心と身体の談話室
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−ものごとの捉え方−

オープン4ヶ月ってことで,やっぱここらで初心に戻ってメイン書いてみようかなと...最初アップした部分読み返してみて「気の持ちよう」なんて言われて困っている人に,ちょっと参考にならんものかと,こんなもの書いてみました.

捉え方の違いとストレス

 あなたは「事実」を「ありのまま」に見てますか?
 「ありのまま」ってなに? ものごと,本当に,そのまま飾らず見てますか?
 では,あなたの目で見た事実を,事実として認識する時に,あなたはどう理解してますか? 事実になんらかの「評価」を加えてるはずだよね? いいとか悪いとか,好きだ嫌いだ,やりたいやりたくない...なんて.ものごとを認識するとは,そういうことだよね(なんか,言葉遊びをしているようでごめんなさいね).
 ストレスを引き起こす外的な要因,これをストレッサーといいます.いろいろな出来事が,あなたにとってストレスとなるか否かは,あなたの,その出来事に対する捉え方,すなわち,どう認識するかにかかってくるんだな.あなたにとってはとっても辛いことでも,他の人には逆に心地よいことだってある.仕事を例にあげる.私は単純作業を何時間も続けることが,とてもできない人間だ.何も考えず,同じ作業を黙々とこなす.それが,私には非常に耐え難い.まさに,その仕事のスタイルは私にとってストレスとなる.しかしである.ある人は,そんな楽なことはないと言う.だって,何も考えないでいいんでしょ? マニュアル通り,ただ時間だけこなしていさえすれば給料もらえるんだよ,こんないいことないじゃない? よくある話だよね.これが「単純作業を何時間もする」ということに対する「捉え方」の違い.都会の騒音がストレスになる人もいれば,田舎の静寂さが,逆にストレスになる人もいる.

比較しないで見る

 ここで「悩み」について考えてみたい.人はなぜ悩むのか? 理想と現実との乖離ゆえ? ものごとを「ありのまま」に受け入れられれば,悩むことなどないのかも...上で言ったように,人間,ものごとを捉える時に,あなたの「評価」を加えて見てる.要するに「こういう時には,こうあるべきだ」,「こうでなくてはならない」というように...ところが,往々にして,思い描いた「こうあるべき」理想像と現実とのギャップにぶち当たる.そうやって,理想と現実を「比較」して見ることで...
 たとえば理想の「父親」とは...威厳があり,包容力がある.力持ちで,教養もあって,困った時には支えてくれる一家の大黒柱.かといって細かいことには口出さず,子供の成長をじっと見守っててくれる(一昔前の父親像だったかな^^;).ところが現実は,大酒のみの暴力男.自分の悩みも聞いてはくれず,ギャンブル好きのなまけもの(ひどすぎ?).すげーギャップだよね.こんなの,まともに「比較」したら,もう,その父親,大嫌いで仕方なく,憎むしかなくなっちゃうよね.
 でも事実は事実,そのことに間違いはない.だけどだよ,あなたの「理想」に合わないから「問題」なんだよね.だからそこに「悩み」が生まれる.「なんで親父は...」ってなことに.そういう人なんだから,そう割り切れなんてこと,私はここでは言わないよ.だって,そんなギャップ,埋めようにも,埋めようがないものね.大方の父親なんてそんなもの.そう思えれば,どんなに楽か...ムリだよ.だけど,そんな父親だって,この世に存在してくれたからこそ,あなたが生まれることができた.これも事実.
 いまは父親を例にとって話したけど,これ,同じようなことで比較して見ること,自分に対してのことの方が多いかもね.前にもあげたスピーチの話.人前でうまく話そうとしてガチガチに緊張してできなくなるってやつ.「自分はみんなの前でうまく話さないといけない.失敗しなくて当然だ」.そんな理想と現実.
 あぁ,もちろん,上手く話したいって思うのは,普通の気持ち,誰だって思うことであり,当たり前のことなんだよね.でもさぁ,あなた弁論家でもあるまいし,なんで,そんなに「うまく話す」必要,あるのかな? 漫才師でもあるまいし,なんで「笑いをとる」必要,あるのかな? それができないからと,クヨクヨ,オロオロしてるから「悩み」真っ只中,なるんじゃない? そうやって,悲劇のヒロイン演じちゃう? そんな自分が情けない? 許せない? 「普通の人」なら,もっとうまくやる!..のかな?

ありのままに見る

 どうかな? 一度,一歩引いてみないかい?
 「絶対にこうあるべきだ」を「できればこうだといいな」というように.そして事実をひとまず,ありのままに認めてみようよ.理想と違う事実に直面した時,それを素直に認められるかって? うん,とっても怖いと思うよ.勇気百倍いるよねぇ..だけどね,だから,その現実に目を背け,「本当はそうじゃないんだ!」なんて,いつまでも「合理的回避」をしてたって,なんら解決はないんだよ.
 「理想を捨てたら成長がない!」なんて反論する? 冗談じゃないよ.生きている「今」を満足できないで,なにが成長だよ.それができるようになること,すなわち「成長」じゃないかなぁ.いままで,あなた,満足して生きてきたことある? 自分が在るのは今この時なんだよ.今を満足できなくて,過去を悔やむ? 未来を憂う? そうやっていつまでも生きていくの?
 いくら過去を悔やんでも時を戻すことなんてできないよ.いくら未来を憂いてみても,どうなるかを予見することもできやしないね.決して反省や備えを否定するわけじゃない.だけど,まずは今を満足して生きてみようよ.いままで決して味わえなかった満足感.それを味わえたら成長だよ.

自分観察−心との対話

 「早く起きろ」,「早く顔洗え」,「早く着替えろ」,「早く学校へ行け」,「早く勉強しろ」,「早く食べろ」,「早く歯みがけ」,「早く寝ろ」.これ,私が普段よく耳にする言葉.いや,自分の子供に発している言葉,かもしれない...^^;
 あなたも,子供にしょっちゅうこんなこと言ってませんか? 思い起こせば,自分も,小さい頃,こんなこと言われ続けて育った気がするなぁ.だからだろうか,ボーッとする時間持つことが,みんな下手なような気がするよ.ひきこもったところで,やっぱり出口を見出せない...こんなことじゃいけない.早く外に出なきゃ.分かっているよ.分かっているけど,じゃあ何したらいいの? どう,ふるまえばいいの?
 実のところ,そういうボーッとする時間を持つことが,何か悪いような,罪悪感さえ感じることすらあるよね.だから,何かをせずにはいられない.不安で不安で,誰かが遅くまで残業していれば,追い越されるんじゃないかと心配になり,自分も遅くまで会社に残ってみる..それで,いったいどれだけのことできました?
 じっと心を落ちつけて,自分を見つめないと,自分の心が「今」どうなのか,なんてこと分かりはしない.怒りの感情が昂ぶってたり,不安でブルブル震えたりしていては,到底自分の心なんて見えてこないよね.どうだろう? 「ありのままにものごとを見る」なんて,さっき言ったのだけれど,自分の考えを入れずに,ゆっくりと時間をとって,いま直面し,悩んでいることを観察してみないかい? 好きだ嫌いだ,良い悪い,そういう価値を一切つけないで...ムリだよね.でも,できるだけ自分から離れて,客観的に..
 自律訓練法をやりながらでもいい.呼吸法をやりながらでもいい.自分観察してみよう.そうすると,ガチガチに強ばった身体の一部(歯を食い縛ってたり,肩に力入ってたりすることが多いもんだよ)と一緒に,怒り,悲しみ,不安,後悔...,いろんな心の動き,きっと見えてくると思うよ.そしたら,その感情をそのまま認め,行き過ぎるのを待ってもいいんじゃないかなぁ.ゆっくり時間とることで,そして,それを客観的に眺めてみることで,自分の感情の発動原因も見えてくる.相手が見えれば,結構「なんだぁ」,なんてことにもなるんだよねぇ.不安が,怒りが..行き過ぎるのなんてあり得ない..ホントにそう? そうやって,相手が見えてると,今度くる喜び,楽しさの感情によって,その不安,怒りは,自然と消えていくと思うけどなぁ.だってね,不安ばっかじゃないもの,怒りばっかじゃないもの.必ず喜びの感情,楽しさの感情だってやってくるもの.その感情がきた時に,すぐ感知できるようにするために,時間とって,自分観察してみようよ.
(参考「伊藤 守:あなたはあなたの思っているそれになる」,こころの技術)

嫌な気持ちと上手くつきあう

 冗談じゃないよ,嫌な感情,不安な感情,そんなもん,そのまま放っておけますか,喜びの感情なんて待っておられますか...そうだよね.けど,だからって,じゃあ,その感情を抱いた自分,また,そいつを追いかけるのかい? 追い詰めるのかい? なんのこっちゃって...例えばさ,さっきのスピーチの話.人前で上手く話したい,でも,できないからと,そんな自分を嫌ってしまう.そんなことしてるから,いつまでも悩みから解き放たれないんだよ.
・上手く話せなかった→嫌な気持ち→仕方ない→今度は何度も練習して臨んでみよう
・上手く話せなかった→嫌な気持ち→あぁなんて自分はダメなんだ→そんな自分は大嫌い
 「仕方ない」って割り切れないから問題なんだって..だってさぁ,じゃあどうするの? 上手く話せなかったことは「事実」.そして,もう終わってしまった「過去」なんだよ.いつまでも悔やんだってどうしようもないでしょ.過去は取り戻せない! だって,だって...じゃあ,どうしたら安心できるの? じゃあ聞くよ.自分がダメ人間だってレッテルを貼れば安心できるの? そんなことしたって,嫌な気持ち,なかなかなくなんないぞ.だけどさぁ,そいつ,すぐにでも,あなた全部消そうとしてないかい? だから,自分を嫌いなんて,変な方向に気持ち,向いちゃうんじゃないのかな.嫌は嫌でいいじゃない.そのまま放っておいたら,気分いいなぁってことにも出会うんじゃない? そしたら,その嫌な気持ち,随分軽くなっちゃうぞ.それが「あるがまま」ってことじゃないのかな.
 今回,かなり主張してしまったね(^^ゞ 異論,反論あると思うよ.けど,森田療法のページで伝えきれなかったことを,もう一度,言葉を変えて書いてみた.
 うつだ神経症だと悩んでもいい.けど,まず生きている今の自分を存分に味わってみようよ.どんなちっぽけなことでもいい.ありのままの自分をね.そしてその自分を好きになり,その上で,なりたい自分目指して,次の一歩を踏み出してみようよ.


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