新日鉄住金

新日鉄住金

UL-Japan
東京駅から徒歩3分程度のKITTEの先の丸の内パークビルディング(地上34階、地下4階)に新日鉄住金の本社があるようです。新日鉄住金は平成24年10月01日に八幡製鉄や富士製鉄を前身とする新日本製鐵と住友金属が合併した会社だそうです。グループ会社には、新日鉄住金エンジニアリング新日鉄住金化学などもあるようです。
新日鉄住金の国内拠点は、REセンター(富津市)、尼崎研究開発センター(尼崎市)、波崎研究開発センター(神栖市)、鹿島製鉄所(鹿嶋市)、君津製鉄所(君津市、板橋区)、名古屋製鉄所(東海市)、和歌山製鉄所(和歌山市、堺市、海南市)、広畑製鉄所(姫路市)、八幡製鉄所(北九州市)、大分製鉄所(大分市、光市)、室蘭製鉄所(室蘭市)、釜石製鉄所(釜石市)、尼崎製造所(尼崎市)、製鋼所(大阪市)、直江津製造所(上越市)、チタン・特殊ステンレス事業部(光市)などがあるようです。

①鉄道車両用の車輪:鉄道車両用の車輪は回転鍛造装置や真空脱ガス装置などの設備投資やノウハウが必要なため、旧住友金属工業が国内シェア100%とのことで、平成23年には北米の車輪鍛造メーカーのスタンダードスチールを買収したようです。
②航空機エンジン材料:航空機エンジン用材料にも力をいれており、エアバスの小型機用エンジン向けのチタン合金も供給しているようです。航空機向けはチタンの需要の約50%に当たる4000億円程度を占めており、アルミ合金を炭素繊維強化プラスチックCFRPと接合するとアルミ合金は熱膨張係数が大きく使いにくいため、チタン合金への切替が進んでいるようです。新日鐵住金はエアバスA320neoやボーイングB737MAXのエンジンLEAP用にチタン合金の棒材を供給し、神戸製鋼はエアバスのA350XWB降着車輪装置(ランディングギア)にチタン合金部材などを供給しているようです。
③缶詰用ブリキ:パイナップル缶詰大手のドール(米国)への缶詰用のブリキ出荷量が昭和37年から平成28年6月までの累計で200万トン超えたとのことです。パイナップル用のブリキは高い耐食性が要求されるなど品質水準が極めて高く八幡製鉄所から100%供給しているようです。
④高圧水素配管:岩谷産業からの要求で旧住友金属が水素ステーションで用いる高圧水素配管用のステンレス鋼として従来品の2倍の強度で肉厚を40%減らしても70MPaの高圧に耐えられる鋼管を開発したとのことです。しかし、鉄は水素によってもろくなる水素脆性の対策が重要なようです。なお、高圧水素の圧力容器では日本碍子などが、ベリリウム銅で1000気圧に耐えられる圧力容器を開発したようです。
⑤グループ会社の新日鉄住金エンジニアリングが平成28年に溶融亜鉛メッキのメッキ厚を均一にする製造装置を開発したとのことです。
⑥耐摩耗鋼(普通鋼の数倍の硬度)の平成28年度販売量が4万トンで国内シェアは5割を確保したようですが、海外ではハルドックス(スウェーデン)に5割のシェアを確保され、シェア1割にとどまっているため、ABREX(アブレックス)というブランド名を浸透させ、重機メーカや中南米、中東などへの拡販をはかるようです。

平成28年には、中国の鉄鋼製品生産過剰の影響で、米国、カナダ、オーストラリア、インドネシア、インド、ベトナムなどが反ダンピング関税やセーフガードを適用したため、日本の鉄鋼メーカもとばっちりを受けているようです。米国の報復関税は中国製265%、日本製71%とのことです。

2015年粗鋼生産順位

2015年粗鋼生産量
アルセロール・ミタル ルクセンブルグ 9710万トン
河鋼集団 中国 4770万トン
新日鉄住金 日本 4640万トン
ポスコ 韓国 4200万トン
宝鋼集団 中国 3490万トン
江蘇沙鋼集団 中国 3420万トン
鞍山鋼鉄集団 中国 3250万トン
JFEスチール 日本 2980万トン
首鋼集団 中国 2860万トン
10 タタ製鉄 インド 2630万トン
11 武漢鉄鋼集団 中国 2580万トン
12 山東鋼鉄集団 中国 2170万トン
13 現代製鉄 韓国 2050万トン
14 ニューコア 米国 1960万トン
15 馬鞍山鋼鉄 中国 1880万トン
16 ティッセンクルップ ドイツ 1730万トン
17 ゲルダウ ブラジル 1700万トン
18 天津渤海鋼鉄 中国 1630万トン
19 ノヴォリペック ロシア 1600万トン
20 建龍集団 中国 1510万トン
21 本渓鋼鉄 中国 1500万トン
22 湖南華菱鋼鉄 中国 1490万トン
23 中国鋼鉄 台湾 1480万トン
24 USスチール 米国 1450万トン
25 エブラズ ロシア 1440万トン
26 インド鉄鋼公社 インド 1430万トン
27 イラン鉱山開発公社 イラン 1410万トン
28 日照鋼鉄 中国 1400万トン
29 万大鋼鉄 中国 1320万トン
30 JSWスチール インド 1240万トン

中国は、宝鋼集団(上海市)と武漢鉄鋼集団(湖北省)が統合して生産量6070万トンの会社となるとのことが、2016年7月に発表されましたが、供給過剰の解消のためには、設備廃棄や人員整理が必要となるため、9月のG20会合での批判をかわすための見せかけのようです。実効は眉唾ですがG20の批判をかわすため直前の2016年8月に中国首鋼集団は従業員の2割に当たる16000人の削減、武漢鋼鉄集団は10000人の削減、鞍鋼集団は3年間で4割に当たる64000人を削減すると発表しているようですが、中国の設備過剰が解消されるのは数年程度では難しいと言われているようです。なお、中国では大慶油田(油田運営)が50000人の一時帰休、中国第一重型機械集団(重機)が数千人規模の削減、黒竜江滝煤鉱業(石炭)でも数万人規模の削減を計画しているとのことです。

中国の過剰生産問題は鉄鋼以外にも、ポリエスエル原料の高純度テレフタル酸PTAでも問題が発生しており、三菱ケミカルHDは平成28年夏に中国とインドの子会社を現地企業に譲渡して撤退したようです。中国は共産党独裁体制で国が過剰な資金を供給するため、資本主義社会の企業は太刀打ちできないようです。

平成28年に、韓国のポスコがタイで自動車用の鋼材を年産45万トン生産できる工場を立ち上げたようです。新日鐵住金はNSサイアム・ユナイテッド・スチールで年産36万トン、JFEスチールはJSGTで年産40万トンの生産をしているようで、競合が厳しくなるようです。

平成29年には、中国の過剰生産による輸出が減った結果、新日鉄住金は熱延コイルが550ドル/トンで1年前に比べ7割高くなり300億円の黒字、JFEも100億円の黒字になった他、アルセロールミタルも黒字、ポスコもベトナム、中国、インドなどへの自動車用鋼板が伸びて収益が急回復したようです。

非鉄金属では、ベリリウム銅で有名な日本碍子NGKや三井金属などが有名なようです。また、ステンレスでは日本冶金工業なども有名なようです。

平成29年8月に電炉メーカー9位の東京製鉄と12位の伊藤製鉄所が経営統合に動くなど数十社がひしめく電炉業界では過当競争の中、再編が加速しているようです。

新日鉄住金が出資する電炉/高炉メーカ(2016年)
メーカ 業種 出資比率
大阪製鉄 電炉 61%
王子製鉄 電炉 52%
日新製鋼 高炉 51%
共英製鋼 電炉 26%
トピー工業 電炉 20%
中山製鋼所 電炉 17%
合同製鉄 電炉 15%
神戸製鋼所 高炉 3%


UL-Japanの事務所が八重洲口の丸の内トラストタワー本館の6階にあるようです。以前は、丸の内側の富士ビルディングにありましたが、丸の内トラストタワーが新築されたため引っ越したようです。ULは伊勢が本社で、平塚にEMC試験所があるほか横浜にも試験所があります。