高レベル処分に関わる 2008年 市民団体の動き
   (旧「高レベル放射性廃棄物処分場応募に関わって名前の上がった地域」)

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 2008年7月23日
岐阜県内42自治体アンケート調査と飛騨市住民の成果

◆アンケート調査の目的
1.岐阜県内に高レベル放射性廃棄物処分場つくらせない。兆候の有無を掴みたい。
2.東洋町の失敗に懲りて2007年11月から国による申し入れが加わったことを知らせたい。岐阜県は古くから多くの地域で地下調査が進み、国から申し入れられる条件が揃っている地域。
3.東洋町の事例を通して、処分場は地質条件ではなく社会的条件(応募や申し入れを拒否しなければ)で決まることを知らせたい。
4.知事は文献調査を止められない。首長を替えるしかないことを知らせたい。

◆アンケート調査の期間
 2007年11月12日(瑞浪市)〜2008年5月13日(下呂市、高山市、飛騨市)まで、県内の42全自治体を訪問した。

◆アンケート調査の方法
 自治体を訪問し首長または担当課と面談し、目的及び資料の説明を行い、後日首長名で回答してくれるように依頼した。全ての自治体から首長名の回答を得た。

◆調査結果の公表 2008年7月17日 
 2003年7月18日に原子力機構が超深地層研究所の立坑掘削を開始した。立坑掘削の開示に新聞記事となるように7月17日に公表した。

◆アンケート調査を終えて
 自治体に高レベル放射性廃棄物処分場の問題を知らせることができた

 ・超深地層研究所の交付金を受け取っている自治体や1980年代に旧動燃の調査によって処分候補地とされた地域や距離的・地域的に瑞浪市に近い自治体は高レベル放射性廃棄物処分場についてある程度の知識があり、高レベル放射性廃棄物処分場を受け入れないという思いは強かった。
 ・瑞浪市から距離が離れるほど高レベル放射性廃棄物処分場に関心が薄く、岐阜県内が1980年代から広範囲に地下調査されていることもほとんど知らなかった。
 関心の低い地域であるからこそ、高知県東洋町の社会的、地質的状況を伝え、高レベル放射性廃棄物処分場についての国の政策を伝えることができ、大きな意味があった。

◆気がかりな飛騨市と瑞浪市
 ・飛騨市:応募しないと回答したものの、国の申し入れに応ずるかとの問に対しては、無回答であった。高レベル放射性廃棄物処分場の説明会に参加するか、説明会会場を受け入れるかとの問にも無回答であった。
 さらに、「ご意見等」の欄に「現在は公募しない方向であるが、将来については
住民の意見によっては、考える必要も出てくる可能性ある。」とあった。
 これは国による申し入れを受け入れる余地を残したものと受け止めることができる。
 住民の意見を尊重することは当然だが、飛騨市だけの問題でなく、国による申し入れを拒否しないとしたら、周辺自治体はもとより岐阜県全体と、富山県を巻き込む。
 財政破綻した北海道夕張市は商工会議所が誘致検討を提案した6つの施設のうち、市長は高レベル放射性廃棄物処分場と産廃処分場については「有益とは思えない、誘致検討の余地はないと」(2008年6月14日 朝日新聞 北海道版)断った。事案によっては首長の政治判断を優先させなければならない場合もある。                 
 仮に飛騨市内に処分場を検討したら水は富山湾に注ぐ。過去に旧神岡鉱山の跡利用に関して取りざたされこともあった。イタイイタイ病の原因企業で流域に被害を及ぼしている。このことを考慮すべきだ。
 
・瑞浪市:高レベル放射性廃棄物処分場を拒否はするが、拒否条例はつくらない。
 超深地層研究所見学者から、ここを処分場にすれば良いという声が出ている。それに対して対策を取ろうとはしない。市長との面談でも、中部は物作りの中心だから、リニアが通るからこのような地域は処分場にしないだろうという他力本願の姿勢があった。交付金を得ながら核のゴミが来ない現状に慣れ、安閑としている間に、社会からは瑞浪市が処分場を受け入れて当然という圧力が強まることを自覚すべきだ。

 
◆説明に使った資料
・「最終処分地確保に向けたこれまでの取り組み」(2007年6月6日NUMOの資料 総合資源エネルギー調査会 電気事業分科会 原子力部会 放射性廃棄物小委員会に提出した資料から3ページを抜粋)
・国の申し入れに危惧の念を表明した北海道新聞の記事と社説(2007年9月13日、
 同年9月17日社説 「核廃棄物処分 国の押しつけが心配だ」)
・1998年9月18日 科学技術庁長官から岐阜県知事に出された「回答」
 1998年9月19日 朝日新聞岐阜県内版 「知事評価、住民なお不信」の記事
 1998年9月29日 中日新聞岐阜県内版  回答の評価「法的効力ない政策文書」記事
 1998年10月1日 中日新聞岐阜県内版 知事回答評価に「実効性強調」の記事

・瑞浪市が原環機構(NUMO)から送られた「高レベル放射性廃棄物の安全・確実な処分に向けて」(2001年11月29日受理 瑞浪市も処分場から除外されていないことを示す。)
・原子力機構による東濃地下調査の地図(放射能のゴミはいらない!市民ネット・岐阜作成)
・1998年11月 原子力機構作成「東濃地科学センターにおける研究概要」(秘密裏に進めた東濃地下調査の実体を示すもの)
・19980年代に東濃地科学センターが中心となって行った高レベル放射性廃棄物処分候補地選定報告書のうち、「東海・美濃地域リモートセンシング調査」(原子力機構の部分公開に対し、不開示処分取り消し訴訟で開示を勝ち取った報告書)抜粋。

・『どうする?放射能のごみ』のうち、各国の高レベル廃棄物処分計画を抜粋(西尾漠著 2005年1月31日 緑風出版刊)
以下は大半の自治体に資料として添付。
・2007年3月24日 高知新聞 「東洋町は処分地に不適 世界有数の地殻変動帯/地質は“ぼろぼろ“」
・以下は、下呂市、高山市、飛騨市の添付資料
 2005年5月18日 岐阜新聞社会面 「核燃 県内3ヶ所で地質調査 90-95年白川村など」
 2005年5月18日 中日新聞 岐阜県版 「神岡など地質調査」
・以下は、高山市、飛騨市への添付資料
 1987年6月1日 日経産業新聞 「地底のフロンティアを創造する ジオトピア計画可能性を探る」(高レベル放射性廃棄物処分場を押しつけるための方便として、地下利用モデルを描いたもの)


 飛騨市の住民が動く!! 市長、国からの申し入れにも応じないと陳謝
 
2008年7月23日の岐阜新聞、毎日新聞の岐阜県内版、中日新聞の飛騨版に、飛騨市神岡町の「神岡連合自治会」が市長に面談し、私たちへの回答に書いた意見を撤回するように求めたという。
 この住民の対応は嬉しかった。町を守るために市長に真意を質す姿勢があり、公表から時を置かずされたことは良かった。
 飛騨市役所からも私たちに、記述した意見は言葉足らずであったが、公募に応募しないだけでなく、国による申し入れにも応じないとの説明があった。欲を言えば飛騨市長は高レベル放射性廃棄物処分場拒否条例をつくり、飛騨市民の安心と安全を確保して欲しい。

 
私たちは飛騨市神岡町の住民の動きで申し入れにも応じないとの結論が出されることを望んでいた。望みどおりの結果になり、アンケート調査を行い、公表した甲斐があった。

◆資 料

 
アンケート調査の趣旨
 アンケート用紙
 回答集計表回答用紙に書かれた「ご意見」等
 公表した際の記事
 飛騨市、国による申し入れにも応じない

2008年4月25日

 「回答」は政策文書、法的効力はない
 高レベル処分法を変えないまま、ある地域を処分地にしないと回答しても、その地域を処分地から除外したことにはならない。
  東奥日報2008年4月25日 記事へ
 

2008年4月22日
 「核廃棄物進まぬ候補地選定 処分場PR 地方に集中
           地元紙に絞り新聞広告」 

 
2008年4月8日の朝日新聞メディアタイムズ(名古屋本社 13版25面)に上記タイトルの記事が掲載されました。朝日新聞記事PDFへ
 NUMOの宣伝費の急激な増加、全国紙から地方紙に絞り込んだ宣伝や背景、国の政策を地方紙が記事と広告の両方で取り上げた2006年度の形態から広告だけを載せる形に変化したこと、テレビのCMは取り上げない局もあることなどが丁寧に述べられていました。
 
 たとえば
 ・NUMOの広報活動費の急増
  2002年度:27億円 
  2003〜2006年度:15億〜18億円
  2007年度:32億円 
  2008年度:44億円
 ・広報活動の重点
  2002〜2004年度:全国紙5紙に13回 地方紙44紙に12回
  2005年度:地方紙のみに絞る
  2007年度:18回
 
・テレビCM
  04年度まで:全国同一放送時間
  05年度以降:東京、大阪、名古屋地域はその他の地域に比べて半分


 
私が特に注目したのは
  「ある新聞社の広報担当は「微妙な問題では、編集と広告の峻別や、扱いの慎重さが求められる。行政と一体となる事への批判は常にある。」と話す。」の部分です。
 峻別を意図するかしないかで、読者に与える影響が大きく変わります。そして地方で高い信頼を得ている新聞が、高レベル処分場の宣伝を意図的に峻別しないでつくることがないのか、読者が監視していかなければなりません。
 また、「行政と一体となることへの批判は常にある」と十分承知しながら、敢えて進めている面があると読みとれて、独立が保たれているのか危惧を覚えます。新聞は行政の宣伝機関ではなく、監視の役割をもちます。その役割が崩壊しているのではないかと思う宣伝を目にします。

 


2008年4月20日
 
地域ワークショップの動き、市民グループの質問 2

 
NGO「核のゴミキャンペーン」2回目の質問と地域ワークショップを請け負ったNPO
「持続可能な社会をつくる元気ネット」の回答を掲載。
 2回目の質問送付は2008年3月17日
       回答送付は2008年3月20日
 電子メールでのやりとりを核のゴミキャンペーンの承諾を得て掲載しています。
 第2回 質問と回答

 ◆ギブアップ!「持続可能な社会をつくる元気ネット」
 答える立場にない受託事業者が答えてしまったために、質問が続きます。
 回答は、「主催者にお問い合わせ下さい。」の連続。
 しかし、質問8に対する答えは、理由を示さず、「そうは思いません。」と回答しています。
 3回目の質問では、「そうは思わない」理由を追及されるでしょう。
 
◆明らかな間違い:「電気のごみ」=高レベル放射性廃棄物 ですか。
 水力発電や火力発電、太陽光発電などからは、高レベル放射性廃棄物は発生しません。高レベル放射性廃棄物は原発のゴミ(日本では再処理後に発生するガラス固化体を指します)です。この表現は明らかな間違いです。
 
 明らかな間違いを「承知の上で使いました」と答えた「持続可能な社会をつくる元気ネット」は意図的に間違った表現を使って、あなたが使った電気のごみを処分しなければらないので協力しないさいという圧力とするためのトリックです。
 応募のチラシに配慮して書いたと回答していますが、タイトルに書くこことの意味の大きさは別です。知っているなら、タイトルに正しく書くべきです。間違った内容で人を人を引きつけようという方法は社会では認められません。こうした勧誘を経済産業省でも取り締まるように指導しているはずです。ところが委託先の資源エネルギー庁も意図的に使わせています。省内不一致で良いのでしょうか。
 ちなみに募集のチラシは資源エネルギー庁のHPにアップされていません。



2008年3月29日


  地域ワークショップの動き、市民グループの質問
 
 1.地域ワークショップの動き

  ・地域ワークショップ入札のための仕様書(資源エネルギー庁)
  
   開催結果報告は資源エネルギー庁の高レベル放射性廃棄物のHPにアップ
  各会場ごとに下記から入ることができます。
  名古屋市  2007年12月1日開催
  札幌市   2007年12月22日
  松山市   2008年2月3日
  福岡市   2008年2月9日
  福島市   2008年2月16日
  ファシリテーター全国交流会岐阜県瑞浪市 2008年3月1日〜2日
   岐阜県瑞浪市での超深地層研究所の見学では、原子力機構による
  掘削の経過や状況がありのままには伝えられていないと、強く感じます。
   このHP 「原子力機構」2007年10月11日の記事
     「高レベル放射性廃棄物地層処分は可能?
      日本の地下は複雑 掘ってみなければわからない
      最終処分研究施設・超深地層研究所の事例から」

  を参照してください。
 
 2.市民グループの質問
  市民グループ核のゴミキャンペーンが地域ワークショップを請け負っている「持続可能な社会をつくる元気ネット」に質問を出しました。
  第1回 質問と回答を質問者の核のゴミキャンペーンの許可を得て掲載します。

  
 回答は事業を請け負った「持続可能な社会をつくる元気ネット」の強引、傲慢な姿勢が良く現れています。
 NUMOすら市民グループから指摘されて使うことを止めた「電気のごみ」という表現で、参加者に責任を押しつける姿勢。
 市民団体の高レベル放射性廃棄物処分の危険性を研究している専門家や市民とも率直な議論をすべきではないかという質問に対し、事業を請け負った立場の者が「貴団体のように熱心に活動されているところが、呼びかけて場を設けてはいかがですか?」という回答するに至っては、あきれるばかりです。
 そもそも「持続可能な社会をつくる元気ネット」は回答をする立場にはありません。
  

 
 2008年2月7日  
  〜昨年のできごとから〜
 
 ◆名古屋での放射性廃棄物地域ワークショップ
       (2007年12月1日開催)

 2007年11月27日の資源エネルギー庁のHPに、なんと!!2007年12月1日(土)開催のワークショップ案内が載りました。案内掲載後4日で会合を行うのは、抜き打ち開催です。参加者は既に決まっていて、黙ってやったと言われないためのアリバイづくり案内です。

 実質主催者のNPOに問い合わせた方から、当日参加も可能との連絡を得ました。ワークショップの第一回会場がなぜ名古屋なのか、どこが請け負いどんな人が集まり、どんな発言をするのか知りたくて、午前だけ参加しました。
 
  ワークショップ資料の表紙とプログラムのpdf

 ・午前の会合に対する感想
 なぜ原発なのかという根本問題が各グループから出されました。
 本来なら、原発をつくる前に、こうした話し合いを進めて国民に知らせ、理解が得られなければ原発を作らないと言う選択肢があるべきでした。
 
 名古屋会場での状況からは、数人の批判的な人がいれば、原子力や核燃料サイクル、高レベル放射性廃棄物地層処分の問題を問題を浮き彫りにできると思いました。
  しかしこの問題で主催者が参加者を意図的に選んではまともなワークショップは成り立ちません。

 こうした感想は当日の参加者の問題意識と、ワークショップのテーマ@「どのように、どのような電気を使いたい?」という設定に見られる良識が影響したものと思います。
というテーマが
  午前中の様子pdf

  当日、様子を「愛・地球ニュース」の紹介記事pdf からも、雰囲気が分かります。
 (撮影者が本人から許諾を得たかどうかは不明。ウエブがなぜか開かないため既にプリントアウトしたものをpdfでアップ)
  
 ◆札幌でのワークショップ 2007年12月22日
 名古屋以降の開催地はどこかと気にしていましたが、2008年1月10日にもう一つの宣伝事業「全国エネキャラバン」第1回東京会場で、ワークショップは札幌でも開かれたと報告しました。ネットで検索すると札幌会場の案内が北海道新聞に載っていました。
 ウエブはこちら(リンク切れの可能性あり)        
  http://event.hokkaido-np.co.jp/cont/eventdata/15355.php
  念のため札幌会場の案内をpdfにしました。
  そして、午後のテーマは「ワークショップ「高レベル放射性廃棄物の地層処分理解を進めるには」というそのものズバリになっていました。これでは全国エネキャラバンが安全の押しつけと参加者から批判を浴びたその内容をそのままに繰り返したと推測されても仕方がないでしょう。名古屋での経験を活かして、遠回りでもまともなテーマで議論し、原子力、核燃料サイクル、高レベル放射性廃棄物地層処分で良いのかどうか国民的議論が求められているのです。目先のことしか見えない人達に、政策を委ねたくはありません。
 
 

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