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9時38分、カモシカ立場を後にする。
少し高度を上げて振り返れば、カモシカ立場にて休む人々の後方に天狗岩 (見える尾根の一番右)、
間ノ岳 (写真中央 右)、そして西穂高岳 (写真 中央 左)
と続く稜線がよく見える。
暫く登ると、鉄梯子が連続して現れる。あまり大したことはないのだが、
これからこういう梯子や鎖場の連続になるかと思うと気が引き締まる。
そしてその通り、鉄梯子の後は長い鎖場となる。但し、鎖は安全のために握る程度、
鎖に頼る必要はない。 |
鎖場から暫く登ると、展望が一気に開ける。
そして、周囲はこれまでの草付きの登りから一気にハイマツと岩の世界へと変わる。
上方を見上げれば、遙か先に岩峰が見え、まだまだ道程が長いことを知らしめてくれる。
この辺になると、前方に見える高みがどの辺なのか全く分からず、
ただ黙々とペンキ印を辿るのみである。 | |
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登り着いた岩場には数人が休憩していたが、あまりスペースがなかったので そのまま通り過ぎる。
少し登って振り返ると、休んでいる方々の横に『 岳沢パノラマ 』 と白い文字で書かれた岩が見えるではないか。
そう、知らずに岳沢パノラマを通り過ぎてしまったのである。時刻は 10時3分。
その名の通り、ここからの展望は素晴らしく、まさにパノラマ (広々とした光景が広がる) である。
雲が多くなってきているものの、焼岳、
乗鞍岳の姿がしっかり確認でき、
さらには霞沢岳もよく見える。
そして、何よりも足下に広がる岳沢の光景が素晴らしい。秋の紅葉シーズンならば さらに魅力的なことであろう。 |
岳沢パノラマでは休み損なったが、
前に見える登りを考えると、ここでエネルギー補給が必要と思い、次に登り着いた岩場で暫しの休憩を取る。
見上げれば、奥穂高岳の左にはロバの耳、ジャンダルムと思しき 2つのピークが見えている。
また、さらに左には天狗岩、間ノ岳、そして西穂高岳へと続く峰がよく見える。
素晴らしい光景である。
下方に霞沢岳、
乗鞍岳、
焼岳も見え、
これらの景色を見ることができただけで、前回の無念をもう半分以上果たした気になる。
また、東側を見れば、今まであまり目立たなかった明神ヶ岳へと稜線が見える。
こちらも素晴らしい。
10分程休憩した後、先を目指す。見上げれば行程はまだまだ長い。 | |
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休憩した岩場からはガラ場の斜面となる。足下を崩さないように慎重に登る。
見上げれば、遙か先まで岩場が続き、その先に岩のピークが見えるが、あれば前穂高岳という訳ではないだろう。山の懐に入ると、
山の形が変わってしまい良く分からない。
ペンキ印に導かれながら岩場を登る。周囲は岩とハイマツが中心で完全にアルペンモードである。
長い長い岩場歩きかと思っていたのだが、休憩の効果だろうか、
順調に高度が上がっていき、20分程登り続けると、先程は遙か上方に見えた岩場がかなり近づいて来ている。 |
岩場を乗り越え、短い梯子を下る。
そう言えば、『 雷鳥広場 』と呼ばれる場所もあったらしいが、岩に書かれている文字を見落としてしまったようである。
先程の休憩場所がそうだったのかもしれない。
明神ヶ岳方面を見れば、鋸状に連なる尾根に道らしきものも見える。
手元の地図に登山道は書かれていないが、これだけの山である。登る人も多いに違いない。
登山道の方は長い鎖場となる。鎖は 3連。最後はスラブ状の岩場を一気に登る。
但し、難しい鎖場では無い。むしろ鎖は下山時に有用と思われる。
そして、鎖場を終え、岩場に登り着くと、目の前に 『 紀美子平・前穂分岐 』 と書かれた方向指示の標柱が現れた。
紀美子平はまだ先と思っていたので、この標柱の出現にはちょっと面食らう。
時刻は 10時58分。 | |