2001年4月

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色の違う展覧会名をクリックすると、詳しい紹介のページに飛びます

 4月30日(月)
 一部からリクエストのあった掲示板というものをつくってみました。
 ちゃんと動くかどうか自信がないので、ぜひみなさんカキコしてみてください。
 筆者ひとりで道内すべての展覧会を見て回ることはとうてい不可能です。札幌以外の方の参加(「こんな展覧会やってるよ」とか)を心からお待ちしています(札幌の方ももちろんオッケーです)。
 美術、写真、工芸、書道以外でもかまいません。(きょうは仕事で疲れた、とか)
 めんどくさいので、ここからは入れるようにしません。表紙から入ってください。

 予告。5月4日から8日まで、道東各地へ出掛けるので(双方の実家へ孫の顔見せ)、このHPは更新しません。9日に大量アップの予定です。
 4月28日(土)
 きょうは札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)で第15回墨人展を見ました。
 墨人会は、書の、墨象(ぼくしょう)と呼ばれる分野に取り組む人々の集まりです。前衛書が、字を書かなくてもいいのに対し、墨象は、文字を独特に書きます。
 よく分からないながら、個人的には渋谷北象さん(旭川)の「無」が良かったなあ。コントラストのはっきりした墨色。安定した構図。深みを感じます。
 一方で、吉田敏子さん(札幌)「心」や太田俊勝さん(同)「圓」は力強い作品。照井心磊さん(旭川)「遙」は、しんにょうがたゆたうような曲線をかたちづくり、見ていると心がなごみます。
 29日まで。

 丸井今井札幌本店・大通館(南大通西2)の8階ギャラリーでは、後志管内京極町在住の陶芸家、荒関雄星さんの個展が開かれています。まあ、デパートの展覧会ですからね、器が多いのは仕方ない。窯に置いたときの痕が生々しい壷もあれば、辰砂は落ち着いた感じがします。

 あしたはたぶん更新しません。疲れて家で寝てると思うので。
 4月27日(金)
 4時間ほど眠って、きょうも6時すぎ起床、7時50分出勤。帰宅午前0時50分。
 その代わり、午後3時過ぎから6時まで休み、ギャラリーミヤシタ(南5西20)に行って井上まさじさんの個展を見ました。29日までなので、まだの方はぜひ見てください。新しい展開を見せています。
 本格的な紹介を書く体力と気力は残ってないので、とりあえずきょうはカンベンしてください。
 近くの南4西22には、カフェ華元とか、カフェ・ルネとか、絵を飾るお店が最近できてきて、面白そうです。きょうは時間がなくて寄れなかったけど。

 「展覧会のスケジュール」に新しい項目がかなり増え、現在は34の個展、グループ展が紹介されています。連休中、足を運んでみましょう!
 
 4月26日(木)
 午前6時起床。3時間しか眠れず、眠たい。7時50分出勤。
 帰宅午後12時。小泉内閣発足。忙しかった…
北1条通りの地下通路
 うわさの北1条駐車場の地下通路に行ってきました。やっぱり、だれもいませんでした。
 この駐車場の建設には百億円単位のお金がかかっています。これを、税金の無駄使いといわずに何というのでしょう。


 午後4時くらいに1時間半ほど会社を抜け出して昼飯とギャラリーめぐり。
 面白かったのは、富士フォトサロン(北3西3)の林直光写真展「虫の惑星」。ヨツボシウスバカゲロウ、モンキチョウ、ヒョウモンチョウ、ユキムシ、ヘイケボタル…。どうやって撮ったのか、昆虫たちのドアップ写真が並びます。普通ならとても目にすることのできない虫たちの表情がよくとらえられていて、驚きです。しかも、虫たちの生きる環境が背景として写しこまれている写真が多いのに加え、撮影地が全道各地にわたっているのも魅力です。こういう写真展だと、キャプションがあるのが親切ですね。こういう世界もあるんだー、と、少年に帰って楽しく見ました。5月2日(水)まで。

 大同ギャラリー(北3西4、大同生命ビル)では、倶知安在住の陶芸家、林雅治個展。5年間このギャラリーで林雅治個展続けてきたインスタレーションの個展の締めくくりであります。
 今年は題して「行動にむかう意思の動き」。白い陶の管がうねうねとつながっているのは昨年までと同じですが、片方の端が床にぴったりと接し、もう片方は、天を目指して垂直に立っています。「ここまできて、やっと肯定的な感じになった」というようなことを林さんは言っていました。これまで、脳の中を表そうとして試行錯誤していた地点から一歩抜け出したような感じです。

 もう一つのフロアでは工芸3人展。七宝の堤恭子、金工の水内君江、漆の三上知子です。3人ともいいですが、個人的な好みからいえば堤さん、きれいだなあ。七宝は、初心者ほど鮮やかかつ単純な発色をするものですが、堤さんは難しい中間色で、木立の雰囲気を出そうと苦心しています。「北方のロマン」を表現しているという点で、彼女はかなりのものだと筆者は思っています。
 いずれも、5月1日(火)まで。

 ギャラリーたぴお(北2西2、道特会館)で「非・連結展vol.2」。このギャラリーはグループ展が多いけど、今回のはあんまり見ない顔ぶれが多いなあ。白石直繕(ちょくぜん)さんの、古いはがきやプリンター出力した写真、自分の書いた映画評が載っている昭和42年の札幌東高新聞、ルイ・マルの映画ポスターなどによる平面インスタレーションが目を引きました。もっとも、「この人、映画好きなんだなあ」という以外に言いようがあまりないといえばないんですけど。棚田裕美さんがかわいい自作キャラクター小品を大量に出品してました。
 28日まで。
 
 ギャラリー大通美術館(北大通西5、大五ビル)の筒浦紀子個展。絵をかいて13年目で初の個展。小品を筒浦紀子個展の会場風景中心に50点を出品しています。
 小品は、すべてではないですが、それなりの水準に達しています。とくに「卓上のバラ」など、なかなかのものです。素人なら中央に置く花瓶をわずかに左に置き、窓も左に描いて、絶妙の構図です。
 普通にかけばかけるのに、大作であえて平面的な画題に挑んでいるのにも好感が持てました。写真中央の「哀愁」は、札幌ビール園のレンガ壁に題材を得たもの。壁の古い感じを、さまざまな色を置くことによって工夫して出しています。右下に貼られているポスターは、ペプシコーラの宇宙旅行抽選プレゼントのもの。少し破れているあたりに、宇宙旅行というものに1960年代のようなすなおな夢を抱くわけに行かない現代のかなしさみたいなものが顔を覗かせているようです。
 29日(日)まで。札幌在住。

 JASギャラリーとさいとうギャラリーにも寄りました。
 4月25日(水)
 大丸藤井スカイホール(南1西3)で29日まで開かれている第八回小緑會展は、札幌の書家、渡辺美明さんの結社展。43人のお弟子さんが出品しています。大半が漢字で、森松菁翠さんなど、行書のおもしろさを堪能できます。まあ、似た書風が多いのはやむをえないのでしょうが。そのなかで、高橋春佳さんの「鳥声梅店雨…」は、かすれのほとんどない濃い墨色で、筆勢に作者の呼吸のようなものが感じられました。

 リーブルなにわ書店で、淡交社から出た「日本の美術館と企画展ガイド」の本年度版を買いました。全国、見たい美術展はいっぱいあるのですが、道内ですらなかなか見尽くせないのですから、逆に欲求不満が募らせてしまうガイドブックといえるかもしれません。
 4月24日(火)
 気温の変動が激しく長男(2歳1カ月)が風邪に。息子が風邪をひくと必ず筆者もうつります。23日はすこし熱を出して寝ていましたが、きょう恢復しました。

 札幌時計台ギャラリー(北1西3)は、A室がデュボア康子個展。「めくるめく刻」と題した100号から130号の油デュボア康子展彩6点が中心です=写真はその1点=。ほとんど2、3人の人物画が中心ですが、まあデュボアさんの場合は人物というのはきっかけというか口実というかにすぎず、構図と、色の配置のうまさに賭けているようなところがあります。これまでに比べ、画面全体に配された色の数は減った感じですが、その分、人物の服に散らされた色が増えています。
 会場でもっとも目を引いたのが40号の「ある日の午後」。赤いパラソルを大きく取り入れた画面ですが、実はかなり以前の作品の再制作とのこと。ぱっと見で、ちょっと暗めの中間色より派手な原色の方が目立つのは仕方ないのですが。
 札幌在住。全道展会員。

 B室は南雲久美子個展
 うーん、これはどう評したらいいのかなあ。
 小品はすごくセンスがいいんですよ。構図がかっちりした「白い街にアーモンド咲く」とか、落ち着いたムードの「夜のカフェテラス」とか。5号以下の小さな作品ってワンパターンになりがちだけど、バリエーションというか、構図の語彙が豊富なんですね。ただし、100号クラスになるとそのよさを生かしきれていないのではないか。それがすごく残念です。
 南雲さんは札幌在住。全道展でたびたび入選しています。

 DEFG室は、小樽の本間聖丈さん(道展会員)が指導する第15回日本画・水墨画萌春展
 水墨画もいっしょにやってるせいか、日本画でも墨の使い方が巧みなのがこの教室の特徴でしょうか。苅田雅英さん「流水の息吹」は、二匹の鯉が題材ですが、墨を上手に使っています。輪郭線に頼らない描法も特徴といえるでしょう。水墨画のほうは、目黒君子「早春」、中家貞子「天舞の春」など、楽しそうに描いているのがよかったです。
 
 4月22日(日)、23日(月)
 連休です。「展覧会の紹介」のページに、四谷シモン展と、北海道抽象派作家協会展について文章を書きました。ほかにもちょこちょこ文章を手直ししました。抽象派は27日までです。

 今週は、自民党総裁選を受けて、国会での首班指名と新内閣の発足があり、あす以降忙しくなります。どうやら小泉さんになりそうですが、だれになっても、前任者と比較されるときは得だなあと思います。あれ以上すごい首相というのはちょっと想像できませんから。
 4月21日(土)
 大同ギャラリー(北3西3、大同生命ビル)で洞内麻希個展Kの会デッサン展を見ました。
 洞内(ほらない)さんはまだ若い画家ですが、毎年個展を開いている熱心な人です。中世やルネッサンスの欧州を思わせる不思議な人物画をかきます。中間色に味わいがあり、マチエールもよくくふうされています。
 Kの会は、裸婦デッサン一筋の木下幾子さんの教室展。上田義彦さんと清水良子さんの造形に感心しました。ただ筆者は、デッサンはやっぱり手段だと思うので、できたら本格的な作品に取り組むステップにしてほしいなあと思うのです。

 あー、ついにCAIにいけなかった。篠原さん、門馬さんごめんなさい。

 越澤秀展のページに、リンクを追加しました。
 4月20日(金)
 アートスペース201(南2西1、山口中央ビル)で一水会道展・水光会展
 筆者、このふたつの団体の関係がいまでもよくわからないのです(前に取材したけど、やっぱり理解できなかった)。べつに一水会道支部で不都合なことはないと思うんだけど。ちなみに、一水会は、日展系列の全国的な公募展の一つで、抽象画がなくて写実系ばっかりというポリシーのある団体です。で、道内の関係者でも、この展覧会に出ていない人は大勢いるし、この展覧会は小品ばかりだし、ますますよくわからん。でも平山康勝さん、勝谷明男さん、相馬茂夫さんあたりは、じつにうまい風景画を出品しています。
 さいとうギャラリー(南1西3、ラ・ガレリア5階)では、中野邦昭教室の「みなもの会」展。穏健な風景画、人物画が中心です。佐久間敏夫さんの「雨後」は、アヤメだけでなく、周りの空気感のようなものまでしっかり描いていて好感が持てました。

 抽象派作家協会の評はもうちょい待ってください。ごめんなさい。仕事の方がちょいと忙しいもんで…

 暖かい日が続いていたのに、急に20度近く気温が下がって、午前中には雪もちらつきました。
 
 4月19日(木)
 きのうは、夕刊作業のあと、歓送迎会の支度などがあって、帰宅は24時。更新できませんでした。
 きょうも夕刊から。朝6時に起きて、7時50分に家を出、帰宅は24時です。

 18日は、スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階)で越澤秀(ひでし)展を見ました。道展会員で、サハリンなど風景画に定評のある越澤満さんのご子息です。22日(日)まで。詳しくは「展覧会の紹介」ページ参照。

 きょうは、夕方ちょっと時間をつくって、市民ギャラリー(南2東6)に行きました。
 北海道抽象派作家協会第弐拾八回展(27日まで)と、第28回美工展(22日まで)を見ました。
 
 美工展は、北海道美術工芸協会の公募展です。
 規模は大きくない、なんて書いたけど、会員50人、会友24人と、けっこう大きな組織になっています。分野も、組紐、ガラスなどを含め15種にも及んでいます。ただし、一般出品者がちょっと少ないかなという気がします。
 筆者はうかつなことにきょう初めて気がついたのですが、各業界での有名人が何人かいるんですよね。それも会友クラスで。道内押し花アートの第一人者の多比良桂子さん(砂川)、人形の上邑紅緒さん(釧路)、和紙絵の宮田カツミさん(札幌)。3人とも会友です(宮田さんは会員推挙)。まあ、絵画畑の人はあるいはご存じないかもしれませんが、各業界では有名です。
 で、なんてったって北海道ですから、伝統工芸のノリではありません。みなさんわりと好き勝手に、というか自由に造形の世界に遊んでいます。したがって小生のような素人も好き勝手なことを言えるわけです。
 自由といえば、今展覧会では籐ですね。渋谷昭子さん(小樽)「和(やわらぎ)」は、大小の三角形の組み合わせがモダンで目を引きます(出品目録には「balance」となっています)。空友子さん(札幌)「夢」は球の、武田和子さん(同)「鼓動」は髪の毛とかひものような形の組み合わせで、実用から離れたところが面白い。
 木工も力作が並びました。最高賞にあたる「協会賞」を受けた金子佳宏さん(同)「奏」が、スピーカーのような形をいくつも並べたリズミカルな壁掛け作品。土屋秀樹さん(同)「こもれび」は、落ち葉の透かし彫りによるあかり作品。思わず欲しくなりました。中田拓哉さん(同)「30。・12BOX」は、規則的に板や棒などの部材を組んだ大作。加藤一義さん(静内)「夢」は、1本の木をくりぬいた大きな壷。直球勝負の一点です。
 皮革では、高木晶子さん(札幌)「再生の予感」が、シャープで細かい直線の積み重ねと、やわらかい曲線を組み合わせた堂々たる抽象画のような作品。人形では、小島健治さん(同)が道内ではたいへん珍しい操り人形「糸繰り獅子舞」の入選を果たしています。陶芸の中村由起子さん(同)「峠の記憶」は、花器というより、緑濃い庭先なんかにあったらしっくりきそうな、丸いうつわです。和紙絵では、宮森恵子さん(同)「奏(かなでる)」が、円の繰り返しが無限に続くように思われる、重層的な作品といえます。

 4月17日(火)
 コンチネンタルギャラリー(南1西3、コンチネンタルビル地下1階)で、若い女性7人によって行われていたグループ展の名は「eros」。うーん、オジサンが勘違いして来そうな展覧会名ですが、セルフヌードとかはありません。わりと平面が多くて、タイトルのわりにはおとなしいかも。

 三神恵爾さんから「シネマレストラン」6号が届きました。ありがとうございます。小生すっかり原稿を書くのを忘れていた。

 12月に近代美術館で行われる「HIGH TIDE」展の話し合いに出席しました。
 4月16日(月)
 札幌時計台ギャラリー(北1西3)。いずれも、きょうから21日(土)まで。
村本千洲子「新生U」 A室は、村本千洲子個展
 村本さんは、魔女のおばあさんのような女性が登場する絵で知られています。今回は、3年ぶりの個展。120号クラスが中心の大作は「新生」のT、U=写真=、V、「鎮魂」「タナトス」「空(くう)」「新生U」。ほかに、クロッキー6点と、肖像画の小品7点(うち1点水彩)が展示されています。
 油彩の大作は、大半が全道展(村本さんは会友)、独立展、女流画家協会展、さっぽろ美術展に出品済みのものですが、まとめて見ると、やはり少し変わってきたかな−という感じはします。
 まず、色調がいくらか明るくなってきたこと。ご本人も「上野の美術館に並ぶと自分の絵が暗く感じられるんですよね」などとおっしゃっていましたが、色は、よく練られているにもかかわらず、濁りがありません。
 そして、題材も、黒い猫やトランプ遊びは消えて、赤ん坊や白い鳩が登場するなど、死の影が薄まって、題名のとおり「新生」を印象付けています。「新生」シリーズは、どこかイエスの生誕のシーンを思わせます。マリアさまはもっと若いけどね。
 札幌在住。

 B室は、川本エミ子個展。こちらは6年ぶりです。
 水彩の静物画なのですが、タコやイカ、魚などの海産物をメーンにした、激しいタッチの作品が並びます。魚介類は傷むのが速い。「一瞬を永遠にしようと思って」(川本さん)対象に迫ると、筆使いも自然とパワフルになるのかもしれません。「卓上軟体」は、紙を何枚もつなげた大作。ほかに「テーブルの上で」「踊T」「踊U」「牛骨」「流れるものたち」「烏賊のある静物」「海の情景」「漂う」など。「存在するものたち」「それぞれの存在」は、果実がモチーフです。
 石狩在住。全道展会友、道彩展会員。

 C室は福島靖代(のぶよ)個展
 絵として悪い絵ではないと思う。とくに、地の塗りの丁寧さが、画面を単調さから救うのにどれだけ役立っているか。だけれども、だれの影響を受けているかここまであからさまだと、ほめるのを、ためらってしまう。
 阿部国利さんの弟子たちの問題は、師匠の絵が「現代人の不安」みたいなところにしっかり届いているのに、小さい三角錐といったモチーフや低い地平線に代表される構図などが、単にメルヘン的なものを表す記号にとどまっていることではないだろうか。ただ似てる、という問題ではないのだ。
 もっとも、作者本人も、それから脱却しようと模索しているふしが感じられ、昨年の新道展の出品作「記憶の中の子供達U」では、視点を、真上から見た斬新な構図に変えている。万が一、遠近法が狂うとモロに画面に出てしまう構図なので大変だと思うけど、がんばってください。
 新道展会友、石狩在住。

 G室の「第4回じゃが芋の花油彩展」。全道展会員の米谷哲夫さんの教室で学ぶ8人のグループ展らしい。港道真智子さんと舘野直子さんは、自分の描きたいものを持っているようで、小品にも、点描などさまざまなくふうがみられた。

 アートスペース201(南2西1、山口中央ビル)に行ったら、ふたつ展覧会をやってるはずの5階が暗かったけど、どうしたの?
 4月14日(土)
 13日に追加。
 北電エレナードギャラリー(大通東1)で二俣栄個展(17日まで)。今月いっぱいで北電を退職する人で、39年間の在職中に余暇の一つとして楽しんだ油絵で初の個展を開いている。絵じたいはまさに「余暇の一つ」で、とくに記すこともないんだけど、ゴルフをしている人を描いた絵が何点かあるのには驚いた。これは筆者の偏見かもしれないけど、ゴルフという題材がなんだかすごくオヤジくさいなー、と思う反面、画室とか林檎とか道庁赤れんがとか小樽運河とか似たような題材ばっかよりはまだマシかもなー、と思ってしまった。でも、100号の「ナイスショット」なんて、「ゴルフダイジェスト」の表紙みたいな絵があると、やっぱびっくりしますよ。

 きょう14日は、ネイチャーフォトの分野でいいものを見せてもらいました。
 まずはイーストウエストフォトギャラリー(南3西8)での坂下康裕展(17日まで)。
 ギャラリーに入って右半分は、オオタカやナキウサギなどの写真。いずれも、対象は小さめで、大自然の中に生きる生命ということを、強く感じさせる。
 左半分はシマフクロウがメーン。絶滅の危機に瀕しているシマフクロウの世界に迫っている。アップで撮影できるほど馴れるのに、現場に2年ほど通った由。苦労が実って、力強い写真群になっている。
 もう一つは、富士フォトサロン(北3西4)で開かれている寺沢孝毅展(18日まで)。寺沢さんは海鳥を撮るために天売島に移り住んだという筋金入りの人です。一昨年、イーストウエストフォトギャラリーのオープン時のグループ展に出品したときは、新しい境地を開いていたような記憶があるけれど、今回はわりと普通の視線で、ウミネコやウミウなど、海鳥たちの生態をとらえています。地元の視線というべきでしょうか。
 その地元の視線をもってしても、20点ほどの写真のうち、ウミガラス(オロロン鳥)を写したものは1枚しかありません。ペンギンそっくりの色彩をしたオロロン鳥は、やはり絶滅の危機に瀕しているのでしょうか。とても気になります。

 ギャラリーたぴお(北2西2、仲通り)で「多面的空間展vol.3」(21日まで)。
 上條千裕さんはエンコースティック。ほのかに春の空気が漂います。藤川さんは、ガラスの板数十枚を積み重ねたものを床にいくつも並べ、それぞれのてっぺんに写真やオブジェを配し、ユニークな空間をつくっていました。
 あと、アリアンスフランセーズギャラリーと大同ギャラリーに行きました。

 根室の高坂和子さんの展覧会が地元で行われるという手紙が来ました。行きたいなー。
 しかし、同じ北海道とはいえ、札幌から根室までは400キロ以上あります。うーん、くやしい。

 最後に、宣伝ですが、筆者が原稿を書いている「てんぴょう」7号が出ました。今号は巻頭特集なしです。よかったら買ってくださいね。
 
 4月13日(金)
 きのう見られなかった札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)の、第19回一線美術会北海道支部展(15日まで)を見た。
 これは筆者だけじゃないと思うんだけど、あの市民ギャラリーの場所の不便さはなんとかならんのか、と痛切に思う。街の中心部である「大通」からだと地下鉄東西線でたった一駅の「バスセンター前」で下車なのだが、そこからけっこう歩かされる。かといって、大通から歩き通すのもかったるい(そりゃ筆者はまだ足腰弱ってないから歩くけどさ)。昔はさー、市民ギャラリーの前が市電の終点だったんだよねー。「一条橋」っていう。円山公園から三越と丸井今井の前を通って、一条橋までの路線が、1972年まであったんだ。市電だと、三越前から3つ目の停留所で、ちょうどいい。どうして廃止しちゃったのかなー。
 4月12日(木)
 夕方市民ギャラリーへ行ったら午後5時で閉館していた。がっかり…。ふだんは6時までなのに…

 地下街オーロラタウンの古本・CDショップで美術書特集をやっていた。といっても図録が十数冊ある程度。すべての価格が680円と980円なのはなぜだろう。「’91北海道の書 20人の世界」を買う。
 4月11日(水)
 きょうはたくさんあるので駆け足でいきます。全体的には、写真が多い。

 道立近代美術館できょうまでだった「地球と人間:YES NO」「APA公募展」。ポスターとか広告写真というのは、街角に1枚貼られていてふっと目が行くというのが常態だと思うので、こんなにびっしり並んでいるのを見るのは疲れる。プロの写真だからうまいんだけど、あまりにステレオタイプな見方の写真が多い。環境問題の大切さを広く分かってもらうには仕方ないのかもしれないけど。でもさ、廃車とかが「NO」ってのはわかるけど、原発の強化工事や開高健の釣りって、環境にイエスなわけ?
 それと、これはここで簡単に論じるわけに行かない問題だが、写真は、絵画に比べると、裸婦の登場する率が明らかに高い。そして、はっきりいって、それほどの必然性がない場合が少なくない。世間一般の作品における裸婦登場率は、彫刻→写真→絵画、の順となる。これはなぜだろう。

 向かいのギャラリー市田。大島龍展
 大島さんは石狩在住の版画家。青い作品がわりと知られていると思う。今回は、素朴な線だけで構成した木版画の連作「小鳥たちのために」が目を引いた。ほかに、小鳥を題材にしたかわいらしい作品など。

 北4西20に、白樺画廊というのがあると聞き、「イタリア彫刻界の巨匠 マリノ・マリーニとエミリオ・グレコの版画展」を見に行く。北5条通りと西20丁目通りの交叉点にあるアラカワビル(1階は薬局)の3階。札幌より銀座の画廊っぽい雰囲気であった。マリーニは、「騎馬像」など、彫刻作品をそのまま平面にしたような作品。グレコは、エッチングの細い線をいかした裸婦像などで、「抱擁」などエロスが漂う。40万円から100万円という、版画とは思えぬ値段だが、無用心なことに画廊内にはだれもいなかった。15日まで。

 北4西17、ホテルDORALの1階、ギャラリーどらあるで「森山誠展」を見る。結論からいうと、きょう一番の収穫であった。
 森山さんは札幌在住の画家。ずっと、ブレたような図像の、陰のある人物像を描いてきた。3年ほど前に
「人物を中心にかいてると、それに頼っちゃうんだよね。人物が出てこないものをかきたいんだが」
と意欲的に話していた記憶があるが、その後の個展では依然として人物が主であり、人物なしの絵はあまり成功していないようだった。
 ところが今回どうでしょう。手前にテーブルを置いた静物画「風景の追憶」などが並んでいる。静物、といっても、具体的な描き方はせず、もにょもにょした色が置かれており、黒の線だけで縁取られた灰皿などが交じる。小品では、そういう不思議な空間にひょいとごくリアルな筆致の卵や林檎が置き忘れたように配されているのもある。空虚な空間を、緩ませずに、きっかり構築し、空気感まで漂わせる力量。なかなかのものだと思いました。今月いっぱいなので、まだの方はぜひ。
 森山さんは自由美術協会会員。

 札幌市資料館(大通西13)へ。
 厚谷智恵子創作人形展好彩会創作人形回顧展。 ワタクシ、日本古来の人形のことは全く分かりませんが、ひとつ「ふーむ」と思ったのは、好彩会の8人の多くがなんらかの形で動きを取り入れようと努めていること。後藤貞子さんの「華」、橋本紀比古さん「嘉日」などです。一方で本田郁子さん「夜桜」は、和服の平面性を生かして、表面に桜模様を散らした点がユニークだと思いました。厚谷さんは、穏やかだなあ。
 第52回アサヒ全北海道写真展。アサヒペンタックスのカメラの愛好者かと思ったら、朝日新聞のアサヒであった。こういうアマチュアの写真展って、わりと好きです。みんな一生懸命だから。駄作はありません。

 コンチネンタルギャラリー(南1西11)では「生まれ出づる土塊 2001年16人展」。道内の気鋭の陶芸家がそろい、バラエティーに富んだ展覧会となりました。森敏仁、恵波ひでお、加藤博泰、元木弘子、木村初江、菊地敏治、千葉尚、菅原せつ子、岩寺かおり、石川進一、林雅治、桐生明子、澤すずこ、南正剛、きくち好恵、蓑嶋一成。うつわを並べた人、オブジェを出した人、どちらもいるのがかえって面白かったりする。
 木村さんは日時計を思わせる造形。蓑嶋さんは長靴の形をしたあかり。岩寺さんは、ところどころ穴の空いた薄い陶板。陶という素材で、あえて軽さを表現しようとしています。

 サッポロファクトリー・レンガ館3階のコニカプラザサッポロではアサヒカメラ作品展。こんどは月刊誌に掲載された優秀作です。こちらもバラエティーに富んだ作品が集まりました。
 ってなことを書いてもなあ。このページをどれだけの写真愛好者が読んでるか、疑問だしなあ。
 おとなりの札幌市写真ライブラリーではミノックスクラブ写真展。ミノックスとは、スパイ小説に出てきそうな小型カメラ。フィルムも小さいので、粒子が相当粗いのですが、その分面白い画質になります。とくにカラーは、1970年ごろのグラビア印刷みたいな古くさーい感じがかえって新鮮です。
 4月10日(火)
 きょうも18度。あたたかな一日。黄砂で風景がかすんでいました。

 さいとうギャラリーと大丸藤井スカイホールへ。スカイホール(南1西3)の徳中瑠璃日本画展は、花鳥画の小品が中心で、風景画も数点。色の塗り方が丹念で、丁寧な仕事ぶりでした。

 筆者はいくらかナルコレプシーの気があることもあって、さいきんすぐ家で居眠りをしてしまい、かえってだるさを感じてしまいます。といって、仕事から帰ってくると今後は夜眠れず、ほとほと弱ります。なんかこう、テンションが上がるような楽しいことないかなって思いますが、テンションの高くなることって往々にして体力を使う行為が多く、筆者は体力もないので、なかなかうまい方法がありません。仕事は、まずまず順調なのですが、不謹慎ながら「あー、大事件が起きないかな」などと思ってしまうこともあります。
 4月9日(月)
 20度突破! 春の陽気です。
 とはいっても、久々の連休ボケで、あまり見て歩けず。

 時計台ギャラリーでは、B室の谷八千代油彩展を興味深く見ました。
 モチーフは、テーブルと、その上に配した皿やびんという、よくある静物画です。遠近法を無視して、卓上の物を強調した描法も、よく見かけるものです。
 最初部屋に入ったときは「なんだか暗い絵だなあ」と思ったのですが、しばらく見ているうちに、物や、その周囲へのまなざしの真摯さに感じ入るものがありました。画面はほとんど、灰色で塗り込められています。その中から、ぼうっと、モチーフが浮かび上がっています。よく見ると、灰色の下には、水色をはじめ、イエローオーカーやビリジャンなど、さまざまな色が隠されているのが分かります。物はどうやって存在するのか、そのあり方をずっと考えてきた人なのではないかと思いました。

 A室は毎年恒例の村上豊さん。小樽の隣の余市町在住で、現展会員(高名な挿絵画家とは別人です)。
 絵も毎年とほぼ同じで、黄色や緑などの鮮やかな色彩で平坦に塗られた大きな色斑が、画面のあちこちに配されています。最初見たときは、新鮮な画法に見えましたが、さすがに5年も見ていると、はじめの驚きはありません。それに、以前のベネチア風景などは、黒の縦線が画面を引き締めていたのですが、ここ2、3年はそれも見られず、大作も少なくなって、ちょっと寂しい感じがします。
 今回の新しい点は、ピエロがモチーフの作品があることです。

 C室は、やはり現展会員の土門和子さんの個展。なぜかサムホールくらいの小品が多いです。その中で、山を描いた作品は、ストロークの方向が一定で画面全体のリズムがなかなか心地よく感心しました。
 3階の「衆樹会春展」は、個展や他流試合にも意欲的なアマ画家の集団で、みな楽しく絵に取り組んでいる様子が伝わってきました。
 4月7、8日(土、日)
 連休です。
 リンク集を大幅に拡張すると同時に、道内の美術館のスケジュール一覧を作りました。
 4月6日(金)
 中島公園のパークホテルにあるパークギャラリーに、室蘭の江頭洋志個展を見に行きました。ウィーン、ザルツブルク、プラハ、ブダペストの4都市がテーマ。32点の油彩と、小品の淡彩が並びます。
 江頭さんの画風は写実的ですが、とにかく構図が確かで、安心して見られます。手を抜いたところは全然ありません。どんな部屋に飾ってあっても、それをきらう人はいないんじゃないかと思われるぐらい、しっかりした構成と色の配置からなっています。今回意外に思ったのは、江頭さんというと、都市の風景というイメージがありますが、今回は「プラハ郊外」などの作品もあり、緑の階調がとても豊かなことに驚きました。バルビゾン派もびっくりというところです。

 大同ギャラリー(中央区北3西3、大同生命ビル3階)の両方の部屋を使って、石狩市の版画家石川亨信石川亨信凹版画展の展示風景さんの凹版画展が開かれています。
 毎年同じギャラリーで開かれている版画のグループ展「PLATEMARK展」などで活躍中の石川さんとしては意外なことに、個展は初めてなのだそうです。石川亨信凹版画展10年あまりの作品の回顧展のようになっています。グループ展では「あー、なんか、抽象でむずかしそうだなあ」と敬遠してしまう人も、これだけまとまってあると、そこに一つの世界が見えてきます。そして、かえって抽象の方が、人それぞれ、画面から立ち上ってくる風のようなつぶやきに耳を傾けやすかったりするのです。
 ほとんどが1版。インクは、たいてい調合して微妙な暗色を出す。壁紙のような、うたかたのような、擦過痕のような、不思議な世界。そこには、すぐに見て取れる作風の変遷もなく、版画につきもののエディションb焜Tインすらなく、硬質で冷たく、しかしどこかさわがしいイメージが、ぼこぼことわきあがっているのです。
 上の写真で、床に並べられている作品は、見に来た人が勝手に並べたものとのこと。右の写真は、踊り場にあったもので、作品の端を横断する光の帯がどこかバーネット・ニューマンを思わせ、筆者の好きな作品です。

 ところで、あすからは久々の連休だ! つれづれ日録の更新は、期待しないでください。
 4月5日(木)
 今日は、楽しければいいんじゃないかというのがテーマです。


 中島公園にある道立文学館に「Visual Poetica 2001 in札幌〜Strangers who came from Chaos〜」を見に行ってきました。要するに「視覚詩」の展覧会です。同様の展覧会を昨年2月にやったばかりで、もう2回目とは。平原(一良)さん、工藤(正廣)さんを初めとする実行委、出品者のみなさん、がんばってるなあ。国内からは池澤夏樹さん、山口昌男さん、支倉隆子さん、村上善男さんら、海外からも出品しています。まあ、あんまり深く考えて見なくてもいいんじゃないかな。深く考えてもそれはそれで面白いと思うので、そのうち論考を書きますが、展覧会は今週末で終わっちゃうんだよな。

 せっかくここまで来たのにパークギャラリーに行くのを忘れていた。
 コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11、コンチネンタルビル地下1階)で、高橋朝子ウッドカービング展。木彫の小品で、大半は着色が施されています。カレル・チャペックの「園芸家12ヵ月」や、宮澤賢治「どんぐりと山猫」を造形化したものが楽しかったです。ははあ、高橋さんは、「山猫のにゃあという顔」をこんなふうに想像していたのか、なんてね。

 札幌市資料館(大通西13)では、一虹会展。いっこうかい、と読み、昭和30年代に活動、田辺三重松の指導も仰いだことがある拓銀の職場サークルだそうで、今回は復活第5回展とか。6号から20号までの油彩が大半で、一部水彩もあります。
 中では、道展入選歴のある伊藤冲さんの「北の灯台」などが迫力あり、次いで、飯田常男さん「秋の善光寺」が渋い落ち着きのある風景画を並べていますが、まあ、年配の方のサークルですからね、楽しくかいてればいいんじゃないかと思います。並んでいる絵は、じっさい、楽しそうでした。
 もう一つ「山からのメッセージ」。全林野の組合員による写真展なのですが、これが意外とイイ。へたなネーチャーフォトのグループ展よりもずっと見ごたえがありました。やっぱり普段から山を熟知しているからなんでしょうね。人々と山とのかかわりに焦点を当てた作品や、漁民をとらえたものもあり、森林の大切さを雄弁に物語っている写真ばかりです。

 アートスペース201(南2西1、山口中央ビル6階)では高橋ヒサ子絵画展。以前、同じ会場で上杉さんという人の絵画展を開いていましたが(1月のつれづれ日録参照)、この人も同じかんじの方でした。でも、色もたくさん使っていて、上杉さんよりうまいんじゃないかな。画風もあるし。りんご園の絵は、たくさんの人の顔が登場して楽しいし、「うきわさん」「おしゃれさん」といったシリーズも愉快です。

 「坂元輝行風景画展 北海道三都めぐり」は、ギャラリー大通美術館(大通坂元輝行展の会場風景西5、大五ビル)全室使用。油彩、淡彩合わせて132点。いくら10、20号くらいの作品ばかりとはいえ、淡彩全部と油彩の半数は新作で、とにかく坂元さんの量産ぶりには恐れ入ります。読んで字の如し、札幌、小樽、函館に取材した風景画ばかり。「北大ところどころ」「小樽運河シリーズ」「祝津への道」「函館坂めぐり」など、イーゼルを立てるのが似合いそうな場所はことごとく描かれているといってもいいでしょう。
 坂元さんの特徴は、迷いのない線と、白を多く混ぜて作る独特の色彩でしょう。早書きのためか、とくに建物の造形で輪郭線に頼りがちなところがあるのは、坂元輝行展「祝津への道」展示風景個人的に、どうかなあ、もっと自信を持って明度や彩度の差をつければ壁面の造形ができるんじゃないかなあ、と思ったりもするのですが、ともあれ、これだけかいて倦むところがないというのはまったく驚くべきことです。

 なにわ書房によったら、柴橋伴夫さんの「風の王 砂澤ビッキの世界」が出ていたので買った。この厚さ、地方出版物としては、1800円はすごく安いと思う。

  (註)★平原一良…北海道文学館の職員。文学研究者であるが出版社に勤務していたこともあり、図録つくりなどはお手の物。★工藤正廣…北大教授。詩人。道新文化面の詩の月評の担当者。津軽弁を生かした詩を書くとともに東欧の文学研究家でもある。★池澤夏樹…小説家。帯広生まれで、現在は沖縄在住。「スティル・ライフ」で芥川賞受賞。小説に「バビロンに行きて歌え」、エッセーに「読書癖」など。昔は詩も書いていた。★山口昌男…文化人類学者。札大学長。1970、80年代に大きな影響を与えた著作多数。最近は「内田魯庵山脈」など埋もれた日本近代史に光を当てる著作が多い。美幌生まれ。今回はエッチングを出品。★支倉隆子…詩人。詩集に「音楽」など。札幌出身、東京在住。★村上善男…美術家。土俗的な作風が特徴。盛岡生まれ、弘前在住。★チャペック…戦前のチェコを代表する小説家。「園芸家12ヶ月」はロングセラーの随筆。ロボット、という言葉を世界で初めて使った。SF「山椒魚戦争」(ハヤカワ文庫)は傑作。★全林野…全林野労働組合。国有林で働く公務員の組合。
 4月4日(水)
 CAI(中央区北1西28)で開かれている丸山隆展「不可視コード」にようやく行って参りました。
 渾身のインスタレーション。会場いっぱいに、鉄筋を、網の目のように張り渡しています。
 形状は、上向きの漏斗型というか、開きすぎた百合の花に似ています。
 ギャラリー空間に入った人は、百合の花弁を裏側から見るような格好で、床上1・5メートルくらいに張り渡された鉄筋の網目を見上げることになります。その意味では、作品の内側にいるあんばいです。
 しかし、中央には、茎から花に変わるような形が立っており、その意味では、作品を外側から見ているということになります。
 その上、ギャラリーの入り口から、作品の上に乗っかることも可能です。この場合は、作品を上から「体験する」という感じです。もし作品の中央まで伝っていけば、すっぽり円筒形の中に入るような格好でありながら作品の外にあるということになるでしょう。実際には、作品に乗ると、ミシミシという音がして、とても真ん中までスパイダーマンのようにつたっていく勇気はないのですが。
 文章で伝達できているかどうか、もどかしいものがあります。画像はCAIのホームページをごらんください(かなり重いです)。でも、やっぱりよく分からないと思いますので、今週末は、札幌近郊の方はぜひ足を運んでみてください。

 札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)では第23回日陽展を見ました。
 展覧会の名前だけ見ると、全国規模の公募展みたいですが、道内のグループ展です。
 今週末、ゆっくり絵(それも、難しくない絵)を見たいという人にはおすすめできます。

 続いて「札大写真部4月展」を、札幌市写真ライブラリー(中央区北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階)で見ました。
 先週の藤女子が、作風に統一感があったのに対し、こちらは見事にバラバラ、玉石混交であります。カラーの作品もまじってます。
 その中では、湯山亮介さんの都市風景のシリーズが秀逸でした。とくに、右端に展示してあった、建設中の高層ビルと、伸びる熱帯性の草を対比させた1枚の構図は良かった。東京・日暮里の狭い路地や、神戸・元町の高架下など、目の付け所も悪くありません。
 スナップでは三上智子さんが印象的。きっと、友人などを写していても、顔が写ってなかったり、後姿だったりするからでしょう。山本郁江さんの連作「Her red…」は、赤というテーマは面白いのですが、枚数が少なすぎ。

 会場に、「UNDER GROUND/STROLL PIECE」と題した、写真、短編映画、デザインなどによるイベントのフライヤー(ちらし)が置いてありました。10日午後7時半会場、8時開演。深夜まで。すすきのに出没する若い音楽好きは絶対知ってるクラブミラー(南6西2)が会場です。
 内容が分からないので、オススメというわけでは別にありません。ただ、この手の催しが若手によって時々開かれていながら、道内の美術の年代記からはおそらく完全に欠落しているであろうということは、指摘しておきます。筆者もたぶんいけないでしょうが。
 
 同ギャラリーの常設展示も展示替え。古い札幌の町並みに興味のある人は足を運んでください。
4月3日(火)
 this is gallery(中央区南3東1)は、ますます貸し画廊なんだか企画なんだかよくわからん路線に入っているようで、今週の「ART MARKET」も、教育大生の作品と、ギャラリーのオーナーの所有物である一原有徳さんの版画が一緒に並んでいて、展覧会として評価するのはなかなかツライものがあります。その中で、木製ベンチを置き、それを屋外で撮影した名刺判の写真を刷って鑑賞者が自由に持ち帰られるようにした小牧麻衣子さん(札幌)のアプローチは、実物と複製、コミュニケーションの問題を考えさせるものがあるように思いました。

 さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階)では「えすかりゑ展」。竹岡羊子さん(札幌。独立展、全道展会員)の教室展であります。
 教室展といっても、瀬戸節子さん、小松義子さんら全道展会友クラスがいるのであなどれません。また、若い人たちの何者をも恐れぬ激しいタッチの絵を見るのもいいものです。藤野響子さんの作品も、けっして上手ではありませんが、独特のムードをもっています。
 とくに好感を抱いたのが、やはり全道展会友の柳原玲子さん「暦」。古い民家、オオウバユリ、フキといったモチーフを、深みのある茶と水色を中心に描いています。その二つの色の響き合いがとても心地よいです。

 けさの道新に柴橋さんのビッキ論の記事が出ていました。道新、遅いぞ!(笑)

 嶋田観さんの評を「展覧会の紹介」のページにアップしました。
 4月2日(月)
 つめたい雨。
 ギャラリーたぴお(中央区北2西2、仲通り、道特会館)では、小樽の版画家、嶋田観さんの個展。金属版の可能性を追求した興味深い抽象作品が並んでいます。詳細は後日「展覧会の紹介」欄にて。

 札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)では、函館在住の外山欽平さんの個展。今年は「D」です。といっても、分かる人にしかわからんと思いますが、外山さんは毎年、アルファベットをモチーフにした抽象画をかいているのです。Aから始めて今年で4年目で、今回は、なんとなく「D」に見えるような絵が並んでいます。
 やっぱり、少しずつ変わってきましたよね。筆者は昨年見ていないので余計にそう思うのかもしれませんけど。彩度の高いアクセントとしてのレモンイエローの線は相変わらずですが(いや、若干太くなっているようですが)、その黄色とともに字の部分を構成する赤や青はなんともいえない、絶妙の色調です。そして、これまで平坦に塗られていた地の色−深緑−が、かなり筆触や塗りムラを意識的に残すようになっています。
 正直言って、この外山さんのシリーズを最初見たときには、画面構成の確かさは別として
「アルファベットだなんて、そんなテーマに必然性はあるのか?!」
とおもったのでした。でも、いま見ると、どこかジャスパー・ジョーンズとも共通点がある。文字はどこまでいっても記号のはずなんだけど、でも記号が絵になってしまっているという不思議さです。外山さんの「D」は、言われなければ「D」だと分からないほど崩れつつあって、なおかつ「D」であるという微妙な位置にあるようです。
 画像は、時計台ギャラリーのHPをごらんください。

 ときこ個展。やはり抽象画。以前は、でかい画面を平坦な色で塗りつぶした作品が多くて、正直言ってもったいない気がしましたが、だんだん書き込んである作品が増えてきたようで、その点では良かったと思います。
 東田(ひがしだ)紀子個展。水彩。道展会友。シマフクロウ、ピリカメノコなど、いかにも北海道らしい題材を写実的に描いています。
4月1日(日
 きょうから芸術の森美術館で「四谷シモン展」。
 初日ということで、作者のトークショーがありました。工芸館に並んだ200の椅子はほぼ満席でした(ただ、前の方にはぽつぽつ空席もあった。東京ではこういう時は一つ残らず席を埋めるのだが、空いている席を探すくらいなら後ろで立っているのが北海道流)。
 四谷シモンというと、もちろん人形作家なのですが、今回の展覧会はそこにとどまらず、1970年前後の状況劇場など、あの時代の熱気をよく伝える構成になっています。詳しくは後日「展覧会の紹介」欄にて。

 駆け足で、札幌市民ギャラリー(中央区南2東6)での「数奇(すき)もの展」と、札幌市写真ライブラリー(中央区北2東4、サッポロファクトリー・レンガ館3階)の「藤女子大・短大写真部作品」を見てきました。
 数奇もの展は、木彫を作る八子晋嗣さんらが毎年開いているグループ展ですが、会場がちょっと遠いので、筆者は見ていない年のほうが多いです。
 今年は、中村修一さんのインスタレーション「emerge」が目を引きました。素材は分かりませんが、10センチくらいの土塊のような立体が、小から大へと並んでいます。田村直子さんのカットもかわいらしかった。
 藤女子大・短大写真部展は、すべてモノクロ。自分で現像、引き伸ばしをしているようで、その腕はまずまずです。1990年代にはびこった「女の子写真」は皆無。旅先や、身の回りの風景をたんたんととらえた、或る意味では地味な作品ばかりです。富良野や函館で撮った写真もありますが、観光写真の華やかさ、通俗性とはまったくかけ離れた位置にあります。この、あまりの飾り気の無さを、どう評価していいのか分かりませんが、地味な凝視の先に何かが生まれてくるのではないかという気もします。

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