■□■  ぐい呑みコラム  ■□■

20杯目:ラーメンの心技体。そして…(01.11.08)

 まさに現在の日本人の国民食ともいえるラーメン。であるからにして、それはもう個人個人に好みがきっちりあるわけです。

 あなたがお好きなのはどんなラーメンですか?

 トンコツ? 鶏ガラ? ふんふん。ほー、ミソ? なるほどなるほど。
 え? あなたはスープじゃなくて麺の太さ細さで好き嫌いが別れると……。

 さすが21世紀の国民食。みなさんこだわっていらっしゃる。

 でも、でもですね。ここで飲酒隊隊長ことボクが新たに提言したいものこそ、 『ラーメン屋の心技体』というカテゴライズなのです。

 

好まれる要因

問 題 点

店主の人柄のよさ
おやじさん。味が…(笑顔&苦笑)

こだわりの味
不真面目に食べたら怒られそうだ

すんごい量
こんなに食えないっつーの!

 う〜ん。こう見ると、今の日本に一番多いのは『技』カテゴリーのラーメン屋さんかもしれませんねえ。

 しかし! ですますよ。 実はラーメンのカテゴライズには『心技体』の上方に位置する、さらにワンランク上の区分けがあるのです。

 それこそが『空(くう)』にして『無』のラーメン屋。わかりやすく言えば、“こだわりのないラーメン屋”です。

 店内の装飾は夫婦が町内会の旅行で行った先の小田原提灯と、贔屓の相撲取りの手形の色紙(しかも印刷されたニセモノ)。沖縄土産の枯れまくった南国植物のオブジェ。そのほか、家に置ききれないものは店内に置くという基本方針を忠実に実行したゆえの、シュールきわまりないフィーリング。
 そして肝心のラーメンの味といえば、あー、ん〜、うん! ま、悪くはないよ、悪くは。でもよぉ…という感じだね。

 ところがこういうお店こそが、2001年の現代においては珍しいのですねえ。なかなかお目にかかれない。
 何の気構えも必要としない店。ラーメンの量でも質でもなく、店主の人柄でもない区分け。現代のロスト・ワールドとしてのラーメン屋。
 それこそが“心技体”を超えた、あるがままの境地“無”を体現したこだわりのない店なのです。

 あ、こういう店の見分け方は簡単です。あなたがお店に入り、スポニチを読みながらラーメンを食べればチェック終了。その時に店からも、まわりの人からも非難の目を向けられない店。それこそが“空にして無”のお店なのです。
 でも、今はなかなかないんだよな〜、こういう店って。

 味はそこそこ。でも気楽さこの上なし! これが一番うれしい日常のヒトコマじゃないかと思うですけどねえ。

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