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Encyclopedia [Ring of Mercuries]

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カーマイン

 ここ数年で急速に台頭してきた製薬会社。
 医療と言うよりは、反応加速剤や精神抗生剤といった、戦闘用のドーピング薬でシェアを獲得している。
 人体改造の研究に余念が無く、特に能力者を人工的に開発した、との噂もあるほどである。超人開発という分野に期待する国家や組織は多く、一部非合法なところからも資金提供を受けているようである。
 真偽のほどはともかくとして、カーマインが能力研究の分野に多額の資金を投入していることは確かで、そういった研究からのフィードバックが新製品の開発に繋がっている。

改造

 生身の肉体に、何らかの機能付加をすること。
 一般化したものではネットワークとの接続を容易にする生体端末や、神経加速処置、脊椎の光ファイバ化による反応速度向上、筋力強化などである。
 拡大解釈すれば、人工臓器などもこれに含まれるのだろう。「半身の喪失」が関わるとされる多臓器不全や欠損は生身のままの生存を著しく困難な物にしているし、半数以上の人間が人工臓器や器官の恩恵を受けている。
 肉体改造はもはやタブーではなく、生活をより快適に過ごすための一手段として広く認知されており、端末の増設程度なら5分ほどで済んでしまう。

 サイバネティクス技術ナノテクノロジーの発達したこの世界において、生体端末すら埋め込んでいない十六夜のような人間はむしろ希有な存在である。

凶眼

 邪視、とも言う。瞳から発せられる、強力な威圧能力である。
 原理的には視覚から強制的に知覚に介入し、精神に影響を及ぼしているものと思われる。
 この知覚への影響は絶大で、与えられた命令は絶対的なものである。とくに身体の反射に対しての割り込みは、強力な攻撃手段になりうるものであり、溺死させる、あるいは全く肉体的な損傷がないのに、全身に火ぶくれを生じさせて殺害する、などの例が報告されている。
 大抵は相手に強烈な畏怖を芽生えさせて身体を拘束するなどに用いられることが多い。またそれを利用して相手を支配下に置いたりもする。
 この知覚への割り込みは、当然人間以外の物に行うことも可能である。

 我々の世界においてもポピュラーな能力であり、ローマ法王ピオ(ピウス)9世(1792〜1878)などは著名な邪視能力者の一人である。
  優れたカリスマ性を有する人間には少なからず邪視の才能があると言われている。

 

コマンドワード型能力

 「相手に対して口頭で命令する」ことによって発動する形態の能力。
 対象に対して直接命令、あるいは特定の言語を認識させることによってのみ効果を発揮するため、電話などの遠隔通信では実行されない。
 原理は全くの不明だが、 言語によって引き起こされることから精神攻撃の一種と考えられている。
 しかし、影響は物理現象にまで及び、コマンドを耳にしたものが通常では考えられないような状態で死亡することさえある。
 コマンドワードは時として本人も知らない事から予期せぬ形で様々な事件を起こすことがあり、メ・メール神聖教会に於いて司教ヴォルケナの演説を聞いた人間が次々と体液の沸騰により死亡した猟奇事件「ヴォルケイトスの惨事」などはその最たる例である。