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あーとだいありー 2003年8月後半

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 8月31日(日)

 たくさん見たけど、9月以降もつづく展覧会はひとつだけ。あとは、すべて31日までに終了です。

 大矢朗子展=ギャラリーミヤシタ(中央区南5西20)
 絵画11点。白、レモンイエロー、水色など、薄い色の矩形や台形などが画面に配されている抽象画。
 全体に靄がかかったように白っぽくて、すずしげです。
 「夏だからこういう色のほうがいいですよね。もっとも冬もこういう絵を描いているんですけど」
 7日まで。

 それでは、きのうのつづきから。

 等迦会北海道グループ小品展札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)
 等迦会は、大正15年に創立され、36年前に公募展に衣替えしたそうです。
 小品展には、道内から女性ばかり10人が出品しています。油彩あり、パステルのイラストありで、あまり公募展っぽくない雰囲気です。上原リウ子さんがふっくらとした女性の群像の絵を出しています。

 浅井富士子展=同
 彫刻。70歳にして初の個展。
 道新の8月26日付・札幌地方版に破格の大きさで掲載されていたので、ごらんになった方もいらっしゃると思います。
 その記事を読んでおもったことは、98年に亡くなった木彫家の小林止良於さんが、門下生にいかにしたわれていたか、ということです。
 小林さんが亡くなられたあと、指導を受けていた人たちが札幌市資料館でグループ展をひらいたことがありますが、会場には大きな遺影がかかげられ、師匠をしのぶ気持ちに満ちた展覧会でした。
 十数点のうち大半が首ですが、出来は小林さんの首がダントツです。全般的には、とてもあたたかみのある作品ばかりですが、西洋の彫塑としてはやや目鼻が大きすぎるような気がします。とはいえ、日本人がつくるのですから、このほうが自然なのかもしれないとも思います。

 第29回女流書作家集団展=スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階)
 道内の女性書家が所属する社中や展覧会の枠を超えて毎年ひらかれています。そういう事情なので、なかなかハイレベルの作品がならんでいます。
 全体を見渡すと、意外とかながすくなく、半数以上が漢字。墨象も少数で、篆刻・前衛書はゼロです。
 もっとも、足利雅子さん(滝川)の「初恋」(島崎藤村)のような、かなか近代詩文なのか、はっきりと区別しづらい作品もあります。
 安藤小芳さん(札幌)「媛」は、僕色に気を配るこの作家らしい一点。へんの運筆にはユーモアが感じられました。
 滑志田方〓さん(〓はくさかんむりに「必」。なめしたほうひつ。札幌)「色ふかき涙の河の…」は、派手な紙に書いたかな作品で、ちらしがきのしかたもおもしろいです。
 三上禮子さん(千歳)の一字書「帰」は、わざと先が乱れた筆をつかったおもしろさがあります。
 渡辺京子さん(石狩)「琴」も、一字書のそれほど大きくない作品ですが、第一画の入り方がユニークだと思いました。
 ほかの出品者はつぎのとおり。
 秋森麗子、阿部洋子、雨宮百合子、石井眞弓、糸藤紅陽、井幡郁子、上山蘭渚、内田永子、梅木美臣、江副桂舟、及川不折、太田欽舟、大友尚泉、越智星渚、梶原一翠、亀岡芳泉、菊池彰子、久保田彩荷、近藤敏子、今野美香、酒井精舟、椎名恵舟、神内青雪、関桂秀、関井春栄、塚原純子、津山和惠、長嶋幸子、浪田美芳、則包雅芳、林維子、原田靜香、細川恵美子、松本光彗、山内栖雪、山下青楓、山道秀華、横山純江(以上札幌)
 荒野紫洋(後志管内倶知安町)
 猪股春柯、大竹秀華、故玉井玉州(以上室蘭)
 岩崎雅祥(滝川)
 大澤雅恵、島谷香秋、三品恵泉(以上旭川)
 大澤玉翠(苫小牧)
 加藤東虹(北見)
 金子青峰、川本和子、小泉梅邦、小西広恵、白井恵子、吉田瑶林(以上小樽)
 岸幸牛、瀧内秋櫻(伊達)
 熊谷由加里(江別)
 小林耿舟(北広島)
 笹川秀華(十勝管内広尾町)
 田中瑞州(渡島管内上磯町)
 中川静雅、中畑冴雅(空知管内新十津川町)
 濱本蘇玄(後志管内岩内町)
 原田青琴(夕張)
 望月香雪(登別)
 渡辺逸花(石狩)
 
 関連ファイル:■第28回 ■第27回

 木嶋務個展=さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階)
 釧路の画家。昨年も個展をひらいているのに、ことし油彩を中心に六十数点を持ってきた精力的な制作ぶりです。
 ただ、その分筆も速く、本人も自覚してか、100号クラスの絵に「制作時間45分」などという題がついています。釧路港、湿原の風景などを、原色をつかったダイナミックな筆致でどしどし描いています。

 イサム・ノグチ展 in ガラスのピラミッド=モエレ沼公園ガラスのピラミッド内2階アトリウム、スペース2、3階ギャラリー(東区丘珠町)
 抽象彫刻約30点と、あかり、それに、実弟ミチオさんが撮影したイサム・ノグチの写真など。
 うーん、97年だか98年に芸術の森美術館で見たときのような感動は、筆者個人は受けませんでした。
 すぐれた抽象彫刻、これは安田侃さんでも澄川喜一さんでも伊藤隆道さんでもいいのですが、それらを見たときの、あのスカッとした感動がまったくありません。
 「リス」なんて、かわいらしいけど、くだらない作品だと思うし。
 「夢窓国師のおしえ」にしても、京都・竜安寺の石庭に着想したものだと思うけど、どうしても作為がめだって、好きになれませんでした。



 8月29・30日(金・土)

 まず、31日で終わる展覧会をふたつ。

 北浦晃展ギャラリーどらーる(中央区北4西17、HOTEL DORAL)
 北浦さんの絵は、いっけん穏当なリアリズムによる、さわやかな色彩を駆使した心地よい山の風景画のように見えますし、そのように見ても誤りではないと思いますが、じつはかなり変形と計算によって緻密に構築された構図の絵のようです。ただ、実際にある風景をうつしているだけではないと思われます。
 2点の静物画をのぞくと、すべて横長の絵だということもそのあらわれですが、とくに多いのが、画面の中心より少し上に二等辺三角形の頂点がくるようになっている構図です。この構図は左右対称が、安定感をかもしだします。「旭岳新雪」(F120)も「室蘭岳と白鳥大橋」(F30)も、山の頂がちょうど、左右の中央にきています。
 ただそれだけでは、動きがとぼしくなりますから、ところどころにアクセントが配置されています。横長に描かれた雲がそうである場合もあれば、「斜里岳晩秋」(F120)では、手前の白い橋が絶妙のアクセントになっています。
 「大雪山連峰」(同)も、道路が描かれています。いずれも、よく見ると、道や木の大きさが透視図法にのっとっていませんが、むしろ遠近法の単純な適用を排することで、画面は装飾性を帯び、心地よいリズムを奏ではじめるのです。
 北浦さんは新作家美術協会委員、文化女子大室蘭短大教授。室蘭在住。
 他の出品作は次のとおり。
 F4「摩周湖」「水の教会・冬」「羊蹄山遠望」「ナナカマドA」「ナナカマドB」「日勝峠・秋」「日勝峠・冬」
 サムホール「旭岳」「摩周湖A」「摩周湖B」「美瑛岳」
 F6「十勝岳」「大千軒岳」
 P8「斜里岳」
 F10「斜里岳残雪」
 P20「大千軒岳に行く道」「斜里岳」
 P30「大雪山旭岳」」「美瑛岳」
 P50「湖上羊蹄山」
 版画「有珠山」

 関連ファイル:■01年の個展

 麻生ゴルフ3 中尾峰作品展TEMPORARY SPACE(中央区北4西27)
 札幌市北区の商業・住宅地「麻生」とその周辺地区にこだわる中尾さん。
 今回は、ドローイング3点と、0号前後の油彩の小品14点による個展です。油彩は、どことなく風景画っぽいものもあれば、まったく麻生の風景と関係ない画面もあります。
 「空き地 麻生017」「N39W5 麻生004・2」など、副題の意味はよくわかりませんが、麻生に関する題をつけたことで、絵画の世界にふくらみが出てきたようにおもいます。
 もうひとつおもしろいのは、支持体に、スーパーのレシートをつかったりしている絵があることです。

 関連ファイル:■1回目の個展 ■2回目の個展 ■札教大の修了展(画像あり) ■02年のrelation夕張展

 つづいて、すでに終わった展覧会について。

 03 自由美術北海道グループ展=札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)
 自由美術北海道グループの展示風景。左2点は佐々木美枝子さんの、右2点は高橋靖子さんの作品1937年(昭和12年)に旗揚げした公募展。その後、何度か分裂をしながらも、日本の美術史に残る前衛、抽象画家を多数輩出しています。
 絵画と彫刻の2部。他の公募展にくらべると、それほど大きくない、50号くらいの絵が多いです。また、作品と作者の名を書いた札に、会員と一般の区別をしるさないのが伝統です。北海道勢もけっこうがんばっています。
 不安を感じさせる現代人を取り巻く空間を高い筆力で描く森山誠さん(今回は「memory03−3」を出品)が、今回の力作はこれ、と一押ししていたのが、ベテラン佐々木美枝子さんの「作品A」と「作品B」。
 とりわけ「B」は、ほぼ赤一色の矩形をならべるだけで絵画にしてしまっています。ご本人は
「かいてる途中で絵の具がなくなったのよ」
と謙遜なさっていましたが。
 そのとなりは、高橋靖子さんの「’03記(V)」「’03記(W)」。
 (V)は、赤い地に緑の細かい文字をびっしりとかきこんでおり、その中にみずからのイニシャル「Y」と「T」が大きく細い線でしるされています。ただ、この作品もふくめ、これまではアルファベットなどすくない種類の文字をひたすら反復することが多かったのですが、(W)は、高橋靖子「’03記(W)」の一部英単語や日本語が白地に赤でかきこまれています。かつて自作について
「日記のようなもの」
と話していた高橋さんですが、これはまさしく日記そのものというおもむきです。
 佐藤泰子さん「finish」は、鮮明な色が多かった佐藤さんの絵としてはめずらしく、あわいグレーを主にレモンイエローや白を配した、しぶい作品。
 太い線を画面じゅうに走らせる中間弥生さんは「オオ! マイガット」「ビバ! サッカー」の2点。いずれもサッカーがテーマで、中間さんの絵で主題が明確なのはめずらしいです。前者は、絵の中に
「We Shall RETURN」
とあるので、J2・コンサドーレ札幌が、声援むなしく敗れた試合が(あるいは、その際のサポーターのくやしさ)モティーフになっているものと思われますが、うーん、中間さん、コンサドーレのJ1復帰はむずかしそうですね。
 深谷栄樹さん「雲の行方U」「雲の行方V」は黒い線の使い方が印象的で、川森巧さん「伝言」はモノクロームにちかい抽象作品。大崎和男さん「オロッコの詩A」「オロッコの詩B」は、一時期明確だったフォルムがあいまいになり、青や紫のばくぜんとしたかたちが交錯する抽象画です。
 具象もあります。杉吉篤さんはきっちり2点そろえてきました(おっと、用語がサッカーになってきている)。「預言」「進化」とも、動物の体の一部がふるい板になっているもので、背景は白一色。ほんとは妙な絵を描く杉吉さんとしてはシリアスな感じです。
 ほかの出品作は次のとおり。
 佐藤榮美子「ぬくもり」「エール」
 黒田孝「MONUMENT」
 佐々木俊二「疑影」
 宮崎亨「暗い力」
 比志恵司「浮遊する種子」
 北島裕子「雨の日」「森の日」
 鈴木豊「♂」
 工藤牧子「萌芽T」「萌芽U」

 おもな関連ファイル:■昨年の自由美術北海道展
 ■佐々木俊二個展(昨年6月)
 ■森山誠個展(昨年8月)
 ■杉吉篤個展(昨年12月)
 ■佐藤泰子展(01年11月)
 ■2001年の自由美術展(東京。画像なし)

 第2回 白樺会油彩教室展=同
 名木野修さん(札幌)に油彩をならっている15人の展覧会。ほとんどが風景画で、丁寧に、しかし細かすぎずに木々などを描いています。

 以下後日。
 8月28日(木)

 先日、旭川に行って見た展覧会について。

 第三回 現代の書 -北の群像-展道立旭川美術館(常磐公園)
 貸し館。
 旭川など道北の書家18人の展覧会。近代詩文と墨象が中心。
 書の展覧会、といえば、せまいところにたくさんの作品を陳列している場合が多いですが、今回は、ひとりあたり約7メートルの壁面があり、非常にあずましく(北海道弁で「広々としていて気持ちがよい」)見ることができます。
 出品者は、赤石蘭邦、石崎閑雲、大泉堅治、大高蒼龍、斎藤大麗、渋谷北象、瀧野喜星、立野大秋、近澤鷹齋、照井心磊、中嶋一光、平田鳥閑、本間敬三、水上祥邦、湊天邦、矢野鴻洞、山田汎暁の各氏と、昨年亡くなった塩田慥洲さんです。
 公募展や一般の社中展などには出せないような大きさの作にとりくんでいる人がすくなくありません。
 水上さんの「幾山河」は、横幅6メートル以上はありそう。瀧野さんの「鶴」は、自作の短歌を書いた大作の中央に、ひときわ大きく、象形文字のような鶴を書き入れています。
 また、立野さんは白居易の名高い漢詩「長恨歌」全文を書きました。
 筆者がいちばん気に入ったのは、渋谷さんの「忍」「花」「寂」「無」の4作です。北海道書道展などと同じ大きさ。墨のしぶきは極端にすくなく、文字が、存在感あるひとつの塊として目に飛び込んできます。白と黒の対比がひときわ鮮烈で、とりわけ「無」は、説明なしではとても「無」と読めないにもかかわらず、ひと茎のつよい植物を思わせ、ひろがりがあります。
 道内書壇の長老格のひとり赤石さんは、飯田龍太の句「なにはともあれ山に雨山は春」を取り上げました。とぼけた味わいです。
 ユニークなのは平田さん。
 3作ともアイヌ民族にかかわるものです。アイヌ語学者・知里真志保の臨終のことば
「海が見え 川のある丘に 住みたい」
うーん、なんだか胸にしみますね。
 「アイヌ民譚集から」では、アイヌ語原文をしめすカタカナと、日本語訳が紙の上に並存。カタカナは、漢字やひらがなに比較して書展で目にすることが少ないことも手伝って、「タンオツカイポ エントラ ララタカンポ」という文字の連なりに独特の迫力が感じられます。
 31日まで。

  
 8月24、25日(日、月)

 笹山峻弘日本画展 ―インド紀行―丸井今井札幌本店一条館9階美術工芸ギャラリー(中央区南1西2)
 インドの寺院に材を得た小品20点あまり。サリーを着た女性をあしらったり、エロティックな彫像があったり、さまざまですが、院展ふうのおだやかなリアリズムではなく、内面から湧き出る情動みたいなものが画面にあらわれているような感じがします。
 デパートでの個展ははじめて、ということで
「いやー、こんなに小さいのをたくさん描いたのは初めて。むずかしいもんだわ」
と言っていました。
 笹山さんは毎年インドに行っています。ことしも近く、カジュラホという古都を、三尺×二尺の和紙と墨をたずさえておとずれ、何週間か滞在するそうです。
「こんだけスケッチしたからもういいだろう、と思うんだけど、日本に帰ってから描いていると、また自分なりの課題が見つかるんだなあ。だから、また次の年も、ってことになっちゃう」
 札幌在住。笹山さんは無所属。26日まで。
 なお、スケジュールなどで、一時、会場を誤って「三越」と記していた時期がありました。すでに訂正してありますが、関係各位にはご迷惑をおかけしました。

 で、その三越札幌店では24日まで、三越アートフェスティバルと称して売り絵の大展覧会がもよおされていました。
 三栖右嗣作品展というコーナーでは、富良野の麦畑を描いた超大作が2500万円以上の札をつけています。たしかに500号か600号という大きさで、力作なのですが、これじゃ中古住宅より高いじゃん。
 この方は無所属で、画壇では有名な方かもしれませんが、筆者は初めて見ました。今回は、道内の風景がたくさんあり、たしかにどれもみごとな絵だと思います。
 と思って見てゆくと、岩橋英遠の小品が「双鶴」など5点あって、どれも7けたから8けただし、三岸好太郎「犬のいる風景」が2000万円。これはおそらく春陽会時代の、「二人人物」などとおなじころの絵でしょう。
 いちばんすごいのが、ルノワール「少女(白いブラウス)」、ピカソ「立つ裸婦」、シャガール「二人のサーカスライダー」がならんでいる一角で、いずれも1億1000万円。ただ、シャガールが10号くらいありそうなのに対し、ピカソはサムホールぐらいで、出来もそれほどのものとは思えません。
 となりに、ドラン「姪の肖像」があるのですが、これが600万円。ルオー「道化師」が2400万円。ヴラマンク「秋の道」1600万円。ルオーとヴラマンクは、人がルオーとヴラマンクと聞いてすぐ思い出すタイプの絵です(^。^)。それにしても、ピカソはドランの100倍以上、号あたりで高い作家ということになり、それほどエライ画家かよ、という気はしてきました。
 まあ、買えないという点では600万円も1億1000万円もおなじことなんだけど。
明彩館の外観
 森スズ子・出邑勝之油彩2人展ギャラリー喫茶明彩館(厚別区厚別中央2の1)
 明彩館のご主人の斉藤さんは、自衛隊を退職して存分に絵筆をふるいつつ「明彩館」を経営しておられます。ギャラリー喫茶、といっても、すわってコーヒーをのんでいる人の頭越しに絵を見なくてはならない窮屈なテーブルの配置はしていません。壁面も、かなりの広さで、飲み物はすべて300円、軽食500円という値段設定も良心的。絵を見るだけでもいいそうです。
「絵の好きな人の溜まり場になればいいかなって思って」
と話す斉藤さん。自衛隊の全国美術展で防衛庁長官賞を得たこともあるそうです。
 ふだんは、ご自分の絵を展示しているのですが、今月は蒼樹会に出品しているなかまのおふたりの小品合わせて約30点をならべています。ふたりとも、おだやかなタッチの風景画が中心ですが、森さんは、発寒川周辺で見た夕景を粗い筆使いで描いた絵などもあります。
 31日まで。お店は北13条北郷通沿いにあるのですぐわかると思います。
 8月23日(土)

 天野純男 墨絵展=石の蔵ぎゃらりぃ はやし(北区北8西1)
 伝統的な水墨画とも、さいきんのカルチャーセンター系に多い墨彩画ともことなる、写実的かつ素朴な、味のある墨絵です。さっと墨を置いて、余白で語らせるタイプの絵ではなく、じっくりモティーフを観察しているのでしょう。
 静物、風景あわせて27点。渡島管内八雲町の廃校跡をアトリエにしています。その周辺を描いた「桜野風景」は、筆者も若いころ行ったことのある一帯なので、なつかしいです。
 「砂原駒ヶ岳」はスケールの大きな作品です。
 24日まで。

 ローギュラート展=デザインギャラリー(旭川市宮下通11) 長岐和彦作品の一部
 道北の実力派若手・中堅画家5氏によるグループ展。
 上川管内美深町の長岐和彦さん(道展会員)、旭川の木滑美恵さん(同)、斉藤順子さん(道展会友)、吉中博道さん(同)のグループ展に、3年ほど前から富良野の盛本学史さん(全道展会友)がくわわり、毎年ひらかれています。
 いちばんおどろかされたのが、長岐さんの「15 Fields」です(写真はその一部)。ほとんど前衛書の世界ですが、じつは長岐さん、絵を描く前は子どものころから書道をならっていたそうで、ニューヨーク・ソーホーのギャラリー街で韓国人作家のモノクロームの作品を見ているうちに、以前のことを思い出したのだそうです。
 「白だけ、黒だけの世界をつくることができれば」
みたいなことを、語っていました。
 長岐さんは、ちょっとだけ線が引いてある紙に、訪れた人が自由に線や色を加えて作品にしていく−というプロジェクトもおこなっています。斉藤順子「「画室の語りべたち」森へ行く日 Z」
 吉中博道「博物誌」 

 斉藤順子さんは「画室の語りべ」シリーズを2点。童画のような味わいの、丁寧なタッチの絵です。
 ただ、素朴さの裏に、大人の社会にたいする皮肉みたいなものが隠されているのかもしれません。
 吉中さんは「壁」と「博物誌」。後者は新作で、ならんだ標本とはかりが新展開を予想させますが、来年から3年間海外に行くそうです(派遣先は未定)。静的な構図のなかに、事物をまっすぐにとらえようという意思が感じられます。
 盛本さんだけは30−50号クラスが4点。「音楽」「カイガミ」「うまつみ」「光工場」。抽象というより具象ですが、イマジネーションのゆたかさには舌を巻きます。
 木滑さんは「A Stage SetU-闇から光へ-」「A Stage SetV-罪-」の2点。後者が新作で、教会堂のような建物の内部空間の上方から、天使ともとれる人たちがおりてくるというふしぎな画像です。前者は、舞台の上の群像をダイナミックな筆致で描いています。「劇的」ということばがふさわしいです。ローギュラート展の会場風景
 24日まで。
 ローギュラートのウェブサイトはこちら。たぶん更新されていると思います。
 また、盛本さんは9月に、ギャラリー多夢座(旭川)で個展を開きます。

 東川自由フォーラム2003写真アンデパンダン展写真の町・東川町文化ギャラリー(上川管内東川町東町)
 ことしも道内外から多くの写真が寄せられました。レベルも昨年より高くなっているような印象を受けました。
 浅野久男さん岡本勧さんをはじめとするpassageの面々も一角を占めています(札幌展のもようはこちら)。
 目立ったのが、北大水産学部(函館)の学生の活躍。じつは、北大水産の写真展って3月に函館で見てるんだけど、そのときはなんともおもわなかったな。筆者の目が節穴だったのか、彼(女)らが成長したのか…。
 神藤麻衣子さん「であい」は、井之頭公園(東京)で出会った人々のスナップ。背景がおなじなのに、人間がいろいろなのがユニーク。定点観測ですね。膳法かおりさん「ひとり」、堀井直人さん「街の光と」も、モノクロらしいしずかな抒情をたたえた写真になっていて、好感が持てました。
 道内では、苫小牧の出品者が多いです。木下明夫さん「マイ・マシーン」。応援団の高校生、スピードスケートのスタートの瞬間、手を振る人々など、被写体はばらばらですが、人間への信頼みたいな感情が通底しています。川口敏和さん「虫」は、テントウムシなどをマクロ撮影。でもモノクロなので、不気味ではありません。
 ほか、チェルノブイリから来道した子どもたちとの交流をとらえた附田智子さん「みんないっしょ」、一本の木(円山小学校の裏手あたりにあるやつだと思うんですが)の四季をとらえた遠藤彰さん「木」、ライティングのくふうで人工的な色の世界を構築する渡辺可緒理さん「誘蛾灯」など、札幌の若手もがんばっていました。
 24日まで。

 第19回東川賞受賞作家作品展=同
 「写真の賞」として定着し、全国的な知名度も上がっている東川賞。地方自治体がさずける、というのもめずらしいのですが、新人が対象でない写真の賞はごくすくないのです。
 ことしは、海外作家賞に、南アフリカ・ケープタウンを拠点に活動するガイ・ティリムさんの写真集「Departure」。
 国内作家賞に、齋藤亮一さんの写真集「Lost China」(窓社)。
 新人作家賞に、糸崎公朗(きみお)さんの「フォトモ」他一連の作家活動に対して。
 道内関係者におくられる特別賞に、室蘭出身の吉田ルイ子さんの写真集「華麗な女たち」(中央公論新社)に対して、それぞれ決定。2日に授賞式がおこなわれました。

 吉田ルイ子さんは、1970年代前半、米国の黒人社会を活写した「ハーレムの熱い日々」で鮮烈にデビューして以降、世界各地をとびまわるフォトジャーナリストとして活躍しています。
 今回の写真は、生き生きと生きる女性たちがモティーフ。瀬戸内寂聴(作家)、イーデス・ハンソン(アムネスティ活動家)、白石かずこ(詩人)といった、わりあいお年を召した女性が多いのですが、3、40代の女性、マスコミで知られているわけでない人(東京の遊園地・花やしきの園長や、ヒロシマ原爆の語り部、アイヌ民族)などもいます。凡庸な形容になりますが、みんな、いい表情をしています。米国を代表するジャズピアニスト穐吉敏子の笑みには、差別や偏見をものともせず進んできた女性としてのゆるぎない自信がかくされています。べつにパネルに差別や偏見の実例が書かれているわけではないけれど、先達としての苦労はたいへんだったろうと想像します。
 また、陶芸に取り組む三木睦子、田植えをする今井通子(登山家)など、意外な一面をみせる女性たちもいて、たのしめました。うつくしく年をかさねる、ということばがぴったりの女性たちでした。全点モノクロ。

 海外作家賞は、毎年大陸・地域別にめぼしい写真家をピックアップして賞をあたえるという方式をとっています。ことしは、これまで唯一受賞者のなかったアフリカに的を定め、審査委員の平木収さんが海外で情報を収集、ティリムさんがえらばれました。
 シエラレオネの革命統一戦線兵士、エリトリア・エチオピア戦争の死者、地雷除去の訓練を受ける犬のえさの時間、アンゴラ警察本部、コンゴの孤児センターなど、おもにアフリカ各地のきびしい現実をうつしています。
 といって、いかにも告発型のジャーナリスティックな写真ではなく、もっとつきはなした、さめた感じがします。事実の重みもさることながら、写真の持つ雰囲気が重苦しく、不安がただよっているのです。
 しかしなー、シエラレオネがどこにあるのかぐらいは知ってるけど、そこで内戦やってたなんて知らなかったな。日本のマスコミってアフリカの情報はあまりつたえないし、つたえてもほとんど欧米経由だもんな。
 全点モノクロ。

 国内作家賞の齋藤さんは、札幌出身で、1997年には、ロシアの田舎をとらえた写真集「NOSTALGIA」で特別賞をうけています。複数受賞は東川賞の歴史ではじめてです。
 今回の被写体は中国。2001年11月から翌02年5月まで、福州、成都、ハルピン、吉林、大連など、13省の23都市をかけめぐって、どんどんとりこわされていく古い街並みと、そこに暮らす人々を追いました。中国の大都市はどこもすさまじいビルの建築ラッシュなのです。なんだか日本の高度成長期を思い出します。といって、いま昭和30年代のまちなみを再現したテーマパークが各地で人気を博していることを思うと、中国の活気に感嘆ばかりはしていられません。いったいわたしたちが何を失ったのか。中国もおなじ轍を踏んでいるのではないか…。
 やはり全点モノクロです。

 と、シリアスな写真がならぶなかで、糸崎さんのフォトモというのは、きわだってユニークでへんちくりんなものです。
 街並みや建築物を撮影したプリントを切って折り曲げ、ジオラマにしてしまうのです。
 写真は透視図法にしたがって遠方が小さくうつりますから、フォトモのジオラマの建物も、直方体でないゆがんだかたちになります。そこに、人間のかたちに切り抜いたのもたくさん立てたりして、なんだか夏休みの工作みたいな展開になってきます。「えびすばし」なんてすごいぞー。グリコの看板がある大阪の名所ですが、いったい何人あるいているんだ。プラレールと合体したのもあります。
 このほか、昆虫のいる風景を、標準レンズによるサービス版プリントを何十枚もつなぎあわせて構成した「昆虫ツギラマ」の連作、街角にちいさな人形を立ててマクロ撮影し、見慣れた縁石や公園などを拡大撮影した「60倍の惑星」シリーズなど、風変わりな作品ばかりです。
 24日まで。

 旭川のつづきは、後日。

 8月20日(水)−22日(金)

 23、24日でおわる展覧会について。
 きょうは大量の更新なので、じっくり読んでくれるとうれしい。

 杉山留美子展札幌時計台ギャラリー(中央区北1西3)
 スケジュールに「絵画を見ることの愉楽の極北」と書きましたが、実作を見てもその思いは変わりません。
 杉山留美子「HERE:NOWあるいは妙光」作品はすべて、「HERE:NOWあるいは妙光」という題。「妙光」というのは、杉山さんの造語のようです。
 写真は、一部先日コンチネンタルギャラリーでひらかれたグループ展でも展示されていました。
 ただ、ならべ方がちがうので、印象もそうとう変わって見えます。
 フォルムのない、光と色だけがあるキャンバス。
 青、紫、赤、黄色…。微妙に、ゆっくりとうつろっていく色彩。
 しばらく青系を中心に作品を組み立てていた杉山さんとしては、かつてないほど画面が豊饒さをたたえています。今回の個展でも、青だけによる絵もありますが。
 この純粋な、見ていて陶然としてしまう色彩は、アクリル絵の具を何度も何度もぬりかさねてつくられたものです。
 ネットの写真では、とうてい表現しきれない色彩美のように思えます。
 杉山さんは札幌在住、札幌大谷短大教授。70年代以降、さまざまなグループ展などに参加し、まさに札幌の美術の最前線をになってきたひとりです。
 関連テキスト:■札幌の美術2002(画像あり)

 櫻井マチ子100枚展=同
 油彩はなく、コラージュや鉛筆画など小品がぴったり100点。額にも凝った、おしゃれで、それでいていかにも櫻井さんらしいタッチの、ふしぎな絵ばかりです。
 「パンドラ」のシリーズは、フランス語の新聞を支持体にしたもの。「こういうのすき」の連作は、白人女性のヌード写真をコラージュしています。
 ほかに「しずかな華」「ブラックホール」、紙を焼いて穴をあけてかさねた「転回」の連作など。
 新道展は退会したそうです。
 関連テキスト:■2001年12月の個展(画像あり) ■昨年8月の2人展

 村谷利一個展=同
 村谷さんは穏当な写実の油彩画です。ほとんどが風景画。
 ただし、ほかの画家があまり取り上げそうもない、平凡な住宅街とか街並みを絵にしてしまうところがユニークです。
 今回多かったのが、「港の見える街」や「岬にある街」など、小樽を題材にした作品。
 小樽、といっても、古い街並みや運河を描くのではなく、さいきん造成された朝里から新光町にかけての住宅地から見た、朝里などの風景です。遠く小樽港も見えますが、主体はどこにでもありそうな新興住宅街です。ただし、雪の積もった家々も、たくさんならぶとそれなりのリズムをもってくるのです。
 「高いところが好きだから。あの住宅地にもずいぶん上りましたよ。造成されなかったら行けなかったところだし」
 村谷さんは札幌在住、道展会員。

 第16回グループ風雅=同
 歴史のあるグループなのですが、だんだん人数が減ってことしは3人だけになってしまいました。丹野見気さん、松木由美子さん、永井漾子さんです。それぞれ作風はちがいますが、思い切って描いています。

 第3回みずきひろこ・中村友子 二友展=同
 ふたりとも、故砂田友治さん(独立美術、全道展会員)の門下生ですが、けっこう作風にちがいが出てきたような感じがします。
 中村さんは「自販機」など、厚塗りで、輪郭線を太くひいてモティーフの存在感をきわだたせるタイプ。静物などを描いた作品は、じっくり物と物との関係をさぐっています。
 いっぽうみずきさんは、塗りが薄く、全体のトーンのようなものを大事にしているといえそう。100号の大作は、緑の上に裸婦がねそべり、周囲にフラミンゴなどが配されて、補色がまばゆいです。

 柿崎煕展 「林縁から」=北方圏学術情報センター ポルトギャラリー(中央区南1西22)
 これまで道浅井学園大の教員陣による作品展を中心にひらいてきたポルトギャラリーが、おそらくはじめて外部の作家の個展を企画しました。
 柿崎さんは、日韓現代美術の交流展「水脈の肖像」など、いろんな展覧会を組織してきましたが、個展はおよそ10年ぶりです。
 作品としては、これまでの延長線上にあるインスタレーション「林縁から」。おもに彩色されたちいさな立体を、壁のさまざまな高さに掛けて、空間をつくりだしています。それぞれの立体のパーツは、草の種や、さやなどを思わせるかたちをしており、表面は抽象画が描かれています。いわば、絵画と彫刻の中間的存在といえそうです。自然にヒントを得たインスタレーションというのは、いかにも北海道らしいおおらかさをたたえています。
 今回は、会場がひろいので、北海道弁で「あずましい」感じがしました。
 アクセントになっていたのは、薄い丸太を利用したとおぼしき立体。雨を受けるお皿のように、いくつか床置きされていました。

 以上23日まで。
 つづいて、24日までの展覧会。

 佐々木小世里「空色水曜日」イラスト原画展=さいとうギャラリー(中央区南1西3、ラ・ガレリア5階)
 佐々木さんは札幌在住のイラストレーター。
 今回は、昨年4月からつい先日まで、朝日新聞の夕刊道内版に毎週掲載されていた谷村志穂さんのエッセー「空色水曜日」のイラストの原画を一堂に展示しています。毎回、文佐々木小世里展の会場風景章もイラストもかなりのスペースを割いて載っていましたから、佐々木小世里(こより)さんも力が入っていたようです。
 ちなみに、ご存知とはおもいますが、谷村さんは「結婚しないかもしれない症候群」がベストセラーになった札幌出身の小説家です。
 で、先日の朝日新聞の道内版にこの個展のことが出ていて、来訪者の
「新聞とは色が違う」
というコメントがあったので、筆者は
「なんで、新聞の印刷能力のひくさをわざわざ書くんだろう」
って思ってたんですが、さて、じっさいに会場で絵と紙面をくらべてみると、ホントにちがう!
 「リキッド水彩」という画材で、あかるいトーンで仕上げているのですが、そのあかるさが紙面ではかなりそこなわれているのです。
 これは、新聞社が現物から印刷したのではなく、工程上の都合で、佐々木さんが自宅のスキャナーで原画を取り込んでメール添付でおくり、そのデータを東京で印刷したのでこうなったそうです。
 あまりごちゃごちゃ塗らずにしあげる佐々木さんのイラストは、さわやかです。

 田岸昇、中村昭夫、矢部勝昌油彩3人展=同
 江別で油彩に腕を振るうシニア3人です。いずれも穏当な写実ですが、公民館講座などで講師を務める人もあり、一定の水準にたっしています。
 中村さんは、輪郭線に頼らず中間色をていねいに置いていきます。「石廊崎海岸」など。
 田岸さんは色彩がクリア。「秋日和の浜」など、漁具が浮き上がって見えるようです。
 矢部さんは静物画が中心。「老植木職Kさん」は、人物像がしっかり描かれています。

 第13回北海道二紀展=スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階)
 戦後、二科が三分裂した際に発足した有力公募展。絵画と彫刻の2部門があります。
 絵画は具象が大半で、といってシュルレアリスムでもなく、人物や風景をあらためて構成しなおした作品が多いようです。23日に来札する遠藤彰子さんをはじめ、スター画家もけっこういます。会員の上に「委員」という位階があるのも特徴でしょうか。
 道内では、彫刻の永野光一さん(江別)がただひとりの委員です。
 永野さんは、石とシャープな金属の線をくみあわせた作品(ビルの解体現場で見るコンクリート片にも似ている)という印象がありますが、今回作風ががらりと変わりました。黒い台の上に置かれた塊は、近づいて見ると、隕石のようにも、遠い場所でひろった火成岩のようにも見えます。
 神谷ふじ子さん(札幌、同人)「刻」は、七宝と金属を組み合わせた高さ1.8メートルの大作。力作であることを認めつつも、フォルムがもうすこしいろいろ変わっていけばなおおもしろいのに、という気がしました。
 もうひとり、新垣アリサさん(江別)とおっしゃる方の彫刻をはじめて見ました。「芸者」という題ですが、むしろ、針金でこしらえた盆栽を思わせる、独特のかたちをしています。ということは「手工芸的」なのですが、それがちっともマイナスでない、ユニークな作品だと思いました。
 さて、絵画。
 やはり、会員・伊藤光悦さん(札幌)の「Airport 2003」が圧巻です。
 近作と同様、広漠とした土地にある滑走路が題材で、筆致はリアルです。滑走路は地平線までまっすぐに続き(ここまで透視図法に忠実な絵も、いまではかえってめずらしいかも)、滑走路にも空にも飛行機の姿はまったくありません。
 今回はよく見ると、周辺の土の中に戦車が埋もれていたり、塹壕らしきものがあったり、給水塔が立っていたりします。
 その戦車の小ささから類推すると滑走路の大きさは、まったく現実離れしています。ありえない光景です。でも、そこに、筆者は、伊藤さんの現実への批判のまなざしを見るのです。
 現実離れした大きさといえば中丸茂平さん(苫小牧。同人)「日溜まり」も、考えさせられる絵です。
 中丸さんは枯れ草のくさむらを細密な筆致で描写します。以前は雉のような鳥も描かれていましたが、最近はただ、何者かに踏まれた形跡のある枯れ草を、ひたすら描いていることが多いです。傾いた枯れ草には、だれかが通ったばかりという余韻がただようのです。
 ところが今回は、遠くにシカが見えます。草むらをあらわす曲線が、画面上方で密集した垂直線に変じていますが、シカはその境目あたりにぽつんと立っています。ただ、草も垂直線も色はまったくおなじで、しかも草むらは上から見下ろしているのですから、そこに地平線を見出すことはかなりむずかしいのです。なんだか極端にミニサイズのシカがあらわれたみたいで、落ち着かないです。
 浦隆一さん(砂川。同人)「Child・01」は、蛍光ピンクなどまばゆい色と、ポップなタッチで子どもを描いています。視線には皮肉めいたものを感じます。
 大嶋美樹絵さん(札幌。同人)「逢魔が刻・小樽2003」は、現実の小樽というより、坂のある街を、広角レンズでのぞいたようなユニークな絵。
 小笠原洋子さん(帯広)「方舟のゆくえ(宙がわれて)」は、空中の石の方舟が粉々になる瞬間を描いています。なかなかの筆力です。
 写真と見まごうほどのリアルさで睡蓮を描く長内さゆみさん(渡島管内大野町)は「秋の睡蓮」。画面上方は光に満ち、下方は陰翳がしっかり描かれているので、メリハリがあります。それにしても、睡蓮といえばモネで、彼こそ写実からかけ離れた近代絵画を創始したともいえる人物なので、睡蓮をリアルに描くというのはなんだかおもしろい行為ですね。
 田之島篤子さん(十勝管内音更町)「積V」は廃車の山。線がシャープです。
 廣岡紀子さん(札幌。同人)「回想 ギリシャ」は、例によって手前にいす、奥に異国情緒あふれる街並みを、やさしい色調で描いています。
 村上陽一さん(帯広)「羽船(ハネフネ)」は、独特の古いイコンのような背景に、女性がふしぎなかたちのものを手にしています。なんだか気になる絵です。
 ほかの出品作は次のとおり。
 大沼清(十勝管内本別町)「悲哀T」、河田隆子(北広島)「卓上’03」、栗本理恵(札幌)「宝石箱・あるいは曲芸師の家」、高橋宗彦(札幌。同人)「Water Ways]
,長坂栄子(恵庭)「追憶」、奈良昌美(千歳)「早春のひととき」、埴原悦子(札幌)「風のたずね人」、藤本久美子(音更)「群生」、藤本稔(網走。同人)「SEASON−4」、松井多恵子(札幌)「億万年思考」、宮田直美(同)「kitchen」、和田仁智義(十勝管内芽室町)「海に眠る」

 関連リンク:
 ■浦隆一

 ■長内さゆみ
 ■村上陽一
 ■二紀
 関連ファイル
 ■伊藤光悦展
 ■神谷ふじ子展

 第25回 蒼晨会日本画展=同
 主宰の白崎博さん(道展会員)は「浄地U」など2点。ロマン派的な風景画で、癒やされます。
 久保田芳子さんが裸木を描いた「冬の日」など、生徒さんの作品も、郷愁をさそいます。
 ちょっと毛色がちがうのは浅井律子さん。「ホルンの少女」は2点組みで、吹奏楽を練習する女の子をひとりずつ描いています。
 ほかに増田和子、石川絢子、吉田京子、前田知都利、岡本潮子さんも出品。

 長畑ふみ子の裸婦デッサンと風景スケッチ展札幌市資料館(中央区大通西13)
 油彩、水彩、裸婦デッサン(固定ポーズとクロッキー)、陶の絵つけと、もりだくさんの個展を、毎年札幌市資料館でひらいている長畑さん。
 「絵を見に来たんじゃない人も来ますからね、観光客とか。そこがかえって、いいんですよ」
 油彩は「王と王妃のいる湖」など、物語のi1シーンのようなふしぎな絵が3点ほど。
 水彩はたくさんあり、石狩の浜を描いた「海辺の廃屋」、室蘭でスケッチした「測量山を見る」など道内各地の風景が題材になっています。どれも線がすごいスピードで描かれ、迷いがまったくないのが気持ちよいです。
 ご本人は
「短気なのかなあ」
とわらってらっしゃいました。
 おとずれた人の似顔絵描きも随時おこなっています。これまたかなりの速度ですよ。筆者もかいてもらいましたが、やや美化ぎみかな(笑い)。

 Pacific Rim Art Now 2003 プロローグ展=コンチネンタルギャラリー(中央区南1西11、コンチネンタルビル地下1階)
 小樽でつづいている国際交流美術展。道内でも1970年代以降、海外の作家をまねいたり、あるいはこちらから出かけていって韓国などでグループ展をひらいたりといったうごきが活発になっていますが、単発ではなく継続しているものはけっして多くはありません。
 この展覧会は、1991年に始まり今回で5回目ということですから、その地道なとりくみは評価すべきでしょう。小樽を中心とした作家と、米西海岸の作家たちが出品しています。
 図録に、常連出品者のケリー・デットワイラーさん(サンタクララ大美術学部教授)が書いているところによれば「今から20年近く前、サンタクララのトライトン美術館で、日本のアーティストたちによる展覧会が行われた」のが交流の始まりで、その後、道立近代美術館でひらかれた「アート・ドキュメント」と「北海道現代作家展」に米国の作家が招かれて、現在のパシフィック・リム・アートにつながったのだそうです。

 ところで、筆者が個人的にいちばん
「へーっ」
と思ったのは、小樽の現代アートシーンの存在でした。
 小樽は札幌の隣町で、美術人口はけっこう多いと思うのですが、どうしても「小樽派」といわれる写実絵画のイメージがつよく、現代版画の奇才・一原有徳さんを別格とすれば、現代美術をやっている人はそんなに多くないんですよね。また、小樽にはギャラリーがすくないうえ、札幌からの距離が近いので
「まー、たいていの人は、公募展に出しているか、札幌で個展やグループ展をひらいてるんだろう」
っていう、根拠にとぼしい思いこみがあったんです。
 うーん、筆者の知らないところで活躍している作家が小樽にこんなにいたとは。認識不足でした。
 いちばんの認識不足は、佐渡芙二夫さんの作品をはじめてきちんと見たことです。年譜には、昨年札幌時計台ギャラリーで、札幌では8年ぶりとなる発表をしたとあるんですが、すっかりわすれておりました。面目ない。「物質の記憶」は、傷をつけた合板を黒く塗った、重厚感ある作品でした。
 ほかに、小樽からは、井上義江さんのあかるい色調「a peaceful blue 3/9」、江川光博さんの、厚いマティエールが特徴の「SCENE2003」、円形のなかに絵の具を流したような文様がうつくしい角野由和さん「choas」、1976年生まれの最年少、中丸大輔さん「topology」、ナカムラアリさんの木版画「The Veins of the Leaf(葉脈)」が出品されています。ナカムラさんが植物の感じをのこしているのをのぞくと、全員が抽象です。
 このうちナカムラさんは2年おきに札幌時計台ギャラリーで個展を開いているのでよく知っていますが、あとの作家は小樽のグループ展などでの発表が多いこともあり、新鮮でした。

 ほかの日本勢は、札幌の現代作家が中心です。小樽とのかかわりという点ではよくわからない人が多いですが、まあかたいことはいわないでおきましょう。
 大滝憲二さん「モノになる前のオウム貝」
 柿崎煕さん(石狩)「林縁から」
 國松明日香さん「驟雨(しゅうう)」
 佐々木徹さん「対話する0と1」
 日野間尋子(ひろこ)さん「breath-summer 2003」「breath-winter 2003」
 山田恭代美さん「こもれびの道」
 國松さんは、タイトルが変わってから、縦の線が強調されてきたような気がします。
 日野間さんは、抽象表現主義をおもわせる熱い(といっても、寒色が主体ですが)抽象。
 山田さんは緑の階調がうつくしいシルクスクリーンです。北海道のゆたかな自然が、画面に濃縮されているようです。
 ひとりだけ、道外から、吉岡まさみさんという方が出品。「Pain」は、ぱっと見ると肥痩(ひそう)の差のある黒い線が躍るドローイングに見えますが、どうやら、ホワイトキューブの室内空間に黒いラインテープを貼ってそれを写真に撮ったもののようです。壁と床の境目のあたりで線の角度が急に変わるのは現実の空間を撮影したためなのですが、ちょっとびっくりしました。

 米国勢については、吉田豪介市立小樽美術館長は
「これまでの傾向として、ポップでファンシーな作品が主流であった」
としています。ただし、今回については、日本勢より具象表現がめだつというぐらいで、性急な一般化はできないように思えました。輸送費の関係で、版画などが多くなってしまうという事情があるかもしれませんし。
Luke Bartels「WORLD TRAVELLER」「BIRD WATCHING」
Saen Boyles「VARIOUS TITLES」
Kelly Detweiler「CYPRESS TREE」「LANDSCAPE」「BIRCH TREE」「HEAD HUNTER」
Susan Felter「Burmese Python and California Butterflies」「California Mountain Stream」「The Lotus Eaters」「Bouquet with Corn Snake」「Oysters in Tide Pool」
Don Fritz「Procreation」「Garden Verse」
David Pace「BULLETS」
 ペースさんは銃弾を正面から撮影したカラー写真9枚。どこかベッヒャー夫妻を思わせますが、題材が米国的であります。

 24日まで。
 26〜31日には市立小樽美術館で本展。今回の展覧会の作品に、いくつかの作品がくわわるそうです。
 また、来年7月15日から8月14日まで、カリフォルニア州・サンノゼのワークスギャラリーでもひらかれます。


 
 8月19日(火)

 夏休み中に見た展覧会から。

 第2回 野外オブジェ展イン栗沢栗沢町工芸館横広場(空知管内栗沢町美流渡若葉町2の3)
 地元・美流渡(みると)地区の7氏と、地元以外の7氏の計14人が出品しています。
 なんだかよくわからないなりにインパクトがあったのが、杉吉篤さん(札幌)の「魚座の終り」です。魚からピンク色の脚が3組はえていて、空中を駆け上っているようです。
 あの名作?「牛」(寒別グラウンドアート展で発表)をしのぐ、奇妙奇天烈な作品ではないでしょうか。

 ハッピーなパワーがみなぎっていたのが、益村信子さん(札幌)の「天の川、葉月」。
 ハンモック状につるした大きな白いネットに、ハート型をした布袋がたくさんとりつけられています。
 そのほか
SING
LOOK
ENJOY
EAT
PEACE
DREAM
LOVE
SMILE
という文字が躍っています。

 平松和芳さん(同)「時のテーブル」は、白く塗った籐家具や自転車の車輪、馬のひづめなど、古びた廃品に生命をあたえています。家具の上に乗った絵の具箱とおぼしき箱のなかには、タイルやくるみがおさめられ、郷愁をただよわせています。

 鈴木順三郎さん(網走管内置戸町)「うつろひ」は巨大なインスタレーション。遠目にはテントかなんかに見えますが、白い布の前に枯れた草がつりさげられ、時の無常のようなものを感じさせます。
 愛澤光司さん(千歳)「なかま」は、陶によるオブジェが四つならんだかわいらしい作品でした。
 また、太田ひろさん(札幌)「re-edge」は、さびた太い管をくみあわせ、会場の雰囲気にマッチしています。 


平松和芳「時のテーブル」

鈴木順三郎「うつろひ」

愛澤光司「なかま」

 地元勢もまけてはいません。
 塚本竜玄さんは陶板14枚を地面にばらまき、伊藤公一さん「たまご」は石の表面に張り付けたガラス片が光をキラキラと反射してきれいです。
 M.ババッチさんの「objéxたちのカーニバル」は、例によって、シンバルや栓抜きといった廃品をくみあわせたたのしい立体ですが、スカート部分が風でゆらゆらとゆれるのがおもしろい。
 五十嵐茂さん「サマータイムスリープ」は、木の曲線がうつくしい作品ですが、なんにつかうんだろう?

 ほかに美流渡から、林教司さん、菊地敏治さん、佐久間睦男さん、札幌のやまぎしせいじさん、江別の笹岡素子さんが出品しています。

 31日まで。
 道央道・岩見沢ICから道道岩見沢夕張線(45号)を経由して、美流渡市街の信号から右折(看板あり)。道道はカーブが多く、パトカーが出ていることもありますので、安全運転で。
 岩見沢駅前のバスセンターから、7−19時の毎時47分に「毛陽交流センター行き」か「万字郵便局行き」が出ています(ただし、土・日は7、9、11、14、19時台は運休)。美流渡市街に入り「錦町」で下車、徒歩25分。
 前回(01年11月)の模様はこちら

 戦争と民衆 石川文洋報道写真展=鹿追町民ホールホワイトホール(十勝管内鹿追町東町3)
 石川さんはベトナム戦争の写真で有名です。その後も、朝日新聞のカメラマンとして沖縄返還などをフィルムにおさめ、フリーとして活躍。いまは徒歩で日本縦断の旅に挑戦しています。
 写真展は
  1. ベトナムのアメリカ兵
  2. 憎しみ合う同胞
  3. 戦火の中の民衆
  4. 戦後のベトナム
  5. ラオス
  6. カンボジア
  7. サラエボ
  8. ソマリア
  9. アフガニスタン
の9部構成になっています。
 この地上からいつまでも戦争が絶えないということにあらためてため息が出ます。とりわけ、米兵の銃撃でばらばらになったベトコンの屍骸、枯葉剤の影響で生まれた畸形(きけい)児のホルマリン漬けなどは、衝撃的です。
 そして、全体をとおして、石川さんの
「犠牲になるのはいつも民衆」
というメッセージがつたわってきました。
 17日で終了。

 第3回しかおいウィンドウ・アート展鹿追町アートロード商店街
しかおいウィンドウアート展の展示風景 商店街にあるお店や民家に、ちいさなショウウィンドウが設けられ、そこに道内外の画家、彫刻家、工芸家ら23人の計42点が展示されています。
 顔ぶれは、なかなかあなどれません。
 ただ、左の写真のように、ガラスに街景などが反射して、あまり見えやすくない場合があります(林亨さん、ダシにつかったみたいで、どうもすいません)。
 地元の男性と立ち話をしたところ、じつは夜のほうが見やすいという事実が判明。
 「夜9時までは電気をつけようってことになってますからね」
 また、「花いっぱい運動」が町内でさかんになっているようで、それ自体はいいことなのですが、ところによってはウィンドウの前に3列も4列も花を植えたプランターが並んで、作品に近づけないことがあり、ちょっと残念でした。
 作品に附されている作者のことばも、作者の意図を手短かにあらわしていて、見逃せません。
 たとえば、フレスコ画3点を出品した森弘志さん(十勝管内新得町)は、つぎのようにのべています。

 物理的、化学的な障害さえ除けば、おそらくフレスコ画が最も長期の保存に耐えうる描画材となる。だからこそなのか、一瞬という事にこだわっている。
 森さんの絵はそれぞれ「2003:04:26:14:15」「2003:04:26:14:16」「2003:04:26:14:17」と題され、うつくしい女性の横顔がモティーフです。目の明けぐあいがすこしずつことなっており、午睡から目ざめる過程が描かれているようです。上の文章には、絵によるスナップショットとでもいうべき表現をめざしていると思われる近年の森さんの狙いや心境が率直に吐露されていると思います。
 あるいは、福井路可さん(室蘭)。「冬の風」は小品ながら、緻密なマティエールなどに福井さんならではのエッセンスが詰め込まれた佳作です。
 クロスの構図を基本とし、造形上(絵画空間)それを座標軸に想定、そこに自分なりの死生観、あるいは普遍的時間と、風をモティーフに可視化を試みた。
 造形だけではなく、生と死をめぐる考察も盛り込まれているというのですから、福井さんの絵が、ほとんど抽象にもかかわらずいつまでも見ていて飽きないのは道理なのかもしれません。
 活躍のめざましい陶芸家、大野耕太郎さん(滝川)は「青白磁花入」を出品。「稜線に溜る透明感のある釉薬(うわぐすり)。磁器の持ち味を少しでも」出せれば−ということを書いています。ウィンドウ展では、工芸のほうが絵よりも見やすい場合が多いのはたしかです。
 若手では、札幌の彫刻家、椎名澄子さんの「静思T」「静思U」に惹かれました。或る風景のなかで女性がすわるなどしている、シンプルな作品で、なにかなつかしいものを感じます。
ゆっくりとした時と、穏やかな風の中に静かにもの思う人の情景。
 彫刻では風景を題材にするのは異例ですが、なぜか違和感がないんですよねえ。

 道外勢は3人。
 原田丕(はじめ)さん(東京都羽村市)「内省の杜」(2点)は、人間の顔の部分がすっぽりと抜けた肖像の版画。どこかピンぼけの写真のようでもあり、人間存在について考えさせられます。
 高橋禎彦さん(神奈川県津久井町)は「花のような」と題したガラス器を3点。昨年の道立近代美術館の好企画「遠慮のないガラス」にも出品されたのと同じ傾向の、形態・色彩ともに明快なうつわで、ガラス越しでもよく映えます。
 望月厚介さん(東京都小金井市)「表相」は、和紙や鉄などによる正方形4点からなる作品。深みのあるマティエールです。

 ほかに、マスクをつかった野外インスタレーションを版画にした池田緑さん(帯広)の「Silent Breath」2点、半月のような切り株を用いておしゃれに仕上げた岡沼淳一さん(音更町)の木彫「夜窓」、炭粉をもちいて悠久の時の流れを表現し版画概念を広げ続ける中谷有逸さん(帯広)の「碑<大地の神>為せなかったこと」「碑<大地の神>二つの蝕」、イコンのような古い感触の画肌と実際のドライフラワーをくみあわせた村上陽一さん(同)「祥花」、裸婦の人形3体を祭壇のような舞台に配列してなまめかしさを表現した伽井丹彌さん(同)「祠」といった、地元勢のふんばりが印象に残りました。

 他の出品作は次のとおり。
 堀川真(旭川)「カワバタ土人形」(多数展示。道立旭川美術館のマスコットに出合えます)
 小川誠(函館)「多次元へのいざない-空想する光-」「多次元へのいざない-心水-」(彫刻)
 林亨(札幌)「眼を閉じて<Les yeux clos>」(2点)
 堀内掬夫(同)「作品MANDAS-11」(油彩)
 種村美穂(同)「GAO〜」「Plants Party」(シルクスクリーン)
 青山由里子(同)「無題」(2点。Boxアート)
 中村興市(小樽)「色絵香炉」「オブジェ彩(祭)器」
 高橋靖子(江別)「ピンク」「赤」(グワッシュ)
 野又圭司(空知管内栗沢町)「鳥人」「suicide」(オブジェ)
 磯崎道佳(後志管内倶知安町)「JUNK FOOD-MAN」「FUNK−MAN」「車」
 梅澤みほ(胆振管内白老町)「日々」「道」(油彩)
 
 31日まで。
 沿道に数カ所駐車場あり。
 バスは、帯広から1日11本、新得から1日4本。

 関連ファイル:■昨年のウィンドウアート展
 ■椎名澄子展(昨年7月)
 ■青山由里子展(ことし5月)
 ■遠藤ミマンのコレクション展:岡沼淳一さんの作品写真あり
 ■池田緑展(昨年夏)
 伽井丹彌さんのサイト
 ●村上陽一さんのサイト

 岡部昌生展=Art space/café MOKERA MOKERA(旭川市旭岡2の12)
 岡部さんがこれまでフランスやヒロシマなどでおこなってきたフロッタージュの膨大なファイル、ポジとネガを反転させたパネル(道立近代美術館での展示に出品していたもの)、さらにフロッタージュのプロセスを写した映像などからなる展覧会です。
 会場の「モケラモケラ」は、画家の板谷諭使さんの喫茶店で、お店の空間からアトリエがそのままつながっているというおもしろいお店です。
 板谷さんは展示に合わせてテーブルなどをわざわざつくり変えるということです。
 なかなかステキなところなので、一度旭川へ行った際はお立ち寄りを。
 31日まで。水曜休み。
 旭川の循環観光バス「ファンファン」がべんりです。

 岡部さんの作品については、これまでも書いてきたので、今回はとくに詳述しません。こちらなどをお読みください。