ときどき日記(20020401〜20020415)

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2002/04/14(日)

 冬木の突然の引退にはびっくりしました。理不尽大王もガンには勝てなかった、か。

 昼まで寝ていると日曜日が短くてよくない。ほんとは朝9時ごろ起きてのんびり一日過ごすのが理想で、そのためには土曜日はまともな時間に就寝する必要があるのだけど、ここんところ毎週4時や5時まで起きてます。もともとよいっぱりなので起きてるのが苦にならないのがよくない。
 そんな時間まで起きて何をしているかというと、例えば昨日やっていたのはベストプレープロ野球'00のシーズン最後の数試合と日本シリーズと翌年度のチーム編成を延々と。ほとんどの人にはなんのことやらわからないと思いますがようはまあ野球シミュレーションで遊んでいたのです。まんがも本もサイト更新も放り出して。平日が忙しいとその反動からか貴重な自由時間をどうでもいいことに使うくせがあるようです。よくない。

雑誌連載・読切ほか

さまよえる海(上)/草上仁(ソノラマ文庫)

 読み始めて愕然とする。なんで愕然としたかというとたいへん愉快でおもしろい小説だったからで、なんでおもしろくて愉快なのに愕然としないといけなかったかというと、これがシリーズ2作目で1作目の「スター・ハンドラー」を見送って買ってなかったから。なんで見送ったかというと、たぶんその前に読んだ長編「東京開化えれきのからくり」がぴんとこなかったからで、じゃあなんで今度のは買ったかというと「よろずお直し業」がよかったから。じゃあなんで「よろずお直し業」を買ったかというと…覚えていない。たまたま購入判定デーモンが「買え」つったんでしょう。おれの買う買わないはこの購入判定デーモンの結果によることが多いのだけど、もうひとつ、強制購入デーモン(別名買え買えデーモン)っつうのが立ち上がることがあって、これが起動するともはやどうしようもありません。昔では「僕らの変拍子」とか、最近なら「のだめ カンタービレ」とか、ゲームでは青空とか。「くみちゃんのおつかい」もそうだったっけな。

 というわけで。
 この小説はソノラマ文庫から上下巻で出ている「スター・ハンドラー」の続編にあたります。あたるけどこっちから読んでもぜんぜん問題ないはず。というか問題なかったです。おもしろい。
 そのおもしろさの理由のほとんどは「登場人物が変であること」につきるでしょう。くせっ毛そばかすで敬語を使う習慣も女の子言葉を使う習慣もない(男の子言葉ですらない。「説明しろ。いやってのは、どういう意味だ?」とか「お前がくたばれ、ストーカー。手短に答えよ。海を盗んだのはお前か?」とかそんな感じ)主人公、主体性がないというかなんというかまことに頼りないお調子者の相棒、ふたりの知り合いで独白すべてを口に出さずにはいられない、期待される行動のつねに逆を行く男。癇癪持ちの熊みたく瞬時に沸騰して周りの物を破壊する、物語の舞台である星の政府の首相(注:女性)、どんなときでもふたつ以上の単語を口にしない、大富豪でけちんぼで独裁者で釣りとグルメが大好きな奇人、つねに格言めいた物言いをする自称砂漠の哲学者、ほかにもまあいろいろと。十二分に個性的な主人公が一番まともな人間に見えてくるほどです。少なくとも作中まともな会話はあまりやりとりされない。
 前も書いたけど作者は80年代に大活躍した短編SFの名手で、その後長編に転じてから、作中で奇想奇人大活躍だった当時の持ち味がやや影を潜めていた感があるけれど、これは久々に全開です。短編時代のファンは絶対に買うべし。短編時代を知らない人でも買うべし。奇人変人たちが織り成す間抜けなやりとりやエピソードが好きな人なら、絶対に読むべし。

 内容は?内容なんてどうでもよろしい…わけじゃないけど、上巻ラストまでではストーリーがあまり進んでいないのです。作者もあとがきに書いてるけど、登場人物がよけいなことばっかりするのでちっとも前に行かない。いちおうどこかの星が舞台のSFなんだけど、スペースオペラ、ではないなあこれは。Space Farceなんて言葉はないもんでしょうか。

チャンネル31/山本マサユキ(ヤングマガジン2002年19号)

 読み始めて「あれ、これどこかで読んだような…」と思う。去年夏のコミティアで買った「Short Game!」という同人誌に「channel64」という短編が載っていて、これがこの読切のベースになっています。
 ただし内容的には大幅加筆修正あり。ラストが違うのは最初に気づいていたけど、比べてみるとあちらこちらに新たなページが挿入されていたり、同じコマでもページの上から下に位置が変わっていたり(つまりその間に別のコマが追加されている)、細かいところでは人物のポーズが変わっていたり。大幅加筆修正というより描き直し、というほうが正解かもしれません。
 それが功を奏して、やや説明不足だった感じの同人誌作にくらべ、たいへん丁寧なまんがに仕上がってると思います。挿入したページやコマがゆったりとしたテンポを作りだしていて、落ち着いて読める。ラストはえらく壮大な話になっているけど、まあこれはこれでしょう。
 ガタピシはガタピシとして、こんな感じの読切を今後も読めるとうれしいな。期待して待ちます。

モーニング2002年19号

 「トサカのある天使」(汐崎隼)が目を惹いての購入だったけど、18ページではややお話がふくらませ足りなかった感じ。とりあえず名前は覚えとくことにします。
 研修医が主人公の「ブラックジャックによろしく」(佐藤秀峰)は今回もぎりぎりとえぐいところを責めてくる。単行本で追うことはもう決めています。このところ政治家ねたが多い「純喫茶のこりび」(いとう耐)もめでたく単行本に。「ひまあり」(上野顕太郎)はファミレスの店内にある謎の電光数字板がお題。あれはなんなんだろうと実はずーっと疑問に思っていたのでたいへんすっきり。答えを知りたい人は読んでみてください。

快楽天2002年5月号

 例によって読切がいっぱいあるので順番に行きます。
 「ななのゆくひ。」(三浦靖冬)はアンドロイド/ロボットと人間が仲良くなって、でも彼らはやがて記憶をリセットされてすべて忘れてしまう…というたくさん描かれてきたテーマ。個人的にはこのひとのまんがはそんなに好みではないけれど、これが琴線にひっかかったのは、ラストのあたたかな視線がゆえでしょう。こういう救いのあるのもときには描いてくれるとうれしいかな。
 「入学」(TAGRO)は変態学生さんシリーズの完結編。わりとソフトな内容だとか女の子がかわいかったとかそういう感想を並べる意味があるのか自信はないけど、とりあえず本になるのはめでたい。「でりしゃすあどべんちゃーず」(YUG)はひさびさ登場のフルカラー4ページ、ややロリ気味。潜入捜査官がひどい目にあう「まじかる舞台捜査網」(小梅けいと)とバカ病院の看護婦がひどい目にあう「デストロイヤルホスピタル」(堀博昭)はどっちもバカまんが。激漫の人だった堀博昭はあっという間になじんでしまった気がします。もともと作風が合ってたということかも。

 ところで今号を読んでいて思いだしたのだけど、腐り姫の中のどこか(確か番外編だったと思う)になぜか小梅けいとの名前が出てきました。いや記憶違いでなければ出てきたはず。スタッフにファンがいるのか、知り合いなのか。もしかして実はスタッフだったりして。


2002/04/07(日)

 いい天気につられてふらふらと歩き回る。いつもバスで10分の駅に1時間以上かけて到着。いい運動になりました。

 しばらく塩漬けにしておいた「僕と、僕らの夏」に手を着ける。正直に白状するとたぶんこのゲーム外れかもしれないなあという予感がしていたのですか、どうしてどうして。ダムに沈む過疎の村が舞台というありがちな舞台設定ながら、登場人物に「ダムの仕事がなければとっくにここでは暮らせなかった」と言わせてみたり、郷愁とは縁のない、実際にそこに生きる人たちの生活をちゃんと描いているし、文章もしっかりしてるし。期待が持てそうです。

雑誌連載・読切ほか

コミックビーム2002年4月号

 先月号です念のため…ってこればっかりだな。
 「幽玄漫玉日記」(桜玉吉)「LAZREZ」(竹谷州史+TKD)「オールナイトライブ」(鈴木みそ)の3本がラス前。まあここらでちょっくら終わりにしますかという感じの「オールナイトライブ」はともかく、深淵に沈んでいくような「幽玄漫玉日記」には胸が痛むし、つい数号前までの高揚があっただけに憑き物が落ちたような「LAZREZ」にはなんだか寂寥感があります。このまんま万尊は日常に帰っていくのだろうか。
 めでたく毎号連載となった「少年少女」(福島聡)、どんどん成長し大人になり行き過ぎてしまう女の子と、定点観測でもしているように、あるいはまるで妖精のように、十年一日の車いじりの日々を送る男。ほんの一瞬だけのカタルシス、リアルな締めくくり方がとてもよかった。「敷居の住人」(志村貴子)はちあきが犬に。あんたいつの間にそんなにキクチナナコに惚れてたのさ。

連載再開:「100万円!ベガスくん」(肉柱ミゲル)
連載化:「少年少女」(福島聡)
隔月連載:「デンドロ・ロリータ」(小林哲也)

別冊ヤングマガジン2002年30号

 連載2回目「6月ドライブ」(森拓真)、展開が早い気もするけど予定通りなのかもしれないという気もする。どっちにせよ予定等着地点まで好きなように描いてほしい、まず願うのはやっぱりそれ。第1部完という「六本木リサイクルショップ シーサー」(山本マサユキ)は2号休んで第2部開始とのこと。どうお話を広げていくのかな。
 今号はほかにあまり書くことがない。「ラブホルモン」(坂井理恵)は思ったよりまじめな展開になりつつあるけどさて。

新連載:「守護神」(長田ユージ)、「サラーキア〜我が白銀のマーメイド〜」(永井豪)
読切:「ナルナルッ!」(大橋薫)

アワーズライト2002年5月号

 巻頭カラーの色使いがすごくきれいな連載2回目「世縒りゆび」(騎崎サブゼロ)「濁り天窓」とつながったお話だったのか。実質連載3回目と見た方がいいのかもしれない、というか本にするときは一緒にしてほしいな。
 こっちは集中連載の2回目「デッドコピー」(がぁさん)がいい。クローン人間としての2度目の人生を始めたばかりの主人公が、錯綜する情報に混乱し溺れていく。なにがほんとでなにがうそか、「ほんとうのことなんて一つじゃない」のか、結末が楽しみです。「恥ずかしいふたり」(けろりん)はいつものフルカラー4ページ。というかこれ連載じゃなかったんだろうか。

シリーズ読切:「金魚屋古書店出納帳」(芳崎せいむ)
読切?:「恥ずかしいふたり」(けろりん)
読切:「白衣の下は白っ!」(嶺本八美)

少年エース2002年5月号

 「ササメケ」(ゴツボ×リュウジ)、続いています。毎号毎号載ってるかどきどきするのは初期ヘルシング以来かも。そう、そんなこんなのうちに平野耕太も毎号作家になったのだ。続け続け。
 なんにも起きないのどかな春の一日。「ケロロ軍曹」(吉崎観音)はそんな一日の様子をきれいに描きとっています。すばらしい。いきなり野球まんが女子マネ付きの展開「成恵の世界」(丸川トモヒロ)は成恵の打球がすばらしい。まるで落合か清原のような右へのホームラン。最終回「ガバメンツ」(夏元雅人)は大団円でしょう。「ワン リトル アクロバット」(大岩ケンヂ)については先に書いた通りです。

…ちょとまて「Dr.リアンが診てあげる」(竹内元紀)の単行本の話はどうなったんだ。いまさら知らんぷりなんてやだよおれは。

新連載:「忘却の旋律」(片倉真二+GAINAX)
連載再開:「多重人格探偵サイコ」(田島昭宇+大塚英志)、「アンネ・フリークス」(小手川ゆあ)
隔月連載:「なつめヴルダラーク!」(西川魯介)
最終回:「ガバメンツ」(夏元雅人)
読切:「ワン リトル アクロバット」(大岩ケンヂ)、「西武新宿戦線異常なし」(大野安之+押井守)


2002/04/01(月)

 だからさあシステムが不確かなまんま本稼働強行すると深刻なことになるんだってば。いいかげん企業や自治体のトップはそうなったときのダメージを真摯に受け止めて、延ばすものは延ばす勇気を持つべきだと思います。「みずほ銀行は4月1日から、でもATM完全統合はちょっと待って」と土壇場で言いだすことによる社会的信頼の失墜は大きいけれど、「やってみたらうまくいきませんでした」よりはまだずっとましだし、なにより自社社員がトラブル応対に追われることの人的損失がぜんぜん違うのです。
 みずほのシステム関係者はたぶんずっと寝てないと思う。どうか死ぬ前に、倒れる前に休んでください。自分の体や命は、結局自分で守るしかないのだから。

 方針変更のお知らせです。
 これまでこの「ときどき日記」では、基本的に読んだものぜんぶについて感想を書くことにしていました(実際は書けてない場合もちょくちょくあったのですが)。だがしかし残念なことに、どうやらこれからしばらくの間、これまでより自由時間の少ない日々を送る羽目になりそうなのです。
 背に腹は変えられないので、感想の量を絞ることにします。全部は書かない、でも気に入ったものは必ず書く。しばらくこれでいこうと思います。
 更新頻度も落ちるかもしれません(つうか3月はすでにけっこうひどいもんでしたが)。見に来て空振り、というのが増えるかもしれないけどどうかご容赦ください。続けていける更新スタイルで、これからも続けていくつもりです。

今日の5の2/桜場コハル(ヤングマガジン2002年18号)

 ひぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ(撃墜)。

 一発目のストレートをもろに食らい、二発目はなんとかかわしたものの、三発目で宙に舞う。そんな感じ。
 このひとの武器は絵ではない。いや絵は武器だ。この絵が武器でないわけがない。そうじゃない。もう何を言ってるのかわかりません。
 間の取り方がうまくって、しかもシチュエーションコメディとして見事に成立している。この絵とこの内容の組み合わせは凶悪ですらあります。誉めすぎ? 誉めすぎかもしれない。でもこうなったらもう容赦なく誉めるんだ。
 ラストのオチがちょっとわかりにくかったかな。それは次回以降の課題というかまだ3つめだしこれ。このまま、このまんま進んでってください。

bazaar/武富智(増刊ヤングジャンプ漫革2002年5月1日号)

 「キャラメラ」がやや不完全燃焼に終わった作者の読切。だからといって読切一発の切れ味にはいささかもかわりはありませんでした。
 主人公は年の頃13歳くらいかなあ。一般的に母親と一緒にいるのが恥ずかしくてしかたがない、むやみに反発したくなる(というよりせずにはいられない)年ごろ。そんな中学男子の気持ちを正確にすくいとったうえで、迷子の子供を泣きながら探す若い母親の向こう側に、たぶんきっとかつて同じようだった自分の母親を見いださせる。「お母さんのあんな顔/きっと皆忘れちゃうんだ」という独白は、「皆」のなかに自分が含まれているからこその重さと苦みを持っています。
 うまい。集英社のやるべきことはなによりもまず、この作者の短編集を出してみることです。短編集ひとつで大きく認められる例は、これまでいくらでもあったのだから。

ワン リトル アクロバット/大岩ケンヂ(少年エース2002年5月号)

 途中まで片方は男の子だと思ってた。まんまとだまされました。ひょっとしたらあどさん@書斎の住人も同じようにだまされたのかともと思ってみたり。
 女の子が感じる「男みたいだった友達が女っぽくなっていくさびしさ」のリアリティは、女ならぬ身にはわからない。リアルな感覚かもしれないしファンタジィかもしれない、でもそれを措いても、絵もネームもコマの割り方も含めたテンポもきびきびとして気持ちいい。一回読んだら忘れない、くらいのインパクトはあります。
 次は長いのが読んでみたい、かな。あとは大きな物語が作れるかどうか、それだけだと思います。


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