(1/1^3+1/2^3+・・)型Sin級数からζ(3)の式を導出した。
(1/(1^3・2)+1/(2^3・3)+・・)型Cos級数と同Sin級数からζ(3)の式を導出した。
(1/(2^2・1)+1/(3^2・2)+・・)型Cosと同Sin級数からζ(2)を導出。
(1/1^4+1/2^4+・・)型Sin級数からζ(4)の式を導出。
(1/1^5+1/2^5+・・)型Sin級数からζ(5)の式を導出。
< フーリエシステムの応用性>
自分でもまだはっきりとつかみきれていなかったフーリエシステムの性質が、だんだんと見えてきた。
非常に応用が広い。
この手法を用いると、ゼータの特殊値の多くの異なる表式を生み出していくことができる。その2のζ(2)の積分表示
でその一例を見た。
フーリエ級数の理論は歴史が古く、研究しつくされていて、膨大なフーリエ級数が公式資産として存在している。それらを
フーリエシステムの中で存分に利用することで、ゼータの異なる表式を生み出すことができるのである。
次のようなフーリエ級数の公式が知られている。
cosx/1^3 + cos2x/2^3 + cos3x/3^3 + cos4x/4^3 + ・・・
=ζ(3) + (x^2・log2)/2 +∫(0〜x) (x-t)log(sin(t/2))dt
xにπやπ/2を代入するとζ(3)の式がすぐに求まる。しかし、それだけで終わりである。広がりがない。
(この公式は、例えば「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、岩波書店)p.73を参照)
ゼータ世界は広く、深い。よくわからないとされる奇数ゼータなどは、さまざまな表式を求めることが重要である。
フーリエシステムを用いて、ζ(s)やL(s)など、一般的なディリクレのL関数L(χ,s)のゼータの式を求めていこう。
テイラーシステムとはまた違った味わいがある。
Cos級数でのζ(3)はその1で求めたので、ここではSin級数を用いてζ(3)を求めよう。
[ζ(3)導出]
ζ(3)=1/1^3 + 1/2^3 + 1/3^3 + 1/4^3 + ・・・
の形から(今回はSin級数とするので)次の関数(サイン級数)
f(x)=sinx/1^3 + sin2x/2^3 + sin3x/3^3 + sin4x/4^3 + ・・・ ------@
を考える。
サイン級数の直交性を用いて、
1/1^3=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sinx dx
1/2^3=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin2x dx
1/3^3=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin3x dx
・
・
となる。さらに右辺を部分積分する。f(x)は@であるから、簡単な計算により次となる。
1/1^3=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・)・(cosx/1) dx
1/2^3=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・)・(cos2x/2) dx
1/3^3=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・)・(cos3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて、
ζ(3)=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 +・・)・(cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 + ・・) dx
=(2/π)∫(0〜π) {(x-π)^2/4 - π^2/12}・{-log(2sin(x/2))} dx -------A
途中でフーリエ級数の公式
cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 +・・=-log(2sin(x/2)) (0 <x< 2π)
cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 +・・=(x-π)^2/4 - π^2/12 (0 <=x<= 2π)
を用いた。
(この公式は、例えば「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、岩波書店)を参照)
Bを整理して、
ζ(3)=(1/π)∫(0〜π) {π^2/6 - (x-π)^2/2}・log(2sin(x/2)) dx
となる。
[終わり]
結果はBearGraphというフリーの計算ソフトで数値的に検証済み。Cos級数の結果と合わせてまとめる。
(Cos級数では、さらに変形したものを最終式にしているが、ここではSin級数に合わせた形で載せておく)
その2のζ(2)積分表示の類似的な視点から、[1/(1^3・2)+1/(2^3・3)+・・]型のCos級数を用いてζ(3)を求める。
[ζ(3)の導出]
1/(1^3・2) + 1/(2^3・3) + 1/(3^3・4) + 1/(4^3・5) + ・・・ =ζ(3) - ζ(2) + 1 -----@
という式を利用する。
なぜ@が成り立つかを示す。
1/(1^3・2) + 1/(2^3・3) + 1/(3^3・4) + ・・・
=(1/1^2)・(1/(1・2)) + (1/2^2)・(1/(2・3)) + (1/3^2)・(1/(3・4)) + ・・・
=(1/1^2)・(1/1-1/2) + (1/2^2)・(1/2-1/3) + (1/3^2)・(1/3-1/4) + ・・・
={1/1^3 + 1/2^3 + 1/3^3 + ・・・} - {(1/1^2・2) + (1/2^2・3) + (1/3^2・4) + ・・・}
=ζ(3) - (ζ(2)-1)
=ζ(3) - ζ(2) + 1
最後で「その2」<ζ(2)の積分表示を・・>で示した (1/1^2・2) + (1/2^2・3) + (1/3^2・4) + ・・・=ζ(2)-1 を用いた。
さて、@の形に着目して関数(フーリエ級数)
f(x)=cosx/(1^3・2) + cos2x/(2^3・3) + cos3x/(3^3・4) + cos4x/(4^3・5) + ・・・ ------A
を考える。
コサイン級数の直交性を用いて、
1/(1^3・2)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cosx dx
1/(2^3・3)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
1/(3^3・4)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
・
・
となる。さらに、右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算により次となる。
1/(1^3・2)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・2) + sin2x/(2^2・3) + sin3x/(3^2・4) + ・・)・(sinx/1) dx
1/(2^3・3)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・2) + sin2x/(2^2・3) + sin3x/(3^2・4) + ・・)・(sin2x/2) dx
1/(3^3・4)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・2) + sin2x/(2^2・3) + sin3x/(3^2・4) + ・・)・(sin3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて(左辺は@より)
ζ(3) - ζ(2) + 1
=(2/π)∫(0〜π) (sinx/(1^2・2) + sin2x/(2^2・3) + sin3x/(3^2・4) + ・・)・(sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + ・・) dx
右辺をさらに部分積分して、
ζ(3) - ζ(2) + 1
=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・)・(cosx/(1・2) + cos2x/(2・3) + cos3x/(3・4) + ・・) dx ---B
右辺にフーリエ級数の公式
cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・=(x-π)^2/4 - π^2/12 (0 <=x<= 2π)
cosx/(1・2) + cos2x/(2・3) + cos3x/(3・4) + ・・=1 - ((π-x)・sinx)/2 - 2(sin(x/2))^2・log(2sin(x/2)) (0 <=x<= 2π)
を用いると、Bは次のようになる。
ζ(3) - ζ(2) + 1
=(2/π)∫(0〜π) {(x-π)^2/4 - π^2/12}・{(1-((π-x)sinx)/2-2(sin(x/2))^2・log(2sin(x/2))} dx
形を整えて、
ζ(3) - ζ(2) + 1
=(1/π)∫(0〜π) {(x-π)^2/4 - π^2/12}・{(2-(π-x)sinx-(2sin(x/2))^2・log(2sin(x/2))} dx ------C
すなわち、
ζ(3) =ζ(2) - 1 + (1/π)∫(0〜π) {(x-π)^2/4-π^2/12}・{(2-(π-x)sinx-(2sin(x/2))^2・log(2sin(x/2))} dx -- ---D
ζ(3)の積分表示が求まった。これはこれまでと異なる式である。
最初に@の形を考えたことが、導出の過程で有効に効いていることに注目されたい。つまり、@をわざわざはじめに
考えたのは、途中のフーリエ級数の公式を利用したいからである。
[終わり]
Dはフリーの計算ソフトBearGraphで数値計算的に検証済み。
Dは、x-π=tなどと変数変換すればもうすこし簡潔な表示になるかもしれないが、このままにしておく。
Cの形でまとめておく(後々のことを考えて)。
次に[1/(1^3・2)+1/(2^3・3)+・・]型のSin級数を用いてζ(3)を求める。
[ζ(3)の導出]
1/(1^3・2) + 1/(2^3・3) + 1/(3^3・4) + 1/(4^3・5) + ・・・ =ζ(3) - ζ(2) + 1 -----@
という式を利用する。
(なぜこうなるかは一つ上で示した。)
さて、@の形に着目して関数(フーリエ級数)
f(x)=sinx/(1^3・2) + sin2x/(2^3・3) + sin3x/(3^3・4) + sin4x/(4^3・5) + ・・・ ------A
を考える。
サイン級数の直交性を用いて、
1/(1^3・2)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sinx dx
1/(2^3・3)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin2x dx
1/(3^3・4)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin3x dx
・
・
となる。さらに、右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算により次となる。
1/(1^3・2)=(2/π)∫(0〜π) (cosx/(1^2・2) + cos2x/(2^2・3) + cos3x/(3^2・4) + ・・)・(cosx/1) dx
1/(2^3・3)=(2/π)∫(0〜π) (cosx/(1^2・2) + cos2x/(2^2・3) + cos3x/(3^2・4) + ・・)・(cos2x/2) dx
1/(3^3・4)=(2/π)∫(0〜π) (cosx/(1^2・2) + cos2x/(2^2・3) + cos3x/(3^2・4) + ・・)・(cos3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて(左辺は@より)
ζ(3) - ζ(2) + 1
=(2/π)∫(0〜π) (cosx/(1^2・2) + cos2x/(2^2・3) + cos3x/(3^2・4) +・・)・(cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 +・・)dx --B
ここで一工夫加える。積分内の前のほうの関数を次のように変形する。
cosx/(1^2・2) + cos2x/(2^2・3) + cos3x/(3^2・4) +・・
=cosx/(1・(1・2)) + cos2x/(2・(2・3)) + cos3x/(3・(3・4)) +・・
=(1/1)(1/1-1/2)cosx + (1/2)(1/2-1/3)cos2x + (1/3)(1/3-1/4)cos3x + ・・・
=(cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 +・・) - (cosx/(1・2) + cos2x/(2・3) + cos3x/(3・4) +・・)
={(x-π)^2/4 - π^2/12} - {1 - ((π-x)・sinx)/2 - 2(sin(x/2))^2・log(2sin(x/2))}
=(x-π)^2/4 - π^2/12 - 1 + ((π-x)・sinx)/2 + 2(sin(x/2))^2・log(2sin(x/2)) ------C
途中、フーリエ級数の公式
cosx/1^2 + cos2x/2^2 + cos3x/3^2 + ・・=(x-π)^2/4 - π^2/12 (0 <=x<= 2π)
cosx/(1・2) + cos2x/(2・3) + cos3x/(3・4) + ・・=1 - ((π-x)・sinx)/2 - 2(sin(x/2))^2・log(2sin(x/2)) (0 <=x<=2π)
を用いた。
Bに、Cと
cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 +・・=-log(2sin(x/2)) (0 <x< 2π)
の公式を代入し、形を整理すると、Bは結局次のようになる。
ζ(3) - ζ(2) + 1
= (1/π)∫(0〜π) {(x-π)^2/2-π^2/6-2+(π-x)sinx+(2sin(x/2))^2・log(2sin(x/2))}・{-log(2sin(x/2))}dx ----D
すなわち、
ζ(3) =ζ(2) - 1
+ (1/π)∫(0〜π) {(x-π)^2/2-π^2/6-2+(π-x)sinx+(2sin(x/2))^2・log(2sin(x/2))}・{-log(2sin(x/2))}dx -----E
ζ(3)の積分表示が求まった。これもこれまでと異なる表式である。
[終わり]
Eはフリーの計算ソフトBearGraphで数値計算に検証済みである。
BearGraphで検証中に、形を整える意味で、∫内の{-log(2sin(x/2))}の”-”をもう片方の関数のほうへもっていって
定積分を計算すると異なった答えとなった。おそらくlogの特異点の計算で差が生じたのだと思われる。BearGraphで
正しく検証された形のままおいておく。
一つ上のCos級数の場合とともに、Dの形で書いておく。
その2のζ(2)積分表示では、[1/(1^2・2)+1/(2^2・3)+・・]型のCos/Sin級数を計算したので(上のζ(3)と同じような
もの)、今度は[1/(2^2・1)+1/(3^2・2)+・・]型のCos/Sin級数を見てみることにする。
まずは、Cos型から。
[ζ(2)の積分表示の導出]
1/(2^2・1) + 1/(3^2・2) + 1/(4^2・3) + 1/(5^2・4) + ・・・ =2-ζ(2) -----@
という式を利用する。
なぜこれが成り立つかを示す。
1/(2^2・1) + 1/(3^2・2) + 1/(4^2・3) + ・・・
=(1/2)・(1/(2・1)) + (1/3)・(1/(3・2)) + (1/4)・(1/(4・3)) + ・・・
=(1/2)・(1/1-1/2) + (1/3)・(1/2-1/3) + (1/4)・(1/3-1/4) + ・・・
={1/(2・1) + 1/(3・2) + 1/(4・3) + ・・・} - {1/2^2 + 1/3^2 + 1/4^2 +・・・}
={(1/1-1/2) + (1/2-1/3) + (1/3-1/4) + ・・・} - (ζ(2) - 1)
=1 - (ζ(2) - 1)
=2-ζ(2)
さて、@の形から関数(フーリエ級数)
f(x)=cos2x/(2^2・1) + cos3x/(3^2・2) + cos4x/(4^2・3) + cos5x/(5^2・4) + ・・・ ------A
を考える。
Aのコサイン級数の直交性を用いて、
1/(2^2・1)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos2x dx
1/(3^2・2)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos3x dx
1/(4^2・3)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・cos4x dx
・
・
となる。さらに右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算により次となる。
1/(2^2・1)=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2・1) + sin3x/(3・2) + sin4x/(4・3) + ・・)・(sin2x/2) dx
1/(3^2・2)=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2・1) + sin3x/(3・2) + sin4x/(4・3) + ・・)・(sin3x/3) dx
1/(4^2・3)=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2・1) + sin3x/(3・2) + sin4x/(4・3) + ・・)・(sin4x/4) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて(左辺は@より)、
2-ζ(2)
=(2/π)∫(0〜π) (sin2x/(2・1) + sin3x/(3・2) + sin4x/(4・3) + ・・)・(sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・)dx
=(2/π)∫(0〜π) (sinx-(π-x)・(sin(x/2))^2 - sinx・log(2sin(x/2)))・(π/2-x/2-sinx)dx ------B
途中で公式
sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 +・・=π/2 - x/2 (0 <x< 2π)
sin2x/(2・1) + sin3x/(3・2) + sin4x/(4・3) + ・・
=sinx - (π-x)・(sin(x/2))^2 - sinx・log(2sin(x/2)) (0 <=x<= 2π) -----C
を用いた。
Bの形を整えて、
ζ(2)=2 - (1/π)∫(0〜π) {(π- x) - 2sinx}・{sinx - (π-x)・(sin(x/2))^2 - sinx・log(2sin(x/2))}dx ------D
ζ(2)の積分表示が求まった。
[終わり]
Dの右辺はπ^2/6に一致する。(フリーの計算ソフトBearGraphで検証済み。)
今度は[1/(2^2・1)+1/(3^2・2)+・・]型のSin級数を見てみることにする。
[ζ(2)の積分表示の導出]
1/(2^2・1) + 1/(3^2・2) + 1/(4^2・3) + 1/(5^2・4) + ・・・ =2-ζ(2) -----@
という式を利用する。(なぜこれが成り立つかは一つ上で示した)
さて、@の形から関数(フーリエ級数)
f(x)=sin2x/(2^2・1) + sin3x/(3^2・2) + sin4x/(4^2・3) + sin5x/(5^2・4) + ・・・ ------A
を考える。
Aのサイン級数の直交性を用いて、
1/(2^2・1)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin2x dx
1/(3^2・2)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin3x dx
1/(4^2・3)=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin4x dx
・
・
となる。さらに右辺を部分積分する。f(x)はAであるから、簡単な計算により次となる。
1/(2^2・1)=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2・1) + cos3x/(3・2) + cos4x/(4・3) + ・・)・(cos2x/2) dx
1/(3^2・2)=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2・1) + cos3x/(3・2) + cos4x/(4・3) + ・・)・(cos3x/3) dx
1/(4^2・3)=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2・1) + cos3x/(3・2) + cos4x/(4・3) + ・・)・(cos4x/4) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて(左辺は@より)、
2-ζ(2)
=(2/π)∫(0〜π) (cos2x/(2・1) + cos3x/(3・2) + cos4x/(4・3) + ・・)・(cos2x/2 + cos3x/3 + cos4x/4 + ・・)dx
=(2/π)∫(0〜π) {cosx - (π-x)sinx/2 + 2(sin(x/2))^2・log(2sin(x/2))}・{-cosx-log(2sin(x/2))}dx ------B
途中で公式
cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 +・・=- log(2sin(x/2)) (0 <x< 2π)
cos2x/(2・1) + cos3x/(3・2) + cos4x/(4・3) + ・・
=cosx - (π-x)sinx/2 + 2(sin(x/2))^2・log(2sin(x/2)) (0 <=x<= 2π)
を用いた。
Bの形を整えて、
ζ(2)
=2 - (1/π)∫(0〜π) {-cosx-log(2sin(x/2))}・{2cosx - (π-x)sinx + (2sin(x/2))^2・log(2sin(x/2))}dx ----C
ζ(2)の積分表示が求まった。
[終わり]
Dの右辺はπ^2/6に一致する。(フリーの計算ソフトBearGraphで検証済み。)
一つ上のCos級数の場合と合わせてまとめておく。
「その2」で普通の形(1/1^4 + 1/2^4 +・・)タイプのCos級数からζ(4)、ζ(5)を導出していたが、対応するSin級数から
の導出をまだ行っていなかった。
ここでは、対応するSin級数からζ(4)を求める。
[ζ(4)導出]
ζ(4)=1/1^4 + 1/2^4 + 1/3^4 + 1/4^4 +・・
の形に着目して、関数(フーリエ級数)
f(x)=sinx/1^4 + sin2x/2^4 + sin3x/3^4 + sin4x/4^4 + ・・・ ------@
を考える。
サイン級数の直交性を用いて、
1/1^4=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sinx dx
1/2^4=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin2x dx
1/3^4=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin3x dx
・
・
さらに、これらの右辺を部分積分する。f(x)は@であるから、簡単な計算から次となる。
1/1^4=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^3 + cos2x/2^3 + cos3x/3^3 + ・・)・(cosx/1) dx
1/2^4=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^3 + cos2x/2^3 + cos3x/3^3 + ・・)・(cos2x/2) dx
1/3^4=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^3 + cos2x/2^3 + cos3x/3^3 + ・・)・(cos3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて、
ζ(4)=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^3 + cos2x/2^3 + cos3x/3^3 +・・)・(cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 + ・・) dx
さらに、右辺を部分積分して
ζ(4)=(2/π)∫(0〜π) (sinx/1^2 + sin2x/2^2 + sin3x/3^2 +・・)^2 dx ------A
ここでフーリエ級数の公式
sinx/1^2 + sin2x/2^2 + sin3x/3^2 +・・=-xlog2 - ∫(0〜x) log(sin(t/2)dt (0 <=x<= 2π)
を用いるとAは次のようになる。(この公式は、例えば「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、岩波書店)を参照)
ζ(4)=(2/π)∫(0〜π) {-xlog2 - ∫(0〜x) log(sin(t/2)dt}^2 dx ------B
この場合は、汚い式になってしまった。さらに、部分積分したり、あるいは途中変形を加えたりと色々工夫しても
どうも綺麗な形にはもっていけない・・(いまのところ)。とりあえず、このBを今回の結果としておく。
[終わり]
では次に、(1/1^5 + 1/2^5 +・・)型Sin級数からζ(5)を求める。
[ζ(5)導出]
ζ(5)=1/1^5 + 1/2^5 + 1/3^5 + 1/4^5 +・・
の形に着目して、関数(フーリエ級数)
f(x)=sinx/1^5 + sin2x/2^5 + sin3x/3^5 + sin4x/4^5 + ・・・ ------@
を考える。
サイン級数の直交性を用いて、
1/1^5=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sinx dx
1/2^5=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin2x dx
1/3^5=(2/π)∫(0〜π) f(x)・sin3x dx
・
・
さらに、これらの右辺を部分積分する。f(x)は@であるから、簡単な計算から次となる。
1/1^5=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・)・(cosx/1) dx
1/2^5=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・)・(cos2x/2) dx
1/3^5=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 + ・・)・(cos3x/3) dx
・
・
これらを縦に足し合わせて、
ζ(5)=(2/π)∫(0〜π) (cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 +・・)・(cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 + ・・) dx -----A
ここでフーリエ級数の公式
cosx/1 + cos2x/2 + cos3x/3 +・・=-log(2sin(x/2)) (0 <x< 2π)
cosx/1^4 + cos2x/2^4 + cos3x/3^4 +・・={2π^2(x-π)^2 - (x-π)^4 - 7π^4/15}/48 (0 <=x<= 2π)
を用いるとAは次のようになる。(この公式は、例えば「数学公式U」(森口・宇田川・一松著、岩波書店)を参照)
ζ(5)=(1/(24π))∫(0〜π) {(x-π)^4 -2π^2(x-π)^2 +7π^4/15}・log(2sin(x/2)) dx ------B
ζ(5)の積分での表式が得られた。
[終わり]
BもBearGraphで数値的に検証済みである。
一つ上のζ(4)Sin級数の結果とともに、まとめておく。
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