** 臍淑女〜ヴィーナス〜:music by T.M.Revolution / 銀魂
彼女が微笑めば、自分は幸せになれる。
ならば、彼女が笑うことをすればいいのだ。
と気づいたのは、彼女に恋してすぐのことだった。
あの人につられる。
だから会う。
あの人に連れてこられる。
だから、飲みたくもない酒を飲む。
あの人のせいだと思っているはずなのに。
手に入れたいと願ってしまう。
そうにこやかに応対すれば
「あぁ、お妙さん、今日もあなたの笑顔はステキだ〜」
とゴリラは顔面をゆがませて言う。
「姉さん、あれはゆがませてるんじゃないんですぜ。笑顔って言うんでさぁ」
「そう?私にはゆがんでるようにしか見えないわ」
お客は3人組。
ゴリラと土方さんと沖田さん。
そう言えば、ゴリラは真撰組の局長って聞くけれど。
そうは見えないと思うのがこんな時だ。
「………土方さん、何かおのみになりますか?」
ゴリラ(一応客)の酒を造りながら問いかける。
「ドンペリでもおのみになります?」
「酒を飲みに来た訳じゃねぇ。俺は、近藤さんのお付きだ」
「飲みに来たのは俺ですぜ。近藤さんのつきあいって奴です」
「総吾、お前もこの後仕事だろうが」
「それは、近藤さんのおつきあいするって事でチャラになりましたぜ?仕事なのは土方さんだけ」
「仕事でしたら、わざわざ来ることもないでしょうに」
抱きついてくるゴリラを鉄拳で交わしながら問いかける。
「この人を送らなくちゃならねぇからな」
そう言って、未だ倒れもしない男の背中を見る。
「そうですわね。この人が沈んだら、屯所に送るのはあなたの役目ですものね」
あごを殴ってとりあえず脳しんとうを起こさせる。
「ようやく静かになりやしたね。これで落ち着いて飲めるってもんでさぁ」
「本当ね」
「こ、近藤さん!!!!」
騒いでいる土方さんを放って沖田さんに酒を造る。
「ずいぶん、派手に倒れてる。これってどうやってやるんですか?土方さんに試してみたいんですね」
「あぁ、それわね」
問いかける沖田さんに私は答える。
「あんた、相変わらずやりすぎだ」
「やり過ぎかも知れませんけど。鬱陶しいくらいつきまとってくる彼もやり過ぎだと思いません?」
「それは認めるし、謝る」
「だったら、止めてくださいません?あなたは部下なのでしょう?彼が信頼する右腕なのでしょう?それぐらい出来なくて何が部下なんです?」
ここに来るなとは言わないし言えない。
そのときはいつも彼は一人じゃないから。
「……だから、俺…達が来てるんですよ」
「こう言ってますけど土方さんは近藤さんが姉さんに倒されるのを見に来てるだけですぜ」
だからなんて言われても困る。
とも、ありがとうとも言えない。
気づいてます?
私の気持ち。
「だったら、早くお引き取りくださいませ。またのお越しをお待ちしてますけれど」
いつまでもゴリラにここに寝ていられては困る。
これでもう来ないと言われては困る。
「妙さん」
「…上客を無下には扱いませんわ。土方さん」
言葉に思いを乗せたって誰にも気づかれない。
2人+つぶれたゴリラが外に向かえば、店内はいつものしっとりとした静かな雰囲気へと戻る。
いつものこの店はこんな風だ。
「お妙さん」
外から戻ってきた土方さんが私の事を呼ぶ。
「どうかなされましたか?」
「…あんたはどう思ってるか俺は知らない。でも、俺はこれから動かせて貰う」
そう言って隊士服を翻して彼は出て行く。
「動くって…どういう事よ…」
意味が分からない。
「妙?」
「え、あぁ、何でもないわ」
おりょうに声を掛けられて我に返る。
それでもあの人のたばこの香が漂っているような気がして、あわてて払った。
ならば、彼女が笑うことをすればいいのだ。
と気づいたのは、彼女に恋してすぐのことだった。
あの人につられる。
だから会う。
あの人に連れてこられる。
だから、飲みたくもない酒を飲む。
あの人のせいだと思っているはずなのに。
手に入れたいと願ってしまう。
******
「いらっしゃいませ」そうにこやかに応対すれば
「あぁ、お妙さん、今日もあなたの笑顔はステキだ〜」
とゴリラは顔面をゆがませて言う。
「姉さん、あれはゆがませてるんじゃないんですぜ。笑顔って言うんでさぁ」
「そう?私にはゆがんでるようにしか見えないわ」
お客は3人組。
ゴリラと土方さんと沖田さん。
そう言えば、ゴリラは真撰組の局長って聞くけれど。
そうは見えないと思うのがこんな時だ。
「………土方さん、何かおのみになりますか?」
ゴリラ(一応客)の酒を造りながら問いかける。
「ドンペリでもおのみになります?」
「酒を飲みに来た訳じゃねぇ。俺は、近藤さんのお付きだ」
「飲みに来たのは俺ですぜ。近藤さんのつきあいって奴です」
「総吾、お前もこの後仕事だろうが」
「それは、近藤さんのおつきあいするって事でチャラになりましたぜ?仕事なのは土方さんだけ」
「仕事でしたら、わざわざ来ることもないでしょうに」
抱きついてくるゴリラを鉄拳で交わしながら問いかける。
「この人を送らなくちゃならねぇからな」
そう言って、未だ倒れもしない男の背中を見る。
「そうですわね。この人が沈んだら、屯所に送るのはあなたの役目ですものね」
あごを殴ってとりあえず脳しんとうを起こさせる。
「ようやく静かになりやしたね。これで落ち着いて飲めるってもんでさぁ」
「本当ね」
「こ、近藤さん!!!!」
騒いでいる土方さんを放って沖田さんに酒を造る。
「ずいぶん、派手に倒れてる。これってどうやってやるんですか?土方さんに試してみたいんですね」
「あぁ、それわね」
問いかける沖田さんに私は答える。
「あんた、相変わらずやりすぎだ」
「やり過ぎかも知れませんけど。鬱陶しいくらいつきまとってくる彼もやり過ぎだと思いません?」
「それは認めるし、謝る」
「だったら、止めてくださいません?あなたは部下なのでしょう?彼が信頼する右腕なのでしょう?それぐらい出来なくて何が部下なんです?」
ここに来るなとは言わないし言えない。
そのときはいつも彼は一人じゃないから。
「……だから、俺…達が来てるんですよ」
「こう言ってますけど土方さんは近藤さんが姉さんに倒されるのを見に来てるだけですぜ」
だからなんて言われても困る。
とも、ありがとうとも言えない。
気づいてます?
私の気持ち。
「だったら、早くお引き取りくださいませ。またのお越しをお待ちしてますけれど」
いつまでもゴリラにここに寝ていられては困る。
これでもう来ないと言われては困る。
「妙さん」
「…上客を無下には扱いませんわ。土方さん」
言葉に思いを乗せたって誰にも気づかれない。
2人+つぶれたゴリラが外に向かえば、店内はいつものしっとりとした静かな雰囲気へと戻る。
いつものこの店はこんな風だ。
「お妙さん」
外から戻ってきた土方さんが私の事を呼ぶ。
「どうかなされましたか?」
「…あんたはどう思ってるか俺は知らない。でも、俺はこれから動かせて貰う」
そう言って隊士服を翻して彼は出て行く。
「動くって…どういう事よ…」
意味が分からない。
「妙?」
「え、あぁ、何でもないわ」
おりょうに声を掛けられて我に返る。
それでもあの人のたばこの香が漂っているような気がして、あわてて払った。
**後書き:総吾が結構出張った。
結構、近藤→妙→←土方。っていう構図が好きらしい。
結構、近藤→妙→←土方。っていう構図が好きらしい。