振り向けば、樹林の向こうに山が見えるようになる。 しかし、この辺の山はほとんど分からない。

意外と近くなので、八丁山、お伊勢山なのかも知れないと その時は思ったのだが、 帰宅後に調べてみると、方角から見て、東日原から天目山 （三ツドッケ） へと通じるヨコスズ尾根上の滝入ノ峰との結論に至る。
しかし、確証はない。

傾斜は結構キツイが、初めてのコースのため新鮮味があり、 楽しみながら登っていくことができる。
途中、木の根がやや煩いところはあるものの、人気のルートだけあって道は良く踏まれている。

斜面をジグザグに登り続けていくと、 道はやがて斜面を横切りながら左上方へとカーブしていき、その先に右から下ってくる尾根 （稲村岩尾根） との合流点が見えてくる。
その合流点は鈍角な Ｖ 字型をした鞍部となっており、Ｖの字の左側を形成する高みは稲村岩と思われる。

その稲村岩との分岐には ８時３３分に到着。
その時、先程 巳ノ戸沢手前で小生を抜いていった方が稲村岩方面から戻って来たのであったが、 聞けば、岩までは行かずに途中で引き返したとのことであった。

その稲村岩の方向を見ると、 今までの道とは違って岩場の登りが待っており、その岩場の右手後方に稲村岩らしき高みが見えている　（写真）。

また、傍らには 『 死亡事故も発生しているので不用意に立ち入るな 』 といった旨の注意書きもある。
本日は長丁場であることを考慮し、稲村岩に登ることはパスすることにして、右手の尾根に取りつく。

若い頃なら迷わず稲村岩に登ったに違いないが、 このように簡単に回避してしまうところが年を取った証左だな と自嘲気味に笑いつつ登っていく。

しかし、こちらの登りもキツイ。
木の根が剥き出しになり、岩屑と土が混ざった斜面が続く。

この稲村岩尾根はかなりの急登で、しかも長いと聞いているので、 もしこのままの状態がこれからも続くとしたら大変だと思い、少し傾斜が緩んできたところで一休みする。
ただ、余り食欲が湧かなかったのでノドを潤しただけですぐに出発する。

周囲にはミツバツツジがピンク色の花を咲かせている。

しかし、意外にも平らな道が暫く続く。
その後は徐々に傾斜が増して、斜面をジグザグに登るようになるものの、急斜面という訳ではないのでホッとする。

時折、尾根の側面を進むかと思えば、また尾根上に飛び出すというパターンが繰り返される。
この辺は 「 ダラダラ登る 」 といった形容が ピッタリな状況が続く。

残念ながら周囲の景色は見えないものの、それでも青空の下、寒くもなければ暑くもなく、 気持ち良く進んでいく。

日当たりの良いこの尾根であるが、 足下には全くといって良いほど下草が見られず、岩屑と土が入り混じった道が続く。

この歩きやすい道も徐々に傾斜が増し始めて息が上がる。
さらには、周囲に杉の樹林帯が見られるようになると （写真）、キツイ登りが続くようになる。

その斜面の途中にて、先程 稲村岩分岐のところでお話しした方に再び追い抜かれる。