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そして、8時55分、山上駅の横に登り着く。
建物の横にはスノーモービルが 1台駐まっていたものの、エンジン部を触っても温かくない。今の時間、山上には誰もいないのかもしれない。
目の前には一面の雪原が広がっており、果たして 北横岳まで行けるか少々不安になる。
山上駅の建物に行ってみると、ドアには鍵が掛かっておらず、中に入ることができた。
折角なのでトイレを借りることにしたのだが、トイレは暖房が効いていて快適であった。
山上駅で少し休憩した後、9時5分に出発。雪原を吹き抜ける風は強い。 |
右手には縞枯山が見える。
本日の目的地は北横岳だが、
余裕があれば縞枯山にも登りたいところである。
『北八ヶ岳 坪庭』 と大きく書かれた標示板の下に北横岳への道を示す道標があった。
標示板に従って左に進む。右は縞枯山。
綺麗に除雪された道を進む。除雪された道は本来は木道のようで、足下の雪の間に木が見える。しっかりした道に一安心。
ところがである、除雪されているため、左右は 1m位の雪壁になっているのだが、
何と 途中で除雪は突然 終わりとなり、雪壁に行く手を阻まれることになったのだった。仕方なく、
右の雪壁に登山靴を蹴り込んで足場を作り、雪壁の上 = 雪原に這い上がる。 |  |
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雪原は何も遮るものがないので、強い風が雪煙を上げながら吹き抜ける。
それ程寒くはないが、それでも頬の筋肉が硬直する。
道の方は強い風に消えつつあるものの、雪の上に踏み跡が残っており、また 先端に赤い印が付いたポールがしっかりと道を示してくれるので迷うことはない。
ただ、風が本当に強い。
写真は 第一休憩所から山上駅方面を眺めたもの。駅の後方にはうっすらとではあるが中央アルプスが見える。 |
雪原の向こうには北横岳が見える。
天気予報通り、徐々に晴れてきているので、北横岳頂上付近に着いた頃には快晴となる気がするが、横殴りの風、
舞い上がる雪煙、風に消えそうになっている踏み跡と不安要素が多く、先行きが心配になる。
しかし、視界は良好。今のところ危険を感じさせる要素はないので、頑張って進むことにする。
あれ程強かった風も、雪原を横切り、山に取り付いて樹林帯を登るようになってからは嘘のように治まってしまった。
と言うより、風は吹き続けているのだろうが、北横岳自体が風を遮ってくれているということなのだろう。 |  |
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道は樹林帯の中をジグザグに登っていく。
足下の雪はしっかり踏まれており、しかも凍っていないので快適に進める状態である。
黙々と視界のない樹林帯を登っていくのだが、所々で大きく視界が開け、
眼下に坪庭の雪原を見渡せる場所が現れる。
前回 北横岳に登ったのは 2007年の 11月。
雪がある程度積もっていたとは言え、坪庭は岩とハイマツ、コメツガなどがしっかり見えていたのだったが、今は完全に雪原となっている。
一体 雪はどの位積もっているのであろう。 |
時刻は 9時30分を少し回ったところである。
この頃になると、青空の割合が上がるとともに、太陽も顔を出すようになり、温かい日差しを降り注いでくれる。
風もないことから、暑いくらいである。
いやがうえにも北横岳への到着が楽しみになる。
足下の雪は総じて軽アイゼンも不要な状況であるが、所々で装着していた方が楽だと思われる所が現れるようになってきた。
北横岳ヒュッテに着いたら、装着した方が良いかもしれない などと考えながら登り続ける。
山に取り付いてから先行者の足跡がハッキリ分かるようになった。やはり 誰か山に入っていると思うと心強いものである。 |  |