青抜き・ ディープ・ブルー

第二章・青の質のディープ・ブルーの詳細です。

作例

作例集

温帯には、ディープ・ブルーはありません。

植物プランクトンのクロロフィルは、赤と青を吸収します。(緑は吸収しにくく反射するため、緑色に見えます。)
植物プランクトンの多い温帯の海には、ディープ・ブルーはありません。

第二章・青の質より引用

  ほぼ白の青系 ライトブルー系  ディープブルー系 
海の中を光が通る距離  とても短い  短い 長い
 水深  とても浅い 浅い 深い
 方向   水面方向  横方向 

●カメラは青い自然光の質は変えられない。
●僕らは、色々な青が、何時、何処に、どの様に、現れるかを考え、青を探しに行くのです。青をロケハンするのです。
●青の質はロケハンで探す。

理論

●ミー散乱量が小さいこと
●波長の長い光が十分に減衰した光だけで写真を作ること。減衰前の光を写真に入れないこと

この2つの条件を満たす場所をロケハン出来れば美しいディープ・ブルーが撮れます。

注意点・青の量は無関係

ディープ・ブルーは、青の質です。青い自然光量は無関係です。

青抜きは、青多い写真ですから、青い自然光量が多い時が有利です。
ディープ・ブルーも青抜きの一種類ですので青い自然光量が多い時が有利です。
しかし、ディープ・ブルーが出るかどうかには、青い自然光量は無関係です。

ディープ・ブルーは写真のイメージから、『晴れた天気の良い時』に撮る写真と思ってしまいますが、『雨や曇』でもディープブルーは探せます。

条件(1)

浮遊物が少ない事。
浮遊物で光がミー散乱すると、青が白っぽく濁ります。

浮遊物が少ないことが絶対条件です。

条件(2)

光が海の中を長い距離通ると、赤色(波長の長い光)から順に消えていきます。結果、ディープ・ブルーが出来ます。
赤色が減衰する前の光が写真に入ってしまうとディープ・ブルーにはなりません。

●浅い場所はダメ。赤色が十分減衰しないためディープ・ブルーは出ません。
●深い場所は、より綺麗なディープ・ブルーが出ます。
●白い砂地は、お勧め。白砂で反射する光が多量にあります。反射する光は水深分よりもとても長い距離を通ってきます。(水深+反射して横に進む距離分)そのためディープ・ブルーが出やすいです。水深20m程度でもOKです。
●逆光はダメ。光が海中を通る距離が短くなります。順光で太陽に背を向けて撮って下さい。

条件(1)ディープ・ブルーが出る浮遊物量とは?

僕の経験では、透明度が最低25m以上、出来れば30m以上、程度は必要だと思います。

●沖縄で、透明度が良い時〜とても良い時位がディープ・ブルーが出る目安になると思います。
●東南アジア・モルディブなどは、透明度が20m以下で浮遊物量が多いです。ディープ・ブルーが出る日はほとんどないかもしれません。個人的な経験ではフィリピンやタイなどは浮遊物がとても多く、ディープ・ブルーには適していないと思います。
●サイパン・テニアン・ロタ・タヒチなど、透明度が良く浮遊物が少ないため適しています。ランギロアは透明度50〜60mで常時ディープ・ブルー。
●パラオ・ヤップはミクロネシアでも思っている程透明度は良くありませんね。沖縄よりも悪いと思います。良い時を選ばないといけません。

条件(1)浮遊物の少ない海のロケハンは意外に難しい。

浮遊物の少ない海のロケハンは、皆さんが思っているよりもずっと難しいです。
人が水中で感じる浮遊物量は、青い自然光量に騙されています。
ロケハンの具体的な注意点を書いてみます。参考にして下さい。

条件(1)ロケハン具体例・明るい海では、群青を探せ。

夏の晴れた日、とても明るい海。
青い自然光量はとても多い日。
青多い写真を絵コンテにする日。
青抜き・青被せが有利な戦いの日。

最も人が騙されやすい日です。
明るい海は透明度がとても良く思えます。しかし、太陽光が強く、青い自然光量が多く、とても明るいと、浮遊物量が多めでも明るく綺麗でわかりにくいです。

明るさに幻惑されずに、青の質、浮遊物の量を見なければいけません、、、が、これが非常に難しいです。明るさに人の目が騙されてしまうからです。

探し方
●浮遊物が少ない日は、順光で横方向を見ると海が群青(深い紺色・青紫)に見えます。意外に暗く見えます。なぜならば浮遊物が少なく光が散乱しないため、順光で横方向を見ると、光が反射してこないためです。
●夏の強い日差しで、透明度が良く思えても、浮遊物がある日は、光りが散乱し明るく白っぽく見えます。感覚的には、明るく綺麗で良い海で、浮遊物も少なく思えてしまいます。白っぽい海は明るいので悪い印象はありません。しかし、このような時はディープ・ブルーは出ません。
明るい海では群青を探してください。
浮遊物のない宇宙では、太陽が眩しくても、周りは真っ黒です。宇宙は光が散乱・反射しないため光源以外は黒です。明るい海なのに、遠くが黒っぽく深い紺色に見える時は、浮遊物がないのです。

カメラ設定
ディープブルー+自然光量が多い、最も綺麗な青が出る光り輝く日になります。
●ISO100のままで撮影可能でしょう。
●F値を絞ってもディープ・ブルーが撮れます。
●より深い場所でより純粋なディープ・ブルーでも、十分な光量があります。
●カメラの設定も余裕があります。撮影は楽です。
●青多い写真に適した日です。もちろんディープ・ブルーにも最適な日です。


沖縄の晴れた夏の日、最高に綺麗で明るい海・・・しかし、意外に浮遊物量は多く、ディープ・ブルーが出る日は多くありません。ガイドが、透明度がいいですねぇ〜と言っている日はチャンスです。群青を探してください。

条件(1)ロケハン具体例・暗い海では試撮りするしかない。

暗い海。
青い自然光量は少ない日。
青無し写真を絵コンテにする日。
黒抜き・白砂飛ばし・本来の色が有利な戦いの日。

青抜きや青被せには、青い自然光の量が必要です。量が多い方が有利な戦いが出来ます。従って暗い海で不利な戦いをするべきではありません、撮らない日です。。
しかし、ディープブルーには、青の質が絶対条件です。暗い海でもディープ・ブルーがあるならば、光り輝くチャンスの日です。もちろんカメラの設定などで有利な戦いが出来る日ではありません、しかし、チャンスならば不利でも戦う価値があります。

探し方
暗い海で浮遊物量を判断するには慣れが必要です。
遠くの岩が見えていれば良いのですが、潜り慣れた場所でなければその判断も比べようがありません。
残念ながら探し方に良い方法はありません。
暗い海では試撮りして下さい。
水深20m・順光・背景後景・F5.6 SS同調速度・ISO400ピントは合わせなくてOK
●このデータで撮って、ディープ・ブルーが出れば良い日です。
●ディープ・ブルーが出なければ、撮影不可能です。
●このデータで、背景が暗い場合(露出アンダー)は、青の質に関わらず、青い自然光量が少なすぎます。もしディープ・ブルーが出ていたとしても青い自然光量が少なく、戦いが不利すぎます。もっと良い日に戦うべきでしょう。あきらめましょう。

カメラ設定
●F値を1EV絞ると、ISO感度を倍にしなければいけません。F値はあまり絞れません。
●ISO感度を上げることが必要になります。(またはブレ覚悟でSSを遅くする)
●ボケ+ディープブルーが主な絵コンテになります。
●より深い場所でより純粋なディープ・ブルーでは、光量が少なくなりすぎます。
●カメラの設定には余裕がなく、やはり不利な戦いになります。
●それでもディープ・ブルーがあるならば戦って下さい。


冬の沖縄は、明るくはありませんが、浮遊物は夏よりも格段に少なく、ディープ・ブルーに適した日が夏の何十倍もあります。
実は、冬の沖縄では簡単にディープ・ブルーが探せます。 不利な戦いでもトライして下さい。
●曇りの冬の沖縄での作例。撮影データは、F開放〜5.6・SS1/320・ISO400〜1000・水深20m・岩場です。

条件(2)減衰した光を探せ。

ディープ・ブルーが探せたならば、次は、十分に減衰した光を探してください。
浮遊物量が少なくても、浅い海では、ディープ・ブルーはありません。

●深い場所が良い。(十分に減衰した光が多い。)
深場の方がより純粋な青になります。しかし青い自然光量は少なくなります。
明るい海では、40〜50mでも撮影可能です。
暗い海では、ISO感度の上限に達するまでです。20〜30mでISO感度が限界かも知れません。

●白い砂地はお勧め。(十分に減衰した光が多い。)
海の中を長い距離通る砂地の反射光が多い事が利点です。
浮遊物量が増えることが欠点です。
この2つの取引です。

僕の経験では、内湾の白い砂地は浮遊物量が増えすぎて白っぽくなりダメです。
しかし、潮通しが良い白い砂地では、明らかに青が綺麗になります。水深が20m程度で良い青が出ます。

うちの店がある座間味島での実例です。阿護の浦はダメ、阿真ビーチ前・宇論の崎も浮遊物多いので取引がマイナス。ウフタマは思ったより良くない。西浜・阿嘉桟橋前は良い。竜宮城の深場の砂地は最高。

●逆光はダメ(十分に減衰した光が少ない。)

晴れた日の逆光は絶対に避けて下さい。白くなります。
深場での撮影でも逆光はダメです。

条件(2)減衰した光を探せの謎

浮遊物量が少なく、ディープブルーが探せたならば、、、曇りの日がチャンスです。深場でなくてもディープ・ブルーが綺麗に出ます。上記の作例も冬の曇りの日の沖縄です、水深20m・岩場です。

晴れた日でも曇りの日でも、距離による光の減衰率は変わらないはずなのですが、何故か、綺麗に出ます。

理論も理由も何もわかりません。曇りの日の方が直接光が少なく間接光が多いからでしょうか???

実は、冬の沖縄は、浮遊物量も少なく、曇りの日が多いです。青い自然光量は少なく有利な戦いは出来ませんが、ローキー気味のディープ・ブルーにはチャンスですね。意外でしょ〜狙って下さいな。

条件まとめ

●浮遊物が少ない海

●深い場所が良い。(十分に減衰した光が多い。)
●白い砂地はお勧め。(十分に減衰した光が多い。)
●逆光はダメ(十分に減衰した光が少ない。)

●青い自然光量は無関係、冬の曇りの日でも可能

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