i-mode版
お笑いずっこけ体験辞典 な行
LAST UPDATE 2003-01-10
すべてウソ偽りのない実話です。
あいうえお かきくけこ さしすせそ たちつてと なにぬねの
はひふへほ まみむめも やゆよ らりるれろ わをん TOP


な@ なA なB    


な@ 原爆ドームの夜明け

▼8月6日に広島へ行ってみたら、式典の後かたづけ中だった。それでも、原爆資料館をくまなく見て回り、市内も歩き回った。夜が更けてきたので、今宵は平和公園で野宿だと決めていたが、いつまでたっても人が立ち去らない。ベンチで寝たかったが、どのベンチもアベックが占領していて、そんな横に座るのイヤだし、元安川沿いも灯籠ながしで、大勢の人が遅くまでいて、ボクは困っていた。ふと見ると寝心地の良さそうな芝生が広がっているのに誰もいない場所がある。原爆ドームの柵の中だった。実は立入禁止だが、思い切って入ってみた。せっかくだから、ここで寝てしまえと原爆ドーム寝ることにした。前の晩は播州赤穂の大石内蔵助神社で寝たのだが、風が吹いていたので不気味な音があちこちからして寝付けなく、寝不足だったので、ボクはそのままぐっすり眠ってしまった。それでも野宿というのは明け方の寒さで目覚めるものである。やはり4時ごろ目覚めた。しかし、ボクはすぐには起きられなかった。ちょうどこの8月7日の朝、ここにも人が横たり、起きられなかった人がたくさんいたんだ、と思うと、そうあっさりと起きたくはなかった。「俺は、故起きるのだ」「起きて何をするのだ」「だいたい何のために生きているのだ」「この日この広島で起きられなかった人々のことをどう考えたらいいんだ」「俺は何をすればいいんだ」。考え出すときりがなく、仰向けに寝ころんだまま原爆ドームを見上げていた。と、そこに朝の散歩で犬を連れたおじいさんが通りかかり、見つかってしまった。こりゃ、まずい!それで、慌てて頭の中を整理し、「ここでこの瞬間、俺は起きあがるが、いろいろ考えたことにこだわって生きていくのだ!}と心に決め、ようやく起き出して、すたこらとズラかったのであった。
 ※昔の話です。原爆ドームは貴重な遺産です。決して侵入してはいけません!

なA 小1夏休みの巻
▼小学校1年生の休みの宿題は、本来の課題なんか一切無視して、勝手に「巻物」を作ったんだよね。正確には「巻物」というより、じゃばら綴じの本。で、何が書かれてあるかというと、1学期終業式の日の晩飯から2学期始業式の日の朝飯までの、三度三度の食事で食べたご飯の量を茶碗の杯数で折れ線グラフ化したもの。何個でもおにぎりを食べると話題の大食いおにぎり坊やだったのと、自宅が寺でお経の本をいつも目にしていたのと、計算したりあれこれと書いてまとめたりするのが大好きだったのと、小学校1年ですでに「先生の言うことを素直に聞けない子」だったのとが原因であると見られる。

なB 生中10杯
▼行きつけの飲み屋のカウンター。営業マンをしているいつもの連れが、バイトの女の子を今度の休みにデートに誘おうと頑張っていた。「中10杯飲んだら、行ってあげようかなぁ?」と商売上手な彼女。真に受けた彼は、頑張って10杯飲み干したのだ。喜び勇んで帰ったはずの彼は、店の表でバイクにまたがった姿のままで真横に倒れて熟睡していた。
※飲酒運転はダメですよ!

に にらめっこ
▼ぼくは幼児の頃「らめっこ」がとても強かったのです。強さの秘訣は、ひらがなが読めるようになって、絵本で覚えた、「にらめっこの唄」でした。「だあるまさん、だあるまさん、にいらめっこしいましょ、あつぷつぷつ」。「あっぷっぷっ」と絵本に書いてあったのですが、小さい「っ」をまだ知らなかったのです。

ぬ 浴槽の快感
▼高校時代、落ち込んだ奴なんかがいると、何人かで無理やり家へ押し掛け、そのまま泊まって、翌朝みんなで登校、なんてことを、お互いよくしていた。ある時、アルコールの断てない奈良漬けのようなKくんと一緒に、落語が上手なMくんの家に押し掛けた。いろいろとしんみり話をした後で、Kと2人で風呂に入らせてもらった。二人一緒につかるには狭い浴槽だったが、ふざけて密着してつかっていると、栓が抜けてしまった。次第に湯が減っていく。Kの濃い体毛もこそばかったが、湯の水面が下がっていくのが、素肌にこちょばい。ヘラヘラ笑いながら、こちょばいのを味わった後が大変!二人の身体が密着しているところに、浴槽との摩擦で身動きがとれない。二人の男子高校生は、全裸のまま、へんな格好で密着しあって、湯の抜けた浴槽で動けずにもがいていた。お互い、性の対象として見ていたわけではなかったので、一刻も早くこの事態を何とかしたかったが、あせればあせるほど汗が出てきてるぬるして気持ち悪い。しかし、そのおかげで、脱出に成功した。あまりの長湯にのぞきにきたMは、あきれていたが、翌日は三人一緒に元気に登校した。

ね 新婚初夜の酔客
▼結婚初夜というものがある。ボクら夫婦にも、そんな晩があったのだが、違った意味で忘れられないものになってしまった。2次会から流れ込んだ、卒業生達に混じって、「Kという同僚」もやってきた。ワイワイ酒盛りをやっているうちに、ボクら夫婦のベッドで、そのKさんがってしまったのだ。飲み屋でも、酒が入るといったんちょこっと眠るKさんなので、そのままにしておいたら、どうやらぐっすり眠ってしまった。卒業生達もみんな帰ってしまい、残るは、ボクら夫婦とそのKさん。いつもは、真面目でわきまえのある方なのだが、100人を超える盛大な2次会を企画・運営してくれたので、相当お疲れのようだ。仕方がないのでボクらはKさんの記念写真を撮って、別の部屋の荷物の間で眠りについた。

の 農薬の空中散布
▼滋賀県の安土駅が最終着駅で、仕方がないのでどこかで野宿しようと、駅前にたむろしていたヤンキーに殺されないように通り過ぎ、安土城跡に向かった。ところが、裸電球がやけに不気味で、安土国風土記の石碑が陰鬱で、ちょっとびびっていたら、なにやら看板がある。「鳥獣保護区」と書いてある。こんなところで野宿したら、どんな鳥獣に襲われるやらと心配になる。もう少し歩くと、空き地に土管があった。何とか身体を滑り込ませられそうな大きさだったが、まだ土の上の方が寝心地がいい。さらに歩くと、また看板があった。明日朝6時から薬の空中散布をするとある。午前中は外に出るなとか、午後から外出しても白い粉に触るなとか、万が一の時はどうしろこうしろと書いてある。おい、ちょっと待てよ!こんなところで野宿して、寝坊したら死んでしまうじゃないか!仕方がないので土管の所へ戻る。でも考えてみれば、土管の中にも農薬は広がってくるだろう。土管の中で、農薬にもがき苦しんで死んだら、それこそ悲惨じゃないか。ということで考えのが、始発電車をあてにすることだった。その日は、高速道路の事件(→「こ」参照)の晩で、もう疲れていて、早く寝たかった。線路脇に寝て、もし始発が6時までにあったら、どこかの家に駆け込もう。もうすぐ農薬散布というのだから、さすがに家の中に入れてくれるだろう。もし始発が6時までになかったら、俺の人生もこれまでとあきらめよう。そう決心して、線路脇に寝たのでした。ところが、夜行列車が何度も走って、何度も飛び起きました。時計がなかったのですが、夏の野宿というものは4時頃には、身体が冷えてきて寝ていられなくなるので、さすがにその日は、いそいそと歩き出し、避難したのです。ヤンキーもやくざもこわいけど、農薬の不気味さは、また格別だ。分かるかな?