことにしましょう。
もうここまでくれば、奇数ゼータでの予想の類似がそっくり成り立っていることが推測されます。
次の予想の類似を提示します。
---------------------------------------
杉岡の予想の類似
全ての正の偶数L関数L(2)、L(4)、L(6)、・・・は無理数であろう。
---------------------------------------
偶数L関数を全部並べますと、次のようになります。
・・・L(-6)=-61/2、L(-4)=5/2、L(-2)=-1/2、L(0)=1/2、L(2)=Σζ(2n)、L(4)=Σζ(2n)、・・・
(註:”偶数ゼータの無限和”のことを、Σζ(2n)と略して表記しました)
偶数L関数では、上のように並んでいるわけですが、面白いのは中心のL(0)が有理数!である点です。
奇数ゼータの場合よりは、やや対称性が悪いような気もしますが、しかし、0を含む負の世界と、正の世界でちょうど
正反対になっていると考えられます。つまり、有理数か無理数かできれいに分かれている。
この中心線のズレというのは、じつに深いなにかを暗示しているように思えます。
ただ、今回の予想の類似は、奇数ゼータの場合よりも、やや弱い予想といえるかもしれません。
なぜなら、奇数ゼータの場合は、ζ(3)がすでに無理数であることがわかっていてそれが予想に強力な信頼性を
与えてくれるわけですが、おそらく、正の偶数L関数L(2)、L(4)、L(6)、・・・に関しては、まだ全くなにもわかって
いないからです。
さて、この予想、みなさんはどう思われますか?
さらに、ここまでくれば、当然次のことを調べたくなります。
すなわち、冒頭の偶数L関数の統一的法則性に対して、x=π/4を代入すればどうなるのだろう?と
いうことです。
註:後で気付いたことですが、先に佐藤郁郎氏が氏のコラムで統一的法則性の微分側は調べておられました。
調べた結果、なんと次のようになっていました。
[L1、L2関数の統一的法則性(π/4代入型)]
1/sinx=2Σsin(2n-1)x -------@
(n=1〜∞)
このAの中心母等式を演算した結果にx=π/4を代入すれば、次のようになります。
・
・
@を4回積分--------------->L2(4)出現
@を3回積分--------------->L1(3)出現
@を2回積分--------------->L2(2)出現
@を1回積分--------------->L1(1)=(√2/2)log(√2+1)出現
@を0回積分--------------->L2(0)=1出現
@を−1回積分(1回微分)----->L1(-1)=-1出現
@を−2回積分(2回微分)----->L2(-2)=-3出現
@を−3回積分(3回微分)----->L1(-3)=11出現
@を−4回積分(4回微分)---->L2(-4)=57出現
・
・
まったく予期しなかった結果が現れました。なんとL1関数とL2関数が交互に出てきたのです!
L1関数、L2関数とは、ゼータ関数の一種で次式で定義されるものです。
これらはかなり昔から知られているものなのかもしれません。雑誌「数学のたのしみ」No.17の加藤和也教授
(京都大学)の記事「岩澤理論の拡張についての」の中で、L1関数に関して若干の解説があります(p. 87)。
また佐藤郁郎氏の「奇数ゼータ・・」のコラム「その8」でも説明されています。ここでは”L1, L2”という佐藤氏の
命名を使用しました。
L1(s)=1/1^s - 1/3^s - 1/5^s + 1/7^s +・・・
L2(s)=1/1^s + 1/3^s -1/5^s -1/7^s +・・・
積分側の値は、解析的な計算が難しくほとんどはまだ計算できていません。偶数ゼータの無限和でならおそらく
表現できますが。
それにしても、この結果には驚きました。π/2代入ではL関数しか出なかったというのに(冒頭)・・。
我々の知らない構造が数学ではまだまだここかしこに隠れているのでしょう。
どのように美しい天文学上の発見も、高等整数論が与える喜びには及ばない。
ガウス(1777−1855)
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