タイトル通り、お金に関する短編8編。
1) 東隆文の窃盗 8,600,000
2) 的場大悟の無限連鎖講 6,700
3) 重松衣子の万引き 3,480
4) 桜田ナオの援助交際 50,000
5) ミスターXの誘拐 2,800,000
6) 轟政嗣の借金 5,460,000
7) 森本鉄太のおれおれ詐欺 10,000
8) 東隆文の強盗 10,400,000
それぞれに結末が意外ですが、それを中途半端に終わっていると見るか現実的と見るかは読む人の考え方の違いによるでしょう。
例えば、ただお金を預けるだけで何倍にもなって戻ってくるという投資話、そんな話を信じて大金を預ける人に対して、同情するか批判的に見るか。
同情する人は読んでいて腹が立つかもしれない。
世の中には悪いことをして得してる人がいっぱいいるんだろうな〜とは、
実はみんなが心の底で思っていること。
清水さんは理想ではなく現実を描いてるのかも・・・?
だからといって、この本の真似をしても成功しないのでご注意(笑)
13歳の少年が殺され、その生首が神社に置かれていた。少年の顔には傷がつけられ「鬼面羅大魔王」という切り抜き文字を咥えさせられていた。
いつもの清水義範を期待すると裏切られます。けれんはありません。
これは少年犯罪を扱った、ある種、怒りのミステリーです。
少年犯罪、いじめ、自殺・・・、子供たちを巡る事件をミステリーに仕立てたものですが、
実際に子供たちと接している清水さんならではの視点から、現代の子供たちが置かれている状況を分析しています。
でも、この解決はどうなんだろう・・・?
読んだ方の意見を聞きたいです。
「心を病んでいる子供がいたならば、その99.9パーセントまでは人間関係の狂いからおかしくなっているんだと考えて構いません。その人間関係のほとんどが、親との関係です。子供よりも先に親がおかしくなっているんです。それこそが子供の心のトラブルのほとんどの場合の原因です」
親が先に壊れてるというのはわかる気がするけれど、完璧な状況で育つ子供なんて、ほとんどいないよね。壊れ方の程度の違いはあるだろうけど、親だってふつうの人間なんだから、みんなどこか少しは壊れてるんじゃなかろうか。
でも、いくら少年犯罪が増えたとは言え、犯罪を犯す少年はごく一部。その一部の親だけが壊れていて、他の親はすべて欠点のない人格者ということはないだろう。
だったら犯罪者になる子と、そうでない子の差はいったいなんなんだろう?
最終的には個人の精神的な強さに依存するのかな?
それだったら救いがないような気もしますね。
ネタバレ→【
犯人は最初から大体の見当がつきます。りっぱ過ぎる肩書き、りっぱ過ぎる態度、完璧な正論、なんとなく胡散臭い登場の仕方だものね。教え子たちとの、あまりに作られたような会話もおかしいし。、翔子との接し方もカウンセラーとは思えない。
犯人だからということだけでなく、ふつうの感覚で考えると、「この人、なんか変じゃないか」と思いませんか?
少なくとも私には、尊敬できるとか、気持がいい男とは思えませんでした。
こういう人間を肯定していいのかな? 人間、少しくらいいい加減じゃないとバランスがとれないんじゃないだろうか? いいかげんな人間の言い訳かな?(^^;) 】
「肩凝り」「旅情」「ボノボ紫猿源氏」「一般視聴者」「タクシー」「Rの時代」の6編。
「一般視聴者」
TVに登場する、ふつう(のはず)の人たち・・・
とんでもない料理をする若い女性、総勢18人の大家族、バスで世界旅行をする若い男女、彼らの裏側の真実(?)を暴く・・・(笑)。でも、こういうことって、絶対ありそう(笑)
「タクシー」
東京でタクシーに乗って目的地に行こうとすると、タクシーによって毎回違う道を通る。
そんな東京の裏道とタクシー事情。
私もこの前、市内某所から我が家までタクシーで帰ってきたけど、こんなところに道があったのかと思うような裏道を通ったんですよ。何十年も住んでいても知らない道があるんですね。面白いから、道を覚えているうちに自分でも走ってみたら、ちゃんと着きました。新しい裏道発見(^^)v
「Rの時代」
家庭で働くロボットを応援する夫の話なんだけど、オチが笑えます。話し相手ロボットはいつか出来るんだろうな。
江戸幕府が鎖国をせずに開国の道を進んでいたら、その後の日本の歴史はどうなっていただろうというシュミレーション。でも難しい歴史の話じゃありません。落語からワイドショーネタまで、例によってギャグ満載で笑えます。
でも一番驚くのは、開国しているのに江戸時代の大事件は、そのまま起こるという仕掛け。とんでもなく弾けた日本史になってしまう訳ではないんですよ。
ではなぜ開国してるのに安政の大獄や桜田門外の変、池田屋事件まで起こるのか? なぜに幕府が倒れるのか?
これらの事件がどういう経緯で起こるかは読んでのお楽しみですが、歴史の流れを作る要因とは何かを、考えさせられます。
鎖国してようが開国してようが、日本という国が世界の中にあるのは事実で、時代と共に変わる世界情勢の影響は避けられない。そうである以上、大筋の流れは変わらないのかも・・・
旅先で目にする銅像。それ自体が観光名所になっているほど有名な銅像ものもあるが、なかには「なぜここに、この人の銅像が?」と地元とのつながりが不明なものもある。さらには、何をしたのかよくわからない人物の銅像もある。そんな銅像をめぐって、歴史や街とのつながりを探った紀行。
この本を読んで、私もけっこう銅像を見ていることに驚きました(笑) 銅像には特に興味は無いのですが、戦国武将の像は多いですからね。それで見てしまうのかも。川中島古戦場(八幡原史跡公園)の謙信・信玄一騎打ちの像なんて、面白かった〜
そういえば、海津城が復元工事中なんですね。完成したら見に行きたいな。
ところで、横浜の掃部山公園に伊井直弼の銅像があるのですが、それとまったく同じ像が彦根城公園にもあるんですよね。不思議に思って調べたところ、掃部山公園の像は彦根県人会の寄付したもので、彦根城公園にある像と相似のものらしいです。子供の頃から見慣れた銅像に遠い旅先で出会う。これは面白い体験でした。
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