ルネサスエレクトロニクス

IHI
豊洲フォレシアにルネサスエレクトロニクスがあるようです。ルネサスエレクトロニクスは平成27年7月27日に大手町から引っ越してきたようです。もともと大手町の日本ビルヂングは、日立の電力事業などの拠点があった建物でしたが、豊洲フォレシアは新しいビルで賃料も1/8程度とのことです。また、平成26年には液晶ドライバで40%のシェアをもつルネサスエスピードライバRSP(ルネサス55%、シャープ25%、力晶科技(台湾)20%)を485億円シナプティクス(米国)へ売却したようです。シナプティクスはタッチセンサドライバなどで有名な会社ですが、中国国策企業が買収するようです。

フリースケール・セミコンダクタ(米国)を2兆円で買収したNXP(オランダ)に脅威を感じた、インフィニオン・テクノロジー(ドイツ)が平成27年にルネサス・エレクトロニクスの買収を画策したようですが、国内自動車メーカが技術流出を懸念し、平成28年にはもと日本電産の副社長経験者がルネサスエレクトロニクスの社長に就任するようです。
車載用半導体(平成27年)
NXPセミコンダクター オランダ 4300億円
インフィニオンテクノロジーズ ドイツ 2900億円
ルネサスエレクトロニクス 日本 2700億円
STマイクロエレクトロニクス スイス 2100億円
テキサス・インスツルメント アメリカ 1900億円
BOSH ドイツ 1500億円
オン・セミコンダクター アメリカ 1200億円
マイクロン・テクノロジー アメリカ 600億円
東芝 日本 600億円
10 オスラム ドイツ 600億円
ルネサスエレクトロニクスは平成28年8月に時価総額2100億円の電源制御系ICで有名なインターシル(カリフォルニア州)を3250億円で買収すると発表したようです。平成26年まで車載用半導体ではトップでしたが、NXPセミコンダクター(オランダ)がフリースケール(モトローラの半導体部門が分離)を買収して1位となり、インフィニオンテクノロジーズ(ドイツ)がインターナショナル・レクティファイヤ(米国)を買収し2位となったためルネサスエレクトロニクスは3位に後退していましたが、インターシルの買収で2位に復活するようです。また、ARMが自動運転など車載分野への攻勢をかけていること危機への対応もあるようです。なお、インターシルは中国での販売比率が47%と突出しているようです。また、回路線幅28nmでは平成32年にTSMCで量産するとのことです

ルネサスエレクトロニクスは、車載半導体に注力しておりR-Carコンソーシアムを立ち上げ世界全体で187社と共同開発体制を構築したようです。しかしながら、平成28年10月にクアルコム(米)がNXPセミコンダクタ(オランダ)を4兆9000億円で買収しアナログからマイコン、無線通信までカバーした他、インテル(米)はCPU、エヌビディア(米)は画像処理半導体を中心に攻勢をかけており一段と厳しい状況になってきたようです。

ルネサスエレクトロニクスは、画像認識処理などによる自動駐車機能を開発し、並列イメージプロセッサを搭載した先進運転支援システムR-Car用のSoCで空間認識し障害物を確認するほか、車載制御用マイコンRH850とのチップセットにより実現したようで、平成29年に日産自動車のリーフに採用されたようです。

ルネサスエレクトロニクスは平成29年に自動車用半導体の生産能力を増強するとのことで、錦工場(熊本県錦町)、大分工場(大分県中津市)、米沢工場(山形県米沢市)やマレーシア工場でラインの増設や設備更新を行い、後工程の生産能力を3割程度引き上げるようです。

ルネサスエレクトロニクスは平成29年2月に車載用マイコンのデバッグ用にICEのラインナップを拡充し、従来の開発期間を1/10とするE2エミュレータを販売するようです。

ルネサスエレクトロニクスは平成29年にSOTB(シリコン・オン・シン・ボックス)を活用した低消費電力SRAM回路技術を開発したようで、IoT、ヘルスケア機器用ASSP(特定用途向け汎用LSI)に内蔵するようです。ちなみにSRAMはアクティブ動作時の高速読み出し時間は1.8nsを実現し、スタンバイ時の超低消費電力時は13.7nW/Mbitを実現したようです。

自動運転への取り組み 
ルネサスエレクトロニクス(日本) R-Car第3世代(16nm)を開発し、2015年にサンプル出荷             
エヌビディア(米国) 自動運転用高性能チップXavier(16nm)を開発し、2017年にサンプル出荷
モービルアイ(イスラエル) STマイクロ(スイス)とEyeQ5(10nm)を開発し、2018年にサンプル出荷   
クアルコム(米国) 自動運転用チップのスナップドラゴン820A(14nm)を開発し、ドイツ自動車メーカと提携
東芝(日本) 画像認識プロセッサViscontiを開発、デンソーと人工知能で提携         

ルネサスエレクトロニクスはAIを活用し、従来の統計的手法に対し、約6倍の検出率で製品の異常などをリアルタイムで判断できる産業機器用のデバイスR-INを平成28年に市販するとのことです。

化合物半導体を用いたマイクロ波デバイスからの撤退を平成28年8月に発表しました。約50億円の売上とのことですが、台湾メーカなどの追い上げが厳しく、2年程度で大津工場での生産を停止するようです。

ルネサスエレクトロニクスは、電動アシスト自転車など向けのリチウム電池管理用のICを平成29年1月から量産を開始するとのこと、なお管理ICはマイコンですが超低消費電流25μAを実現したため、電池が保管または放置されていても監視ができるようです。

ルネサスエレクトロニクスは、EV電気自動車やスマートホームなど中国市場の独自の需要に対応するため、平成29年3月1日に中国事業統括本部を新設し、開発部門を発足し人材や投資を増やし数十億円の売上げを目指すようです。

ルネサスエレクトロニクスは平成29年9月に4K対応CMOS画像センサ(848万画素)のサンプル出荷を開始、平成29年12月に量産を開始し7万個/月の生産能力とするようです。なお、オートフォーカス、手ぶれ補正機能、ハイダイナミックレンジを有し、月明かり程度で鮮明なカラー画像を60フレーム/秒で出力できるようです。CMOS画像センサでは、SONY製がスマホに採用されているようです。

平成28年4月14日、16日の熊本地震からの復旧(有効なBCP)
ルネサスセミコンダクタマニファクチャリング川尻
4月14日(木) 21:26M6.5
4月15日(金) 稼働停止、被災状況確認中
4月16日(土) 01:25M7.3 生産中止
4月17日(日) 設備点検、設備の一部部品が破損
4月18日(月) クリーンルーム安全確認
4月19日(火) 生産設備の詳細確認中
4月20日(水) 22日より生産再開の見込み
4月21日(木) 設備復旧
4月22日(金) 一部生産を再開

熊本地域の半導体各社の復旧期間
ルネサスセミコンダクタマニュファクチャリング
川尻(半導体前工程)
4月22日から
一部生産再開
1.0週間
東京エレクトロン
合志事業場(半導体塗布現像装置)
4月25日から
段階的生産再開
1.5週間
三菱電機
5月09日から
一部稼働
3.5週間
ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング
熊本テクノロジーセンタ(CMOS画像センサ)
5月末から
生産再開
6.0週間
ルネサスセミコンダクタマニュファクチャリング錦工場(半導体後工程)は通常操業、ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング大分テクノロジーセンタは一時停止、通常操業とのことです。ルネサスエレクトロニクスが東日本大震災で、ひたち那珂工場が復旧に3ヶ月を要したのに対し、BCPを準備し有効に機能したため、1週間で再開できたようです。
東北大震災や熊本地震を経て、ルネサス、東芝、SONYなどJEITA参加企業7社で災害時に連携し安定供給を維持できるように、各社毎のBCPから更に強化をはかっているようです。

産業革新機構などが、平成29年6月にルネサスエレクトロニクスの株式を売却し保有比率を下げ、産業革新機構69.2%→50.1%、NEC8.9%→6.4%、日立製作所7.7%→5.6%、三菱電機6.3%→4.5%となるようです。

ルネサスエレクトロニクスは平成30年9月11日、自動運転分野などに向け、通信用半導体事業を強化するため、米半導体メーカーのインテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)を7330億円で買収し、完全子会社化することで合意したようです。

平成31年に、中国の景気減速で工作機械や家電向けの半導体出荷が想定を下回っているため在庫調整のため、那珂工場(茨城県ひたちなか市:日立)、高崎工場(高崎市:日立)、滋賀工場(大津市:NEC)、山口工場(山口県宇部市:NEC)、西条工場(愛媛県西条市:三菱)、川尻工場(熊本市:NEC)など6工場で、5月のゴールデンウイークと8月のお盆休みにそれぞれ1カ月ずつ操業を止める。このほか米沢工場(山形県米沢市:日立)、大分工場(大分県中津市:NEC)、錦工場(熊本県錦町:NEC)の3工場と海外工場に関しても数週間程度の停止を検討しているようです。

近くに石川島播磨重工があるようです。