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独立行政法人 航海訓練所 大型練習船「青雲丸」


■画像のカテゴリ:独立行政法人 航海訓練所 大型練習船「青雲丸」
■撮影日時:2011.02.10
■撮影場所:横浜港 大黒海釣り施設

青雲丸の概要
我が国における初めての5,000トン型大型練習船として1968年11月に建造された初代青雲丸は、
就航以来29年間にわたって、我国海運の担い手となる若い実習生を乗船させて世界各地への訓練航海を行い、
地球47周分に相当する1,017,000海里を航走、約8,900名の実習生を送り出すなど、船員教育の歴史に大きな足跡を残してきました。

青雲丸の代替に当たっては、将来の日本海運を支える優秀な船舶職員を養成するため21世紀の練習船としての
近代的な設備を有するディーゼル船とすることについて理解が得られ、平成7年度から3カ年計画で建造することが認められました。

青雲丸は、平成8年3月6日に住友重機械工業株式会社横須賀造船所で起工、
同9年3月4日進水、同年10月1日同造船所浦賀艦船工場にて竣工しました。
進水式には皇太子殿下、同妃両殿下の行啓を仰ぎ、妃殿下の支綱切断により約6,000名におよぶ参列者の祝福を受けながら進水しました。
「青雲丸」の船名は亀井善之運輸大臣の揮毫によるものです。
青雲丸は、最新鋭の練習船として21世紀の我が国の海運を支える船員の教育の場となるのは勿論のこと、
各種の調査・研究・実船受験にも大いに活用され、海運と造船の発展に寄与するものと確信しています。

■青雲丸の特徴
航海訓練所の練習船では、将来の日本海運を支える優秀な船舶職員を養成するために、
東京海洋大学海洋工学部、神戸大学海事科学部、商船高等専門学校、海員学校及び海技大学校の学生、
集団訓練をとおして船上での行動習慣の体得と船の指揮者としての指導性のかん養に務めている。
また練習船では、船舶技術研究所など他の研究機関との共同研究を含め、
造船と船舶運航技術に関する各種の研究、実験を行っており、
例えば初代青雲丸が、船尾振動・騒音の軽減を目的とした
ハイスキュープロペラ(HighlySkewed propeller)の研究・開発の実船受験を担当し、
大きな成果をあげたことは記録に新しいところである。
さらに練習船は、平成9年末から青雲丸で開始する開発途上国船員に対する乗船訓練の実施など、
国際協力に寄与する役割をも担っている。
これらを踏まえ、青雲丸では次の事項に重点を置いて建造計画を立案した。

(1)船型
従来の汽船練習船の船型を踏襲して船首バルブ、トランサム型船尾を持つ長船首楼付平甲板船とするが、
船体中央に180名収容の階段教室を設けるため、機関室をセミアフトに配置する。
毎年夏期に75日程度の日数で実施する世界一周航海を余裕をもって行うため、航海速力19ノット以上の高速船型とする。

(2)運航設備の充実
船舶の運航に関する基礎的な教育は勿論のこと、
例えばパイオニアシップなど最近の高度に自動化された船舶の運航に必要な教育をも実施できるよう
航海、機関及び無線通信設備等の運航設備を充実させ、21世紀に向けた船員教育に耐えられる練習船とする。
航海設備として、オートパイロット、ARPA(衝突予防援助装置)付きレーダ、電磁ログ、ドップラソナー等従来の機器の他、
デイファレンシャルGPS、ECIS(電子海図装置)、波高計を含む自動気象観測装置等の新しい機器を搭載する。
機関設備はMO(機関区域無人化)仕様とし、主機関は、前記航海速力の要求から、
連続最大出力約10.500PS×約150RPMの低速ディーゼル機関1基とする。
また、波浪中の推進性能を良好に保つ見地から、プロペラを可変ピッチプロペラとし、フィンスタピライザを搭載する。
無線通信設備としてGMDSS(全世界的な海上遭難・安全システム) で要求される通信設備のほかインマルサットB及び
M,モールス電信を含むMF/HF の無線装置を装備する。
これらの運航機器は、各種の調査、研究、実船実験にも対応できるようグレードの高いものを装備、
それぞれにデータの出力機能を持たせる。

(3)教育設備の充実
教室として、実習生の定員に相当する180名収容の第一教室と、その約半数88名収容の第二教室を設ける。
第一教室は勾配約1/6の階段教室とし、第二教室には蔵書約 6,000冊の書庫を併設する。
また、ビデオプロジェクタの設置等視聴覚教育設備を充実させる。
このほか、十数名の小グループを対象とした演習室として、航海科演習室、機関科演習室、無線通信演習室を設ける。
教室、演習室には、コンパクト型操船シミュレータ、ボイラシミュレータ、始動器実習装置、
GMDSS訓練装置等各種の実習装置を積極的に設備し、実習訓練の効率化を図る。
航海船橋の真下に実習船橋を設け、操舵スタンド、ARPAレーダ、ECDIS等をコンパクトにまとめたコンソール、
海図プロッターを組み込んだ海図机、時計、舵角指示器、風向風速計等のインディケータを組み込んだ
グループパネルを配置し、航路見学、出入港操船の見学場所とする他、実習生の手で操船可操船が能な設備とする。
機関科実習の見地から、機関科制御室を従来のディーゼル練習船と同様機関室下段に設ける。
また、機関室、補機室の機器配置については、できる限り広い実習スペースが確保できるよう配慮する。
端艇甲板後部に保健体育、諸行事の実施、諸作業、総員の集合のために必要な広い暴露甲板を確保する。
階段教室である第一教室の上部空間を利用したスポーツドームを設けて実習生の保健体育に資するとともに、作業場の機能を持たせる。

(4)居住設備の充実
 練習船は教育の場であると同時に実習生の生活の場でもあるため、
居住区の色彩に配慮するとともに十分な防振・防音対策を施し、
給食設備、衛生設備、体育設備を充実させて居住環境をより快適なものとする。
居住区の雑音レベルの目標値を居室60db、公室65dbとし、
主機関への二次バランサーの装備、発電機原動機への防振ゴムの取り付け、
機関区画周辺床面及び囲壁への制振材の塗布、ロックウール床パネル、グラスウール防音材の施工等十分な騒音、振動対策を施す。
居住区は、色彩を白(天井)、薄いクリーム色(側壁)、ダークグリーン(床)に統一して明るく仕上げ、
かつ、木製家具を多用することで暖かみをもたせる。
従来の練習船では、実習生食堂と教室を兼用とする例が多かったが、教室とは別に実習生食堂を設け、学習環境に配慮した設備とする。
また、調理室を中心として、
周囲に士官食堂、実習生食堂、乗組員食堂、糧食冷蔵庫、食料庫を集中して配置し、調理・配膳作業の効率化を図る。
衛生設備については、シャワートイレの装備、カロリファイヤによる温水の供給等快適さと便利性に留意した設備とする。
また、最近の女子実習生の増加傾向と女子職員の乗船を考慮し、便所、浴室、洗濯室、乾燥室等女子用の設備を充実させる。
このほか、浴室とは別に二ヵ所のシャワールームを設け、開発途上国実習生の乗船に対応する。

(5)船内にLAN(Local AreaNetwork)を構築し、船内情報の共有等運航の効率化をはかり、
あわせて教育設備、研究設備としての機能をもたせる。

(6)他の研究機関との共同研究の実施等、船舶の運航技術と造船に関する様々な
実船実験の場を提供する機会が多いと予想されることから、出来るだけ多くの水槽受験データを整備しておく。

■青雲丸の仕様

船 籍 東京
船舶所有者 航海訓練所
船 種 汽船
建造場所 住友重機浦賀
進水年月日 1997年3月4日
竣工年月日 1997年9月25日
信号符字 JLLY
航行区域 遠洋区域
総トン数 5,890
全 長(m) 116.00
 幅(m) 17.90
深 さ(m) 10.80
機 関 ディーゼル 1基
出 力 (PS)/(kW) 10,500/7,722
燃料搭載量(kl) 1,476.9
最大速力(k't) 21.0
航海速力(k't) 19.5
航続距離(mile) 15,000
定 員 合計(実習生) 252(180)