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Encyclopedia [Ring of Mercuries]

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ハスラー

 十六夜の愛好する煙草。
 本物の煙草は超高級品でとても一般に出回るような物ではないため、各社は生成したタールとそれを染みこませるシートの改良によって本物に近い味が出るように工夫を凝らしている。
 喫煙管理法によって煙草には大きな規制がかけられているが、このハスラーはその規定値ギリギリのレシピで作られた、「限りなく違法に近いが本物にも近い」一品である。
 そのためか、軍関係者に愛用者が多い。

パスワーキング

 魂の小径への作業、と呼ばれる魔術修行の一種。
 種族的な記憶へのアプローチを目的としており、心理学的には誘導瞑想の一種として関連づけられている。
 確かに外部から与えられたイメージによって内的世界を旅するというような形態のものは誘導瞑想として見ることが出来るが、より高位な領域まで修練を積むと、真に自己の記憶、過去、前世と言ったものへ遡り、究極的には「アカシア記憶」にまで辿りつくことさえある。
 実際、魔術学院の中にはこのパスワーキングを用いることで「アカシア記憶」へと接触し、その過程で大破壊の原因を調べようとする派がある。
 ただしそこに到達するために必要な研鑽と精神力は想像を絶するものであり、真実に辿りついたものはまだいない。
 そこに真実があるのか、と懐疑的な派閥も多い。アカシア記録自体の検証が誰にも出来ないからである。
 パスワーキングは未だに機械的なものを寄せ付けない領域であり、今後どのように発展していくかは誰にも予想できないのだ。

半身の喪失

 正式名を「存在的欠損症」
 人類のうち99.7%が先天的に持っているとされる病。肉体的な欠損や精神的な空虚さだけではなく、存在的な喪失であり、外観上の異常は認められないことも多い。
 それらが人体に如何なる影響を及ぼしているか、根本的には解明されていないが、人体が潜在的に持つ短命、急速老化、制御不能の能力等に関係があるとされる。
 その存在は殆ど極秘とされており、徹底した情報統制の結果、詳細を知るものは少ない。いわゆる「オカルト」と同系列に扱われることの方が多く、それは当然、情報操作の結果からである。
 少ない実例に寄れば、半身との融和は人格の書き換えを意味するので、どちらの人格が残るか、融合して一つになるか、それとも全く新しい人格が生まれるのかは判らない。

ブラスト・ヴォイス

 歌姫マリスの能力の一つ。
 別名、「ローレライの旋律」
 最大有効射程200メートルの指向性破壊能力。
 実際には「声」が出ているわけではなく、限定された範囲に分子構造を激しく崩壊させるような特殊な「波」が発せられ、あらゆる無機物を分子分解させる。
 これはマリス自身が持っている破壊能力がこのような方法で顕在化しただけであり、彼女の感情が完全に負に近づくほど、本来の破壊能力に近い性質が備わる。
 その場合、範囲は著しく減少するが、およそありとあらゆる物質は塵となって消える。