Encyclopedia [Ring of Mercuries] |
科学の発達したこの世界の、基幹技術の一つ。
分子単位での構築技術。
かつては神の領域と称された物質コントロールの究極的技術の一つである。
ナノテクノロジー、すなわち極小単位の分子そのものをコントロールし、構築する技術は科学の持つ可能性を飛躍的に増大させた。分子そのものを制御することは、単なる化学反応に留まらず、物質の特性を自在に変化させ、結合することに他ならない。
集積回路の素材や材料工学への応用、ライフサイエンスへの転用と、各分野への用途はまさしく無限大である。
ただし、そのコントロールやデザインには膨大な量の知識と偶然、そしてセンスが必要とされる。それらを兼ね揃えた技術者の中でも、トップ・レベルの人間は特に「コーディネイター」と称され、社会的な尊敬と地位を手にしている。
[詳細]
ナノマシン
大きさが10億分の1メートルという小型のロボット。分子配列によって作られ、静電気やイオン電位差などによって駆動する。
大破壊からの復興のため、環境改善に大量使用されたのが最初といわれている。
現在においては、主な使用は医療用に限定されている。また、都市管理法によってその扱いは極めて厳重に定められている。
冒頭で十六夜の使用したスプレー式の修復剤もこれである。
アミノ酸で構成されたナノマシンは、自分自身を素材としつつ生体親和性の高い疑似細胞を形成、欠損部分を修復する。基本的には応急処置的なものであり、止血と保護をかねたものに過ぎない。疑似細胞はそれ自体ではほとんど何の機能も持っておらず、内臓にまで達した傷などは塞ぐことは出来てもその機能を補助することは出来ないため、内分泌物のバランス低下などを引き起こすことがある。疑似細胞の耐久性は長いが細胞分裂しないため、徐々に普通の細胞に置き換わっていく。
極小のマイクロマシンによって肉体を再構成する方法は理論上どのような傷も治癒させるが、無論「魂」の復活はそこに含まれていない。重傷の場合は専用のリアクター内での治療を行っている。
噂の域を出ないが、違法なナノマシンの使用を制御する「リミッター」が都市全体に施されているとも言われる。
人形
ここでいう「人形」とは、人の形をした物、疑似人格プログラムを組み込んだ人型機械という意味だけではなく、人格を再フォーマットした人間も含まれる。
インプリンティング(刷り込み)と脳処理によって命令者に絶対服従する、文字通りの操り人形である。
「能力」
一部の人間が持つ、超常能力のこと。
『相』『アスペクト』などとも呼称される。
原理や資質など不明な点が多い。
最大の謎は、何故「能力者」が生まれるのか、という事である。
人間を一生命体として考えた場合、あまりに過激で強力な「能力」はもはや生物としての領域を逸脱している。
エネルギー保存の法則、質量保存の法則、そう言った物理的法則・物理的限界を超えて行使される現象は、サイコメトリーといった物などごく一部を除いて科学的解説さえつかない物が多い。
また、最近の研究では、殆ど全ての人間に微弱ながらも「能力」の資質があり、何らかの誘発因子によって発現する可能性があることも判ってきた。
カーマイン社はこの「人工能力者」の開発に成功したと言われているが、その詳細は不明である。
能力はその形態によって様々に分類されている。
[分類について]