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高度を上げていくと、常念岳−蝶ヶ岳を結ぶ稜線の向こうに、
先程の奥穂高岳に加えて北穂高岳がその頂を見せ始めた。
さらに高度が上がると、奥穂高岳の左に前穂高岳が加わる。
このなかなか面白い演出を大いに楽しませてもらうとともに、20年前にはこのような光景が左手に見えていたことを全く知らず、
ガスの中を黙々と登っていたことを思い、やはり山は晴天の時に登るべきだと強く思ったのだった。
20年前にも、最終的に常念岳頂上から槍・
穂高連峰を見ることができたのだったが、結果だけではなく、その山に至るまでのプロセスも大事である。
20年前は初めての北アルプスにも拘わらず、ガスの中の登りとなったので意気消沈しながら登ったのだった。
当時 この景色が見えていたら、もっと楽しかったに違いない。 |
ここの登りはかなりの傾斜がある上に、
小生自身にだるさが残っているため、かなりキツイ。
加えて、登り始めて2時間半以上経とうというのに、まだ 1回も休憩をとっていないことも応えている。景色が良いので休憩しても良いのだが、
何となく 休憩は前常念岳と決めてしまっており、そこまで我慢するつもりである。無論、早く頂上に着きたいという気持ちが、
できるだけ休みをとらないことに繋がっている。
斜面はハイマツの絨毯となり、道は岩に付けられた黄色いペンキ印を辿ることになる。なかなか、リズム良く登れないのが自分でも非常に歯がゆい。 | |
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左手を見れば、ついに涸沢岳も姿を現し、穂高連峰の役者が勢揃いである。
また、振り返れば、南アルプスの山々が雲海の向こうに見える。一見して目立つのは、
甲斐駒ヶ岳、
北岳、
仙丈ヶ岳、
塩見岳、
荒川東岳 (悪沢岳)、
赤石岳であろうか。
これらの山がそのピークを目立たせている。
また、南アルプスの一群の左には、うっすらとではあるが富士山の姿も見ることができる。
素晴らしいの一言である。 |
前後に誰もいない状況であったが、
やがて 熊よけの鈴の音が聞こえてきた。
下を見ると、単独の若者が登ってきている。まだ 小生との距離はあるが、かなり良いリズムで登ってきているので、いずれ追いつかれるであろう。
とはいえ、そう簡単に追い越されるのも癪なので、前常念岳までは頑張ろうと 足を速める。ただ、距離は徐々に縮まりつつある。
上を見れば、前常念岳まではまだまだである。辛い。 | |
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穂高連峰を見やれば、今や完全にその姿が見えている。ここからの距離はかなりあるものの、
その迫力たるや圧倒されるものがある。
ということは、常念岳−蝶ヶ岳の稜線に立った際の
穂高連峰の姿が楽しみである。
個人的には北穂、涸沢、奥穂、前穂を一遍に踏破したいという思いがあり、
その所要日数、行程の大変さからなかなかトライできないでいるが、こういう素晴らしい姿を見ると、躊躇っていることが馬鹿らしくなる。
早いうちにトライせねば。 |
高度もあがり、ますます展望が開ける。
南アルプス、富士山の左方には
八ヶ岳が雲海に浮かんでいる。
なだらかなすそ野はまずは編笠山で盛り上がり、
その左には権現岳、
そして阿弥陀岳、
赤岳へと続く。
さらに横岳、硫黄岳と続き、天狗岳の双耳峰も良く確認できる。
さらに左には蓼科山も見ることができる。
となると、赤岳からもこちらが見えるはずだが、赤岳山頂ではあまり良い展望に恵まれたことがなく、
確認できていない。
もっとも、北アルプスは大きな山群なので、常念岳を特定するのは難しいのかもしれないが・・・。
8時28分、石室に到着。ここは 20年前とほとんど変わっていない印象を受ける。
さあ、前常念岳まであと一息である。
何とか、後続の若者には抜かれずに済みそうだ。 | |