TOP
新転位・21
上演リスト
14●アキバ飛べ
13●シャケと軍手
12向日葵
11僕と僕
10ホタルの栖
09嗤う女
08異族の歌
07黙る女
06砂の女
05齧る女
04エリアンの手記
03ジロさんの憂鬱
02パパは誘拐犯
01マーちゃんの神曲
00女殺し油地獄
上演リスト No.13 シャケと軍手
  
第13回公演
日本芸術文化振興会
舞台芸術振興事業
シャケと軍手 -秋田児童連続殺害事件-  作演出 山崎哲


 



 

 

  

  

 

 

 

 

 






 

 

 

 

 

 

 


左から藤里町の団地、大沢橋、欄干から川底を覗く


修羅が行く。
神々の住まう白神の里を
修羅と化した母が行く・・・。

「大沢橋に着いたときは?」
「暗かった。ライトを点けないといけないくらい・・・」
「暗い中でも見たいと?」
「もう喜んでしまって・・・」
「欄干の隙間から見たのに納得しなかった?」
「はい」
「それで綾香ちゃんはなんと?」
「大きな魚がみたいと・・・」
「あなたは?」
「後でまた連れてきてやるから、と・・・」
「ほら、見えないとは?」
「見えね―ベ、と・・・」
「暗くて見えないと言っているのに、かなり理不尽だ」
「はい」
「イライラは募った?」
「徐々に強まっていきました」
「そのとき何か頭に浮かんだのですね?」
「……」
「何が浮かんだのですか?」
「このワラシ、橋の上さ乗っけて押してやれば
どうなるべ、と・・・」


壊れてしまった私たちの
家族の<現在>を描く新シリーズ





2008年
11月18-28日
中野光座
090-5504-2431

開演  
平日19:00  
土曜14:00/19:00  
日曜14:00/18:00

料金  
前売3000円  
高校生2500円  
当日3300円

取扱
チケットぴあ 0570-02-9988
予約問合せ
新転位・21
03-3910-1660
090-5504-2431
n-tenyi21@ceres.ocn.ne.jp




キャスト
石川真希
佐野史郎
飴屋法水
杉祐三
おかのみか
小畑明
岩崎智紀
永岡紗江
中島望美
竹内泰子
吉田男爵
日下義浩
渡邉裕来子
りん
濱ア由加里
天野雅之
渡邊ゆみ
中邑ゆら
今泉惠美子
荻原裕介
白川道子
高内絵理
立川貴一
妻鹿益己

スタッフ
舞台美術
蟹江杏

光デザイン
海藤春樹
三浦秀典
作曲/歌
安保由夫
音楽
半田充
goro
衣装
蟹江杏
宣伝美術
蟹江杏
菅由貴子
印刷
(株)毎日新聞東京センター

舞台監督
村山好文
制作
新転位・21
おかのみか
弘美

協力
(株)アァベェベェ 唐組
海藤オフィス 吉本昇/龍前照明
新転位・21演劇学校第7期生
伊藤悦子
山田大祐
浅山周
瀬まつり
田村尚久
粟野南 吉川みつみ



ポスター(版画・蟹江杏)




チラシ表/チラシ裏/チケット/はがき


感想/アンケート [順不同]
●遠藤賢司(音楽)
観ててこんなに心がきれいになれる舞台ってほかにある?

●坂井真紀(女優)
ほんとうに素晴らしい舞台でした。日本語ってきれいなんだなあと思いました。
どうしていままで新転位の芝居を観なかったのか悔やまれます。

●山本恭司(ギターリスト)
場面のチェンジ、俳優の出入り、俳優のセリフのテンポ、トーン、リズム、
もうすべて音楽だよね。それも寸分の狂いもなく進行していく。
うわっ、ここは天才の集まりかあって思っちゃった。

●吉本ばなな(作家)
山崎さんは、人として上品で賢くてものごとには必ず筋道があると信じている。
だから、一生犯罪には片想いなのかも…と思った。
それにしてもやっぱりすばらしい。細かいエピソードの作り方と、
出口のない感じを描くうまさは超一流だ。
若い人がいっぱい演じていたのも、嬉しかった。
「よしもとばなな公式サイト 日記11月18日より一部転載」

●田口ランディ(作家)
描かれていたのは家族の崩壊だったが、完璧なまでの崩壊ではなかった。
救いがあった。まるで、死んでいった子どもたちのために演じられた
鎮魂の能のように感じられた。
演劇は、テレビニュースのように多くの人が観るものではない。
劇場は満席だったが、マスメディアの視聴者に比べたら微々たるものだ。
でも、多くの役者さんたちによって、あんなに熱心に、強く、
心をこめて鎮魂されたことは、ほんとうに救いだ。
表現されたものは、必ず世界に波及していく。
「田口ランディの日記と情報新転位21 『シャケと軍手』を観る」より一部転載

●原マスミ(音楽)
うんうん、いいよねえ。きれいだよねえ。

●伊藤俊也(映画監督)
うんうん、山崎さんらしい切り口で面白かったよ。

●佐藤健志(批評家)
いやあ、とても面白かったです。
スズカ、人間をやめて初めて人間になることができたんですね。
自己破産。日本と日本人の心の「現在」が見えてくる言葉です。

●中沢新一(宗教)
畠山鈴香の弟の描き方にはとくに感動を覚えました。
そして佐野さんも深く憂慮されている現代との乖離という問題も、
痛いほどこちらに伝わってきました。
ホントにいろいろ考えさせられる舞台でした。

●森信行(ドラマー、元「くるり」)
久々に、感動して、身がピリッとした思いがしました!!
お芝居も、ドラムも、スポーツも「心技体」全て兼ね備わって、
初めて人の心を動かすことができるんだなーと、しみじみ感じました。
僕にはまだまだ全部足りません(笑)。
佐野さんの存在感は本当に圧倒的でした!
僕もそうなれるよう、日々精進です。凄い刺激になりました。

●高木美保(女優)
社会の底辺感が重くのしかかるかと思えば、何か暖かい物も流れていたり、
薄暗い人の心がむき出しにされていたりと、レベルの高い作品で面白かったです。
あの劇場はぴったりでしたね。
とんぼの存在感は観客の代表みたいなところがあって、
私はとんぼを通して全体を俯瞰できました。
あの空気の中で、汗だくで普通の男を演じきられた佐野様に拍手。

●サエキけんぞう(ミュージシャン)
とても迫力のある公演でした。郊外、地方の退廃が
非常に細かく演出されていると感じました。小道具がよかったです。

●嶋田久作(俳優)
本当にすばらしい舞台でした。
お芝居(ウソ)をやっている舞台が多いのであまり芝居は観ないことにしているんですけど、
この舞台にはそれが全然なかったです。

●大久保鷹(俳優)
いい舞台だねえ。石川真希、すごい。一緒にやりたい。

●木之内頼仁(俳優)
「キング・オブ・ザ・エンゲキ」の舞台です。
新転位のほかにはないと思いますよ。

※ご観劇いただいたほかの主な方々
大鶴義丹(俳優) 久保井研(俳優) 四谷シモン(人形作家) 岸田秀(精神分析) あがた森魚(歌手)
君塚良一(映画監督) 七字英輔(批評家) 西堂行人(批評家) 江森盛夫(批評家)
鎌田彗(ルポライター) 樋口ヒロユキ(美術評論家) 流山児祥(演出家) 木之内頼仁(俳優)
外波山文明(俳優) 銀粉蝶(女優) 木野花(演出家) 宮城聡(演出家) 成行美智子(女優)
小関直(編集) 小堀ちえみ 中田充樹 島田知恵 保坂百合子 松本光世 野口忠男 石川信一郎
深谷巌 島田るり子 岩波三樹緒 ほか


-------------------------------------------------------------

観客の皆さんからのアンケート


●北原慶昭さん
うっすらと、舞台と観客席を照らしていたタングステンの光が
少しずつ溶解して、やがて視界は暗がりに引き込まれていく。
すぐ眼の前の闇が広がっていくのに比例して、
それまでBGMのようにかかっていた粗末は
ロックミュージックのヴォリュームが大きくなり、
耳をつんざき、そして遠のいていく。

すでにあたりは眼を閉じたのよりも暗い、真っ暗闇である。
気配すらない暗転がしばらく続き、馴れようとする眼が見開か
れたそのとき、突然怒号が響く。
「大沢橋についたときは!」
「そのときアヤカちゃんはなんといいましたか!」
怒鳴りちらす、矢継ぎ早にくりだされる尋問と、
それに答える女のかぼそい秋田弁。
一縷の光が漆黒の裁判をゆっくりとあぶりだしていく。
光の下に立っているスーツ姿の女が後ろ姿のままこうつぶやく。
「このワラシ、橋の上さ乗っけて押してやればどうなるべ、と。」

橋の欄干の模型を前に、執拗に詰問される被告人は混乱したのか、
「思い出せません。」
というのが精一杯のようだ。ふいに、今まで始終うつむいていたその眼が、
傍聴席=観客席に釘付けになる。
「アヤカ……。」
通路にはカップラーメンを手にささげた女の子が、
紙の雪が降るなかに立っている。
「おばさん、お湯をください。うち、ガスが止められているから。」

ふたたび暗転し、時空はアヤカちゃんが失踪するあたりにまで遡行していく。
そして、以降、舞台はあたかも現場検証のごとく、「失われた時間」の周辺を、
丹念に丹念に再現していく。
あれだけの劇作の才をもった山崎哲をして、警察調書のような台本に、
ドラマツルギーの放棄が頭をよぎる。

かつて「新」がつく以前の転位21のころとは、
決定的に何かが違ってきている。
変節したのは山崎哲でも劇団でもなく、
劇作家と役者が全身全霊をもってぶちあたらなければならない
「状況」そのものなのである。
転位21は、「事件」のなかに「ドラマ」を見いだしてきた。
演劇の地平を目指すものがもとめる「劇的なるもの」のひとつの
可能性を「事件」に見つけ、もがき、体当たりすることで、
新たなフィクションを構築してきた。
そしてそれらは、ときに、この上ない美しさとはかなさを現前させ、
舞台を幻惑のドラマツルギーへと昇華させたのだった。

しかし「状況」は、漸進的横滑りの後に、
2002年に、「新」をもって臨んだこの劇作家と劇団に、
新たなフィクションの再構築を許さなくなっていたのではなかったか。
丁寧に「事件」を追えば追うほど、役者が演じれば演じるほど、
「劇的なるもの」へ通じるハシゴははずされていくばかりだ。
その引き換えに手にするのは、眼前にひろがる漆黒の闇である。
作家のペンと役者の肉体のいらだちが聞こえてくるようだ。
しかし、いらだちとともに闇の荒野に身をかがめ、
あてのない宝物を探すことから転換しなければならないときが
やってきたのである。

そしてそのひとつの態度表明が
この「シャケと軍手〜秋田児童連続殺人事件」なのだ。
「劇的なるもの」といった叙情性などは、
これっぽちもはいる余地のない「状況」の暗闇には、
センチメンタルを許さない極北のせつなさが、ぼんやりと浮かぶばかりだ。
そしてそこに向きあわずしては、もはや「劇」は成立しなくなっている。
だからこそ、この「劇」は闇からはじまり、闇のなかに帰っていくのである。

「シャケと軍手」は、山崎哲と役者たちが、
この漆黒の闇と真剣に格闘した記録なのだと思う。
石川真希の感情なき感情と鬼気。
佐野史郎の大きさと存在感。
飴屋法水の卓越した柔軟性。
十貫寺梅軒の往年の赤テントを彷彿させる怪演。
そして山崎哲の執念。

2時間半の間、何度も涙で舞台がかすんだ。
本当に見事だった。
(LIBRARY 北原慶昭 11月26日付)北原さん、ありがとうございました。

●途中なぜか何度も涙がこぼれてしまいました。
芝居はいろいろ観てきましたが、演劇って面白いんだと
初めて思いました。(世田谷区 学生)

●舞台の中の鈴香に自分を重ねて観入っていました。
彼女の心の声をただただ聞いてあげる人が近くにいたら、
彼女は変わっただろうか?
彼女だけでなく、彼女の家族をもっと知らなければ、真実は見えてこないのか?
もっと事件のことが知りたくなりました。(立川市 N・H)    
                       
●最初のシーンで自分が怒られているようで、恐かった。
すごい演技だった。鈴香さん役の人はやはり上手いと思った。(中野区 I・E)    
                       
●しっかり自分で感じて、考えて、現状と向き合って
真剣に生きていこうって気になります。(文京区 T・E)
                      
●初めての観劇です。腹から声が出ていてよかったです。(新宿区 H・A)
                                
●現実の事件の話の舞台という内容にも興味があり、
佐野さんを舞台で見てみたいというきっかけで、新転位・21に初めて来ました。
主演のスズカ役の石川さんが凄く良かったです。
本人にも感じが似ていたし、
疲れた、寂しい、病んでる女の雰囲気がよくでていました。
スズカの心理描写も上手くて泣けてしまいました。(三鷹市 K・S)             

●畠山鈴香のお話とは知らず、見入ってしまいました。
わざとなのか、その感情を出さない村人たちの演技が、良いのか悪いのかわからなかったけど、
見終わってそうした意味がわかった気がしました。悲しくてせつないです。(平塚市 K・A)

●最前列で拝観。出演者の熱演が強く、静かに感じられました。(福島市 F・I)

●最初から最後まで、今までに観たお芝居と全然違いました。
これが演劇なのか、と思いました。観ることができてよかったです。(柏市 K・H)

●新転位・21を初めて観たが、テンポよく刺激的だった。(文京区 Y・C)

●描かれた事件そのものがそうであったように、
まるで夢の中のような掴もうとしても掴めない、
どこかフワフワとして漂うような印象の舞台だった。(草加市 T・M)

●胸がつまり、思わず泣いてしまった。(江戸川区 I・T)

●飴屋さん目当てで見に来ました。
とても面白かったです。脚本が自分の体の中にスーッと入ってきて時間も忘れて見入ってしまいました。
大音量の“音”も素敵でした。(埼玉県 O・M)

●おぞましい! 
芝居の中身も、それを上演する小屋も、舞台装置も、
役者の濁声やがなり声も、すべてにおいておぞましさを感じる作品だった。
しかし、このおぞましさは限りなく実話に近く、記憶にも新しい。
人間の持つおぞましさ、女のおぞましさ、母のおぞましさは、
我々生きている者の生活の中に常に存在しているし、
うごめいている。(調布市 N・M)

●事件のことは知っていたが、それに関係する人々の内面が色々わかり、考えさせられた。
これからもすばらしいお芝居をお願いします。(静岡市 N・Y)

●わかりやすく、美しく流れる物語に仕立てられていて、びっくりしました。感動しました。
秋田弁が耳に心地良かったです。(千葉市 K・H)

●今回は佐野史郎さんが
面白い(いろいろな意味で)役をやっていらして見ごたえありました。
私はおかのみかさんをいつも注目しているのですが、
今回は出番が少なくて残念でした。(八王子市 U・K)

●とても感動しました。
佐野史郎さんを久々に拝見いたしましたが、いい俳優さんですね。
好きです。細かいとこ[トンボの動き)など随所に光ってました。
最後の三人の頬に伝わる涙とハングルの選曲が良かったです。
舞台っていいですね。(スクリーン)

●この事件を初めて知り主人公の表情を見たときに
彼女の人生にはいろいろありすぎて、一言二言では言い尽くせない事件なのではと、
なんだか最後までほんとのことはわからないのではと
そのうち映画化でもされようかと思っていたのですが、
今日お芝居という形で拝見し、感慨深いものがありました。
主人公もユウも よかったし、トンボ(註=佐野史郎)はさすがの貫禄でした。
それにしても あの音楽、私はあの曲には弱いんですよ。(チェブ)

●影絵のような鬱屈とした東北の印象を受けました。
役者さんもすばらしく、彩香ちゃんはどのようになるのかな
と思っていたのですが素晴らしかった。
石川さんと佐野さんの場面は自然体で、見ているうちに知らず知らず肩が上がっていたのが、
お二人の場面になると自分の肩に力が入っていたのに気づいたりして……。
皆さん唐十郎さんのところにいたのですね。唐十郎さんすごい人ですね。(まな)

●シャケと軍手」良かったです。あれからずっと、引きずってます。(k)

ご観劇ほんとうにありがとうございました。
(出演者・スタッフ一同)