北横岳_縞枯山( 北横岳:2,480m ) 2011.4.2 登山



【PHOTO & 記録 北横岳_縞枯山 1】

東日本大震災 (東北地方太平洋沖地震) から 3週間以上経過したが、 死者の数は 1万2千人を超え、さらに行方不明者が 1万5千人以上いるという。
写真や映像で見る被災地の状況は、まさに壊滅という一言。避難生活を送られている方々、 肉親や友人を亡くされた方々、生活の場が一瞬にして失われた方々、その人達のことを思うと 本当に心が痛む。
さらに、福島第一原発は未だ予断を許さぬ状況にあり、震災の直接的影響はないにも拘わらず、 原発 30km圏内に住んでいるということで避難を余儀なくされた方々、農作物の販売ができなくなった方々もお気の毒というしかない。 そして、危険な原子力発電所において、懸命の復旧作業を続けている方々にも本当に頭が下がる。
首都圏では計画停電が行われ、節電のために暗くなったオフィス、そして毎日の通勤においても電車の本数が減ったことにより かなりの混雑が生じて苦痛を味わっているが、 震災に遭われた方々のことを思い、皆 文句も言わず我慢しているのを見ると、やはり日本人だからかな と嬉しくなる。
また、このような大災害に対して日本中ばかりでなく、世界中からも 義捐金や支援が寄せられており、本当にありがたく、 そして人の絆は素晴らしいと感じる次第である。
一方で、この日本全体が一致団結しなければならない時に、震災地を荒らす火事場泥棒がいるとか、 心無い風評を流す人がいるとか、買い占めに走る人がいるとか、どういうつもりか知らないが プロ野球セリーグの開幕を 3月25日に強行しようとしたお偉方がいたとか、 残念なニュースも流れてくる。

毎日 こういう状況であるから、エピソードとして聞こえてくる人情に嬉しさを感じる反面、 気が晴れない事柄の方が多く続いていて、山に行く気にもなれずに 3月は終わってしまった。
しかし、世の中 自粛ムード一辺倒では、やはりますます負のスパイラルに陥るだけである。 自分のできること (例えば 義捐金拠出、節電 等々) をやる中で、後はできるだけ今までの日常を取り戻し、 経済が今まで以上に回っていくようにすべきなのかもしれない。
ということで、いつまでも晴天の土日に家に閉じこもっているのは良くないと考え、山に行ってみることにした。 大震災から 3週間経って、ようやく自分の気持ちも落ち着いてきたものであり、全く被害に遭っていない我々までが落ち込んでいては 世の中回っていかないと思えてきたのである。
と 書くと、何かいい訳めいて聞こえるが、やはり折角 山に登ろうという気持ちが震災後 3週間経って湧いてきたのを、 無理して抑えるのは却って良くない。とは言え、未だ厳しい避難所生活をおくられている方々のことを思うと、少々後ろめたさを感じるのも事実である。 そこで、自分を納得させるだけかもしれないが、山に登った際、その高さの分だけ義捐金を送ることにした。

そして、気持ちの整理がついた中、この 4月2日に山に登ってきた。
山の高さ分だけの義捐金を送るということを踏まえると、あまり低い山では申し訳ない。 加えて、楽な山行でも申し訳ない気がして、選んだ山が北八ヶ岳の北横岳である。
この時期、まだ雪は豊富にありそうであるし、昨年 蓼科山に登った時、 本来はこの北横岳を登るつもりであったので、その埋め合わせでもある。
加えて、3月28日から 4月27日まで定期整備のためロープウェイは運休。山はあまり混雑しないことが期待できることも大きい。
さらに天気予報を見ると、茅野市あたりの予報は 6時から 9時まで曇りとなっているものの、 後は晴天のようであり、山頂に着く時間帯を考えると、丁度良い。

ということで、少し遅めの 4時半に横浜の自宅を出発したのであった (無論、車)
久々に早朝の 国道16号線を進み、八王子ICから中央高速道に入る。自粛ムードのためか、 車が少ない気がする。順調に車を進め、笹子トンネルを抜ける。さらに次のトンネルを抜けると、 北岳を始めとする南アルプスの山々が雲の多い空にぼんやりと白い姿を浮かべている。 さすがにこの時期になると、霞み気味なのか、それとも曇り空の所為か。
いつもは諏訪ICで高速を下りるのだが、今回はナビに従って諏訪南ICで高速を下りる。ナビに忠実に従って進み、 山寺上で国道152号線 (メルヘン街道) に入る。 メルヘン街道を 6km程進んだ後、緑山から蓼科の別荘地に入り、その後 笹丸平でお馴染みのビーナスライン (県道192号線) に入る。 ここまで来れば、ピラタスロープウェイの分岐も近い。
ピラタスロープウェイ駅には 7時25分に到着。途中、路肩に雪がある場所もかなりあったものの、 路面の凍結は無く、ノーマルタイヤで全く問題なく来ることができたのだった。
事前に得た情報だと、昨日までスキー場は無料開放され、その代わりに地震への義捐金を募るというチャリティースキー行われていたとか。 いろんなところでこういう動きがあることを嬉しく思う。


身支度をして 7時34分に駐車場を出発。
スキー場開場は確か9時から。従って、駐車場はまだガラガラ状態。但し、登山口の横に 1台 四駆車が駐まっている。 どうやら先行する登山者がいるようである。

写真の様に登山口からいきなり雪が現れる。しかし、凍ってはおらず、 また良く締まっているのでアイゼン無しでも十分に登っていける。トレースもしっかりついているので安心である。
暫し樹林帯の中の登りが続く。
左手にあるスキー場では9時からの開場に備えてであろう、斜面を整備する車両が大きな音を立てている。

10分ほどで樹林帯の中の登りは終わり、 広い雪の原に飛び出す。ここは傾斜も緩く、雪がなければ、ススキとササの原のはずである。
当然、展望が一気に開ける。
正面右には縞枯山。そしてそこから左へ北横岳に続く稜線が延びており、 その中間にロープウェイの山上駅がある。
右に目を向ければ、冷山と思しき黒き峰の向こうに東天狗、西天狗と連なった天狗岳が白き姿を見せている。 ピラミッド型の西天狗の右は恐らく第二展望台、第一展望台と続く西尾根であろう。

天狗岳のさらに右に目をやれば、 お馴染みの南八ヶ岳の山々が姿を見せている。
天狗岳から右に続く西尾根の後方に見えるのは主峰 赤岳。 そして、その右手前には 峰の松目が意外に大きい。
峰の松目の右後方には阿弥陀岳が赤岳に負けじとその姿を誇示しており、その阿弥陀岳のさらに右には、権現岳、ギボシが見える。 ギボシの右にはノロシバと思われる峰が続き、手前に立場山を挟んで、 編笠山西岳と続いている。
ほとんどの山が昨年登った山なので、親しみが湧く。

南八ヶ岳のさらに右に目を転じれば、 うっすらとではあるが南アルプスの山々を見ることができる。
一番目立つのが仙丈ヶ岳で、 大きく羽根を広げているような形は存在感十分である。
仙丈ヶ岳の左には甲斐駒ヶ岳。 そのさらに左には北岳と続くが、 ここから見る北岳の姿は意外と小さい。
北岳のさらに左には高嶺鳳凰三山が並んでいる。

南アルプスのさらに右には中央アルプスも白き峰を見せているが、光の関係なのか、 空中に白く浮かび上がっている雲のようで、同定することが難しい状況である。

左手を見れば、蓼科山がズングリとした姿を見せている。
全体が黒っぽく、頂上付近だけ白いベレー帽を被ったようになっている姿はなかなかユニークである。
本日、北横岳頂上に立てば、 この蓼科山をもっと間近に見ることができるはず。
空はまだ雲が多いが、天気予報通りに徐々に晴天になりそうなので、楽しみである。
緩やかな傾斜の雪の原をゆっくり登っていく。
雪は固く締まっており、足を取られることはあまりないが、油断すると時々大きく足をとられてしまう。 今の時点でも気温はかなり高いと思われるので、下山時が心配である。

高度を上げていくと、 左手下方にあるスキー場が見えてきた。ゲレンデを整備する車両の音が山に響く。
スキー場の上方に目をやれば、八子ヶ峰 (やしがみね) とそこにあるヒュッテが見える。 八子ヶ峰の後方には白い山が浮かび上がって見えるが、霧ヶ峰の車山である。

また、霧ヶ峰のさらに後方にも白き山並みがあるのが分かる。 位置的に槍穂高連峰に違いないのだが、 曇り空に紛れて全く山の形が分からない。



北横岳_縞枯山登山データ

上記登山のデータ登山日:2011.4.2 天候:曇りのち晴れ単独行日帰り
登山路:ピラタスロープウェイ山麓駅駐車場−ピラタスの丘−山頂駅−坪庭−北横岳ヒュッテ−北横岳南峰−北横岳北峰−北横岳南峰− 北横岳ヒュッテ−坪庭−雨池峠−縞枯山−雨池峠−山頂駅−ピラタスの丘−ピラタスロープウェイ山麓駅駐車場
交通往路:瀬谷−(国道16号線)−八王子IC−(中央高速道)−諏訪南IC−(県道90号線)−御射山−(県道425号線)−八ツ手−(県道17号線)− 山寺上−(メルヘン街道)−緑山−笹丸平−(ビーナスライン)−北山−ピラタスロープウェイ山麓駅駐車場 (車にて)
交通復路:ピラタスロープウェイ山麓駅駐車場−(往路を戻る) (車にて)

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