11月16日の土曜日に山に登ってきたのだが、愚かにも事前の情報収集を怠り、
また知識不足 (というより常識の欠如) もあって、
当初目論んだ山は登山口まで辿り着けずに中止せざるを得なくなってしまい、
急遽代替の山に登るという失敗を犯してしまったのだった。
以下にその記録を記す。
当初の目論見では、
左膝の調子があまり良くないことから (平地を歩くには何の問題も無いが、階段の昇り下り、
斜面の登り下りには鈍痛を伴う)、キツイ登りを避けて尾根歩きを中心とした山に登ることを意図し、
長野県大鹿村にある 二児山、黒河山、笹山、入山という えらくマイナーな山域を目指すことにしていたのであった。
この山域は、かつて念丈岳に登った際に参考にさせて戴いた
伊那谷の山というホームページの中に、伊那の山々などを紹介されているページがあり、そこで知ったものである。
この山域は位置的に南アルプス、中央アルプスの展望が良いはずであり、
何よりもササ原の尾根が多いため気持ちの良い尾根歩きが楽しめそうなこと、しかも人があまり入らないようなので静かな山旅が楽しめそうであり、
さらには少々ルートファインディングも必要とされること等々で、前から登りたい山のリストに入れていたものである。
しかも、黒川牧場から登り始めれば、それ程時間を掛けなくても尾根に辿り着けるようなので膝にも優しかろうと、
今回真っ先に思い浮かんだ山域であった。
問題は、現在黒川牧場までの林道にて工事を行っているため、通行できる時間がかなり限定されているので、早朝は良いとしても、
下山後の車の通行は時間がずれてしまうと相当待たされることである。まあ、そこは臨機応変に、
時間を見ながら登る山を調整して対応するつもりで出かけることにしたのであった。
横浜の自宅を 2時過ぎに出発。空には星が瞬き、
本日は天気予報どおり快晴になりそうである。
何時もどおり、国道16号線、町田街道を進み、高尾山ICから圏央道に乗って、八王子JCTから中央道に入る。
月明かりで周囲の山影が良く見えるのを楽しみながら中央道を進む。途中、霧が発生しているところがあったものの、
岡谷JCTを通過した頃には霧も消え、順調に松川ICまで進んだのであった。
松川ICからは塩見岳や
小河内岳に登った時と同じく県道59号線そして県道22号線を進み、大鹿村を目指す。この道でも小渋湖の側を通る際に霧に囲まれたものの、
大鹿村役場近くとなって国道152号線へと進んだ時には 上々のコンディションとなったのであった。
国道152号線を北上し、大鹿中学校の先で右折する。
この右折路の所には 「大池高原・青いケシ・キャンプ場」 といった案内表示板があるので分かりやすい。
林道を登っていく。途中、いくつか林道が分かれたりするものの、そのような場所にはしっかりと標示板が置かれているので迷うことはない。
それにしても、かなり山奥に入り込んだつもりでいると、突然民家が現れてビックリさせられる。人々の生活力は逞しい。
順調に山道を進んでいくと、やがて路面が凍結気味になるが、この程度ならばノーマルタイヤでも問題ない。
しかしである、大池高原キャンプ場を過ぎ、ヒマラヤの青いケシを栽培している農場 ? を過ぎると、道路に雪が現れだしたのである。
雪の上には轍があるので、何とかなるだろうとそのまま進んでいくと、徐々に雪の量が多くなり、轍から少し外れた場合タイヤが滑るようになる。
それでも轍が続いていることに勇気づけられて先に進んでいったのだが、道路も含めて周囲は完全に雪に覆われるようになり、
しかも 5センチ近い積雪量になってきたのである。
スタックの恐怖が頭を過ぎり始め、タイヤが滑ることが多くなったことを機に、これ以上進むのは無理と判断して戻ることにする。
狭い林道ではあるものの、幸い少し先に路肩が広い場所があったので、何とかUターンし、登ってきた道を戻る。
今度はスピードの出し過ぎやタイヤのスリップに気を遣いながら坂を下る。
ようやく大池高原キャンプ場を過ぎて一息つくことができ、その後は問題なく下ることが出来たのであるが、
自分の愚かさを罵りながらの運転であった。よくよく考えれば、黒川牧場の標高は 2,000m程あるようで、この時期、そしてこの地方では、
積雪があって当たり前であった。事前の情報収集を怠ったこと、そして常識が欠如していたためであり、本当に自分が情けない。
よっぽどこのまま帰宅してふて寝してしまおうかと思ったものの、
折角 高い高速代を支払ってここまできたので、何もせずに帰ることはさらに自分が惨めになるだけと思い、
この辺で登ることができる山を考えてみる。
とは言っても、黒河山近辺 (この山域については国土地理院の電子地図から自分で作成した) 以外の地図を持ってきておらず、
そうなると登る山も限られてしまう。
そんな中 思い浮かんだのが烏帽子ヶ岳・小八郎岳である。
松川ICから近く、1回登っているので、地図無しでも問題ないはずである。
他にも、鳥倉林道から三伏峠、小河内岳に登るという案や、前回と同じルートにて念丈岳に登るという案も浮かんだのだが、
積雪具合も心配だったので、無難と思われる烏帽子ヶ岳に決定し鳩打峠を目指すことにする。
林道から国道152号線に再び合流し、
さらには県道22号線・県道59号線を進んで松川ICへと戻る。
松川ICが近くなった所で、朝日を浴びてピンク色に輝く冠雪の中央アルプスが見え、落ち込んでいた気持ちが少し上向く。
本日は烏帽子ヶ岳にて中央アルプス、南アルプスの眺めを楽しむことで良しとしようと自分を納得させる。
松川ICの交差点を右折し、県道15号線を進む。記憶どおり宇寿田製菓の看板、そして烏帽子ヶ岳・小八郎岳の表示が見えてきたので そこを左折する。
後は高速道の下を潜り、農道そして林道を進めば良い。
林道上に積雪はなく、また道に水が流れていた場所があったものの凍った箇所はなく、7時18分に無事 鳩打峠に到着したのだった。
なお、峠の手前で登山者を追い抜いたのだが、どこから登って来られたのだろうと不思議に思う。
峠には車が 2台しか駐車しておらず、登り始める時にさらに 1台が加わっただけであった。