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そして、爽快な気分で高度を上げていくと、ついに南駒ヶ岳の姿が見えてきたのだった。
時刻は 9時29分。やったと思うとともに、まだ随分距離があるなと感じる。
北沢尾根三角点で決めた 10時半までにはあと 1時間しかないが、1時間であの頂上を踏めるとはとても思えない。
確かに、越えねばならないピークが 2つ程有り、さらには岩場の急登が待っている。
加えて、この素晴らしい景色に写真を撮りまくって、ついつい時間を掛けてしまう。
すぐに目標を 11時前に修正する。 |
南駒ヶ岳の右には鬼ヶ城のような奇っ怪な岩峰が見える。
恐らくあれが仙涯嶺であろう。
なかなか取り付くのが厳しそうな山であり、これからの縦走中一番厳しい登りとなるのかもしれない。
しかし、その仙涯嶺から右、越百山へと続く尾根は何とも魅力的である。稜線散歩が楽しくできそうで一寸 ワクワクする。
楽しみの前には苦労有り といったところか。 | |
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その魅力的な尾根にじっと目を凝らすと、尾根の向こう側に双耳峰が見える。あれは池口岳に違いない。
となるとその左に見える山は加加森山、そして光岳でなければならないのだが、
相変わらず 頭の中に光岳の姿をハッキリ登録しきっていないので、
どの山か迷ってしまう。一番高い所がそれと思われる。
池口岳の右に目をやれば、最初に目に付く三角形が鶏冠山らしい。その右に見える丸い山容の山は中ノ尾根山であろう。
そして、もしかしたら右の方に見える山は今年登った不動岳、
そして黒法師岳とバラ谷の頭のように見えるが、
強い愛着から来る思い込みかもしれない。 |
左手を見れば、
間に何も遮るもの無く、空木岳がよく見える。
先日、あの山に登ったばかりなだけに余計愛着を感じる。しかし、それにしても、何度も言うようで恐縮だが、
池山尾根側とは全く違う顔を見せる空木岳には驚かされる。
深田久弥氏は百名山にこの空木岳を加えるか、それとも今 小生が登ろうとしている南駒ヶ岳を加えるか迷ったそうであるが、
然もありなん。この空木岳も、また目に前に見える南駒ヶ岳も、かなり魅力的な山である。
最終的に高さとその名前から空木岳を加えることにしたとのことだが、
『 日本百名山 』空木岳の項の記述にあるように、
この山名が前駒ヶ岳だったとしたら、恐らく 南駒ヶ岳の方が選ばれていたに違いない。 | |
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この場所には、2,591mと書かれた標柱が立っている。ということは、あと 270mほど高度を上げていかねばならないことになる。
やはり 11時頃の頂上到着と見るのが妥当であろう。
さらに進んでいくと、
空木岳の左側の山々も再び見えるようになってきた。
やはり、三ノ沢岳と熊沢岳が大きいが、その間には木曽駒ヶ岳
もほんの少し姿を見せている。また、熊沢岳の右には伊那前岳、そして伊那前岳の手前に見える尾根上には、檜尾避難小屋の赤い屋根も見ることができる。
そして、その檜尾避難小屋の下方には木曽殿越と木曽殿山荘も見えている。 |
また、さらに左には
乗鞍岳、
御嶽が素晴らしい姿を見せてくれている。
この コンディションが崩れない内に早く 南駒ヶ岳の頂上に着きたいものである。
しかし、そのためには、まず目の前に見える高みを越えていかねばならない。そしてその後もいくつかのアップダウンが待っている。
まだまだ行程は長い。
目の前の高みに登り始める。このまま高みの頂上に至るのかと思っていたら、
途中から高みを右に巻く形になった。ありがたい。道の傍らには 2,700mと書かれた標柱があり、頂上まで 45分とある。
時刻は 10時丁度。表示の時間に従えば、頂上到着は 10時45分ということになる。 | |