シャッフルロマンス
開演前2345678終了後

 ハート姫が目を覚ますと、目の前には王子の心配そうにしている顔が見えた。
「……王子……?」
「姫、気がついてよかった。貴女が倒れたと聞いたときは胸がつぶれてしまうのかと思いました」
 そう言って、王子は姫をそっと抱き起こし静かに胸に抱く。
「…王子…すべて終わったのですか?」
「はい、姫、終わりました。貴女のことを守れてよかった」
 そう言ってスペイド王子はハート姫をいっそういとおしそうに抱く。
「……姫、父がもう一度明日、婚姻の儀をきちんとやり直すと言っていました。良いですね」
「……ハイ……」

 次の日の夜。
 ハート姫とスペイド王子の婚姻の儀もつつがなく終わり、トランプ王国の王城の広間では婚姻の儀と帝国滅亡を祝う宴が開始された。
 半時ほど(一時間ぐらい)すぎたころ、スペイド王子はハート姫を伴い、王城の庭に出てきた。
「王子、私あなたに逢えてよかった」
「もちろん私もです。ハート姫貴女にお逢いできてよかった」
 そう言って王子は姫を抱きしめる。
「姫……もう一度貴女に言いたいことがあります」
「何ですか?王子」
「姫、私の妃になって下さい。貴女を全身全霊かけてお守りいたします」
「はい」
 そう言うハート姫のあごを持ち上げ、スペイド王子は深く深く接吻をする。
 その接吻にハート姫は甘やかな官能の渦に巻き込まれそうになる。
 口唇を離し、王子は姫をその腕の中に抱いたのだった。
「……………王子………」
「……何ですか?ハート姫」
「……後で………云います」
 貴女に会ったのは運命だった。
 貴方に再び会えたのは運命だった。
 そして、共に生きるのも運命なのだ。




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