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人々が憩う紀美子平に荷物を置いて、カメラとペットボトルだけ持って前穂高岳へと向かう(11時2分)。
この頃になると、周囲にはかなりガスが上がってきており、奥穂高岳は既に隠れ気味である。
この先展望が期待できないのではと心配になる。
前穂への登りは、最初から岩場を進むことになる。ペンキ印を忠実に辿る。
岩場の急登が続く。ガスはさらにその量を増やしてきており、奥穂高岳方面は良く見えない。
岩屑の道を登り、岩場を越えて進む。この前穂も上空に雲が増えつつあり、頂上で景色を得られるかが心配になる。 |
高度が上がってくると、
今まで見えなかった北側の景色が見える様になってきた。
奥穂高岳、涸沢岳はガスに囲まれているものの、その右にある北穂高岳はハッキリ見える。しかし、
そのさらに右後方に見えるはずの槍ヶ岳はその基部のみが見えて、
穂先はガスの中である。
しかしそれにしても、北穂高岳までは厳しい道程のようだ。明日、
その行程を辿ることを思うと、少々身震いがする。
明日も晴れてくれることを願うのみである。 | |
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前穂高岳の頂上には11時30分に到着。
頂上は広く、岩を敷き詰めた台地状となっている。
展望は抜群、と言いたいところだが、やはりガスが周囲の山々を隠し始めており、
360度の展望という訳にはいかない。
比較的よく見えるのが、常念岳から大天井岳方面にかけて。
しかし、そちらもかなり雲が山頂付近を覆っており、その後方にあるはずの
妙高山や
高妻山は見ることができない。
大天井岳から左に目をやれば、見えるはずの槍ヶ岳は相変わらずその基部が見えるだけである。
何とか 槍の穂先を見たいものである。 |
槍ヶ岳の左には北穂高岳。
こちらはガスも掛かっておらず、その姿がハッキリと見える。
また、北穂高岳南陵につけられた涸沢への道も良く見えるが、かなり急なようで、
明日の下山が思いやられる。
そして、北穂高岳の左に涸沢岳、奥穂高岳が続くが、
こちらは相変わらずガスが覆っている。
それでも、時折 ガスが流れ、涸沢岳とその下部にある穂高岳山荘の赤い屋根は見ることができる。
しかし、奥穂高岳の頂上はガスに覆われたままである。 | |
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何とか槍ヶ岳の穂先が見たいと前穂高岳で粘る。
その甲斐あって、到着してから 10分後、ついに槍ヶ岳がその姿を表してくれたのだった。やはり、
槍ヶ岳の姿が見えると嬉しいものである。
そして、槍ヶ岳の基部には槍ヶ岳山荘の赤い屋根が見え、
また、槍ヶ岳の右後方には 未だ雪を多く抱く
立山と思しき山も見える。
しかし、喜びも束の間、槍ヶ岳は再びガスに飲み込まれてしまったのだった。
槍ヶ岳を見ることができたので、
こうなったら、奥穂高岳頂上が見えないかと暫し粘ったが、
状況は一向に好転しない。仕方が無いので、諦めて下山することにする。時刻は 11時52分。 |
奥穂高岳にかかるガスは結構流れていくので、
頂上が現れるチャンスを見落とさないようにとユックリ下る。
写真の奥穂高岳も拡大してみると、頂上の祠らしきものが見えるのだが、
この時は そのことに気づいていない。
途中の岩場で散々粘ったものの、ガスは次から次へと湧き上がってくるのでクリアに頂上を見通せることはなかったのであった。
紀美子平には 12時24分に戻り着く。
食事をした後、12時35分、吊尾根へと向かう。 | |