黒河内岳(笹山) ( 黒河内岳:2,717.6m ) 2010.8.16 登山



【PHOTO & 記録 黒河内岳(笹山)  1】

小生の勤めている会社はへそ曲がりなのか、 お盆の時期から少々ずれた 8月14日から 22日までの一週間が夏休みとなっている。従って、交通渋滞が避けられ、 山に行くのには大変ありがたい設定なのだが、あいにくこの期間中の天気予報は 晴れマークが続く状態になく (実際はそうでもなかったが)、 従って、山中に 1、2泊することが少々躊躇われる状況であった。
仕方なく単発 日帰り登山を組むことにしたのだが、さてどこへ行こうかと考えた時、 真っ先に頭に浮かんだ山が南アルプス 白峰南嶺 北岳から南に延びる白峰山脈のうち、 広河内岳以南を指す。先日登った笊ヶ岳、 そしてお馴染みの山伏も含まれる) の黒河内岳 (笹山) である。

この山は、山梨百名山にも選ばれているのだが、小生としては全く登ることを意識していなかった山である。 しかし、先日の白根三山縦走において、 農鳥小屋で一緒になったご夫婦の方 (というより、ご主人の方) に、 しきりに白峰南嶺の縦走を勧められ、地図を見ている内に意識しだしたという次第である。
かといって、この黒河内岳がある白峰南嶺第三区 (広河内岳−伝付峠間を言う。 第二区は 伝付峠−所ノ沢越であり、第一区は 所ノ沢越−山伏。) を縦走するには、山中テント泊が必須である。
一方で、小生のテントもかなり古くなってきており、加えて年のせいか、重い荷物を担ぐのが億劫に感じられて、 どうも山中テント泊には二の足を踏んでしまう。

そんな中、ネットを調べていたら、奈良田から黒河内岳への直登ルートがあることが分かったのである。
無論、白峰南嶺の縦走を勧めてくれた先のご主人は、黒河内岳を登るがために縦走を勧めてくれたのではないのであり、 また 広河内岳から見た白峰南嶺の山々は大変魅力的だったのも確かであるが、小生の頭の中にはもはや黒河内岳の存在が大きくなってきていて、 直登ルートと聞いて飛びついたという訳である。
問題は、登山口となる奈良田へのメイン道路である県道南アルプス公園線が、 途中の蓬莱橋と新青崖トンネルの間で崩落があって通行止めになっており、スムーズに奈良田に入れないことである。 富士川町平林と奈良田を結ぶ丸山林道の通行が許可されているのだが、 この林道の通行時間は朝 6時から夜の 7時半 (土日は 朝7時〜夕方5時半) と決められており、 しかもかなり狭いと聞いているので、どうしようかと迷っていたのであった。
念のため、再度 山梨県の道路規制情報を調べたところ、何と 8月13日から県道南アルプス公園線が片側通行にて通れるようになったと出ているではないか。 全く素晴らしいタイミングである。

これは行くしかないということで、16日の月曜日、 朝 3時半前に横浜の家を出発したのだった。
七面山や昨年の 白根三山、 今年の笊ヶ岳と、通り慣れた早川町への道を進む。 途中、小之島トンネル (だったと思う) 手前で車を止めさせられる。 奈良田への通行時間は 6時から (夜 7時半まで通行可) なので、 その時間が来るまで待機という次第である。既にトンネル前には 5〜6台の車が通行可となる時間を待っている。
5時50分に通行可となり、待機していた車が列をなして進む。崩壊場所は、H型鋼 ? で作った仮設トンネルが設置されており、 車 1台がギリギリ通れる幅の中を進むようになっている。当然、大型車は通れず、また片側通行、時間規制ということで未だ状況は厳しいが、 この県道南アルプス公園線が開通したことで、ようやく 奈良田も活気を取り戻すことであろう。
6時過ぎに奈良田湖に到着。吊り橋のソバにある駐車スペースに車を駐める。既に 2台の車が駐まっており、 1台の車の方では、登山の身支度をした方がまさに出発しようとしていた。
小生も身支度を調え、吊り橋を渡る。時刻は 6時12分。
最低、車の数だけ登山者がいるとすると、2人以上が先行していることになる。地図がない登山路なので、 先行者がいるのは心強い。さらに、小生が吊り橋を渡っている時、もう 1台車がやってきた。


かなり長い吊り橋を渡る。下には早川が流れており、奈良田湖 (ダム湖) に流れ込んでいる。 それほど高い吊り橋ではないので恐怖感はないが、やはり結構揺れる。
吊り橋を渡りきったところに、『 ← 笹山 』 と印刷されたプラスチック製のプレートがあった。 登山道がしっかり整備されているということが感じられ少し安心する。 プレートの矢印に従って左に進み、発電所の設備の間を通って奈良田ダムの方へと向かう。
やがて、涸れ沢のようなところを横切ると発電所設備の前に出るので、ここを右折して山の方へと進む。 道が山道に変わろうとするところにも 『 笹山登山口 』 と書かれたプレートがあった。
登山口における時刻は 6時22分。

道は杉の植林帯の中をジグザグに登って行く。
この道は取水施設関係の巡視路らしく、鉄パイプで作られた手すりが道脇に設置されている。 上を見上げると、その鉄パイプの手すりが杉林の中を上へとジグザグに延びているものだから、少々奇異に感じてしまう。
途中、道が左右に分かれる所が出てきた。杉の木に付けられたテープに従って左に進む。 足下にも文字が消えてしまった板が置かれており、そこにボールペンによる 小さな文字で ← 笹山 と書かれていた。
ジグザグの道は結構長く続く。

やがて、上方 左に斜面を下る取水管らしきものが見え始め、さらに登って行くと金網に囲まれた施設が現れた。 取水をコントロールする施設のようである。
金網には 『 笹山 → 』 と書かれたプレートが付けられている。

道はそこからさらにジグザグに進むようになっているのだが、 皆 正規の道を無視して金網に沿って急斜面を登っているらしく、金網のすぐ横には踏み跡が沢山ある。 小生もそれに倣いショートカットする。
斜面を登り切ると、写真のように 取水施設の全体が見えるようになり、その先に奈良田湖も見えた。

取水施設から先は鉄パイプの手摺りもなくなり、 緩やかな登りが続く。道の傍らにはコンクリートで固めた取水関係の設備がいくつか見られる。
緩やかな道はやがて平らな場所に飛び出すこととなり、そこには少々壊れかけた祠が置かれていた。 この取水施設を守ってもらうよう山の神を祀っているものと思われる。
時刻は 6時47分。
祠の傍らには杉 (と思うが、ヒノキかもしれない) とマツ (と思う)の巨木が仲睦まじく抱き合っている。 ご神木と思われるが、よく見ると、杉の枝がマツの幹を貫いている。愛の執念を感じ、 少々ドキッとさせられる (写真は後掲)

ここからは完全に登山の世界。
広い斜面を登っていくことになる。広いだけに色々な場所が歩かれているらしく、踏み跡はやや薄い。 しかし、テープ類がしっかり付けられているので、迷うことはない。
この辺は自然林と思われるが、足下に草はほとんど生えておらず、土が剥き出しになった斜面を登る。
それほど急斜面ではないが、登りがずっと続くので、侮れない。広い斜面は時として狭くなったり色々変化を見せる。

道は登りが続いたかと思うと、 平坦な道が続くなど変化に富み始める。
また、植生の方も目まぐるしく変わる。雑木林が続いたかと思うと、馬酔木 (アセビ、アシビ)らしき木々が現れる。 平坦地であり、馬酔木がトンネルのようになっているので、天城山を彷彿させる。
さらには、カラマツ ? の植林帯が現れたかと思うと、ブナやコナラなどの林も現れる。
総じて言えることは、先程も述べたように下草がほとんど無いということである。



黒河内岳(笹山)登山データ

上記登山のデータ登山日:2010.8.16 天候:晴れ後曇り単独行日帰り
登山路:奈良田湖吊り橋脇駐車場−笹山登山口−山の神−水場入口−崩壊地−2,256m地点−黒河内岳南峰− 北峰−黒河内岳南峰(往路を戻る)
交通往路:瀬谷−横浜IC−(東名高速道)−富士IC−(西富士道路)−小泉IC−(国道139号線)−本栖−(国道300号線 本栖みち)−上沢−(県道 南アルプス公園線)−奈良田湖吊り橋脇駐車場 (車にて)
交通復路:奈良田吊り橋脇駐車場−(県道 南アルプス公園線)−早川橋−飯富−(国道52号線 身延道−国道140号線−国道358号線)−甲府南IC− (中央自動車道)−勝沼IC−(国道20号線)−大月IC−(中央高速道)−都留IC−−道志村−半原−瀬谷 (車にて)

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