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道が少し下りにかかると、正面の樹林の向こうに山が見えた。
この特徴ある形は紛れもなく阿弥陀岳である。
丁度、赤岳側からとは真逆方向から見ることになるため、
いつも赤岳で見慣れている阿弥陀岳の形が、そのまま左右逆に見えている。
暫く進むと、再び展望が開け、右手にギボシ、
その左に権現岳、
さらに左に旭岳が見えるようになる。
先程は、ギボシを頭とすると、左肩を権現岳、右肩を西ギボシと見立てて、肩を怒らせている人のように見えたが、
今は西ギボシが立場山、阿弥陀南陵と続く稜線に隠れてしまっている。
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暫く緩やかに登っていくと、
再び 権現岳、
ギボシ方面が見えるようになる。
高度が上がった分、西ギボシも見えるようになってきて、怒り肩の形が再び姿を現すが、高度が上がったために逆にギボシの方が低く見えるようになってしまい、
先程ほどは怒り肩らしくなくなってきてしまっている。
また、先程見えた北岳、
甲斐駒ヶ岳、
仙丈ヶ岳も立場山の稜線に隠れ、
今は仙丈ヶ岳、鋸岳しか見えない。
しかし、この八ヶ岳から南アルプスを見る度に
いつも思うのだが、東から北岳、甲斐駒ヶ岳、
仙丈ヶ岳という並びがどうも消化しきれない。
さらには、今のように仙丈ヶ岳の右隣に鋸岳が見えることも、なかなか納得しえず、不思議な感覚を覚える。
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道は再び樹林の中に入り、緩やかな登りが続く。
やがて、不動清水入口と書かれた標識が見えてくる。時刻は 8時9分。
不動清水は 2分程右に下った所にあるらしいが、立ち寄らずにそのまま進む。
この不動清水を過ぎると、徐々に傾斜がきつくなってくる。樹林帯をひたすら登り続ける。
足下には岩が現れ始め、道も少々荒れ気味。木の根なども露出している。 |
キツくなった斜面を黙々と登る。
やはり体調は本調子ではないようで、少々息が上がる。
やがて、また右手の展望が開けるようになり、編笠山、
西岳が見えてくる。
その 2つの山を結ぶ稜線の向こうに、北岳、
アサヨ峰、
甲斐駒ヶ岳、
仙丈ヶ岳、
鋸岳といった南アルプスの山々が再び姿を現してくれている。
先程も述べたように、この南アルプスの並び方を頭の中でなかなか消化できない。
中央アルプス側から見ると左から甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、北岳という順番になり、
金峰山や
国師ヶ岳方面から見ても、
左から北岳、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳となる並びなので、
それが頭に刷り込まれているからである。 | |
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道の方は樹林の中の厳しい登りが続く。
時折、右側が開けて編笠山、権現岳方面が見える。
また、正面には阿弥陀岳の姿もチラチラ見えるようになってくるが、
全くの逆光のため、カメラでなかなか捉えきれない。
さらに高度を上げていくと、右側の展望がグッと開け、権現岳、ギボシ、西ギボシ、
編笠山、西岳といった山々がよく見えるようになる。
今までギボシの方が遙かに高く見えた権現岳も、今はギボシと肩を並べている。
さらには、編笠山・西岳の後方にある南アルプスにおいても、北岳より左にある山々がせり上がってきている。
北岳の左には農鳥岳、
その左には高嶺、
さらに地蔵岳、観音岳、薬師岳の鳳凰三山が続く
(実際は尾根が全く違うが、続いて見える)。 |
周囲にはシャクナゲが見られるようになり、木々も低くなって、
やがて森林限界を突破する。
当然展望が大きく開け、いままで見ることができなかった左側 (北側) の山々が見えてくる。
硫黄岳の特徴ある頂上が見え、そこから左へと下り、
峰ノ松目 (写真真ん中) へと続く尾根がよく見える。
峰ノ松目の左後方には、ガスの中に浮かぶ蓼科山が見え、
また、峰ノ松目の右後方には、これまたガスの中に天狗岳 (西天狗) が見える。
東天狗の方は、ガスに隠れしまっている。
そして、右手には、先程からの権現岳、
ギボシといった山々が、何も遮るもの無く見えている。テンションがグッと上がる。 | |