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虫話・トッパ君との思い出の巻

 トッパ君は、団地育ちの私が生まれて初めて飼ったペットの名前です。名前の由来は聞かないで下さい。とてもくだらないことなので。トッパ君は、白地に黒の斑点があって、小さくて柔らく、とてもかわいかった・・・。なんだと思います?正解は「お蚕さま」です。小学4年生の時、情操教育の一環とかなんとかで育てることになったんですけど、結構この経験をお持ちの方はいるらしい。今、蚕を育てろ!と言われても、精神的にもとても無理だと思うんですけど、シーモンキーすら育てたことのなかった私は、本当に嬉しくて。土日は家に持ち帰るんですけど、困るのは家族の方ですよね。夜中だとトッパ君が桑の葉を食む音が響くので、母はヒステリーを起こしかねないくらいな勢いでした。これは家族間の情操教育でもあったのだと今となっては思うんですけど。
 それで私は、もうとにかく、トッパ君大好きで、こう、トッパ君に向けて人差し指を向けると、トッパ君が半身を起こして、かわいらしい両手足で私の指を掴んでくれたりして、すごい光景でしょ?もう未知との遭遇、心の疎通が絶対にあった!断言します。もうそれくらい、仲良しで大好きだったトッパ君なんですけど、そんな日々も長くは続かなかった・・・。トッパ君が繭を形成し始めたのです。それは即ち「別れ」を意味していました。蚕を繁殖することは法律で禁じられているので、繭となった段階でみんな、焼却炉で燃やされてしまうのです。私もそういうものなのかなぁくらいに思っていたのですが、いざ繭を燃やすことになった時、自分でも信じられないくらい号泣していました。
 トッパ君が、生きながら燃やされてしまうのが、あんまりにも酷いと思った。トッパ君は繭の中で「蛾」に成長して、タマゴを産んだり(オスかメスかわからなかったけど!)、いろいろやりたいこと、想像してるはずなのに、幸せな、希望に燃えてるはずなのに、周りから燃やしてどうする??!!繭の中で、何も見えない状況の中で、突然燃やされるなんて、酷すぎると思わない???命の大切さを学んで欲しい、とかそんな大義名分だったくせに、その命を焼却炉の中でゴミと一緒に燃やしてどうするんだよ!!!とか、そんなようなことを、小学4年生なりの言葉で、先生に訴えて、号泣しました。無抵抗のさ、何も悪いことしてない命がさ、人間の勝手で燃やされて、その子達の未来を潰してしまうのが、許せなかった。でもそれが人間社会だっていう、社会勉強だったのかもね。命の大切さなんて、学校で学ばなくてもわかるさ。
 人前で、あんな風に泣いたのは、あの時が最初で最後かもしれない。(人前で泣くことはよくあるんですけど。えへ)泣いたのは私だけだったなー。みんな、ちょっと引き気味で、私の事を慰めてくれていたよ。みんなは解放感すら感じていたらしい。かくいう私も、数日後には結構そんな感じだったんですけどね。いろんな意味で良い経験でした。トッパ君、ありがとうー。

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