Ships Hunter 海熊 JOURNAL 2





2010.04.13 独立行政法人水産庁総合研究センター 漁業調査船「若鷹丸」と海上保安庁巡視艇PC78「いそづき」。

人にはそれぞれ想いがある。

その想いを知ることにより夢を知る。

その夢を叶える為に人は生きる。

確かにそうだと思う。
人は夢なくしては生きてゆけないと思う。
夢のない人生ってあるんだろうか?

あなたには夢がありますか?
その夢を叶える為にあなたは生きていますか?
忘れかけていた夢を、もう一度思い出してみませんか?

そして、その夢に向かって生きてみませんか?
決して「もう遅い」なんて事はないと思いますよ。
だって、それはあなたにしか分からない夢なんですから…夢は人と比べるために存在するのではありません。

あなた自身の内なる部分に存在するものだと思うんです。









1982.04.25 横浜・フランス山公園

僕が高校生だった頃、カメラを首にぶら下げて歩く、お得意のコースがあった。
石川町から元町を通り、山下町へ抜ける川沿いの道。
川にはたくさんの違法係留船が漂っていた。

今にも沈みそうな小船で生活する人々。
川から漂う悪臭。
そして、何とも人間らしい生命力と開き直り。

高校生の僕にとって、将来の不安など掻き消してくれる何かがそこにはあった。
戦場カメラマンになりたいという漠然とした夢。
海上自衛隊に入隊し、護衛艦を撮影すると言う、自分勝手な半分子供だった私の叶う訳もない夢。

それでも高校では真面目に勉強をし、部活にも励んでいた。
写真部で3年生は僕だけで必然的に部長になっていた。
毎月行われる撮影会は部員の持ち回りで、4月の第一回撮影会は部長である僕の担当となり、横浜を選んだ。

年長と言うだけで、今思えば神様のような扱いを受けたあの頃。
私の言うことに顧問の先生以外反対する者は一人としていなかった。
今思えば馬鹿げた風習だった。

前列は高校生になったばかりの一年生部員。
中心に居るのは写真部の顧問だ。
後列は二年生部員。
その後列の一番右側で偉そうにしているのが僕だ。

みんな幸せに暮らしているだろうか?
あの頃、抱いていた夢は叶ったたのだろうか?
そして何より健康で元気でいるだろうか?

僕が君たちに伝えたいのは…あの頃と変わらず写真を撮り続けていると言うことなんだ。









2011.02.02 横浜港より東方海上を望む。

人生や自分の生き方に疲れ切ってしまった時、人は何故か PRIDE とか SPIRITなんて言葉を口にする。
自分ひとりの力で越えられない壁に、生きている限り何度もぶち当たる。
そんな時、下らない愚痴や言い訳をして、やり過ごす人も居れば、必死になって壁を越えようと努力する人も居る。

やり過ごした人にとって、その壁は言葉にしたくない出来事となり、いつまでも心の中に残り続ける。
努力して乗り越えた人には、一時的な満足感はあるものの、共に闘ってくれた仲間への感謝と言う足枷が残る。
どちらが良いかは判らないが、結果的に同じように思う。

と言うのは、壁を仲間の力を借り、乗り越えた人には、次なる壁が待っているのだ。
「この壁は回避しよう」なんて思っても、周りの仲間はどう思うだろうか?
当然周りのプレッシャーから、その壁を仲間の力を借りて乗り越えなければならない。

そんな事を繰り返しているうちに歳を取り、体力も落ち、何よりも精神力が続かなくなる。
そんな時「俺は人生に…今の生き方に疲れたよ」なんて弱音を吐いてみる。
いくつもの壁を乗り越えてきた人は…強い人間のはずだが、果たしてその時、本人は何を考えるのだろう?

Amazinggrace の歌詞のように、今までの行いを悔い改め、神に救いを求めるのだろうか?
それとも PRIDE とか SPIRITに背中を押され、越えられないながらも、挑み続けるのだろうか?
どちらが良いなんて答えはきっと見つからないと思う。

そんな時僕は海に行く。
砂浜に腰を下ろし、日が沈むまでの時間を過ごす。

海は満ち引きを繰り返し、生き続ける。
雲は風の力を借り流れ続ける。
太陽は海を照らし、雲を作る。

全てが無理なく自然に循環していることに気付く。
それでいいんじゃないだろうか?
人間らしく生きる。

難しいことも多いと思うけど、それしかないんだから。
人は一人では生きてはいけないし、かと言って協調し過ぎると疲れてしまう。
どんなに頑張ったって、出来る事と出来ないことはある。

自分らしく、自然に生きてゆこう。








2011.01.30 横浜港シンボルタワーより東南方向に見える房総半島を望む。
手前より、自動車専用船“ASIAN BREEZE”  コンテナ船“JOSCO STAR”  自動車専用船“PLUTO LEADER” です。

車椅子に乗った青年。
横浜港シンボルタワーで、たまに見かける親子と思わしき二人。
青年は車椅子に乗りながらも望遠レンズを付けたデジタル一眼で船を撮る。

お母さんもカメラを持ち、景色や船を撮っているようだ。
何とも楽しそうな二人。
それぞれが気遣っていながらも自由に撮っている。

この呼吸の合い具合は、きっと親子なんだろうな。
仲の良い親子。
見ているだけで羨ましくなる。

そして、勇気を貰う。
足が不自由な青年が、こんなに頑張って船を撮っている。
健康で何不自由ない私は何をしているんだろう?と…どうしても感じてしまう。

仲のよい親子を見るのが好きだ。
羨ましいけど、見ていると微笑ましくなる。
そして…悲しいけれど、どうしても思い出してしまう人がいる。








2011.01.28 横浜港、大黒海釣り施設赤灯台前を通過する曳船“勘栄丸”

工場の煙が真横に靡く。
かなり強い風が吹いていると想像が付く。
あの辺りは寒いだろうなぁ〜なんて心配したりする。

しかし、あの工場から私を見ている人は「あのバカ、こんなに風が強いのに楽しそうに写真撮っていやがる」とでも言っている事だろう。
僕は動物園の肥えた熊のように、コンクリートの地べたに寝転がり、青々とした冬の寒空を見上げている。
風が吹いたり、波が立ったり、どんどん風景が変わるから撮影は楽しい。





                                                                      

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