シャッフルロマンス
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 無事、ハート姫を奪還し、スペイド王子はハート姫を連れ紅き魔女の下に戻っていった。
「お疲れさまね。そして、ハート姫。本来の私に会うのは初めてね」
 そう言って紅き魔女はハート姫にそう言う。
「あの時の紅き魔女……ありがとうございます。貴女のあの言葉がなければ私はどうなっていたかわかりません」
 そう言うハート姫に紅き魔女は寂しそうにほほ笑みを掛ける。
「さて、帝国を潰したいのねここにいるということは」
 紅き魔女はスペイド王子にそう問い掛ける。
「そうだ」
 強くまっすぐ見つめる瞳に紅き魔女は微笑む。
「ご存知の通り、セブンハウス城を落とすのはあの城を取り囲んでいる結界をどうにかしなくてはならない。それは分っているわね」
「もちろんだ」
「あの結界を解くには聖剣ロッド・オブ・ソードが必要なの」
「トランプ王国の宝剣が?」
「そう、そして、それをひきだす鍵が、ハート姫貴女よ」
「私?」
「そう、本来トランプ王国とブリッジ公国はやみ夜の結界を解き放つ光の王国だったの。それがいつの間にか二つに分かたれて今のようになっているわけだけれど……。聖剣をもつのがトランプ王国の王子でその聖剣の力をひきだすのがブリッジ公国の姫の役目なの」
「聖剣の力の解放の仕方は、どうすればいいですか?」
「貴女の祈りで解放することが出来ます。ハート姫、貴女の祈りはすべての理を動かすことが出来ましょう」
 ハート姫の問いに紅き魔女はそう告げる。
「時間がない。早くトランプ王国に戻ったほうがいい。だろ?レディ」
 突然扉が開きエースが入ってくる。
 そのエースの言葉に紅き魔女……レディ……はうなずく。
「ありがとう紅き魔女レディ」
 そう言って3人は王国に戻った。

 トランプ王国とブリッジ公国の連合軍と帝国軍との決戦の時がやって来た。
 すでに帝国軍は両国のそばにまですでにやって来た。
 皇帝が結界を操ることが出来るらしく、帝国軍が通った跡には異界の生物が存在いていたと後に言われている。
「ハート姫、大丈夫ですか?」
 前線より少し後ろに立てられた高見櫓の上にいるハート姫の側にスペイド王子はやって来た。
「……スペイド王子……私……」
 今から自分が行うことに姫は少し怯えているらしく身体が震えていた。
 そんなハート姫を落ち着かせるかのようにスペイド王子はハート姫を抱き寄せる。
「……王子……」
「私が貴女の側にいることが出来ないのは心苦しい」
「……スペイド王子がこうしていて下さるだけで安心することが出来ます。」
「良かった……貴女が安心することが出来て」
「…………ありがとうございます、スペイド王子。帝国によって苦しんでる方々の為に……………」
 ハート姫はスペイド王子を見つめながら静かに言う。
「姫……私に貴女の勇気を戴けませんか?」
「え……」
 スペイド王子はハート姫の口唇に甘やかな接吻をする。
「申し訳ありません、姫。私も不安でたまらなかったのです。」
「……王子…」
「では、すべてが終わったら……」
 そう言って王子は、姫から離れる。
「王子、どうぞご無事で」
 姫の言葉に王子はうなずき高見櫓からおりていった。
 それと入れ違いに青き助手のクィンとクローバーがやって来た。
「ハート姫、聖剣の解放の合図はエースがするから、それまで待っていて」
 クィンの言葉にハート姫はうなずく。
「結構しっかりしてるんやね。何かいったほうがええんと思ってやけど、この分じゃ大丈夫のようやね」
 クローバーの言葉にハート姫は
「スペイド王子に……勇気を頂きましたから………」
 と恥ずかしそうに言う。
 その時だった。
 前線で花火が上がったのは。
「姫、今です」
 クィンの言葉にハート姫はうなずき、祈り始める。
「大いなる全知全能の神よ。我の声に耳を傾けられよ、そして我の問いを聞きそして、答えられよ。聖剣ロッド・オブ・ソードよ、闇を貫く偉大なる光を今、解放せよ」
 その瞬間、スペイド王子が構えていた、聖剣ロッド・オブ・ソードがまばゆい光を放つ。
 帝国軍の目の前にあるであろう結界のその姿を光の前にさらし、その光で結界を消し去ったのである。
「やった」
「ハート姫うまいこといった……姫?!」
 聖剣の解放に力を使い果たしたのか、ハート姫はその場に倒れ込んでしまった。

「よく我が結界を解くことが出来たな、スペイド王子、さてどうするつもりかな?」
 ハート姫が高見櫓の上で倒れたころ…スペイド王子はジョーカー皇帝と対峙していた。
「私を倒すというのか?」
「ジョーカー皇帝、よくお分かりになられましたね」
「ふっわからいでか!!!」
 そう言って、皇帝ジョーカーは大剣を振り上げ王子に襲いかかってくる。
 しかし、王子はその重い剣を軽々と聖剣で払いのける。
 そうして、何合か打ち合った後に皇帝はスペイドに言う。
「見事だな、さすがというべきか……。だが、スペイド王子、世の中には思い通りに行かないということを覚えておいたほうが良いだろう。これで、最後だ!!!!」
 皇帝が大剣を振り上げた瞬間、王子はそれを避けるかのように聖剣で横に払い切った。
「な、何…………」
「皇帝、スキが多すぎますよ」
 王子はそう言い、横に払った剣を上にあげ振り下ろしたのだった。
「………………」
 皇帝が倒れるとあたりに歓声が響き渡る。
「王子、ご苦労様でした」
「ありがとう、エース」
「ホンマ、ご苦労さんや。ところではよお姫さんのとこいったほうがええんとちゃう?」
 フラッシュの言葉にスペイド王子は疑問に持つ。
「なんや、クローバーが血相変えてこっち向かってきてるから……何かあったんと違うか?」
 フラッシュの視線の先にはクローバーが青い顔して走ってくるのが見えた。
「大変や、ハート姫が……」
 クローバーの言葉を最後まで聞かず、王子は姫がいる所まで走っていった。




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