昨日の夜はドーパミンじゃぶじゃぶの状態だったことを今朝になりやっと自覚しました。店から駅まで口笛吹きながら歩いてた記憶が残ってたりします。いくら多少酒が入ってたからってったって普通そんなことしません。
狭く薄暗い空間でアルコール入りででかい音が鳴ってる状態は、それだけでハイになりやすい状況ではあるのですが。鳴ってる音楽がただ鳴ってるだけじゃないしなあ。
そして普通に戻ったはずの今日待っていたのは、またもやドーパミン出そうな買い物の山。ハニー▽クレイ▽マイハニーとあゆみ(須藤真澄の短編集)と吉浦大漁節と塔の断章(乾くるみコンプリート)と匣の中の失楽とこんなに緑の森の中(谷山由紀トライアル)と、ほかにも地球美紗樹2巻とかいい電子2巻とか。待望の本と探していた本とがなにもこんなに一度に目の前に現われないでもよさそうなものです。しばらく幸せになれそうなクラスの本が幾冊もある。
いったいこんなにどないせえっちゅうねんとぶち切れたわけではないですが、家に帰ってからこんどは全部の本を放り出して馬鹿みたいにザナックをやってました。10回くらいやって1面抜けなかったときはおれはもうだめかと思ったけど、とりあえず4面までは到達。しかしこのゲーム目に悪いわ。
昨日今日はまるで日記サイトみたいな内容だけど、意識してそうしてるわけではありません。書くことがたくさんあるのです。いやでもやっぱりまだドーパミン漬けなのかなあ。
「エルフを狩るものたち」 ってもう18巻も出てるのですね。よくもわるくもこんなに確信犯的に話の進まないまんがもあまりない(けなしてるのではない)と思うけど、こんなまんがで話を進めてもしょうがない(けなしてるんじゃないってば)気もします。実はこのまんがずっと前に1巻だけ買ってなんじゃこりゃと思いそのままにした過去があるのですが、こういうまんがだったんだなと今になって思います。
「DARK EDGE」 はゲームスタート、かっこいいぞ赤坂。これまたなにも起きないまんがである「あいこでしょ!」 は休みの日の午後みたいなぼんやりした雰囲気が漂っていて、でもそれが好きだったりします。今回ハルちゃんの後ろに花なんか散らしてるや。
前巻比4割増の700ページ。作中で経過する日数はほぼ前巻と同じ、その分テンポが間延びしたわけではもちろんなく、単に起きる事件の数が増えただけです。なんだよこの登場人物紹介に出てくる人間の数は。
何がどうなってるか頭のなかがごちゃごちゃになったので、読み終わったあと図を書いて整理してみました。作中で発生するのは殺人3件、殺人ではない殺しが1件、強姦1件強盗2件空き巣1件、事件じゃないけど不倫が2件淫行1件。ところが関係者はぜんぶで19人、数が合いません。そのうえこの19人が加害者被害者なだけではなく、親子だったり兄弟だったり夫婦だったり同僚だったりその他の知り合いだったりします。これが4日間で起こるのだから、ごちゃごちゃになるのはおれの頭の問題だけではたぶんないはずです。だからおれが数えたこの数があってる保証はどこにもありません。
この全部にかかわった主人公ジャック・フロストの勘と経験とはったり頼りの行き当りばったりな捜査が、話のややこしさに輪をかけます。なぜならフロストはスーパーマンでもコロンボでもないただのおっさん刑事で、直感推理の半分くらいははずれだからです。だから関係者に無実の被疑者を加えるとさらに数が増えます。数えるのがいやになってやめたんで何人かはわかりません。
昼夜兼行で起きるどれがどれと関係あるんだかわからん−あるいはさっぱり関係なさそうなたくさんの事件と、その余波によるあれやこれやと、加えてころころ変わる警察の指揮系統のせいで混乱を極めた状態が、終盤きれいに収斂していって最後に−ほんとうにジグソーパズルの最後の1片がぴったりおさまるように小説が終わったときは、心底感嘆しました。主人公の強烈な個性は前作同様として、このラストの鮮やかさは前作以上だろう思います。おれは小説読んでるときは思考能力が著しく低下しているし、終わってから検証する気力もないので、内容にほころびや破綻があるかないかはさっぱりわからんのですが、たぶんないんでしょう。ないことにします。あろうがなかろうが、この小説のおもしろさに変わりないような気もするし。
この長い小説の中で印象に残るシーンはくさるほどあるのですが、どれかひとつとなるとやはり、ラスト直前、フロストと同僚との会話を挙げざるを得ません。これだけ欠点だらけ失敗だらけの主人公が同僚からの厚い信望を得、ひいてはこの小説の主人公たりえている理由が、このシーンには一番わかりやすく現れていると思うからです。ひたすら先を読み進んだこの本のなかで、ここだけは2回読み返しました。たぶんに個人的な好みによるのかもしれませんが。
きょうの内容はまんがとは全然関係ありません。わかる人はごく限られた話だけど書いてしまいます。
すごく久しぶりに生で音楽を聞いてきました。ンバギ@桜木町ドルフィ。メンバは林栄一+鬼怒無月+壷井彰久+永田利樹+トビー洲崎。
思ったよりメロディアスな立ち上がりだったけど、3曲目スローバラードのギターソロで鬼怒無月が暴走したときは無性にうれしくなった。やっぱり生はいいなあ。もっと来ないとなあ。
壷井バイオリンは以前べつの組み合わせで聞いたときよりずっと奔放な感じ。アンコールでやってくれたサマータイムも楽しくてよかった。どっぷり浸かって終わったら11時になってました。
帰り際に聞いたら11年前からある店らしいけど、たいへんうかつなことに存在すら知りませんでした。これからはときどきのぞいてみようとたくらんでます。仕事帰りに寄りやすいし。
探してもないと思ったら「僕と、僕らの夏」の発売日がまた延びていた。みごとに狼少年と化してます。そういや「赤錆帝国ふたたび」は今度こそ出たんだろうか。
しわわせ団地シリーズが「しあわせ団地どろ女房」「しあわせ団地二段ベッド」 の2本立て。どちらも基本に立ち返ったようにはじめとさなえの2人芝居。2話めは少なくとも途中までほんとにしあわせそうだなとか思いながら目次を見たら作者ご成婚だそうです。これで名実ともにしあわせ団地。
「エリートヤンキー三郎」 はボクシング編決着。あまりにもしょうもないおちに腹を抱えて笑ってしまった。「ガタピシ車でいこう!」 は頭文字Dのあと。フィアット500のボディって何kgくらいあるんだろ。
それにしてもはじめの働いてるところって初めて見た気がする。あ、エレベーターマンもいちおう働いてたのか。
このままなんとかの錬金術師大行進になることはないだろうとは思ってたけどやっぱり余計な心配だった。「鋼の錬金術師」 518ページを開いた瞬間、背筋に悪寒が走りました。やりやがった。
その3ページ前の少女の笑顔を見るにつけやりきれない気持ちになるけれど、これくらい描いてしまうことはデビュー作読んだときからわかっていたこと。人間の業の深さに踏み込むことで、錬金術師という設定のその意味が改めて重みを増します。単行本は来年1月22日。すごく楽しみです。
読切「獅子丸」 は和洋折衷ファンタジーだけど、内容もさりながらその絵にひかれる。どこかで見たことある絵だな思ったら、どうも人物の表情(特に目)が山下博行に少し似ています。次回作を期待して待ちます。できれば続編とかじゃなくぜんぜん違うお話が読んでみたい。
もう2巻が出る「マジック・マスター」 は派手さはないけど手堅いまんが。この雑誌の中ではトラディッショナルな少年まんがに属するかな。唐突に清村はサッカーやるとすごいんだということになった「清村くんと杉小路くんと」 は来月から大会編だそうな。ほんまかいな。
あと、次号予告に藤代健の名前が。読切を描くらしい。「トンネル抜けたら三宅坂」の作画やってた人です。
新連載:「東京アンダーグラウンド」(第2部)(有楽彰展)
読切:「悪魔事典」(巣山真也)、「獅子丸」(東川祥樹)
いったいどのまんがから書こうかと思ったけどやっぱり「少年少女」 から。いきなりとんでもないシーンから始まるこのまんが、どういうまんがかを文章で伝えるのがすごく難しいのだけど、こどもの残酷さ正直さ短絡さ生命力を曲げることなく写しとったようなそういうまんが。なんというか、すごく好きですこれ。シリーズになるらしくてとてもうれしい。
もひとつ読切の「大人になれば…」 もくそリアルな内容で、これは正直、同じ30代独身男としては正視できないくらい痛いです。コメントに困る。逃げたら駄目だ、ととるか。どうせ駄目だ、ととるか。
「ウルトラヘブン」 は今回全開描写でいつにもましてドラッギー。見てるだけで脳みそに来ます。狂ってる。「恋の門」 が最終回、ほんとに恋愛まんがとしてのラストでした。この人は物語の締めくくり方に特殊な才能を持ってるのかもしれません。今回大食らいちびっ子少女の「よみきり▽もの」 、知り合いで何人か「突然このまんがにはまった」という人がいて、さもありなんと思います。おもしろいもの。少し変で少しだけラブコメでかつまぎれもなく竹本泉まんがなこのシリーズ、個人的にはこういう1話完結型は大好きなのでこのまま延々と続けてくれても全然OKです。作者が飽きるまで。
最終回:「恋の門」(羽生生純)
シリーズ読切:「少年少女」(福島聡)
読切:「あしたの弱音」(鈴木マサカズ)
ゲームのBGMが出なかったり、ゲームそのものが動かなかったりというようなことが続いたので、潮時とばかりサウンドカードを差し替える。おかげで音は格段によくなったけど、どうもCPUパワーも格段に食うようになったみたいで、こんどはあっちこっちで処理落ちが。こうやってPC周りはずるずると更新されていくのだなあ。まあいまどきSocket7では非力をなじられても確かに仕方がないし。
ところで差し替えたサウンドカードで何を聞いてるかといえば、むかし懐かしSuper Depth1面のBGMをえんえんと連続再生してるのでした。なにかしないといけないときにはこれが一番効くのだ。
本屋コンビニでなかなか見つからなくてけっこう今月は焦った。この雑誌にはまだまだ頑張ってもらわないと困るのです。
「ハニー・クレイ・マイハニー」単行本合わせか、今回巻頭カラーの「エビアン・ワンダー」 。11月29日つうことはしあさってにはもう出るのか万歳。読切もたくさん入るみたいだけど「銀符とその守護者」はエビアンのほうにとっといたということなのかな。連載のほうは相変わらず緩急自在のおもむきで読んでて極めて気持ちいいです。
「恋愛ディストーション」 は今回クリティカルヒット狙いの内容。断言しちゃうのもあれかな、いやでもこれはきっと。首が飛んだ人は素直に手をあげましょう。前回の読切「パラダイス・ロスト」がよかった が再登場、「a lost memory」というタイトルの今回のはファンタジーでセラピストで次回に続いています。前回お休みの「S and S」 は今回はちゃんと載ってました。来月も載りそう。よかった。
シリーズ読切:「魔法少女本願寺美礼」(どざむら)、「果てしなき絶望の果てに」(あびゅうきょ)、「遠い音楽」(陽山明子)
読切:「a lost memory」(前編)(嶺本八美)、「上を向いて歩こう」(神谷ゆうじ)
いつのまにやら雑誌の看板みたくなってきた「吼えろペン」 が巻頭カラー。確かに好調だし好調なのはうれしいし、「燃えよペン」でやり残したことを思う存分やってくれれば読者としては言うことなしです。できれば「燃えよペン」を復刊してくれたりするとなおうれしい。
美少女格闘物としてスタートした「美女で野獣」 は今回あたりかなりスラップスティックな内容。楽しくてたいへんよいです、これでこそこのひとのまんがだ。再登場予定はあるみたいだけどいっそ連載にならんかな。「獣星記ギルステイン」 はますます主人公を追い込む展開。こうなってくると落とし所がけっこう難しいかも。
「ロケハン」 はいきなり次回最終回。女の子がわらわら出てきて幸せなのはいいが映画はどうなったんだ。ひょっとしてこのままなしくずしか。
シリーズ読切:「美女で野獣」(イダタツヒコ)
最終回:「特機獣サツキ」(みやすのんき)
JCダートのクロフネは久々に震えの来るような勝ち方でした。NZT4歳Sで初めて見たオグリキャップのレースを思いださせるような圧倒的な勝利。あれはもう12年前になるのかあ。
JCはジョッキーの腕の差かな。相手がペリエではしょうがないとしたもんでしょう。
みのりと遥子がラブラブハッピーな今回の「ハネムーン サラダ」 、Webで見るのは遥子派ばかり。でもめんどくさいなんて言い方をしてしまえば、遥子だって十分めんどくさいと思うけどなあ。まあめんどくさい談義はおくとして、二人の性格からして一花にばいばいして幸せになれるわけないじゃん、とは思います。二人しかいなかったらこうはなってないんだし。いっそこのまま三人でくらせばいいのに。
新連載:「リセット・ポイント」(西条真二)
「犯罪交渉人 峰岸英太郎」 第2部スタート。今回は協力者(原案だったかも)のクレジットなしなので完全オリジナルということなのかな。もうひとつこちらは新連載の「六本木リサイクルショップ シーサー」 も始まってます。こっちは予想してたよりずっと三の線寄りだったけど、滑りだし順調。これは相当に楽しみです。
「クラーマン」 が最終回。奇抜なタイトル設定とはうらはらに派手ではないまんがだったけど、割り切りのつかないもやもやとした感じを大事にしたおもしろいまんがでした。本にはならんかなあ。
新連載:「犯罪交渉人 峰岸英太郎」(第2部)(記伊孝)、「六本木リサイクルショップ シーサー」(山本マサユキ)
最終回:「クラーマン」(藤本青心+犬丸りん)、「ペアで缶詰」(山田猫)
読切:「立つんだ!幸子」(原田重光)、「チェリーマンキーひかる」(アビータ室園)、「オジンガ」(中邑みつのり)
特になし。この先どうなっていくのかな。
先週「展開を見守る」と言った舌の根も乾かぬうちに「キャラメラ」 にめろめろに。今回のベランダでのシーンは反則です。死んじゃうよこんなことされたら(死にません)。
今年の夏に出た本なのか。本屋でたまたま見かけてふらっと買って読む。この人の本を読むパターンはなぜかこういうのが多いです。
小説の舞台は呪術が科学技術と並行して、または同等以上の技術として確立した近未来の日本。とはいえやばめの呪術は禁じられていて、それを取り締まる呪禁官という職業があって、主人公はその養成学校の生徒。呪禁官だった父親を殺され敵討ちを志して入校したはいいが、教官にしめられ上級生にいじめられるしんどい毎日。これに落魄し焼身自殺をはかり気がついたら科学教団のサイボーグになっていた男と、尋常ならざる呪術を使う正体不明の男。おおむねこの三人を軸として物語は進みます。
もちろんこの人の小説だから登場人物は主要だろうが主要でなかろうがあっという間に死んでいくけれど、最後まで読みとおしてみると、予想外に正統派の成長物語でした。いやこのまま終わるとは全く限らないと最後の一行まで警戒して読んだけど今回はどんでんはなしだった。こういうのも書くんだぞ、と作者がにやり笑ったような気がしたのはさすがに被害妄想なんでしょう。
作中で終始主人公をいじめつづける望月という上級生がいて、その望月の土壇場の行動の描き方に、個人的にはきれいにカウンターを食った思いです。性格の陰険さと職業的使命感は全く別物で、それはわかってるつもりでも、おまえ書いてみろと言われたら絶対こうは書けない。作者の懐の深さを見た感があります。
ある活字中毒患者の告白で絶賛していたシリーズ。本屋で手に取ったときはその分厚さに閉口する思いだったけど、読み始めたらほんとにあっという間でした。なるほどこれはおもしろい。
警察ものの推理小説なんてマルティン・ベックシリーズを途中まで読んだだけの人間の言うことなのであてにならないことおびただしいのですが、一般的な小説の約束ごとからすると、この小説はかなり変な小説です。なによりまず、主人公が格好よくない。少なくとも一見、コロンボみたいにわかりやすく「実は」というのでもない。あっちこっちでミスするし、並外れた観察力と情の厚さと勘と経験は備えているもののその勘も大事なところで外れるし、下品な冗談大好きで無神経だし。作中ではこの主人公を軽蔑する若手エリート刑事とコンビを組んでいて、読者は多いに主人公に肩入れしながら読むことになるけれど、実際にこんなおっさんと会ったらすぐに好意を持てるかどうか怪しいものです。
主人公がこうであるうえに、小説としてのわかりやすいカタルシスがない。物語の終局で一人にこにこしているのが出世主義の権化のようなくそ警察署長だけというていたらくで、被害者は死んでるし加害者は捕まってるし被害者の親はどん底だし。そもそも被害者も加害者もひっくるめてこの人いい人というのはほとんどいないし。だれかが救われたとか解決してすっきりとかそういう感じはちっともありません。
それでもこれはおもしろい。すごくおもしろい。30数年前から今週のまで3件の殺人ともっとたくさんの窃盗やら脅迫やらの事件を、その関係者を複雑に絡ませながら描いて破綻のない構成の確かさと、ろくでもないことばかりだけどときたまいいこともあるこの世のありようを冷静にとらえた筆致と、あとはやっぱり饒舌で下品で情に厚くそしてやたらめったら精力的な主人公と、上手い人が書いたものはおもしろいなんていうと身もふたもないけどほんとにそんなような小説です。続編が2冊同じ文庫で出ていて、どっちもすでに手元にあって、2冊で1400ページ。この年末になんてこったいと途方にくれる思いです。読み始めたらまたとまんないしなあ。
TOPCATの活動停止を最後通牒で知る。ショックでないと言うとやっぱり嘘になるなあ。とりあえずReNNをとっととやらないと。
もとは故・SFアドベンチャー誌に連載されたものとのこと。徳間の雑誌に載ったのを徳間が文庫化する、極めてまっとうな展開です。なんで今までほっといたんだろう。
物語の見かけは私立探偵が主人公のハードボイルドもの。が、その主人公がアルツ・ハマーという名前だ、ということだけ書いとけば、だいたいどういう小説か想像はつこうというものです。全面的にぼけてるわけではない(あたりまえだそれでは小説にならない)けどやっぱりぼけてるそのさじ加減が絶妙なのですが、あとがき読むとどうも作者自身相当忘れっぽい人のようで、ぼけ具合がリアルなのはそのせいかもしれません。
ふざけた設定そのままにへらへら進んでいた物語が、ところがなぜか途中から妙にシリアスに。これじゃほんとにハードボイルドじゃん、でも昔は運び屋サムなんて書いてた人だしシリアスやりたくなることもあるんだろうなどと思って読んでいて、最後の最後でひっくりかえりました。こんなにきれいに−まさしく一本背負いを食ったようにしてやられたのは生まれて初めてかもしれない。
この小説は別に年齢制限つきの小説ではないけれど、10代20代の人間が読むより、30代以上の最近ちょっと物覚えがという人間が読むのに適しています。適してるというのも奇妙な物言いだけど、老境を描いた小説が老境に達した人間にふさわしいように、物忘れを描いた小説は忘れっぽくなった人間にふさわしいのです。あんまり書いて読む楽しみを奪うといけないのでこれくらいにしときますが、改札にバスカード突っ込んだり約束の日時場所をしょっちゅう間違えたり自分の言ったことを他人の方がよく憶えていたり、そんな毎日をおくっているひとはぜひ試してみてください。
「?……
コレ漫画?」
という桜庭和志のコメントが帯に載ってるのがおかしい。これ、普通のまんがにとっては最大限の侮辱にあたるはずなのだけど、こんなこと言われてもちっともこたえない、逆に絶賛したところでちっともほめがいのない、まことに奇怪なまんがです。でも1回4ページはちょっと短いな。6ページか8ページがいいな。
「TRAIN+TRAIN」 はひとくぎり、今回はシビアな内容。アフガニスタンで起こっていることもつまりはそういうことなのだろうとふと思った。この原作・作画のコンビは思ったより合ってるかもしれないな。
オールスターキャストの展開となった「宵闇眩燈草紙」 、詳しくないのでわからんのですがこの内容ってクトゥルフの要素が入ってるんでしょうか。港町で魚人間だからってぜんぶそっちとつなげて考えちゃいけないのかな。いやでもこれは。
新連載:「おねがい☆ティーチャー」(林家志弦+Please!)
最終回:「罪と罰」(大塚寛)
読切:「腐り姫」(前編)(K.TEN+ライアーソフト)、「どりどり」(西野司)
朝起きて着替え中パンツをはこうとして、もうはいていることに気づきました。無意識のうちにいつもやっていることをするための回路がどうも一部壊れていて、しかも壊れた領域がどんどん広がっているみたいです。そのうちパンツはかずに出勤したりしたらやだなあ。
というどうでもいい話をしてる場合ではなかった、モーニングの次号予告に高見知行@流線型工房の名前を見つけてびっくりしています。このひとのまんがは−というよりちば賞大賞のそのまんがは、つい4日前のコミティアで載ってる本を手に取りながら、でもまた再録本にまとまってからでいいかと日和ったそのまんがに違いありません。どっちみち読めるからいいのだけどなぜ買わなかったかなあ。妙に後悔してます。
ナックルボンバー出てけえへんやんけと突っ込んでしまった「ナックルボンバー学園」。あちこちに新境地と書いているのですが新境地なのかこれ。学園ものは初めてという意味なのかもしかして。確かに登場人物の年齢は前のより下がってはいるけど。
「ORANGE」 はきれいに決めてのひとくぎり。前回作のような一話読切もいいけど、何話かのスパンで話が進むこういうのもいいな。
新連載:「ナックルボンバー学園」(川島よしお)
このまま収束に向かうのかなという予測を大きく裏切った「破壊魔定光」 。物語の屋台骨にかかわるこの地点まで踏み込んでくるとは思わなかった。いったいこれをどうまとめていくのだろう、あとは腕力でもって強引にたたんでしまうのがいいかもと勝手に思ったり。わくわくします。
こっちはわくわくとは違って奇妙な安定感のある「火星人刑事」 だけど、今ごろになってまた主人公がバージョンアップしている。連載スタート時から比べるとずいぶん強くなってる気もするが、このまんがの(というかこのひとのまんがの)場合そんなことはまったくどうでもいいのが素晴らしい。しかしふと気がつくと、すでに5巻まで出てるこのまんがはこの人のキャリアの中でも最長連載になりつつあるのか。防衛軍4巻予備校6巻、巨乳ハンター2巻アンチョビー4巻スパルタカスも4巻。アナルマンはまだ1巻だし。
ロボットものと縁遠い自分がなんでこんな雑誌を買ってるかというと「狭間の戦士」 が載ってたから。このひとのまんが読むのは「Bird Cage」以来実に約4年ぶりで、登場人物の表情も目の描き方も確かに記憶にあるそれと同じだけど、なんだか天使が片翼で飛んでる感じでもどかしいです。「Bird Cage」が傑作だったゆえんは絵やコマ割りだけではなく、けれん味たっぷりの構成とストーリーにもあったのだから。これを契機にまたオリジナルをどこかで描いてくれないかなあと強く願っています。
しばらくぶりの購入。立ち読みですますつもりだったのに「ひまじん」 を読んでいるうちについふらふらと。この絵にはどうにも弱いなあ。
あらためて変な雑誌だと思う。べた甘なまんがはまんがでいくつも載っていて、一方で電光石火轟−まぐろ帝國−之瀬ハルオとへそに力を入れないと読めないまんががあって。最終回「PERFECT」 はあたりまえのように行くところまで行ってしまった。このまんがかなり読破難易度の高いまんがで白状するとおれは途中で脱落したのですが、最後までついてった人はどのくらいいるんだろ。「ドキドキ悪魔ちゃんパニック(仮)」 はまんが家がよくやる自虐ねただけど、この人がやるとどうも生々しくて素直に笑えない。そこまでわかっててやってるのだろうしそのぶん悪質(けなしてるのではありません)です。「ワタシの男子トイレ」 は若いうちは大変だよねえというかなんというか。この人の描く切迫感はえらくリアルだ。
先月 の描いてた変な読切はそのままシリーズになってしまったようで、「第一〇七生徒会記録」という変なタイトルがつきました。前作とうって変わって気楽な内容だな。ももえはかまぼこ板。このまんがのねたはときにさっぱりわからなくて途方にくれます。UCOが未確認お菓子物体なのはわかったが「パ…」ってなんじゃい。
新連載:「終末にしましょ!」(みた森たつや)
シリーズ連載化:「第一〇七生徒会記録」(むつきつとむ)
最終回:「PERFECT」(電光石火轟)
読切:「ポイントカード▽」(まだ子)、「いちごみるく」(王者之風)、「ドキドキ悪魔ちゃんパニック(仮)」(まぐろ帝國)、「ワタシの男子トイレ」(之瀬ハルオ)
「全日本妹選手権!!」 はアニソンねたをぐりぐりと。全然わからんと思ってそのあとB館を見たら山ほどつっこみが。うわあ。これはねたが大したことないのかそれともKoujiさんが大したことあるのかどっちなのでしょうか。
「イヌっネコっジャンプ!」 は…好き放題まんがなのは前から知ってるがほんとにこのキャラクターの登場はこれっきりなのか。で、ふと気がつけばタイトルどおりの展開になってきていたり。そうかユウキも飛ぶのか。
読切:「ダイナマイト▽ハニー」(倉上淳士)、「実録24時」(野村潤)
何日か前から、Opera6のベータ版を落して使ってみてます。ハイパーリンク中の日本語文字が化ける(ハイパーリンク中の日本語文字仕様はURIのルール違反ではあるのだが)とか、(%7と書くのが望ましいとはいえ)同じくハイパーリンク中のチルダが化けるとか、使ってて不便なこともあるけど、なんにせよ軽快なのはうれしい(少なくともMozillaに比べて)。キーボードショートカットも豊富だし。なんだかあやしげなマウスオペレーションもできるみたいだし。
だがしかし、穴だらけのIEとかったるいMozillaの両方に嫌気がさして、しばらく前から日ごろ巡回するサイトはlynxで見るくせがついてしまっているのでした。Webマスターのデザインにかけた労力をすべて無にするこのテキストブラウザは、それでも確かにおそろしく軽いのです。キーボードオンリーで操作できるし。ていうかマウスなんて使えないし。
今号は特になしかな。しばらく展開を見守りたいです。
連載2回目「七人のナナ」 は少しだけ七人の見分けがつくようになった。なんだか覚えた端から忘れるようないやな予感もするけれど。 の「O−HA−YO」は今回最終回で、入れ代わりに次号から「ナックルボンバー学園」がスタート。何号構えの予告で「新境地」と書いてあったのを見たときには思わず「どこがやねん」とべたにつっこんでしまいました。それともぜんぶナックルボンバーねたで行くのか。だとしたら確かに新境地だ。
新連載:「刀真」(石渡洋二)
最終回:「特攻天女」(みさき速)、「O−HA−YO」(川島よしお)
先号は買い逃し。その買い逃した号で「萬(ONE)」 のVIPルーム編が決着ついてたらしい。それまで1年以上続けて買ってたのになんと間の悪い。
「少年ジャンブ」 が素晴らしい。素晴らしいという形容ははなはだ似つかわしくない気もするけど、少なくともタイトルに偽りなし。これぞジャンブまんがだ。
うわまた「地球美紗樹」 の登場人物が増えてる。たぶんこのまんが、ラストまでの見取り図はもうできてるんだろうな。でなきゃとっくに破綻してる気がする。こんなたくさんの人物をあちこち動かしてるんだもの。
読切「FLYING HEARTS」 はなんというか、男はじじいになっても子供のままでほんに困ったもんだというそういうおはなし。それを簡単に理解したりせず、ため息をついてつき合う孫娘の描写がいい。これは飛んでも飛ばなくてもどっちでもいいな…と思いながらめくったラストの描写もどんぴしゃり。気持ちのいい読切でした。名前覚えとこ。
最終回:「プリプリプリン」(森田屋すひろ)
シリーズ読切:「MAIL14」(山崎峰水)
読切:「FLYING HEARTS」(高橋脩)
おや「街のマリアージュ」 が終わっている。単行本には…ならないかなあ。フルカラーだしなあ。ゲスト登場の「かなづち▽マーメイド」 はくらおりで次から連載だそうです。
「ガタピシ車でいこう!!」 は厚木基地に迷いこんでしまうおはなし。まさかこれはと思ったら、実話だそうです。根岸の米軍居留地に間違って入ったら3日だか1週間だか出てこれないという話は確かに聞いたことがある。治外法権だしなあ。
それにしてもどうしてこう切羽詰まらないとなにもやらないのかねおれは。瞬発力だけでは世の中わたっていけないと20歳のころ悟ったはずなのに。
20冊の同人誌を読むにはもしかしたら3時間かかるし、感想を書くにも3時間かかるというのは二度と忘れないようにしよう、たぶんきっと忘れるけどでもそうしよう。結局今回は間に合わなかった。
「かいぞくごっこ」は7ページのまんがで未完。内容はタイトルどおり。後日完結版が出るようです。
「とくべつ」は作者があっちこっちのまんがやまんが以外の本に載せていた詩のようなひとりごとのような「変な文」をまとめたもの。「扉はあいている/いつだって/けれど誰も通らない/むこうで白い手だけ」とかそんな感じの。あんまこういう本は買わないんだけど、前にも書いたようにこのひとのこういう言葉づかいは好きなもんで十分楽しめた。「本ン物ノ語リ」は本がテーマのアンソロジーでした。
「あいのあるばしょ」は父親の再婚に憤慨した主人公の少女が家出して、むかし住んでいた家を見に行くおはなし。基本的にこのひとのまんがの目線はやさしくて、この本もそのへんは変わっていません。現実はちゃんと踏まえてあるのがポイントかな。
「こころのかたち」は「糸」 「かたおもい」 「私小説」の3編を収録した再録集。単純に再録しただけではなくそれぞれエピローグが描き足されていて、これがプラス方向に効いています。買ってよかった。特に「私小説」のエピローグはよくわからなかった点が氷解したうえにそれ単体でもすごくよかったです。
舞台は昭和30年代の日本、主人公は賭けボクシングのボクサー。個人的にはどちらもそんなに興味をそそるジャンルではないのだけど、にもかかわらず、この本は前回コミティア購入本中の最大の収穫のひとつでした。
読んでて「これぞまんがだ」と内心つぶやいたようなまんがで、ここにはまんがに必要なものが過不足なく備わっています。絵もテンポも人物描写もストーリーもすべて。ジャンルうんぬんではなく、これはたくさんの人が読んでおもしろいと思うまんがだし、たくさんの人に読んでほしいです。素晴らしいよ。
「小覇招来」は中国風の格闘まんが、かな。元気のいいまんが。どうやら作者の初めての本らしく、現在の躍動感があってつやっぽい絵はまだこの時点では未完成のようです。
「霞時標」は真央璃のまちの続編。前回抱いた疑問はこの続編で解けました。コピーというかクローンというか、そういうことだったのか。長い長い時を越えての再会がラストシーンで、きれいに締めくくられています。
「RU-SteerHeartII」「RU-SteerHeartIII」のほうはRU-SteerHeartの続き。設定が以前謎ぶくみのうえにまんがのなかでもほとんど説明されてなくて、でもこういうまんがは嫌いではないし、好きなように描いたような奔放さはそれゆえこそだとも思います。人物の表情が生きていてとてもいい、だから実写版の登場人物を載せることはなかったんじゃないかなあ。自分の絵に自信持っていいと思います。
いったいどうこれらのまんがのことを書いたらいいのか途方に暮れています。そういうまんが、という紹介のしかたは反則だな。でもそういうまんがなのです。
「つゆくさ(一)」は「狂牛病」(丸山由太)、「長い夢」(林誠治)、「記録係の最期」(三島芳治)の3編。「狂牛病」はえらくタイムリーな気もするけど描かれたのは2年前だそうです。「長い夢」は現実のあやふやさを描いた小説。「記録係の最期」はなんだか戦争で記録していた兵隊さんが死ぬようなタイトルだけどそうではなくて、記録係は小学校のクラスの係のことで、あるいは記録係になってからクラスの出来事を忠実にノートにつけていた少女のことです。最期といっても死ぬわけではありません。あ、でも記録係としては死んだのか。
「つゆくさ(4)」もやはり3編収録で、「原子爆弾ノート」(三島芳治)「二〇〇一年七月七日」(林誠治)「彼女が撮りたい映画について」(丸山由太)の3つ。「原子爆弾ノート」は山のむこうに見える港に原子爆弾(球形の巨大な物体として描かれます)を載せた船が来た日から、それが去りもとの風景にもどるまでのおはなし。あわせて一緒に書くと「失調古地」はクラスに人間のようなロボット−しかも壊れていてしゃべらず動かずなにもしない−が来て座っていて停止していなくなるまで。なんというか、余韻とか暗喩とかそういうものを徹底的に拒否した感じがすごくよいです。このひとのまんがは買う人は少ないだろうけど、買う人は見た瞬間買うなたぶん。「二〇〇一年七月七日」はノンフィクションの写真日記。写っている風景のいくつかがほとんど毎日見てる風景で変な感じでした。ただ事実を淡々と描写しただけなのだけど、作品として成立してるのが不思議です。こればっかり読んでたら飽きそうだけど。「彼女が撮りたい映画について」は…どう言えばいいのだろう。途中でフィクション/ノンフィクションの転換が起きてるみたいだけど説明不能です。
すごく乱暴にくくってしまえば「ものすごく変なまんが」であるのだけは確か。ものすごく変なまんが好きの人は必読でしょう。
完結編。インモラルさと宗教色の濃さを兼ね備えた、不思議なまんがとして完結したように思います。前編の冒頭とこの後編のラストには同じシーンが描かれていて、そこに登場する女性は作中で死んだはずの登場人物に違いありません。
ここから何を読み取るか。それは読者にまかされているし、おそらく読んだ人間によってさまざまに分かれるのでしょう。少なくとも創作同人というジャンルの中では、これは歴史に残っていいまんがです。
「Strawberry Short Cakes」は少女が主人公、同性愛者の少年が相方のまんが。ケーキを食うシーンで始まりケーキを食うシーンに終わる、オーソドックスな恋愛ものです。たぶんこれは女性読者の方がピンポイントでヒットするひとがいるんじゃないかしら。
「星に願いを」のほうは野郎ふたりが登場人物で、タイトルのイメージとはうらはらに内容はかなり苦い。子供のころに思っていたような人間になれるやつはほとんどいない、でもこんなはずじゃなかったというところからのリスタートだってあるのだろうと思います。せめてそのリスタートができるような世の中であってほしいなと。そのへんが昔に比べてかなり怪しくなっている今の日本だし、だからこのまんがは正しく今の日本で描かれたまんがなのでしょう。
「ちでたれ」(志賀彰)、「男の子に人気のあるレーザーを発射するor『真夏の光線』」「2001年空想科学部」「2001年空想科学部の宇宙の旅」(以上紅茶羊羹)「レプリカント」(山本昌幸)、「夜のフライト」(南研一)が収録されているまんが。これらをつないでいる本田健の放り出したような短文がグルー効果をあげていておもしろい。どういう文章かを知りたい人は本人のWebで読めます。
突然世界中の人が消え、ただ3人きり残されたところからスタートする「ちでたれ」は並行世界もののSFなのだろうけど、個人的には道具立てとして使われているSFの仕掛けは実はどうでもよかったりする(どうでもいいというと言い過ぎだけど)。それよりも大事なのはコマとコマの間であり、人物の表情であり、決して説明されることのない心の動きであって、このひとが本気で描いたまんがを久しぶりに読んだ気がしてほんとうにうれしい。年に1回でも2年に1回でもいいから、こんなまんが(こういう設定のまんがという意味でない)がまた読みたい。一読者として強く強く思います。
「レプリカント」は人造人間を追う立場のはずがそのうちの一人の少女に惚れてしまった男が主人公で、実はこのまんが以前に読んだことがあります。アンドロイドと人間というテーマとしては例の電気羊を裏返したような内容といっていいかな。果たして実際にアンドロイドが世界に現われたとき、人間のふるまいはどちらになるのか。両極端に分かれるのかもしれないという予感がふとしました。
「夜のフライト」はまんがが非合法化された未来−あるいは(まだ)訪れていない未来である現在−が舞台。かがみあきらのまんがが重要なモチーフで、実在のまんが家評論家の名前が飛び交う虚実混交した内容で、そして「登場人物が自分で描いたのを忘れていたまんが」として登場するのは、作者がヒタカヒロフミと名乗っていた当時の自作なのでした。まんがとしてもたいへんおもしろいのだけど、それとはべつの意味で必読のまんがです。現在まんがを読んでいて、過去にもまんがを読んでいて、たぶんこれからもまんがを読むであろう人間にとっては。忘れがたいまんががたくさんありながら今のまんががおもしろいと思う、そういう人間にとっては。
今回インターミッションの役に回った紅茶羊羹の短編は3つとも軽快なギャグまんが。このひとシリアスも描ける人なんだけど、こういうのを描かせてもたいへん達者なのはいまさらおれが言わずとも自明のことでしょう。全体としてメリハリがきいていて、構成がたいへん上手くいっている本です。
それでもやはり、かつてそういうまんががあったことは覚えておきたいし、覚えているのでしょう。さよならを言うのは忘れがたい相手だからなのだから。
横浜ベイスターズ身売りの知らせに驚く。驚いたものの、落ち着いてみるとこれまでで一番びっくりしなかった身売りかもしれないと思う。球団名も変わらないしフランチャイズも一緒だろうし。
夏の終わりに読売新聞にすっぱ抜かれた南海の身売りと、10.19の影にかくれてやりやがった阪急の身売りはどっちもトラウマになってるので、それと比べればというのはあるかもな。セ・リーグ球団の身売りはサンケイ→ヤクルト以来です。
代入を「たいにゅう」と読むのは変なんだろうか…というのはおいといて、阿波弁で展開される制服少年と制服少女のやりとり。むうこれぞラブコメだ素晴らしい。このひとのまんがには、なんだか読んでて気恥ずかしさに身もだえするような(ほめてます)そういうエッセンスがあるのだけど、いったいこの正体はなんなんだろうなあ。人物の表情かなあ。
半年ほど前に読んだラフナスの結婚の歌の続編にあたります。前回と同じカラープリンタでの印刷で、後半多用されている濃密な赤色が大変印象的。おはなしのほうは途中までなので、後編が出てからあらためて。
基本的には唐代中国物の短編まんがなんだけど、なぜかあいだに2ページはさまっている「唐代女性描眉様式」と「茅山派宗師系譜図 杜光庭道統図」が異彩を放ちます。へえ眉の描き方ってこんないろいろ変わったのかと思う以前になんでこの人こんなの知ってるんだろう。そういう文献があるんだろうか。
まんがのほうは墨絵調の色使いがきれいでよいです。このひとの絵はとても好きだなあ。
ギャグです。とてもシリアスな話かぶっこわれたギャグか、このひとのまんがは両極端に分かれるのだけど、このひとのギャグまんがのなかではいままでで一番おもしろかった印象があります。ある程度量がまとまってるのが効いたみたいで、こういう変な人ばっか出てくるまんがはやはり16ページより64ページのほうがよいということなんでしょう。16ページだと人物が頭に入ったころには終わってしまうので。
連作短編集と言っていいのかな。とりとめもない内容で、個人的にはややポイントをつかみづらかったです。雰囲気は黒田硫黄の短編に少し近いかな。
タイトルどおりの再録集。3編+描きおろし1編が収録されてるのだけど、このあとに描かれた2編のほうが個人的には好きだったりします。うまくなったのか作風がおれの好みに近づいたのかはなんともわからないけど、でもテーマが奥を増したような気がする。その意味でこれからが楽しみです。
これまで買った同人誌の中で、1ページあたりの手書き文字数がもっとも多い本かもしれない。これから描く(だろう)まんがの登場人物+いまでに描いたまんがの登場人物について、1ページびっしりコメントが書いてあって、作品設定的なことにも触れてあります。「太陽特使ガガ」が当初はラストのあとがもう少し続いていて、思い切って削ったのらあの形になったということも書いてありました。おもしろい。
新作は今週末に買えるかな。買えるといいな。たいへんに楽しみです。
「てきとう星人のてきとうワープそうち」(紅茶羊羹)、「small world」(南研一)、「channel64」(トキワ)の3編。ジャンルはSF、でいいのかな。
「てきとう星人の〜」はてきとう星系からきたてきとう星人のてきとうなワープ装置で主人公大迷惑その他の人たちも大迷惑という4ページまんが。すげえ好きですこれ。バカまんがの鏡だ。
「small world」は宇宙からやってきたという彼女を描いたこれも4ページのまんが。このひとのこういうまんが、すごく久しぶりに読んだ気がします。いいなあこういうのも。
「channel64」は13ページとこの本の中では一番長い。双子の少女とその担当医が出会ったところから描き起こされたおはなしで、ラストの展開はけっこう意表を突かれました。以前の作品と比べると間の取り方が変わってきているような気がします。無駄ゴマが上手くはさんであるというか。
「瓜頭」は「西の林」「東の沼」「南蓑荷」という一連のシリーズの続きで、瓜頭なる奇怪な生物(宇宙人?)のコントロール下にある人々の暮らす町が舞台のおはなし。瓜頭に奴隷あつかいされる少女うんぬんより、この町がどこで瓜頭がなんなのか、そっちのほうが気になります。設定の突飛なまんがを描く人だけに。
「取水塔・1」は海辺の町が舞台の奇譚。これは現実の日本のおはなしだそうで、きれいに解決するわけでもないもやっとした物語だけど、このひとのまんがではやっぱりこういうのが一番好きかなあ。これもシリーズになるみたいなので楽しみにします。
冴えないベーシストが主人公で、偶然サックス吹きの女性と野外セッションしたところでこの本は終わっています。これは前編で後編があるとのこと。
この14号で一時休刊、とのことです。菅野博士が「宇宙☆男児」という悪意丸だしというかストレスたまってるんだろうかというかほんとはもしかしたらこういうの描きたいのかというか、そういうまんがを描いてます。藤井ひまわりの「七転八倒ひめあられ」は続くんだろうか、続いたらいいなあ。
「エトセトラ」の主人公はこれは「女神の鉄槌」の主人公とイコールなんだろうか。髪型はいっしょだけどこっちは髪にトーンが貼ってあるしなあ、よくわからん。いずれにせよこのひとのまんがの主人公だから例によって坂を転がるように暴走してます。今回は酔っぱらってるし。
「コルコなんとか」は…ってこんなタイトルつけてええんかいな。えーとタイトルどおりのまんがです。いちおう殺し屋みたいなのが主人公。寿司が食いたいそうです。ターゲットを含めてほかのキャラクター全部射殺してるから腕は確かなのか。どこかで似たようなまんがが思ったら数日前読んだ西田版「コスプレキャプターゆいか」でした。
蛇足的オマケの本体である「郵便配達と夜の国」は痛恨の買い逃し。でこれはB4一枚裏表に描かれたまんがなのだけど、なんだかポスターにして貼っておきたいくらい見てるだけでうれしいです。魔法の絵。
これにて東京編終了。このあと完結編が始まるとのことで、この本の最後は確かに次への橋渡しになっています。ラストでもう5〜6冊くらい続くのかな。
犬まんが。普段毒入りまんがを描いてるひとなのにこれは大変親ばかな内容でした。このひと描こうと思えば「Return Thanks」みたいなのもまた描けるんだろうか。それともあれはなんかの間違いだったのかしら。
ラフイラスト集のような本。まあこれはぱらぱらと眺めて楽しむ本でしょう。
「OVERDOSE」は「ナース」+「宇宙人」、「誘拐+記録する」をキーワードに描かれたまんががふたつ。このお題で風俗コスプレ嬢の純愛ものを描くきづきあきら、看護婦さんに宇宙人の子を孕ませてみる瀧元駱駝。両者の持ち味が十二分に出ているのは確かです。
「suicide note」は双子の少女が主人公のDVもの。ラストに救いを残した作りに個人的には好感を持ちました。「CAMEL Script」は再録短編集で、こうやってみるといろんなの描いてるなあこのひとは。いつか数十ページくらいのまとまったまんがを読んでみたい気がします。
タイトルの意味がまったくわからないが気にしてはいけません。無根を辞書でひいたら載ってたけど事実無根の無根としてだった。あんぽ柿は載ってなかった。なんだろあんぽって。
今回は7ページの番外編だけどあいかわらずたいへんにしょうもない。このしょうもないまんがにトーンを山ほど貼る作者の心意気たるや…って前回も同じこと書いたな。いやたいしたもんです。
仰げば尊し我が師の恩。卒業シーズン、転校していく少女が主人公。過去をひきずる性質でそのうえ転園転校歴4回の自分にとってはピンポイント爆撃のようなまんがでした。きれいにまとめたラストより、そこまでに描かれたシーンの方が好きかな。
これはほんとに重箱の隅なんですが、「今こそわかれめ」の「め」は「別れ目」ではなく、前に「こそ」がひっついたことによる意志の助動詞「む」の活用形かもしれません。「かひなくたたむなこそをしけれ」とかと同じような感じでしょうか。
こどもがテーマの短編がいくつか。そのなかで「CHILD」(ein)が印象に残る。長じてから感じる喪失感というのは確かにあって、それは正しく子供であることを失った証左なのでしょう。もう少し絵がきっちり描いてあるほうがうれしかったかなあ。
イラスト+1ページまんががいくつか。いつも同じことかいてるけどこのひとの絵はおれにとって凶悪にかわいい絵なので、眺めてるだけで満足です。表紙の印刷がたいへんきれい。