藤井将雄投手のご冥福をお祈りいたします。間質性肺炎で入院中なのは知ってたけれど、亡くなるような病気だとは。
あらやっちゃった、な「敷居の住人」(志村貴子)。このあっけなさがこのまんがのミソのひとつでしょう。このひと、カラーと白黒で絵柄が違ってみえる。まあそういうひとはけっこういるか。
「てきぱきワーキン▽ラブFX」(竹本泉)はエダルトのおはなし。ママのおべんとうはタマゴサンドばっかり。エダルトっておかあさんっ子なのか。「砂坊主」(うすね正俊)はドンパチに。最終ページの夏子の顔が…
さそうあきらが「やまだまるもちゃん」を短期集中でスタート。これは娘煩悩パパものかな。「エブリデイズ」(長崎さゆり)はおくてな学校の先生の恋愛譚。ふわっとやわらかい線がおはなしとぴったり合ってる。と、毎回思ってるような気もする。どんな話にも合うんだろうか。
表紙が落ちる雑誌というのも珍しいような。
読切「さまぁばけいしょん」(瀬奈陽太郎)はポルノ作家が出てくるおはなしで、ポルノ文体をギャグの材料として使ったエロまんがって初めて見るのだけど、実際のところどれくらいあるもんなんだろう。そういう意味でおもしろかった。同じく読切「恋はあなたと」(木ノ下ひるね)は全くひねりのない乙女純愛もの。ここまでストレートなのも珍しいような。これも読切「コン姉」(目黒三吉)はコンビニのレジが舞台、4ページ×4コマ=16コマ。同じ場面。背景全部同じ。57点ってやだなあ、妙にリアルで。このポラロイド、「こんなこともあろうかと」用意してたのかいな。
ほかにも「evil▽kiss」(黒荒馬双海)、「純情開脚物語」(大島永遠)、「ぼくらはひとり」(宇佐美渉)、「見習い探偵Z」(たいらはじめ)、「真夜中の存在環境」(山文京伝)、「インク&リボン」(夕雅紅葉)が読切で…ほとんど読切だな今月は。連載で載ってるのは4つだもんな。このスクール水着みたいな小鳥さんはなにごとだ。30過ぎてるんと違うのか。なぜ似合う。ももえはウニ。
しかしパチンコまんが誌で実に実用的なのね。麻雀まんが誌のまんがで麻雀上達用のってかなり少ないけど。「ラッキーホラーショウ」(長田裕幸/ゼットン大木)の第2回をそれなりに楽しく読む。「パチンコカリギュラマシーン」(キクチヒロノリ)もそれなりに楽しく…楽しくはないか。こういうまんがを読むよろこびをどう表現すればよいやら。
少年と怪獣。家に怪獣が現れて、少年を乗せて夜の町。朝気づくと少年はひとり。
魅力的なおはなしの原形のようなまんが。作者も認めるとおりつじつまのあわない部分が残ってるので、バージョンアップされるとかなりよくなるかな。期待して待つことにします。
…困ったな、これ。「怠惰」「偏食」「貪欲」「情欲」「高慢」「嫉妬」「憎悪」が主人公である少年ニッキの七つの大罪だそうだけど、そのうち4つか5つくらいはあてはまる少年だったことがある人間が、しれっと評することのできる類いのまんがじゃないですこれ。参った。参ったってことはすごいまんがなんだろうかと、自分の反応から類推する次第。
少年だったころの自分がろくでもない存在であることを自覚する、そのことにもし一般性があるのなら、これは相当に凶悪なまんがでしょう。参ったなほんとに。
鳥獣虫魚の順で発刊予定という、その第二弾。
百井葉月「Mother」は子供嫌いの先生の話。「ヒトじゃない」と毛嫌いしていた子供を、ふと気づかなかった面を見せられて別の目でみるようになって。母になったらやっぱりそうなる、と解釈すべきなのか、そうでないのか。そうでないほうに一票かな。このひと、どんどん上手くなってる気がします。
藤ノ木いらか「嘘の空」に出てくる得体のしれないおっさん。こういうおっさんと出会ってしまうと、その後の人生にひそかに多大な影響が出たりするので要注意ってこどもは注意しようがないのだけど。多大な影響が世間的にはともかく、当人にとっては不幸とはもちろん限らないし。ぼくはこのひとが好きなんだ、というのを好きのすの字も使わずに。達者なもんです。
衣羅ハルキ「Blue Queen」は前作「よだかのほし」の続編にあたり、前作の敵役だった美少女が主人公。今回は少しおはなしとして煮詰めきれなかったところがあるかなあ。描こうとしたことはとてもよく伝わるのだけど。
それにしてもこのサークル、すごいと思います。発刊ペースにしろ、描いてくるまんがにしろ。
SF、なのかな。物語のなかで竜が重要な役割を果たす点だけをとらえるならファンタジーなのだけど、現実世界の変容のさせかたなんかはSFならでは。SFとファンタジーはもともと垣根があいまいだし、スニーカー文庫だからヤングアダルトだと言えば言えるし、もともとジャンル分けにこだわる気もないのだけど。
元サッカー部の高校生の少年。同じ高校に通う、思索的でおとなしく少し内気な女の子。直接の知り合いではないこのふたりの目の前にそれぞれある日、不意に竜があらわれて二人を驚かせる。だけどクラスメートも家族も竜を見ても騒がず、まえから当然いたように振る舞い、それどころか人間より上位の存在として崇拝し、一年に一度の儀式で竜に選ばれ餌となることを心から願っている…物語はこんなふうに始まる。
そんな世界は認めない、そう反発したときから始まるふたりの苦難。直前に死んだ少年の親友が残した手がかり。少女の親友はクラスメートに村八分にあい、少女を罵り、そのじつ少女を気づかうように振る舞う。さらにもうひとり、何かを知っているだろう少女の謎めいた行動。毎日増えていく竜、ひれふす世界。精一杯の抵抗を続けるふたり。
生き生きとした登場人物たちとその会話、それにむだな説明を省いたテンポのよさで、しんどい内容ながらとても読みやすく引き込まれた。謎解きの部分に若干疑問があったり、エピローグでちょっと時間を進めすぎたかなと思ったり、探せばあらが出てこないわけではないけど、全体としてはとてもよくできた小説だと思う。どうやらこれがデビュー作らしいので、次回作以降がたいへんに楽しみ。
表紙と挿し絵を描いているDOWの絵は本来は好みなんだけど、この小説の内容とは絵柄が若干合わなかったように感じた。もう少しかわいくない絵のほうがよかったかもしれない。
…と、いうことを書きたいのではないのです。ほんとうは。
ネットの書評でほめていたのを見て買って、平日の仕事帰りに読み始めて、このまま読み進めると夜更かしで次の日仕事にならないことを悟ってむりやり封印して。土曜になるまで待って昼食後にファミレスで続きを読み始めて、周りの物音も人の動きも時間も忘れたままラストまで読んで。熱にうかされたようになって帰宅して、感想を書こうと思ったけど一度読んだだけでは物語を把握しきれていなかったので、もう一度最後まで読みとおして。読んでくれてありがとうという作者の言葉をあとがきで見て、ありがとうはこっちだ、こういう小説を読ませてくれてほんとうにありがとう、そう思って、こういうこっ恥ずかしいことを臆面もなく書いてしまうくらい心を動かされていて。
それだけこの小説にのめり込んだ理由を探ってここで書くためには、物語の内容と自分の嗜好についての詳細な説明が必要だけど、必要最低限はと思って書いたこの感想の冒頭部でさえ抵抗があったのに、内容の詳細な説明を書いて読む楽しみを奪うようなことは絶対にしたくないし、自分の嗜好の説明なんてどうでもいいことだし。よかったよ、ほんとうによかったよと、せめてそれだけを伝えたい。歯がみする気持ちでそう思います。
自分の好みがかたよっていることは自覚しているし、この小説が全日本人必読の傑作とは思わないから、絶対読めとか書くつもりはありません。だけどもし、このつたない感想を読んでひょっとしてこれは自分の好みかもと思ったなら、そのときはぜひ。もしも読んでいたらよかったと思える人がこの小説を読み逃してしまう、それが少しでも減るように。願うのはそれだけ。
朝から晩まで一日おなかがゆるかった。腹をこわしたというのではなく、苦痛なしにただおなかだけゆるいという奇妙な症状。痛くないだけ、かえって気を緩めるとろくでもない事態を招きそうで、けっこう冷や汗ものだった。
前も一度同じようなことになった記憶があるものの、原因は不明。前回はひょっとするとキシリトールとかの甘味料のせいかもしれないと疑ったけど、今回そういうものは食べてないし。なんだろういったい。
しかしこんなものにこんなことされて死なないガッツもガッツだな、という「ベルセルク」(三浦建太郎)。今回でいちおうの決着なんだろうか、これ。いやまだわからん。「エアマスター」(柴田ヨクサル)はカイ×金がこちらはほんとに決着。休む間もなくまた次の対戦。あっちこっち場面展開がめまぐるしいこのまんが、映像的と言っていいのかも。
「ハネムーンサラダ」(二宮ひかる)は急転直下の緊張緩和。両腕まくらで寝た翌日は腕があがんなくなると思うぞ。いやしかし一対一でも不利なのに、一対二では勝負にならないよなあ。新連載で「HOLYLAND」(森恒二)が始まってます。
読切が「おさるのムード」(玉木満)しかないぞ。バーズの読切はおもしろいのが多いのに。もっと読切を。それはそうと「魔殺ノート 退魔針」(斎藤岬+菊地秀行)の真紀さんってなんでこう冷静なんだろう。冷血?
いつも二本立ての「ジャングルはいつもハレのちグゥ」(金田一蓮十郎)が今月は一本のみ。コミックハウンドで新連載始めたからかな。
先月にひきつづき「清村くんと杉小路くんと」(土塚理弘)がツボに。ためるだけためての一発ギャグはかなりのインパクト。こりゃいいや。絵が好みの「マジック・マスター」(阿白宗可+黒沢哲哉)はオーソドックスながらなかなかおもしろい。オーソドックスなおもしろさなら負けてない「PON!とキマイラ」(浅野りん)、久しぶりに相田さんが出てきた気もするけど単に忘れてるだけかも。今回はいい話な話でした。
出勤途中のキンモクセイがまもなく満開。においもいいけど、姿も好きです。落ち着く。
まあ、単行本になっただけよかったと思うことにします。
木葉功一の新連載「ルビー・ザ・キッド」は読者をつかんでずるずると強引に引きずり込むような、エネルギーあふれる第1回目。キリコの第1回目もやっぱり強烈だったこととあわせて考えるに、このひとは本質的にはスプリンターなんだろう。距離は持つけど、勝負は一瞬の足。それはそうと「ジャンゴ」(せきやてつじ/アーヴィック)のキャラで土呂と朧崎というのが出てきたのはこのひとが原案だったからなのね。愛着のある名前なのかな。
今回は「バガボンド」(井上雄彦)の後半の展開に惚れました。特に最終ページの上2コマ。すげえや。3コマめで落とすというのは小学館時代の中津賢也の得意技だったが、今でもやってるんだろうか。もうひとつ、「オーダーメイド」(高梨みどり)の終盤、動転した花梨がかわいい。そこまで考えたのかどうかわからないけど、4−8で万券というのはありそうな組み合わせだな。「DAY DREAM BELIEVER」(福島聡)が最終回。
「AV烈伝」(井浦秀夫)がおもしろいのはいつものとおり。「ホニュウ類ヒト科オヤジ目」(しらいしあい)の後味の悪さ(でも読む。単行本も買ってる)も、「他人の家」(深巳琳子)を読んで気分を悪くする(でも読む。単行本も買ってる)のもいつも通り。「他人の家」は主人公に同調しても反発してもどっちにしろ気分が悪い珍しいまんがです。でも読む。
「和一恐怖大事典〜おばあさん子〜」(花輪和一)は残酷でストレート。これも本来の持ち味と言えば持ち味だろう。
「kyrie」の第4話。作者は話がすすまないと嘆いているけど読者は別にいいのにと思います。のろのろと進んでも。おもしろいし。
これ、かなりおしゃれっぽい装丁に絵柄の本で、本来はこういう系統はあまり好みではないのにこれは喜んで買ってるのは、たぶん目が好きなんだと思う。白目のない、黒くて丸くて小さな目。主人公だけ白目があるのか。ふうむ。
昼休みに散歩してたら、偶然に海上保安庁の護衛艦を見かける。いそかぜ、だったっけな。あたりまえと言えばあたりまえながら、ちゃんと艦砲を備えてました。
あれを撃つのが船から鉄砲撃つのとはニュアンスが違うことを、実物を見てなんとなく納得。鉄砲は人間でも撃てるけど、艦砲は国しか撃てない。そういうことかと。
先月見つけたと思った「フォーチュンクッキー」(日向りん)がもう最終回。なんだか普通のおはなしだったみたい。次回作はぜひはじけてくださいと言ってもこの雑誌では難しいか。
いつのまにか「ナルミさん愛してる」(山川直人)は1年半以上続いてるのですね。今回登場したナルミさんの先輩はかなりツボかもしれない。プラス、今月はどざむらが「真琴ちゃんGO!」というのを描いてます。マンネリを気に病む女の子とその相方が出てくる、コメディタッチの恋愛もの。まあこれはこれで。
ファンタジー。大くくりするとカタストロフ後もの、ということでいいのかな。表面には出てきていない、たぶんたくさんの設定に興味を引かれる。絵もなかなかいいです。
ラストがちょっとわからなかった。読解力不足か。それまで千歳だった名前が千尋になって、なんで幼児化してるんだろうか。
まんがが7ページとあとはイラスト。まんがもまんがというよりイラスト+叙事詩と言ったほうがあたってるかも。
イラストは元々カラーのものが多数で、やっぱりこれはカラーで見たいといっても本の値段を考えるとしょうがないんだけど。少数派の元からモノクロイラストがいいだけに。
だから10月10日のままのほうがよかったのにとお天道さまが言ったか言わないか。きれいに晴れた一日でした。
そうかニシヲさん近オリから抜けるのか。何やら寂しい。
木村直巳の新連載「ムーンダスト」は、第1回を見るかぎりでは「殺気ゆえ」「ダブルフェイス」以前の路線に戻った感じ。でも即断禁物、やがてムーンダストなる麻薬をめぐって現実と幻想が交差する…かも。新連載でもうひとつ、「病葉流れて」(花菱スパーク+白川道)が始まってます。
3回集中「アウトサイダー」(大武ユキ)が最終回。何度も書いてる気もするけど、これ、独立した物語として読むとどうなんでしょう。すでにこの登場人物たちに愛着のある身としてはどうにも判断が着きません。「サードタイムラッキー」(沖本秀子)はおもしろい構成の読切で、最初読んだときはなんでこいつらゾンビみたいに生き返ってるんだと思ってしまった。あわてて読み直してようやく理解。最初からちゃんと読まなきゃ。「麻美さんの家庭の事情」(総領ハカル)も読切で掲載。
背後霊同士やっとコミュニケーションがとれた「背後霊24時!」(がぁさん)。このまんがの主人公って人間と背後霊のどっちなんだろう。どっちか、というのと、まんがの着地点はどこか、というのが多分つながってくるだけに気になります。いつもの「美しい生活」をお休みして川島よしおが描いた「ピノキオ伝」はなんというか、どうしたらこういう発想が出てくるんだか。仙女さまとピノキオ。どこの国だろうこれ。
「BLOOD」(玉置勉強+Production I.G)が巻頭カラーで新連載。原作付きだけあっていままでのこの人のまんがとはかなり違う滑りだし。最終ページみたいな女の子の表情ってあまり見た記憶がないし。余白を生かした絵はもちろん健在だけど。
バカ話読切「超高速教習車」(峠たかのり)はコンビニをカウンタックみたいな教習車が通り過ぎる描写がおかしかった。そりゃ怒りたくもなるわな。この作者名はどこかで見た記憶があるのだけど思いだせない。次号予告かと思ったけどそうではなさそう。なぜならこれ、目次に載ってないから。
前号今号の「NieA_7」(安倍吉俊)は一転してさびしげなおはなし。四季賞入選作の雰囲気がたしかこんなだったような。いちどこちらの色調で読切などよんでみたくあります。緩急自在のこのまんがはこれはこれでだらだらと続けたうえで。
けっこうおもしろく読んできた「地球防衛企業ダイ・ガード」(菅野博之)が最終回だけど、この最終回は…。巻き添え食った形で「あぁ!21世紀警備保障」(田丸浩史)も最終回ながら、田丸浩史のまんがは別の形で続きそうで一安心。
まんがを読んでると、まれに頭の中で警報が鳴ることがある。読んでるまんががもろに急所に入りつつあるときで、読み終わったあとしばらく使い物にならなくなるから、もしかすると生存本能に基づく警報なのかもしれない(ほんとか)。この警報、レッドアラートの形で意識されることが多いのだけど、今日のは警報ブザーでした。
おもしろいなあ、このまんが。読んでて飽きない。
うんちくまんがと同じ構造を持ちながらうんちくまんがと違うのは、披露されているのが知識ではなく知恵であること。明かされるまでは考えもつかず、明かされるといがいに単純な工作の技に、工作技術0の身としてはただただ感嘆するのみ。SEやプログラマが、わけのわからんバグや原因不明のトラブルを知恵と経験で乗り切るように、鉄工所の現場でもひとつひとつ難題を片づけているんだろうな。
あと、これはごくごくごく個人的なこととして、このまんがのはなしことばはとても肌になじみます。まんがや小説に出てくる関西弁はあんがい音読しにくいのだけど、これはちゃんと読める。純正大阪弁かなと思ってたけど、作中「牟婁高校」というのが出てくるところを見ると違うのかな。牟婁は和歌山県南部の地名で、でも南紀のことばってもうすこしひなびてるんと違うかなあとも思う。ほんとのところはどうなんでしょう。
「Winter Child」のほうは今年2月発行の本と内容はいっしょ。ペンが入りトーンが貼られ、ベタで夜が黒くなって、完成型に近づきました。やっぱいいわこれ。しばらく先になるというそのときを首を長くして待ちます。
「沈黙の夏−epilogue−」は「沈黙の夏」という本の続編とのことだけど、残念ながら本編のほうは未読。こちらは自分の気持ちをもてあます少女の恋愛感情を、雌雄がつねに判然としてるわけではない生物たちのはなしにからめて描いたもの。はなしのまとまりとしては今ひとつかなとは思う。でも、このひとの描くひとの表情はほんとによいなあ。見惚れます。
夏祭り。見知らぬおばあさんに話しかけられ、「すぐその先にある川」のことを聞いた男。神社の階段を上り、すれちがった少女といつの間にか川のほとりへ。向こう岸の少女と川べりを歩くうち、いつしか男は現世の自分を失っていく…
というだけの話ではなかったのだなこれが。読んでるうちにだんだんよくわからなくなって、そして読後に手玉にとられた心地よさが残りました。上質の幻想譚。
お父さんが娘にプレゼントしたオルゴールをめぐる、心暖まるエピソード。そう、そのひとことを言いだす勇気ですべてが変わるのだ。
前後半構成になっているのは、同人誌ではけっこう珍しいかな。すっきりとあたたかい絵柄でとても読みやすいです。ひとに安心してすすめられるそんな一篇。
「murder tulip」は再録短編集。少女まんがちっくな恋愛掌編が前後にわかれていて、まんなかになぜか茶色い紙で印刷された部分があって、でもってこの部分がたいへん楽しい。「ひーっ、遅刻!!」はかなり笑いました。白い紙の隣接部に載ってるハナミズまんがは、中央部のへんなのが染みてきて(やめい)。いやほんとに楽しかったのです前後も含めて。
「オブラート」のほうは純度の高い、散文詩的恋愛的短編。だけどその読後感のすべてをだんなさんのギャグが消し去って、読み終わったらなにも覚えてなかった。おそるべし駄洒落。
「MONO」はとんがった優等生少女が、へらへらした優等生少年に出会って、ゆっくりととがったものが溶けていく話。こういうキャラクターはまんがでは珍しいかな。
「再帰代名詞」はバイトで忙しい少女とぼさっとした先生のエピソード。こちらのほうが読みやすいと感じたのは、登場人物の性格の差か。こちらのほうがオーソドックス少女まんがっぽい。どちらもすんなりした絵で読みやすかった。
好きな子に好きといえない高校生。くそ暑い日。屋上でだべる日々。夏ですねえ。
まさしくそういう話です。なんとなく、2〜30分くらいのアニメにしてみたいようなおはなし。
この表情の描き方と、モノローグとセリフを積み重ねて話を進めていく方法はおもしろい。表情とモノローグがぜんぜん一致していないことがあって、だけどそれは現実生活ではだれにでもあるわけで、内心いかってるからといっていつも額に漫符が出てるわきゃないのだ。
おなしはつまり自分がどういう人か明確でないと不安な年齢の少女が、わたしはこうだという必要以上の自己規定の存在に気づくという、そういうはなし。だんだん年をとるにつれて、それまで許せなかったいろんなことが「ま、いっか」で済むこともあります。いっぽうで狭量になって許容できてたことが許せなくなることもあるから、年とればいいわけじゃないのが難しいところ。このまんが、セリフト書きが書き文字なのが命かもしれない。
おまけまんがの「猫様とわたし」はたあいなくも楽しい6ページまんが。
最初に載ってる「ほんのすこしの深呼吸」(藤ノ木いらか)は、見たこともない鳥の名前を知っていたり、身に覚えのない約束をしていたり、自分の知らないうちに知らない記憶がまぎれこんでというおはなし。その結果なにか劇的なことが起こるわけでもなく、謎がとけるわけでもなく。このあたり、不条理な状況に対する内面の巻頭がもう少し見えたほうがよかった気もする。もちろんちゃんと説明しないとだめということでは決してなくて、この雰囲気はこのままでいいと思う。やわらかな感触の絵はかなり好みです。
三番目の「ちるちるみちる」(百井葉月)は小鳥(インコ?)をとおして知り合い、やがておとなへワンステップ上っていく(そのままの意味。恋愛沙汰ではない)という物語。いまが意に染まぬ現実だとしても、おとなになるのをあせることはないというやさしい作意が込められてます。
このふたつの間にのっているのは、衣羅ハルキの「よだかのほし」。宮沢賢治の童話が題材となっているのはいうまでもありません。
この感想はネタバレになります。それでもよければ続きへ。可能であれば、まんがのほうを読んでから感想を見てもらったほうがいいです。もったいないので。
ゲームのとくいなカエル。買ったカメラを手にモデルになれと迫る後輩少女。ホワイトデーにプレステ渡す阿呆。宇宙船に忍び込んでた追っかけ女房。しらんまに私の体を改造しやがった親父。ひたすら考えを暴走させるクラスメート。ノーブラだと知ったらそのことばっかり聞く彼氏。おまえら、おまえら、人の話を聞かんかあああああっ。
ほとんどそういう短編ばっかりの短編集。こういう話においては、迷惑こうむるほうが決して本気でいやではなくて、暴走少女の彼氏はちゃんと暴走少女が好きであることがみそなのはいうまでもありません。いやそりゃもちろん迷惑こうむらないに越したことはないけどでもそれはそれで少し物足りなかったりというような。まあなんにせよ、肩の凝らない一冊です。
かわいがるじいちゃんと、「あんちょ」と呼ばれ煙たがる孫の少年。少年がそのことばの意味を知ったのはじいちゃんの死後だった。
基本的にとてもいい話ながら、どこかユーモラスなところがあるのがこのひとのまんがの特徴なのかな。腹下しのこういう使い方はフィクションではあまり見ないし、でも実際にはありそうだよなあ。
唐沢なをきは4コマ1本、菅野博士と神宮司訓之はイラスト2P、夢野れいはイラスト1Pの登場です。参考まで。
藤井ひまわりが「とある地方のお盆のお仕事」「携帯を買うたわし」「七転八倒ひめあられ」と3本描いてる(七転八倒〜は続きもの)。ぐにゃぐにゃっとした手足の描きかたが特徴的な絵は気に入ってます。このなかでは「とある地方の〜」がなんてことないけどいい感じだった。
「EVENT AFTER」はイベントレポまんが。
「羽っぴら」に載ってる「フロッタージュの怪物狩り。」(PLU)は6ページで、いつになくキャッチーな出だしだと思ったけどなかみはやっぱりよくわからん。画家が200年前に怪物狩りにいったら見た怪物が目に焼きついて何枚描いても絵の中にそれを描いてしまうので鏡の中に封印したらこんどは絵が描けなくなってと書くと日本語として問題ありげに見えるけど、そのまんまの設定です。このひとのまんがは奔放なイメージにあふれる特異なもので、これで別にかまわんと思えてしまうのが特異さの証しでしょうか。
ノンタイトル本のほうもやはり6ページで、猫耳少女がトランシーバを見つけるこれはわりとわかりやすいおはなし。ただし猫耳少女は少女ではなく妖怪として描かれてます。
おはなしはややばか話に属するかな。センスあふれる絵でかかれていて、こういうのに弱い人にとってはたまらんまんがかもしれない。残念ながらおれ個人のツボはここにはなくて、でもきっちり作ってある分だけちゃんと楽しめた。
まんがとしては上記「戦慄毒饅頭」と同系統。こちらのほうは続きものの途中であるぶん、はなしがわからんです。これもツボにくる人はくるんだろうな。
懐かしのACマーク。アニメージュが続いてるんだからアニメージュコミックスだって続いてるのは当然と言えば当然か。
便利屋三姉妹の活躍する一話完結もので、おはなしは個人的にはそれなりに楽しいというくらい。それにプラスされるのが、湘南の陽光に特徴的な絵がミックスされて生まれるドライブ感。あれほど強烈ではないにしろ、「プリティー・ヨーガ」と同じような感じで、これは繰り返し読んでるとけっこうきそう。
このドライブ感を生かすなら、大きな判形にしない手はなかったでしょう。少しもったいない。
ひさびさに行った秋葉原で「ザ・ガッツ2」を発見。パッケージを手にとって見ているうちに、人間としてこれは買わないといけないんじゃないかというあらぬ妄想にとりつかれそうになる。いや、でも、どういう人たちが買ってるんでしょう、このゲーム。
いつのまにやら20巻。毎週毎週クオリティをおとさず、単行本には必ずおまけまんがを載せる。安定と継続。これが作者の言う職人魂なのでしょう。敬服します。
こういうまんがにはしっかり売れてほしいと、ファンとしては願うのみ。一般的にはマニアックなまんがと見られてるのかなあ。
評判買いの1冊(どこ見て買ったかばればれか)。人生に迷った女性と身寄りのない少年の二人暮らしはなしというのは目新しくはないけれど、良質な物語でした。2巻が出たら買おう、そう決めたくらいに。
人物の顔の描き方に特徴あり。描き慣れないところが残ってるのか、こういう絵なのか、たぶん後者なんでしょう。慣れると味だと感じるようになるのかな。
追記(2001/05/16)こともあろうに作者名間違ってました(誤:もりのひと、正:もりひのと)。気づかないまま7ヶ月。申し訳ありません。
今月号掲載のまんがの中で一番好きなのは、それはもう圧倒的に、米沢嘉博が「Yずコレクション」で紹介している同人誌「太陽特使ガガ」(佐藤直大)です。ほかのまんががおもしろくないということではなく。ラスト3ページをちゃんと次のページにして掲載したのは、おそらく意図してのことでしょう。この3ページを読み終わったあとの動揺は今でもよく覚えてます。
「禁」(佐々木泉)「月夜の茂吉」(こっぱ)と2本載っている読切のうち、中国話の「禁」がとても上手い。絵だけでなく展開もちゃんと読ませるし、クライマックスはきれいに決まってるし。地味と見られるかもしれないけど、こういうのは好きだなあ。ちょっと前の四季賞で載ってそうなまんがかも。
あとはとうとう串Pとオオアリクイが相まみえた「串焼きP」(SABE)かな。このまんがはどういうまんがで何がおもしろいんだろうといつも思うのだけど、いまだにわかりません。異化作用はあるとして、でもそれだけではないような。
結局、遠出はしなかったのでした。一日ほとんど寝てばっかり。
ギャルゲーでした。絵はまあまあ好みだしだから手を出したのだけど、結果的におれはギャルゲーがやりたいわけじゃない、というのがよくわかった。それが確認できたからまあよしとします。
それにしてもどうしてみんな好きになったとたん、しなを作るんだろう。真っ赤っ赤でもまっすぐ見据えて、という描写もあるのに。これは好みの問題か。
(以下、翌日追記分)
なんかやっててちっとも楽しくなかったみたいに見えるので追記すると、そういうわけではないのです。主人公と友達たちの会話には高校生くらいのばか話の軽妙がしっかり再現されてるのもあって、読んでてくすくす笑ってしまったり。そのあたりの展開のほうが友達たちのだれかと特定な関係になっていくあたりより楽しかった、それゆえの冒頭の感想でもあります。
まごうかたなき日本SF。これはレッテル貼ってるのではなくて歓声です。こういうのが新刊で文庫で読めるとはとてもうれしい。
物語の舞台はごく日常的な学校生活と、宇宙空間での戦闘シーンとを何度も行ききして、そのギャップに読み終わったとき少し乗物酔いしたような気分だった。設定上は学校生活は幻にすぎず、現実の宇宙空間のほうで破綻が起きれば消えてしまうものだけど、それまで日常と信じていたものをいきなり奪われた主人公は、幻と知りながらむしろそれを守ろうとする。そのさまを、割り切れない人間の弱さとみるか、幻だろうと関係ないという意志ととるか。後者だと感じたものにとって、最終章「星を視る」のラストシーンはとても美しいものだった。
正体不明の強力な敵との宇宙での闘いという構図は「戦闘妖精・雪風」を連想させるけど、雪風では敵は写し鏡で、人間と機械の関係がテーマと言えるのに対し、この小説では敵はちゃんと人間という存在を認識していて、そしてテーマはあくまで人間自体。どんなにあがいたところで、どんなに理不尽な状況だろうと、人間は前に進むことしかできない存在なのだ。だからせめて、というようなことが物語の深底をなしている。泣く前に飛べ。まだ子供のころ、なんで人間は原子力はやばいからやめて電気を節約しようとしないのかと嘆いて、人間とはそういうものなんだと諭されたことを思いだしたりした。
この世のものならなんでも開けられる鍵師。偶然に鍵師の封印を解いて、マスターと呼ばれる羽目になった中学生の少女。ここまではともかく、鍵師が開けられるのが「どんな鍵でも」じゃなくて「どんなものでも」なのがこのまんがのユニークなところで、実際に作中でも学校でも人間でも開けちゃいます。特異な発想とそれをイメージに起こす力がこの作者ならではでしょう。おはなしのフレームは学園ものなんだけどね。おもしろいです。
相変わらずの内容の第2巻。同時収録「兄妹ヌード」もやっぱりはだか野郎が出てくるし、作者はこういうキャラクターによっぽど愛着があるのでしょう。
このふたりのしあわせがいつまで続くのかと考えると、少し切なくもあり。そういうほうには話はいかないと思うけど、と願望混じりに予測することにします。
こちらは最終巻。明智の探し物のゆくえは結局読者の想像にゆだねられることになって、物語として完結はしなかったけど、へんに決着つけるよりはとこういう終わり方を選んだのかもしれない。
ラブコメのようでラブコメでなし、雑然として見えてひょいひょいと深いテーマをかいま見せる。不思議なまんがだった。次回作はいったいどんなのになるんだろう。
こんどは警察官。アホの輪がどんどん広がっていく「エリートヤンキー三郎」(阿部秀司)。次は先生かヤクザか。3回連続の最終回「しあわせ団地ロンリー地蔵」(蓮古田二郎)、はじめはもしかすると退屈を退屈としない希有な人間なのかもしれません。そのわりにしょっちゅう悪事を成してるけど。それはそうと一日おにぎり二個ですむとは燃費がよくてうらやましい。
クロノにモンコレに…のうちモンコレが実質お休み(番外編4P)、ファントムウィザードも休載。そのぶんというわけではないけど、「クロノクルセイド」(森山大輔)が盛り上がってます。ロゼットがなんにも知らないということは即ち読者もなんにも知らないということで。だんだんシリアス色の濃い展開になってきた。だんだん方向性が見えてきた「テスタロト」(三部敬)、あとはでかいおはなしをどう作っていくかでしょう。引き続き注目。
「タカハシくん優柔不断」(新井理恵)と「CAT's WORLD」(OKAMA)がどっちも大変なことに。「タカハシくん〜」は優柔不断タカハシくんがとうとう言い訳のできないことを。容赦のない展開だけどどうするんだこれ。「CAT's WORLD」は主人公ペア以外、なんだかみんなネコになってしまったみたい。これはこれで人類滅亡と言うのか。
ファミレスのセットでガーリックトーストとストレートティーを頼んだら、ライスとアイスレモンティーが出てきた。まあいいやと思ってそのまま飲み食い。いちどに二つ取り違えられたのはさすがに初めてだった。はきはきしたウェイトレスさんだったんだけどな。
体調と天気次第で遠出を目論んでるので、もしかすると明日から3日くらい更新しないかもしれません。
新連載2回目の「ジャンゴ」(せきやてつじ+アーヴィック)、登場人物に土呂と朧崎というのが出てくるのが引っかかる。偶然ということはないだろうから、あえてキリコと同じ苗字にしてるんだろうけど、その意図は。土呂はハッカーと職業まで一緒だし。
シリーズ「月岡脳髄研究所」(目白花子)が前後編で登場。特に目新しい話ではないが、しっかり読ませる。もひとつシリーズ「リーマンギャンブラー マウス」(高橋のぼる)はこんどは人情話。変幻自在だ。まぐろ子の女体盛りの悲しい過去が今。このブリッジはしんどそうだってそういう問題でもないか。
四季賞募集イラストが熊倉隆敏だったのでしあわせ度10%アップ。…しあわせ度ってひらがなで書くとなんだか別の意味にもとれるな。幸せ度。
久しぶりに買った気がする今月号は指定明け。もくじのページに「諸般の事情により一部内容が予告と異なった事をお詫び致します。」とあったのがおかしかった。編集部にとっては笑い事じゃないだろうけど。
買ったのは「万華鏡花−鬼燈−」(三部敬)が目当てで、これは期待通りしっとりといい話だったけど、いかにもというか案の定というか、二本立てで載ってた「封霊士マーコ」(RYU-TMR)にはまる。こういう変人とまぬけが暴れるばか話はもろ好みであるうえに絵まで好み。定期購読雑誌がひとつ増えてしまったような気がする。あとは唯我独尊少女の「星になったカイカイ」(吉田蛇作)とあくまで下衆な兄がナイスな「兄妹間戦争」(舞登志郎)。今月たまたまかもしれないけど、妙にダークなまんがが多いな。
帯に「小中学生の囲碁ブームはここから始まった!」とあって、実際のところどれくらいのブームかはともかく、日本棋院はこのまんがに足向けて眠れないはず。100万人かそれ以上の子どもたちが、このまんがで囲碁を知っただろうから。そのなかから囲碁を覚え続ける人がたくさん出てくるなら、それはほんとうにうれしいことです。
今まで単行本でしか読んでなかったけど、こうやって単行本で読んでるうちにも話が先に進んでるかと思うとじりじりする。決めた。やっぱり雑誌で毎週読もう。
余談ながら、韓国の碁打ちとは打ったことはないけど知り合いが打つのは見たことがあります。そのあと酒の席で、お互いの国のプロ野球について片言英語で話したっけ。そのとき互いの国の代表的選手として知っていた宣銅烈と野茂英雄がやがて日本にアメリカに渡るとは、神ならぬ身では知るよしもなかったのでした。
インプットを必要条件としないアウトプットがあることが心(意識)が存在するあかしだとしたら、夢を見るようになったとき機械に心が宿ったと判断できるのかもしれない。ただ、夢が複雑にからみあったインプット/アウトプットの産物でないといえるかは微妙なところだけど。
これはとてもおもしろかった。と笑って言うのには内容がかなり強烈で、圧倒されないように気張って読んだけど、読み終わってぐったりときた。内容の猥雑さにあてられたせいもあるにしても、かなり押し込まれていた感じ。
この作者が多くのインド紀行の書き手と違うのは、インドに婚家があることだ。インド通いを続けるうちになりゆきで結婚したそうな。旅行者として過ごした期間もいれると15年にわたるキャリアのたまものか、あまりフィルタもかけず、ほぼ実際のできごとをそのまままんがにしただけとも言えるのに、知らないことだらけだしとても興味深くもおかしくもあった。
このまんがはまだ連載が続いているみたいで、もし続刊がでるならば、優秀なコンピュータ技術者をたくさん輩出している国としてのインドのような、一巻目では描かれなかった別の面も読んでみたい。あと、各回のまんがのあとにエッセイが2ページあってこれはこれでおもしろいのだけど、できればまんがと内容が重複してないほうがよかったかな。
職場ではネスケ3.03などという前時代的かつ珍しいブラウザを使ってるのだけど、だんだん見るとブラウザが落ちるサイトが増えてきた。これはサイトのせいというよりネスケのせいだし…と思ってIE4.01SP2に替えて回ってたら、こんどはIEが落ちる。もうなにがなんだか。
ちなみに家PCにはネスケの3.03と4.04と4.7と6PR2が。単に古いバージョンを消してないだけか。
「紺野さんと遊ぼう」(安田弘之)はエロじじいみたいなまんがだな。脂ののったのではなく、枯れたエロじじい。「ワンコインクリア2」(雁須磨子)は前回と設定違うじゃんと思ったら、ちゃんとワンコインクリアがキーワードになってた。今回はいじわるお姉さんのおはなし…というまとめは変だな。最後の一言は会心の一言。あとは毎度の「BODY & SOUL」(安彦麻理絵)かな。
なんで梶原崇に原作付きをとも、田中芳樹との組み合わせとはどういう意図だろうとも思った新連載「黒竜の城」は、でもなかなかおもしろそう。これがどれくらい原作(「長江落日賦」だそうです)に沿ってるのかにも興味がわく。しかしこの雑誌は攻めるなあ。もひとつ短期集中連載で「ハウスボウラー」(タイム涼介)が始まってます。
いよいよ煮詰まってきた「0リー打越くん!」(桑原真也)ではそれまで無事だったケイがとうとう。こちらもある意味で山場を迎えつつある「春よ、来い」(咲香里)、でもこのまま乗り換えちゃったのではおもしろくない。巻き返しが見たいと言っても別にどっちかを応援するのではなくて、単にもうひと波乱欲しいだけか。意地悪だな。
「イヌっネコっジャンプ!」(はっとりみつる)のページ上にいつのまにか(最初から?)爽やか青春ラブ・コメディーというアオリがついていた。青春とラブとコメディはまあよいとして、爽やかかこれ。それともこの先に爽やかな展開が待ってるというのか…もしかすると待ってるのかも。ネコは爽やかという概念とは無縁な生き物だとも思うが。ところで今号のこのていたらくは寿司につられたオズが悪いんだろうか。哀れ。
「ピアノの森」(一色まこと)は作者が腰を痛めてとりあえず3週休載だそうです。職業病だしあせらず養生してください。再開まで待ちます。
悪石島なんて島があるのか。このところあちこちで地震が続いて気持ち悪い限りです。気持ち悪いだけで終われ。
そうか前田もか。だんだんひねていく三郎が痛ましい限り。という「エリートヤンキー三郎」(阿部秀司)は次号巻頭カラーだそうです。またカラーで鼻血吹くのか。
いっぽうこちらは今号扉がカラーの「しあわせ団地ラッキーワイフ」(蓮古田二郎)、なんつう素晴らしい扉だという評価は間違ってるでしょうか。かなり本気なんだけど。貧しさに負ける一方のさなえはこのまま人相が変わっていくのかと少し切なくもあります。10月6日発売の2巻には赤青どっちかのBUTAに載っってた「兄弟ヌード」も収録されるそうでめでたい。ところで「クーデタークラブ」(松本光司)のこの二人は何をやってるのだ。クーデターはどこ行った。
「バード」(青山広美)がクライマックス。すばらしく盛り上げて次号最終回。みものです。
巻頭「クロムハート」(赤名修)はそりゃ単に怖いものを知らないだけじゃないだろか。怖いものを見ても怖くないのと怖いもの見たことないのは違うぞ。それは無垢と無知が違うのといっしょだ。はなしが思わぬ方向に転がり出した「ONE」(本そういち)、まだ対局途中だけど続きはどうするんだろう。
おれ、いちご好きなんでいちごばっかりでもOKです。でもこれはどっちかというとイチゴショートばっかりというほうが。
いやでも、「プロバイダー・アコ」(やまざきもへじ)はおもしろかったです。なかみはあんまりないまんがながら、尻尾の先がプラグになってる女の子という設定がユニークだし、なによりこの娘がオーバーアクションで読んでて楽しい。まじめな表情はアニメ顔、怒ったり笑ったり勝ち誇ったりするとラフな顔(?)と絵が違うけど、ラフなほうが生き生きしてて圧倒的にいいです。これは次が楽しみだなあ。
ほかにも「すもも一等!」(吉崎観音)とか「魔砲少女四号ちゃん」(丸川トモヒロ)とか「突撃!ブロッコリー潜入ルポ」(中山かつみ)とか「カナリア〜この想いを歌に乗せて〜」(相楽直哉)とか「とらいあんぐるハート」(都筑真紀)とか「死神少女」(清水栄一+上田智裕)とかちゃんと読んだまんがはそれなりに多いのだけど、それらすべての読後感を漂白する「進め!以下略。」(平野耕太)を巻末に持ってきたのはいったいどういう意図だ。焼肉の後のガムか(違う)飲んだ後のラーメンか(これも違う)イチゴショートのあとの納豆か(なんだこりゃ)。ほわほわとした読後感がぜんぶどこかへ行ってしまったですよ。別にかまやしないけど。
昼食帰りに近所のグラウンドでやってた草野球、ピッチャーのストレートの速さに思わず足がとまる。スリークォーターでサウスポーのそのピッチャー、ストライクが入るのはストレートだけだけど、常時120kmは出ていると見たストレートは、内角低めに決まると手のでないしろもの。一方相手チームのピッチャーもサウスポーで、こちらはストレートは110kmくらいながら、よくコントロールされたカーブを武器にときおり横手投げも交える変則投法で対抗。バッターの構えもランナーが出たときの野手の動きも、審判のきびきびしたジャッジも、どれもとっても上々でした。いいもの見せてもらったです。
ところであたくし競馬を見始めてからもう10年以上になるのですが、単勝43060円が炸裂した11年前のあの秋の日から競馬ではなにが起こるかわからんことは知ってるつもりではあるのですが、今日のスプリンターズSにはひさびさに腰を抜かしました。25750円はG1と言わず重賞ぜんぶでも歴代2位か3位でしょう。
忘れがたい個性派だった父馬ダイタクヘリオスの産駒成績はいままでいまいちだったのだけど、こんなところでこんなことをする仔が出るのはらしいと言えばらしいのだけど。いや参りました。
ひさびさ登場・荒木健晴の「短足王丹内」、主人公を見てあら作風変わっちゃったのかなあと思ったけど、早とちりだった。たいへんに足の短いハードル走者の少年と、オーソドックスにいいハードルランナーだった少女。夢やぶれた少女のかわりに、少年は無謀にもオリンピック出場を宣言する…ギャグのように見えて実はギャグではない。料理の腕がサッカー監督の優劣だとか、命がけのバイオリンでサッカー応援だとか、めちゃくちゃな方法論で実は純な話という手法は、今回も変わってなかった。いいまんがです。
リングに上がると性格変わる主人公のボクシングまんが「ファイナルビースト」(大川トモユキ)、敵役で出てくるガイスト洸一という名前に見覚えが。たぶんおなじ作者の昔の読切だと思って調べたら案の定、1998年赤BUTA増刊掲載「ライオンナックル」の登場人物で、こちらでもロートルおっさんボクサーの敵役だった。同作者でもうひとつ、女の子が男子サッカーで活躍する「碧い太陽」(これは1999年赤BUTA22号)という読切も発見して、つまりこの作者のまんがはいくつも印象に残ってたけど作者名覚えてなかったのね。よしこれで覚えた。
読切前編「おっぱいジョッキー」(木山道明+チャーリー☆正)はまあタイトルから想像つきそうな内容だけど、出てくるジョッキーのモデルが佐藤哲に田面木というのが必要以上に渋い。田面木は「たもぎ」と呼びます。むかし騎手欄でこれを見て苗字だと認識できず、「これ、なに」と尋ねた知り合いがおりました。もともと読切のほうが連載よりも多いくらいの雑誌で、ほかにも3号連続の第1話「タッチダウンルース」(TAR)、「Mr.222」(三ッ森あきら)と「カオス同棲」(沢田真一)の3つ。連載陣では新連載が「チギッテハ投ゲ」(小林健志)、最終回が「情霊記」(柳内大樹)。「ゴルディアス」(イダタツヒコ)の単行本が10月6日に出るのはたいへんめでたい。最近単行本がらみではめでたいことが続くな。
ダメ人間大行進。いや実はだめなのは浮世と、1巻ラストに登場するおっさんだけなんだけど。ほかの人は倦怠感を抱えながらそれでもなんとなく生きてるんだけど。
帯のあおりに「ラブ・ストーリーの最終進化形」とあるけど、これが進化形ってことはないでしょ。いままでそんなに悪いラストにはならない物語をつくってきた作者は、このおはなしをどこに持っていくんだろう。おもしろいけど、読んでてかなりいやな気分になれるまんがではあります。
これ、コミドラに連載されてたとき全然読んでなかったのです。なんだか近未来ものだなという程度の認識しかなかった。
今回単行本で読んでみると、おはなしとしてもけっこうおもしろかった。破綻後の地球でドームに閉じこもり管理されて生きる人たちと、はみだし逆らう一部の人たち。やがて迫る圧倒的な破滅。脱出するものととりのこされたもの。そんなストーリーです。
でもやっぱり、個人的には作画者の上手くなる軌跡を追ってみようというのが読んだ動機で、なるほど回が進むうちにどんどん読みやすくなる。第1回には多用していた変形コマが、後半ではほとんど見られなくなったというのが一例で、別に変形コマが全部いけないわけではないけど、うまく使うのはとても難しいだろうから、というのが読む側の感想ではあります。好きなんだけどね、変形コマ。
自分の中で、同人誌作品と「W−face」の間の空白が埋まったという満足感はあります。ごくごく個人的な話だけど。
奇特な本屋さんとそれを知らせてくれた人のおかげて入手。感謝感謝です。
読み終わってちょっとだけ士郎正宗の「ドミニオン」(C1じゃなくて元祖のほう)を連想。ただそれは警察ものでドンパチアクションがあって…程度の類似で、こちらに出てくるのはタンクではなくてアンドロイド(かな?)。ストーリーのほうはもう少し続いてもよさそうなところで終わっているけど、第1話があのコミックジャパンに載ったというから、本が出るところまで続いただけでも万々歳でしょう。
絵のほうは「カルドセプト」のぞわっとくるような描き込みはまだ見られない。影の描き方とか今と共通するところもあるけど、ずいぶん変わったんだなというのが正直な感想。この絵はこの絵でいいけれど、この絵からいまの絵を予見する能力はおれにはないなあ。ちょっと悔しいような。