水中マクロ写真の光は、瞬間光(七色のフラッシュ光)と定常光(青い自然光と七色の水中ライト)です。
従って、ブレも瞬間光のブレと定常光のブレの両方が存在します。しかし、瞬間光のブレは、ほとんど見えません。
水中マクロ写真のブレ=見えないフラッシュ光のブレ+定常光のブレ
水中マクロ写真のブレとは、定常光のブレなのです。
水中マクロ写真は、フラッシュ撮影です。しかもフラッシュ光メインです。従って多くの場合定常光は多くありません(定常光比率が低い)。その為ブレが目立たない撮影なのです。陸上の定常光撮影のように、SSをブレのコントロールに使わないのも、フラッシュ光メインの撮影だからです。(第一章・基本・SSを参照)
定常光のブレですから
●SSが遅くなると、ブレは、長くなります。
●SSが速くなると、ブレは、短くなります。
定常光のブレは、定常光が作ります。定常光量によって濃さが変わります。
定常光が多く、フラッシュ光が少ない場合、定常光比率が高い場合、
●フラッシュ光のブレは、薄くなりますが、元から見えないので薄くなってさらに見えなくなります。
●定常光のブレは、光が多いので濃くなります。はっきりと見える濃いブレになります。
定常光が少なく、フラッシュ光が多い場合、定常光比率が低い場合、
●フラッシュ光のブレは、濃くなりますが、元から見えないので、影響はありません。
●定常光のブレは、光が少ないので薄くなります。ぼんやりと見えにくい薄いブレになります。
●青多い写真の場合、青い自然光つまり定常光が多いため、ブレは濃くなります。
●青無し写真の場合、フラッシュ光が多い写真で定常光が少ないため、ブレは薄くなります。
●水中ライト光が多い写真の場合、青多い写真にはなりませんが、定常光が多いためブレは濃くなります。
定常光比率とブレの濃さの関係を動画にしました。
SSは同じで、動く被写体のブレが定常光比率によってどう変わるかがわかります。
水中マクロ写真のブレは、長い・短いという要素と濃い・薄いという要素で考えます。
撮影別に確認していきましょう。
| 定常光によるブレ | ||
| SS速い | SS遅い | |
| 定常光比率高い | 濃く短いブレ | 濃く長いブレ |
| 定常光比率低い | 薄く短いブレ | 薄く長いブレ |
究極の青無し写真。水中ライトを一切使わない、新月のナイトダイビング。現実にはあり得ませんが、理論だけ・・・
この場合、定常光が存在しません。定常光のブレも存在しません。フラッシュ光のみです。
漆黒のナイトのブレ=見えないフラッシュ光のブレ+存在しない定常光のブレ
つまり、ブレは何処にもないのですね。
フラッシュ光がブレを止めるという情報を自習で読んだと思います。分かりやすい例です。
SSは、1/320でも10秒でも20秒でも10分でも、写真は全く変わりません。ブレはありません。
定常光によるブレは、四角0個分の濃さ、同調速度分の長さ=0
極度の青無し写真。定常光はターゲットライトです。瞬間光(七色のフラッシュ光)と定常光(七色の水中ライト)と七色の光だけで写真が作られます。
第二章・基本(2)・ナイトダイビングも参照して下さい。SSは同調限界固定です。F値を開放にしても通常のターゲットタイトの光量では、大した光量にはなりません。
普通のナイトのブレ=見えないフラッシュ光のブレ+水中ライトのSS同調限界でのブレ
(L・・・水中ライト光)
定常光によるブレは、四角1個分の濃さ、同調速度分の長さ=極度に薄く、とても短いブレ
ブレは見えません。
| L |
ただし、大光量ライトを近接で被写体に当てた場合は、定常光量が多くなり、ブレが非常に濃くなり目立ちます。これは以下すべての例において共通です。大光量のライトには十分注意して下さい。詳細は、傍章・機材・水中ライトを読んで下さい。
定常光によるブレは、四角10個分の濃さ、同調速度分の長さ=濃く、とても短いブレ
| L | L | L | L | L | L | L | L | L | L |
青無し写真。SSは同調限界固定です。F値を絞っています。青い自然光・七色のライト光とも定常光は少なく、殆ど七色のフラッシュ光で写真が作られます。
黒抜き写真のブレ=見えないフラッシュ光のブレ+SS同調限界・F値絞っている、での定常光のブレ
これもまず見えないです。とても短く・とても薄いブレです。
定常光によるブレは、四角2個分の濃さ、同調速度分の長さ=極度に薄く、とても短いブレ
ブレは見えません。
| L |
青無し写真。SSは同調限界固定です。F値は開けていますが、ロケハンで青い自然光の少ない場所を選んでいます。青い自然光・七色のライト光とも定常光は少なく、殆ど七色のフラッシュ光で写真が作られます。
黒抜き・ブラック&ボケ、ダーク&メロウの写真のブレ=見えないフラッシュ光のブレ+SS同調限界・ロケハンで青無しの場所の定常光でのブレ
定常光によるブレは、四角2個分の濃さ、同調速度分の長さ=極度に薄く、とても短いブレ
ブレは見えません。
| L |
青の量は普通の写真。基本的には、フラッシュ光で写真を作ります。
一般的な写真のブレ=見えないフラッシュ光のブレ+定常光のブレ
SS1/60なども使います。ブレはだんだん長くなってきます。
定常光によるブレは、四角4個分の濃さ、SS秒分の長さ=薄く、長さはSS次第
ブレは、まだまだ、特に目立ちはしません。ほとんど気になりません。ただ、1/60などの時には手ブレには注意が必要です。短いか長いかはSS次第です。
| L |
青多い写真。背景を青くするため、SSを遅くしています。F値も絞っていません。青い自然光を増やしてはいますが、それでもまだ七色のフラッシュ光が多いです。
青抜き写真のブレ=見えないフラッシュ光のブレ+量が増えた定常光のブレ
SSは遅くなっています。その為、ブレはより長くなっているでしょう。
定常光によるブレは、四角7個分の濃さ、SS秒分の長さ=濃い目、長さはSS次第
ブレは、見えだします。条件によっては目立ちます。明確では無いでしょう。エッジの甘い写真になっているかもしれません。それでも被写体ブレは、まだ明確では、無いでしょう。SS1/60などの場合は、かなり注意が必要です。
| L |
とても青多い写真。F値を開け、SSを遅くしています。青い自然光を前景まで多く取り入れた写真です。七色のフラッシュ光はかなり少なくなっています。
青被せ写真のブレ=見えないフラッシュ光のブレ+量がとても増えた定常光のブレ
SSは遅くしています。ブレは長く目立ちます。
定常光によるブレは、四角13個分の濃さ、SS秒分の長さ=濃い、SS秒分長くなる
すべてのブレに注意が必要です。被写体以外にも小さなゴミなど浮遊物も濃く長いブレとして見えるようになります。動き回る被写体ではブレが見え、エッジの甘い眠い写真になります。長く・濃いブレです。カメラの固定・被写体の動きに細心の注意が必要です。
| L |
この様な青多い写真の時は、元から青い自然光比率が高いです。それに加えて大光量のライトをつけてしまうと、定常光比率が、とても高くなります。致命的です。
ブレは、エッジが甘いではなく、滲んだブレとして見えてしまいます。浮遊物も線状にうつります。大光量ライトは、青多い写真の場合絶対光量を落として下さい。長く・超濃い明確なブレになります。詳細は、傍章・機材・水中ライトを読んで下さい。
定常光によるブレは、四角17個分の濃さ、SS秒分の長さ=非常に濃い、SS秒分長くなる
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ライト撮り。詳細は第五章で出てきます。常に濃いブレが出来ますので特別な注意が必要です。詳細は第五章で・・・
定常光によるブレは、四角20個分の濃さ、SS秒分の長さ=非常に濃く明確、SS秒分長くなる
ブレは出ることが前提なので、ブレを目立たなくする様々な努力が必要。
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