あーとだいありー |
2005年4月 |
(ファイルが重たくなったため、5月分を新設しました) |
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4月20日(水) さいきん、こればっかりですが、19日の北海道新聞渡島檜山版から一部抜粋。 【乙部】町は本年度から町と縁の深い美術作家の作品を屋外展示する「街かど美術館」事業を開始する。その第一弾として、町内在住の彫刻家で日展の特選に輝いた経歴を持つ中川真一郎さんが制作したモニュメントが「おとべ温泉・いこいの湯」の前に設置され、十七日、除幕式が行われた。 日展のウェブサイトには、1958年以降の特選受賞者の一覧がありますが、中川真一郎という人は見当たりません。 新聞の写真を見るかぎりでは、輪に羽がはえたようなスタイルですが、このような作風のものを、具象アカデミズムの牙城たる日展に出していたとは思えません。作風を変えたのでしょうか。 4月21日(木)修正! 中川さんについて。 「もしや」と思って、「中川眞一郎」で検索してみました。 ありました! 彫刻、ではなく、工芸で、日展の特選に輝いています。 しかも、じぶんのサイトも出てきた(←大バカ)。3カ所も。 日本現代工芸美術展に、鋳金でエントリーしてます。 ってことは、折原さんの弟子筋かな? ■01年の日本現代工芸美術展北海道支部展 |
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4月18日(月) 16日の北海道新聞夕刊によると、伊達市の有形文化財「迎賓館」を名作ギャラリーとして活用することになり、第1弾として、野本醇さん(国展、全道展会員)の絵画展が24日まで開かれているそうです。 この建物とおもわれます。 明治25年の建造だそうです。 北海道新聞の夕刊といえば、15日の社会面トップで、道内滞在時の石川啄木は丸刈りだった? という記事を読んだ方も多いと思いますが、あれを書いたのは、筆者です。 もし本社のデスクに「だからどうしたんだ」と言われれば、返す言葉がないので、まあ紙面があいたときにでもつかってもらえれば−と思って原稿を出しました。 まさか、あんなに大きい扱いになるとは。 読んでいない方のために。 大通公園3丁目にある啄木の像は、羊が丘展望台の「丘の上のクラーク像」を造った彫刻家、坂坦道さん(1920−88年)の作です。 ただし、八雲の啄木研究家にいわせると、当時の啄木は丸刈りだったそうで、この像が七三になっているのは誤りなのだそうです。 もっとも、これは坂さんの責任というより、たまたま手元に、ちがう時代の写真資料しかなかったためでしょう。 札幌のちいさな新聞社で啄木の同僚だった野口雨情(詩人。「赤い靴はいてた女の子」などの作詞で有名)の随筆「札幌時代の石川啄木」の一節。 ある朝、夜が明けて間もない頃と思ふ。他人のタバコだってば。。。 (5月4日追記。この事実を見つけたのは、八雲の啄木研究家、長江さんであり、筆者ではありません) 「鈴木涼子展」については、長くなったので、「展覧会の紹介」としました。 つたない文章ですが、お読みくだされば幸いです。 |
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4月17日(日) 1−2日、札幌で見た展覧会のつづき。 佐藤武展=ギャラリーどらーる(中央区北4西17、ホテルDORAL 地図D) 佐藤さんは札幌在住。絵は独学、ということですが、とても信じられない描写力と完成度の高さをおもちです。 公募展には出品せず、個展を中心に活動しています。 インドを題材にしていますが、よくある、ガンジス川の岸辺とかでははありません そこに描かれているのは、誰もいない寺院など、時が静止したかのような、どこともしれぬ異国の風景だといえると思います。 そして、時には、その建物の一部が崩壊する一瞬がモティーフになっています。 ただし、今回の個展では、崩壊のようすを描いた絵はあまりなく、空中に幾何学的な立体が浮かぶ「不安な時代」と題された作品が多く出品されています。 なんともいえぬ、不思議な静けさに満ちた作品群です。(日本の超現実主義の絵によくあるような、ごてごてした感じはまったくありません) もうひとつの系列は「眠るオアシス」「夕景の寺院」といった作品で、絵の下方にははるかな遠い風景、上方には蜃気楼のように寺院や、回廊の内部が浮かんでいる情景を描いているものです。 これは、崩壊とか不安をどこかに宿している佐藤さんの作品のなかでは、めずらしく、見る者を心から、郷愁と安堵の世界にいざなうものだと思います。 佐藤さんは、手短に 「破壊と祈り、ですよ。どちらか一方ではダメでしょう」 と、今回の出品作の狙いを話してくださいました。 いずれにせよ、佐藤さんの絵は、現代人の心理を反映しながらも、東洋的ともいえる悠久な時間の流れをつむいでいるかのようです。 30日まで。 ギャラリーのサイトに画像があります。 ■04年の銅板画展 ■03年の個展 |
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4月10日(日) 秋田智江展 Sweet Home=ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20 地図D) 30代の札幌の女性です。 大学では日本文学を学んでいたそうですが、絵画への思い断ちがたく、職を辞してスペインの美術学校で学び、札幌に戻ってきてからの初の発表だそうです。どうりで筆者が知らないわけです。 白いまま残された背景や、弱い線、具象性など、1990年代以降の、世界的な絵画の動向とどこかシンクロしている絵だと思います。しかも、どこかに物語性が感じられます。 宮下さん(ギャラリーのオーナー)によると、写真の左側の絵は、下にはさみが、上にスズメが描いてありますが、これは「舌きりすずめ」だそうです。 ほかの絵も、なにかの物語を題材にしているとか。 そうやって聞くと、種明かしみたいで、かえってちょっとつまらなくなってしまいますが(勝手な物言いですいません)、こういう絵を描く人は道内にはほとんどいないので、どしどし描いてほしいと思いました。 10日で終了。 「透明な視覚‐長時間露光による仮想的現実世界の写真表現」浅野久男/黒田拓=サッポロファクトリー・レンガ館2階(中央区北2東4 地図G) まずは、浅野さんのメールから。(スケジュールのページにあるのと同文です) 二名の写真家が共に年来のテーマとしている、北海道の風景−水面を「長時間露光」の手法によって捉えた作品を展示します。本来写真表現は一瞬のいわゆる真実を写しとるものとして捉えがちです。しかしながら「長時間露光」という手法‐時間の流れを一枚の写真に凝縮しようとする手法によると、現実にある光景は被写体自身の流れ・動きにより、あたかも時間の流れのように一枚の写真の中で段々透明な存在へと変化していきます。それは現実の光景を捉えているのだけれども現実ではない光景、そんな仮想的な現実世界を時間として写真の中に表現したものであると言えます。中堅の浅野さんは「passage」展を組織する一方で東京でもグループ展を開催、若手の黒田さんは写真集を出版するなど、どちらも活発に発表している人ですが、こうしてふたりの作品をならべてみると、うーん、似てる! 似たアプローチだとは思ってたけれど、これほどまでに似てるとは思いませんでした。 どちらかというと、浅野さんのほうが単色の世界、というか、より抽象的。 黒田さんの作品は、過日のカフェ・エスキスで発表したものから作品タイトルを省略したものが多かったような気がしますが、海や天体のかたちを生かしながらも、叙情性たゆたう世界をつくっています。 □浅野さんのサイト □黒田さんのサイト ■黒田さんの作品画像 ■passage展(01年) ■passage札幌展(03年) ■passage展(02年) 10日の北海道新聞に、札幌出身で日本画壇の最長老・片岡球子さんの100歳(1月5日が誕生日)を記念しての個展が神奈川県立近代美術館葉山館で始まり、ご本人が開会式に姿を見せたという記事と写真が出ていました。 うーん、100歳ですか。もう常人の域を超えてますね。 鈴木涼子展、佐藤武展、「美術館に行こう!」については、追って書きます。 |
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4月5日(火) 1−2日に札幌で見た展覧会について書きます。 藤堂志津子「夫の息子」 八木伸子 挿絵原画展=道新ぎゃらりー(中央区北1西2 札幌時計台ビル地下 地図A) 札幌在住の恋愛小説家、藤堂さんが昨年、北海道新聞の日曜版に連載した小説に、やはり札幌在住のベテラン画家、八木さん(春陽会、全道展会員)が添えた挿絵全51点のほか、ポピーなどの花を題材にした小品の油彩4、5点を展示した個展。 なかなかよかったです。 画材はたぶん水彩で、そのほかパステルやインクを併用している模様。 「レストラン」の入り口を描いたもの、人物、花など、おなじテイストのものが何週もつづかないよう、バラエティーにとんでいます。 また、登場人物のイメージを固定しない程度に、人物画が出てくるのも好ましい。 連載小説の挿絵は、人物のイメージを読者に押し付けるとよくないし、かといって、どんな場面にでも使えるような静物画ばかりでも飽きられてしまいます。抽象的すぎてもつかみどころがないし、説明的すぎてもよくない。けっこう、ころあいがむつかしいのだと思います。 その点、八木さんの絵は、挿絵むきだと感じました。 作品の大きさもちょうどよかった。 5日で終了。 ■春陽会道作家展(04年) ■03年 ■02年 ■01年 ■03年11月の個展 村本千洲子展=札幌時計台ギャラリー A室(中央区北1西3 地図A) 札幌在住、女流画家協会と全道展会員。 4年ぶりの個展です。100号クラスの大作を10点ならべました。 魔女のおばあさんのような、独特の風貌をした女性の登場する絵で、見た人に強い印象をあたえます。 そういえば、村本さんの絵には男性は出てきません。そのかわり、母子像が多く描かれます。 けっして美しいとはいえないのですが、どこか聖性を感じさせます。 左は「鎮魂」。十字架と、百合の花。血に染まった布。そして、右下にのぞく軍艦のような影。 ダイナミックな構図です。 村本さんによると、これは沖縄戦をイメージして描いたものだそうです。 平和への静かな祈りがこめられています。 もっとも、「はまゆう」には、桟橋に打ち寄せられた流木のようなもののなかに「非核平和宣言」という看板が見えて、村本さんも、文字をハッキリ書いたのはどうだったかなと反省していました。 ほかにも「約束された刻 V」「祈り−何処へ」「黙示 T」などは、ピエタを連想させる、十字架の登場する作品です。ただし、宗教色が濃いというよりは、人間の奥底を掘り下げたとでもいうべき絵だと思います。 村本さんの絵画世界も、人間存在に泥臭く迫るという、全道展の多くの画家の系譜に連なるものといえるかもしれません。 2日で終了。 ■01年春の個展(画像あり) ■03−04展 竹津昇・アンダルシア・スケッチ展=ギャラリーユリイカ(中央区南3西1 和田ビル2階 地図B) 竹津さんは札幌の水彩画家。 毎年、冬休みを利用して海外をスケッチ旅行していますが、ここ数年はスペインに魅せられ、あまり日本人のツアー客が行かないような地方にも足を伸ばしています。 旅行記が、サイトにあります。 現地で筆をとって描いた作品を見ていると、あの、ことばの通じないところを行く心細さとか、開放感とか、慣れた土地と微妙に異なるかぜの匂いとか、旅先ならではの心のざわめきを思い出しますね。 筆者は、前半の、にじみをきかせたおおまかな筆致の絵よりも、わりと後半の「MAYOR」「白い家」「オリーブの丘」などの、リアルなタッチの絵がすきでした。あくまで、好き好きですけど。 3日で終了。 □竹津さんのサイト「水彩の旅」 ■一線美術会北海道支部展(04年) ■04年3月のスケッチ展 水谷有美子個展=さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階 地図B) 札幌大谷高校、短大を卒業し、フランスの美術学校に学んだ若手の個展。道展で入選しています。 フランスの風景や、裸婦などを題材にしているんですが、ことばにするのがなかなかむつかしい。たんなる写実的な作風ではないのですが、かといってフォーブでもなく、幻想的でもなく、輪郭をはっきり描いているのでもありません。題材の加工のしかたは、キュビスムに似ていないこともないですが・・・。 たしかに、あまり他にない作風であることはまちがいないのですが、だからといってそれほど強烈なインパクトがあるというわけでもなさそうで、どういったらいいんでしょう。 3日で終了。 はこだて工芸舎クラフト展=同 道南の工芸家が共同運営している工芸ショップが札幌に出てきました。 木版画の佐藤国男さん、陶芸の渡辺三重さん、高井秀樹さんなどの作品がならんでいますが、堂前守人さんの陶器の色が春らしくてあざやかで、目を引きました。 3日で終了。 □はこだて工芸舎 山本容子「ミュージックレッスン」展=ギャラリー・アイボリー(中央区南2西2、NC HOKUSEN ブロックビル4階) 3月17日にオープンしたギャラリー企画展。 人気銅版画家の、音楽に題材を得た「オペラ」「Chant Song」などのシリーズを展示しています。 3日で終了。 ▲ |
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