乗鞍岳( 乗鞍岳:3,025.6m ) 2012.9.16 登山



【PHOTO & 記録 乗鞍岳 1】

容量確保のため、アップ時よりも画像の解像度を少し落としました。ご了解下さい (2017.7.4)。

乗鞍岳はずっと気になっている山である。
今年に入ってからも、御嶽頂上から見たその姿は、 雪を多く残す北アルプスの精鋭達を後方に従えて 先頭に立つリーダーのような迫力があったし、また奥穂高岳に登った際には、 御嶽から見た時とは全く違って、伸びやかで優美な姿を見せてくれ、小生を魅了し続けている。
無論、そういう魅力的な山であるから 1999年にその頂上 (剣ヶ峰) に立ってはいるのだが、 3,000mを越すその堂々とした山容に対して、あまりにも短い登山行程に、登頂の喜びよりはむしろ罪悪感を覚えたのであった。
その時は、上高地から焼岳に登って中の湯温泉に下山し入浴。 その後、釜トンネル前からバスに乗って畳平まで行き、その日は肩の小屋に宿泊して翌朝 剣ヶ峰に立ったのであった。
しかし、先に述べたように、登山という観点から見ると、この時の登山は距離、登った標高差 (300m程)とも大変物足りないものであり、 加えて畳平から肩の小屋までは ガスで全く視界が利かず、しかも車道のような道であったことで、全く満足していないのである。
折角、3,000mを越す標高、雄大な裾野を持つ山でありながら、僅かな部分しか触れることができなかったのは心残りであり、 一方で 乗鞍岳と対峙する御嶽の方は、結構 その懐に飛び込んだ登山ができたと思っているので、 いつかこの山と真摯に向かい合いたいと、ずっと思っていたのである。
せめてもの慰めは、乗鞍岳頂上から下の乗鞍高原観光センタまで 歩いて下山したことである。その時、 いつかこの逆コースを登ってみたいと思ったものの、それから 13年、未だその気になれないでいる。
というのは、このコースは途中何回も車道を歩いたり、横切ったりせねばならないからであり、そして苦労して肩の小屋まで登ったとしても、 そこには畳平からの登山者に加え、観光客に近い方もおられ、ガッカリさせられるのが目に見えているからである。
そこで、ここ数年考えていたのが西側の乗鞍青屋登山道を登り、千町ヶ原 (せんちょうがはら) を越えて乗鞍岳に登るルートであるが、 こちらは距離が長く、山中一泊は必至。そうなるとこちらもなかなか挑もうという気になれない。

こういうモヤモヤがずっと続いていたのだが、先日ヤマレコを見ていたら、 乗鞍岳から 中洞権現 (畳石原) 経由で中洞権現ノ尾根を下った登山記録が掲載されていたのである。
早速 地図で調べてみると (2011年の山と高原社の地図)、そのルートは破線で表示されており、 草木の刈り払いが為されていない可能性がある との記載がある。
確かに、この中洞権現ノ尾根ルートをネットで検索すると、藪こぎの記録がかなり出てくる。しかし、先のヤマレコの記録では、 森林限界より下はササの刈り払いがしっかり為されていた とのことであり、森林限界より上はハイマツに苦労するもののテープは明瞭との記載がある。
もしそうであるのならば、このコースを使って乗鞍岳の日帰りが可能である訳で、俄然乗り気になったのであった。
そして 3連休の中日にあたる 9月16日、早速トライすることにした次第である。

夜中の 2時過ぎに横浜の自宅を出発。
何時も通り八王子ICから中央高速道に入り、ナビに従って伊那ICで下りる。 ナビには目的地として南乗鞍オートキャンプ場を指定してある。
伊那ICからは、権兵衛トンネルのある お馴染みの権兵衛街道 (国道361号線) に入り、やがて中山道に合流して、 御嶽南駒ヶ岳の時と同じように中山道を南下する。
中山道を暫く進んだ後、木曽大橋の所で右折して開田高原を目指す (この道は同じく国道361号線だが、 こちらは木曾街道)。開田高原を抜け、かなり長いドライブの後、高根乗鞍湖と野麦川の合流点に架かる 高嶺大橋を渡った所で道を右折する。 この道は野麦峠で有名な野麦街道である。
その後、暫く先で ナビに従って左折してオートキャンプ場を目指す。今は閑散としているオートキャンプ場を通過し、 さらに先に進む。道はオートキャンプ場まで舗装道だったものの、それ以降はかなり 凸凹がある未舗装の林道となる。 林道の延長工事をしているらしく、平日は工事車両が通るので道は荒れ気味 というところであろうか。


やがて林道ゲートに到着。
ゲート手前に橋があり、その橋のたもとに小広いスペースがあるので、そこに車を駐める。
但し、そのスペースは崖下にあり、見上げれば 崩れたばかりのような生々しい土肌が露出している。 また、斜面途中にはむき出しの岩も見え、さらには崖下に大きな石がゴロゴロ落ちている。
少々心配になるが、崩れてエネルギーを放出したばかりのようなので 当面は大丈夫のようである。
なお、ありがたいことに、駐車スペースには 1台先客がいた。
このコースを全く一人で挑戦するのではないことが分かりホッとする。身支度をし、 7時8分に出発。

ゲートを過ぎても暫く林道が続く。 林道にはナンバーが書かれた標識が数百メートル毎に立てられており、その NO4の標識の所で道が 2つに分かれる。
暫く考えた後、ナンバー標識が続く道を進むべく、道を左にとる。橋を渡り、勾配のきつくなった道を進む。
標識 NO6を過ぎた辺りで、少々心配になる。というのは、登山道は左側斜面を登るはずなのに、いつまで経っても斜面は右側、 左側は谷という状態が続くからである。
加えて、『間違えて左に進んでしまい、戻って右に進み直した』 と書かれた登山記録を読んだ記憶があるからである。
先程の分岐で右に進むべきだったのではないか との考えが頭を過ぎり、悩んだ末、道を戻ることにする。
NO4の標識まで戻り、右の道を進む。

こちらの道には工事車両の通った気配はないのだが、周囲のササがキレイに刈り払われているので期待が持てる。
しかしである、15分程登って行くと道の先は草に覆われ、とても登山道へと続く道とは思えなくなったのである。やむなくこちらも引き返すことにする。
ここで地図を見ると、道はしっかり川を横切って進んでいる。初めから地図を見ていれば、何の問題もなかった訳で、大いに反省。
間違えた道も上り勾配、NO4に戻って 2回目の通行となる道も上り勾配。肉体的には無論のこと、精神的にもかなり疲れた。
途中、樹林越しに稜線が見えた。青空が広がっており、天気は心配ないようである。

先程の NO6の標識を過ぎて暫く進むと、 前方の道端にピンクテープがヒラヒラしているのが見えてきた。先程、もう少し進んでこれを発見していればロスは生じなかったのに と悔やまれる。
しかし、ピンクテープを過ぎてからも一向に登山口は現れず、標識は既に NO8を数える。事前に調べたところでは、 登山口は林道終点にあるとの記録が多かったのだが、最新情報では林道の延長工事が為されているようなので、 登山口を見落としてしまったのではないか と不安になってくる。
しかし、NO8を過ぎて少し左にカーブした所で、ようやく登山口の標識を見つけたのであった。 場所は NO9 (写真は帰りに撮影)。 時刻は 8時19分、もったいない時間ロスであった。

道はいきなり急登で始まる。振幅の小さなジグザグの急坂を登ることになる。
暫くすると傾斜が緩やかになるが、また再び急登が始まるという感じである。エネルギーを先程の道迷いでかなり使ってしまったので、 この急坂が結構堪える。
しかし、嬉しいことに高度が上がった分、視界が少しずつ開けるようになり、樹林越しのため全容を見るまでにはいかないものの、 御嶽が見えるようになってくる。
道の方は明瞭。左右のササもキレイに刈り払いが為され、とても歩きやすい。

さらに登って行くと、 左側が大きく開けた場所を通過する。
ここからは、御嶽や中央アルプスをハッキリ見通すことができる。 こちらから見る御嶽は、今まで見ていた姿とは違って、かなりスマートに見える。
御嶽は南北に長く、東側からその長い部分を見慣れているので、こうして幅のない東西部分を北側から見ると新鮮である。
開田辺りから見る姿は、上底部分 (頂上部分)が左の継母岳に始まり、剣ヶ峰、賽ノ河原、 摩利支天と横に続いて、最後は継子岳で終わる 大きな台形なのである。
こちらからは、剣ヶ峰 (頂上 左端) と摩利支天 (頂上 右端) の距離が短く、継母岳は右斜面に突起状にしか見えない。



乗鞍岳 再登山データ

上記登山のデータ登山日:2012.9.16 天候:快晴のち曇り単独行日帰り
登山路:森林管理署林道ゲート−登山口−森林限界−中洞権現−皿石原−剣ヶ峰・大日岳鞍部−乗鞍岳(剣ヶ峰)− 剣ヶ峰・大日岳鞍部−皿石原−中洞権現−森林限界−登山口−森林管理署林道ゲート
交通往路:瀬谷−(国道16号線)−八王子IC−(中央高速道)−岡谷JCT−伊那IC−(県道87号線)− 駒美−(県道88号線)−沼尻南−(国道361号線:権兵衛街道・権兵衛峠道路・姥神峠道路)−神谷入口−(国道19号線:中山道)−木曽大橋−(国道361号線:木曾街道)− 高嶺大橋−(県道39号線:野麦街道)−阿多野郷−(森林管理署林道)−南乗鞍オートキャンプ場−ゲート(車にて)
交通復路:ゲート−南乗鞍オートキャンプ場−(森林管理署林道)−阿多野郷−(県道39号線:野麦街道)− 高嶺大橋−(国道361号線:木曾街道)−木曽大橋−(国道19号線:中山道)−神谷入口−(国道361号線:姥神峠道路・権兵衛峠道路・権兵衛街道)−沼尻南− (県道88号線)−駒美−(県道87号線)−伊那IC−(中央高速道)−岡谷JCT−勝沼IC−(国道20号線)−相模湖駅前−(国道412号線)−三ケ木−(国道413号線)− 橋本−(国道16号線)−瀬谷(車にて)

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